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―第1章 電話―
モノローグです。
もうすぐ四月も終わり。日差しが強くなって、日中は半袖でもいいくらいの日もあるけど、夜はまだ冷える。
蘇芳さんと会った帰り、暮れかかる夕焼け空に浮かんだ月を見上げ、鞄にしまってた上着を出して羽織る。
一つの恋が終わった今日。
初めは幸せだった恋も、辛くて苦しい気持ちになって――それでも、後悔することなく今日を迎えられたのは。
その時、頭の中に思い浮かんだ私を見つめる澄んだ瞳に、ぱちんっと、何かがはじけた――
次話から、続編『きっと恋が始まる、その瞬間』第1話が始まります。