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【第二部】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!ーそれでも世界はのんびりを許さない  作者: DAI


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第21話


ここはエルドランド城の大臣の執務室。


大臣は難しい顔をして書類に目を通していた。

「魔王城遺跡の魔物の数……これほどまでとは……わが軍も早急に体勢を整えなくてはならんな」


苛立ちながら、手に持ったペンで机をトントンと叩いている。すると突然、大臣の机の前に魔法陣が現れた。黒いもやが中心に集まり人の形に変わっていく。


現れた白い仮面に黒いローブのその人物は大臣に深くお辞儀をした。

「な、何者だ……!」

大臣はたじろいでいる。

「お初にお目にかかる、大臣殿。私は魔神教・三司祭の一人アズラエル」

「三司祭だと……!?」

「此度は大臣に頼みがあって参上した」

「頼みとは、何だ?」

「リリィという娘がここにいるはずだ。その娘を我々に渡すのだ。」

「リリィ様を……」

大臣の額から油汗が流れ落ちる。


「それと、ウエスの森に住むフィーネというエルフをここに連れてこい」「エルフのフィーネ殿をか?」

「もし、出来ぬならば、エルドランドを攻め落とす。わかったな」

そう言い残してアズラエルはすっと音もなく消えた。


「リリィ様とフィーネ殿を引き渡せ……だと?国王陛下にもお伝え……いやいや、これ以上のご心労をお掛けする訳には」

この知らせは、ウエスの森のフィーネの元にもすぐに届いた。




ウエスの森の丸太小屋。


フィーネはロッキングチェアに揺られ紅茶を飲みながら、その知らせについて考えていた。

「……アズラエル。彼とは何か因縁めいたものを感じる……。エルドランドに行くしかなさそうね」


それを聞いてイブが立ち上がる。

「フィーネが行くなら、ぼくも一緒に行くぞ。」

「わたくしも行きますわ。」

アイリスが言う。

「仲間は多い方が良い。俺たちみんなで行こう。」

オルガが言うと、他のみんなもうなずいた。


「みんな、ありがとう」

フィーネが言うと、

「俺たち家族じゃないか。ピンチの時は助けるのが当然だ」

ゴブローが言う。


こうして、先行するスザクとホウオウに続いて、フィーネたちもエルドランドに向かうこととなった。モックとドンキーは今回も留守番である。




エルドランド城城下町。


スザクとホウオウは城への潜入準備を整え、裏口から城に忍び込む。

「前も潜入したから、今回は楽ね」

スザクが言うと

「スザク、油断は禁物よ。気を引き締めて」

ホウオウが窘める。


二人は城の王族の世話係の姿に変装して潜入した。早速、リリィを探して城の中を探索する。

「そこの二人!」

急に背後から声をかけられた。振り返ると、気難しそうな眼鏡をかけた品のいい女性が立っている。


「は、はい!」

スザクとホウオウは咄嗟に返事をする。

「こんなところで何を油を売っているのですか?すぐにリリィ様のお部屋の掃除をなさい!」

「か、畏まりました!」

スザクとホウオウはきょろきょろとあたりを見回す。

「リリィ様のお部屋はそこです。新人だからと言って手を抜かずに隅々まで綺麗に掃除なさい」

「は、はい!」

スザクとホウオウは慌てて部屋に入る。


その部屋は、中央に立派なベッドがあって煌びやかな装飾があちこちに施されている如何にも王族らしい部屋だった。

「ここにリリィは居るのね」

スザクが呟く。

「スザク、リリィを探しましょう」

ホウオウがそういうと二人は部屋を出た。


そのころ、リリィはエルドランドの歴史の勉強をしていた。

「うーん、疲れたー。ねえ、メリッサ?ちょっと休まない?」

「ダメです、リリィ様。この章が終わるまで頑張ってください」

「えー、ぶつぶつ……」

「リリィ様、王女たるもの国の歴史くらいは覚えていないと話になりませんよ」

「わかったわ。メリッサ」

その横顔には王女としての決意が現れていた。


スザクとホウオウはリリィを探して城内を歩いていた。

「あ、あそこの部屋から、さっきの女の人が出てきたわ」

スザクが指さす方向に、ホウオウが向かう。そっと部屋を覗くと、机に向かうリリィの姿があった。

「リリィ」

ホウオウが小声で呼びかける。気づいたリリィが立ち上がってホウオウに近づく。

「ホウオウ!スザク!なんで、ここにいるの?」

リリィの目に安堵の色が浮かぶ。

「あなたの様子を見に来たのよ。元気そうね、リリィ」

ホウオウが言う。

「私は大丈夫。フィーネたちにも伝えて」

「わかったわ。それと、お城の中で何か怪しい動きがあったら教えてほしいの」

「わかった。二人が居ると心強いわ」

「それじゃあ」

リリィは机に戻った。


スザクとホウオウは城内の情報収集を続ける。


そのころフィーネたちは、丸太小屋を出て一路、エルドランドに向かっていた。

「リリィ、無事でいて……」


フィーネとリリィの運命が大きく動こうとしていた。




そのころ、魔王城跡。


アズラエルはまたしても幻覚に悩まされていた。

長閑な田園風景が一瞬にして火の海に変わる、そして、謎の女性の姿。

「リリィ、フィーネ……必ず手に入れる」


アズラエルは拳を握りしめ、つぶやいた。



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