プロローグ
プロローグ
『これより本年度、皇立鋼刃学園高等学校武芸部武芸科入学試験第13グループの試験を執り行ないます。今より試験用の魔獣を結界に放つので所定の時間内に撃破して下さい。ルールは勝てば合格、倒されるか、制限時間内に倒せなければ不合格です。なお結界内なので致命傷を負っても死ぬほどの痛みが走りますが、気絶して結界外に転送されて実際死ぬことはないのでで安心して試験に挑んでください』
今俺は鋼刃学園の試験を受けに来ている。昔の恩人が通っていたところで、必ず俺もそこに通うと約束し目指している学校なのだが、どうも気の抜けるアナウンスだ。流石あの人が通っていた学校だ。そして試験の順番が回って来て、試験概要のアナウンスを聞いたがそれで安心しろと言われても困るな。
『では受験番号61番の受験生、結界内に入ってください』
「はい」
試験用の結界に入場を促され、中に入る。
結界内にいるのは俺と敵である試験用の魔獣だけだ。
そんな状況下、俺は軽く伸びをして身構えた。コンディションはバッチリだ。元々緊張とは無縁の性格だしな。よくそれで怒られるけど……。
いっちょやりますか!
『では5分以内に撃破してください。武具は何を使用しても構いません』
「わかりました」
五分か……まあ余裕だな。
体内の剄の廻り(めぐり)も好調だ。
これならいつも通りいけるだろう。
「抜刀!」
鍵語を口にして、剄具を解き放ち10mほど先に居る魔獣――体長3mほどのミノタウロス――に向かって突貫する。
漆黒の刀刃を一閃。
勝負は一瞬で決した。
『勝者……受験番号61番。緋羽止水』
アナウンス通り、その場には明確な勝者と敗者が居た。勝者である俺は返り血浴びて佇んで居て、敗者であるミノタウロスは無残にバラバラになって臓物をぶちまけていた。ふう、案外余裕だったな。