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【第二部】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!  作者: DAI


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第4話


ここはウエスの森の丸太小屋。


フィーネたちは、ロッキングチェアに座って紅茶を飲んでいる。いい香りだ。鼻を近づけるだけで心が安らぐ。

(探して......)

フィーネの頭の中に、また『あの声』が響く。何を探せばいいのだろう?フィーネは、目を閉じて頭を振った。


「どうしたの?フィーネ」

リリィが心配そうに顔を覗く。

「大丈夫。ちょっと考え事をしてただけ」

フィーネは心配掛けまいと普段通りを装おう。

「フィーネ、オルガとデートに行ったら?」

リリィの突然の提案にフィーネは飲みかけの紅茶を噴き出した。

「ゲホッゲホッ、突然なに?」

「色々あったから、二人でゆっくりお話もしてないでしょ?たまには、良いんじゃない?」

リリィは、フィーネを本気で心配している。

「そうね、じゃあお言葉に甘えて、明日町に出かけるわ」

フィーネが言う。

「留守は任せて。前みたいに勝手に探検とかしないから」

「わかったわ」


こうして、翌日。フィーネは一人町に向かった。


オルガの家の前で、少し躊躇してドアをノックする。


「はい」

初老の女性の声だ。

扉が開くと、品の良い女性が出てきた。オルガの母親である。


「突然、すいません。あの、オルガは......?」

フィーネが聞く。

「あの子は、用事で出掛けてるわ。もう少しで戻るはずだから、中へどうぞ、フィーネさん」

オルガの母親に促されて家の中に入る。

「お邪魔します」

「どうぞ」

オルガの母親は、慣れた手つきで紅茶を淹れる。

「あ、どうぞお構いなく」

フィーネは恐縮している。

「私の紅茶はお口に合うかしら」

オルガの母親は紅茶を出して、フィーネの向かい側に座った。


フィーネは、紅茶を飲む。

(美味しい!)

気まずい沈黙の時間が流れる。


「あの、お..お母さん」

「何?フィーネさん」

「今日はいい天気ですね」

「そうね」


また、沈黙......


「あの、オルガ....さん、遅いですね」

「そうね」


そして、また、沈黙......


「フィーネさんに聞きたいことがあるの」

オルガの母親が切り出す。

「はい、何でも聞いてください」

フィーネは緊張の面持ちで返す。


「気を悪くしないで聞いてね」

「はい」

何を言われるんだろう?フィーネは言葉を待った。

「オルガは、ごく普通の人間よ。そして、あなたは長生きのエルフ。どうしたって、オルガの方が先に死んでしまう。フィーネ、あなたはそれでいいの?」

いきなり核心を突いてきた。フィーネは少し考えて答えた。

「私は、オルガさんと『今』を生きたいと思っています。それはとても尊くてかけがえの無いものです。確かに寿命は私の方が長い。でも、二人で共有する思い出や記憶の重さは同じです。私はオルガさんと一緒に生きたいと思っています。」

フィーネは、一息に言うと、ふぅっと息を吐いた。


オルガの母親は、少しの沈黙のあと、

「フィーネさん、あなたの覚悟は分かりました。オルガのことをどうかよろしくお願いします。」

そう言って、頭を下げた。


「ありがとうございます。お母さん。」

フィーネは、ホッとした。


「私はね......」

オルガの母親が話し出す。

「オルガを失った後のフィーネさんのことも心配してるの。あなたはオルガの死を抱えながら、更に長い時を生きていかなきゃならない。それは、とても辛いことだと思うから」

フィーネはうつむいた。

「私は沢山の大切な人が先に死んでいくのを見送ってきました。でも辛さは一瞬です。思い出は私を温かい気持ちにしてくれます。前に進む力をくれます。」

フィーネはそう言って笑った。

「私たち人間には、想像も出来ないわね。フィーネさん、あなた、強いのね」

「そんな......私は、ただの臆病なエルフです。」

フィーネは紅茶を一口飲んだ。


「お母さん、ただいま!」

オルガが帰ってきた。

「オルガ、お帰り」

オルガの母親とフィーネがいるのを見て、オルガは驚いた顔をした。


「フィーネさん!いつ来たの?」

「ついさっきよ、オルガに久しぶりに会いたいと思って」

フィーネの顔を見て、オルガはポケットに手を入れた。以前買った指輪が指先に触れる。


「来るってわかってたら、迎えに行ったのに」

「びっくりさせようと思ってね」

フィーネは笑って答えた。


「お母さんと何を話してたの?」

オルガが聞くと、

「女同士の秘密よ、オルガ」

オルガの母親が言う。フィーネとオルガの母親は、目を合わせて笑った。

「そうか、じゃあこれ以上は聞かないよ。」

オルガは荷物を片付けながら話す。


「オルガ、フィーネさんとデートにでも行ってきたらどうだい?」

オルガの母親が言う。

「今日の仕事は終わったし、そうだね。フィーネさん、出掛けようか?」


「良いわよ。行きましょう」


フィーネは立ち上がった。


「じゃあ、母さん。行ってきます」

「いってらっしゃい。フィーネさん、よろしくね」


オルガとフィーネは、町に向かった。



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