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AtoZ短編集

因縁討論会

作者: 原雄一

 ある時、某テレビ局のディレクターは、ある案を思いついた。それは、徹底的な討論会を開こうというものだった。テーマは現在の日本政府について。視聴者が食いつきそうなテーマである


 ディレクターは、討論会に呼ぶべき人物らに声をかけた。それは、政治評論家、元官僚、科学者、登山家、

小説家の五人だった。一見政治とは無関係に見える職業もあるが、実は、こういうものが良い意見を出したりするものなのだ。

 彼らはこのオファーを快諾した。ディレクターが金に物を言わせたおかげでもある。そして、この番組の収録が開始された。

 討論が始まり、初めに口を開いたのは小説家だった。

「今の政治家は自分の事を中心に考えているから対応が遅れるのです。先の大震災でもそうだったでしょう」

 元官僚が文句を言う。

「それは思い違いです。たしかにそういう方もいますが、すべての政治家がそうかというと、それは間違っている。あなたの言い方では、言いがかりもいいところですな……」

 小説家が言い返す。

「まあ確かにそうなのかもしれませんが、私の眼にはいささかそう見える。まるで登山家のようです。自分たちが楽しければそれでいい。そこでごみを捨て、いくら山が荒れようとも何とも思っていない……」

 小説家がこのように登山家を悪く言うのは、この場にいる登山家が、彼の因縁の相手だったからである。

「そんな風に言われるのは心外ですな。我々だって、一生懸命に清掃をしているのです。山が荒れるのは一部の、ほんの一握りの登山家のせいです。いや、そういう奴らは登山家とは言いません」

 登山家は、序盤から声を荒げていた。一息置いてからまた喋り始める。

「そういうのは科学者と一緒です。世のため人のためといって研究をするが、本当は金のため、つまりは自分のためだ。周りのことなどなんとも思っちゃいない……」

 登山家は、無論すべての科学者がそういった人間ではないことは分かっていたが、目の前にいるのが昔自分に暴力を振るった男では、仕方がないとも言えた。

「我々科学者は、そんな風には思っていません。先程あなたもおっしゃっていましたが、世のため、人のためなのです。金のためだなんて思っているのは、政治家のほうなのでは……」

 科学者は、怨恨のある元官僚の男を前に言った。元官僚の男はむっとして、

「我々が働いているのは金のためなんかじゃない。人民のためだ。それをそんな風に言うなんて、あんまりだ。そういうのは小説家に言うべきではないのですか」

 と言った。そう言ったのは、自分のはす向かいに座っている小説家が、昔自分の息子にけがを負わせた人物だったからだ。事故とはいえ、あの時の事はまだ許してはいない。

「なぜそうなるのです。我々はそんなことは思っちゃいない。それに、思っていたとしても、結果的に読者を楽しませているのだからいいではありませんか。その点から言えば、自分が楽しむだけの登山家の方が『悪』だと思いますが……?」

 小説家は、またもや因縁の登山家に言い放った。


 一連の言い争いを見ていた政治評論家は、偶然にも彼らの関係をすべて知っていた。

 

 彼は、やはり人を争わせるのは、怨恨や因縁なのだと思った。また、それと同時に、恐れを抱いた。彼は、この場にいるほかの四人全員に、恨みを持たれているからだ。すなわち、いつ、誰から責められても、不思議ではないのだ。

 元官僚が何をしたか知りたい人は、感想にてお願いいたします。


 て言うか感想ください。批評でもいいです。



 なんかください。

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[一言] 政治評論家は何をやらかしたww
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