メサイア学園 入学編 6
戦闘描写なんてむずかしいよぅ
「っ!!反対方向にサンダーの合図を確認した!急いで戻るぞ!」
アリアスはそう叫ぶと合図の方向に向かって走り出した。
「ちょっと!待ちなさいよ!一人で勝手につっぱしらないで!!」
アリアスの後ろで歩いていたリタが突然走り出したアリアスに対してそう呼びかけるが彼は止まらない。
「っっ!!仕方ない、彼に続くわよ」
クリスはここで呼んでも意味がないことを悟り、全員をまとめてアリアスに続こうとしたーーーしかし
「うおっ!!??」
突如走っていたアリアスの足元で小爆発がおこった。
それだけではなく、爆発に驚いた彼は足を止めてしまい、そこに全方位から現れた魔法‘ウォーターショット’に直撃してしまった。
「うわあああああああああああ!!!???」
手のひらサイズの弱い魔法とはいえ、全周囲から逃げることもできずに全弾直撃をした彼はその衝撃によって気を失った。
「っ!!アリアス君!!」
クリス達は気絶したアリアスを快方するために回復魔法が使えるリリムがその手から癒しの魔法を発動させる。
「ヒール!!!」
気合を込めて発動させたその回復魔法はかすり傷などの軽傷ならすぐに癒すことはできる。しかし気を失った彼は傷は癒せても意識は回復しない。
そして訓練が開始される前に渡された魔石‘テレポーション’が発動し、開始地点に戻されていった。
「・・・・・アリアス君が脱落したのは痛いけど、合流することを優先しましょう。幸いといったら怒られるけど彼のおかげで罠の存在を感知したわ。気を付けていきましょう」
戦闘慣れしていない彼女達にとってこの展開は予想できなく、あっけなく一人脱落してしまった。
しかし実はこのトラップは本来殲滅の意味を込めて張られたものなので、アリアス一人が発動させてしまったのは裏を返せば罠による被害は最小限に抑えられたと言える。
クリスの言葉に3人は頷くと一列に並んで合図の方向へと進んだ。
しばらく進むとあと少しで合図の方向にたどり着くのだが、なぜか戦闘の気配がない。本来このあたりに合図があるのなら戦闘があってもおかしくはないはずなのだが
もしかしてあの罠に全員やれてしまった?クリスはあそこに張られていた罠を思い出して、最悪の事態を想定した。しかしーー
ガサッーー
「っっっ!!!!」
そばにあった草むらが揺れてクリス達は警戒する。そこに現れたのは
「あれ?クリスじゃないか。アリアスがいないようだがどうしたんだ?」
そこにはクラストップの成績を収めた、フォルゲンレーテ・ベルンのパーティーがいた。
「・・・・・そうか、アリアスは先生の罠に・・・・」
事情を説明されたフォルゲンレーテはこの状況について考える。
「とりあえず合流地点に行きませんか?ここで止まっていたら他のパーティーの方々が先に先生と戦闘を起こす可能性があります。」
クリスはそう提案するがフォルゲンレーテとしてはその意見はあまり賛成できない。この違和感に対して彼だけは嫌な予感というものを感じている。しかし、ここで止まっていても何の解決にもならない。しかたなくクリスの言葉に従い、合流した9人で指定の場所までその足をすすめることにした。
更にしばらく歩いてその先についにラウルの姿を目視することができた。
「っ!!見つけた!よし、数の有利性で先生を囲んでっっ!!!」
しかし彼らはラウルのそばで倒れている生徒がテレポートによる脱落を確認するとその言葉を止めてしまう。---それが命取り。
「「キャアアアアアアアアアアアアア!!!!!」」
「っ!!リタ!?」「トーマス!?」
クリスのパーティーとフォルゲンレーテのパーティーのメンバーの数人がその悲鳴をあげたことに驚き、何があったのかを確認しようとした。
そこには半径5メートル、垂直3メートルになる大きな落とし穴に落ち、そこに設置されていた魔石‘ライト’によって感電し、その衝撃でテレポートが作動。総数5名が脱落した。---残り4人
その事実に理解をするとフォルゲンレーテとクリスは目の前の元凶に対し、最大の警戒をする。
そこにはこの状況になったことに落胆したような表情をしたラウルが立っている。
「・・・・・最終的に4人しかここまでこれなかったのか。少し買いかぶり過ぎたかな、どこかの天才さんは余裕といってたきがするが」
クリスはその言葉が自分に向けられていったものだと理解すると青筋を立てて突っ込もうとしたが、冷静になり中断する。
「・・・・・4人しかないが、それでも数ではこちらのほうがまだ有利だ。散会するようにして囲んで魔法で倒そう」
フォルゲンレーテの指示に、生き残ったクリス・リリム・そして彼のパーティーメンバーのレンがうなずき、ラウルを囲むように走り出した。
しかしラウルは短剣を抜刀したと同時にこちらに、フォルゲンレーテに向かって走り出した。
!!!フォルゲンレーテは直剣をラウルに当てようと振りぬくがラウルには通用しない。その一太刀をかわし同時に短剣を滑らせ、テレポートの魔石に切りつけたと思うとその魔石が砕けてしまい、魔力があふれた。その魔力でテレポートが発動し、フォルゲンレーテは脱落することになった。
な、なんてでたらめな速さ!あのフォルゲンレーテ君が一瞬でやられた!?突然の出来事に見ることしかできなかった彼女たちは今起こったことに対して恐怖を感じてしまった。
もう彼女たちに彼は倒せない。戦場で恐怖し、闘うことを放棄してしまったらそこに起こるのは蹂躙だけだ。大剣を振りぬくレンの攻撃もいなし、同じように魔石を切り抜くとこちらの戦力はクリスとリリムだけになった。リリムは回復魔法を主としているので大した援護ができないので実質クリスだけで抑えなければならなくなってしまった。
「どうした?もう終わりか?」
ラウルは挑発するように彼女達に問いかけるが、恐怖でおびえた彼女たちにその言葉は絶望にしかならない。
クリスとリリムは何もできずに突っ立ってしまい、気が付けば魔石が切り捨てられて脱落した。