やらかしちゃった数学
職員室から出て教室へ戻れば、クラスのみんなに見られた。あの、日向も私を見ている。なんかやらかした?
「まこちゃん!どうだったの?」
なつちゃんがそう言って駆け寄ってきた。
「?ああ!大丈夫だよ!大したことない」
「良かった!」
え?心配してくれたの?クラスのみんなも?いい子だなあ!
「ふふ、心配してくれてありがとう!」
嬉しくて満面の笑みでそう言えば、クラスメイトの何人かは視線を逸らした。
え?私の笑みきもい?なんかごめん。
「キラーだわ…」
なつちゃんが少し顔を引くつかせて呟いた。
え?キラー?殺すの方?そんなに笑みキモかったの!?
そんな風に思ってたらいつの間にか授業開始のチャイムが鳴った。
「数学始めるぞー」
担任がクラスに入ってくる。相変わらずのイケメンっぷりに女子が沸き上がる。
そう言えば、名前なんていうんだっけ…。
授業が始まる。最初は第1章の四則計算から。
という訳で、本日は四則計算です。はい。
2乗も出てくるけど、私には簡単すぎて、予習も出来てるし、暇。…しょうがないから、数学を使って仕事するかな。
予習ノートの空いている所に長方形を書き込む。結構大きめに。せっかくだから、ショッピングモール計画を具体的にしようと思う。
土地はできれば、某県の田舎めに作りたい。となると、あの市が適任かな。買えそうな空き地は、20k㎡ぐらいかな?とすると、駐車場除いて…15k㎡ぐらいか…。
縦3kmに横5kmの長方形にして、周りを駐車場にしよう。トラックとかの積荷は…駐車場の一部にして、内部構造どうしようかな。
よくあるのは2階から1階が見下ろせる形だけど、ありきたりだよね~。歩きやすくて斬新なのないかな。
「…き」
そしたら、エスカレーターとエレベーターはできるだけ色んなところに…。
「白雪!」
「うぇ、へい!」
驚いて変な声でちゃったよ…。
少し見上げれば先生がこちらを睨んでいた。
「お前…人が目の前まで来ていて、よく落書きできるな」
どうやらとってもお怒りのようです。ですよねぇ~。自分の授業聞いてない人がいたら私も怒ります。
「すいませんでした」
こういう時は素直に謝ろう。美形の怒りの形相程怖いものはない。
謝れば先生が溜息を吐いた。
「まあ、いい。次は気をつけろよ。で、黒板にある問題を解けと言ったんだが」
先生の言葉に黒板を見る。どうせ簡単な四則計算。
「お前なら解けるよな?」
少し挑戦的な目で私を見て、教卓へ戻る先生。私はもう一度黒板を見つめた。ただの四則計算じゃないの?なんか、ただの数字なんですけど。1729って…。アレですよね?タクシーだよね?
そう思い、1729=10³+9³と書く。
「これはなんの数字だ」
「タクシー数、立方体の最小値です」
そう言えば、先生はニヤリと笑った。
「お前…そんなに難しいの知ってるのか」
え?これは難しいの?みんな知らないの?驚いて目だけで周囲を見ればみんなぽかんと口を開けている。やばい!隠さなきゃ!くそっ先生め。引っかけたな!
「違います!凄い適当に書きました!」
「そうでもないだろ?タクシー数知ってるんだから。そう言えば…実力テスト平均点だったな。狙ったのか?」
「ほんとに適当です!狙ってませんよ!」
本当は、適当でもないし、狙ったけども!それじゃあ、私が身バレするから嘘を無理やり通す。
あまりにも必死に訴えたからか、先生は諦めたらしい。時間がもったいないでしょ。私への詮索より授業行けよ。
チャイムが鳴った。挨拶をした後、先生は不満そうな目で私を見て去って行った。
「凄いね!まこちゃん!先生にあそこまで言わせるなんて」
…どうしてこうなった。
その後私はどれだけ適当に問題を解いたのか力説し、クラスの誤解を解いた。
ちなみに誠は日本地図をかなり詳しいレベルで暗記しています。
タクシー数について詳しくはwikiをお願いします。




