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EVOLVE〜エヴォルブ〜Season4 ― 信じる力 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜Season4 ― 信じる力 ―
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第1章 再会

春の光が差し込むオフィスで始まった、いつもと変わらない一日。

けれど、その“少しの違和感”が、すべての始まりだった。


― 再会の光 ―


アークシステムズの会議室。

ガラス越しに差し込む春の光が、テーブルの資料を白く照らしていた。


「今回の案件、外部の協力会社と連携して進めることになった。」

しゅうが静かに説明すると、なぎが素早くメモを取り、たまきがうなずく。


「データベースとログ解析が中心になると思う。

 環には分析の担当をお願いしたい。」

「はい、わかりました。」


「凪は、データ連携の部分をまとめてくれ。」

「了解です!」


柊は軽くうなずき、ホワイトボードに新しい案件の概要を書き出していく。

静かな会議室に、マーカーの擦れる音だけが響いた。


「今回の協力会社、前にも一度やり取りのあったところですか?」

環が尋ねる。

「いや、初めてだ。担当者は……たしかPMOの永峰ながみねさん、だったかな。」

「永峰さん?」

「名前だけは聞いたことあるが……。実務には強い人らしい。」


凪が顔を上げる。

「どんな方なんでしょうね。どんな人と一緒に仕事するかで、雰囲気って変わりますもんね。」

「そうだな。チームの空気は人で決まる。」

柊の言葉に、環がふっと笑う。


「……柊らしい言葉ですね。」

「そうか?」

「はい。なんだか、ぽかぽかします。」

「はは、そうか……ぽかぽか、か……環らしいな。」


柔らかなやり取りに、凪が苦笑しながらも空気を和ませるように言った。

「このチーム、ほんとに温度高いですよね。

 仕事の話なのに、たまにカフェみたいな空気になりますよね。」


「じゃあ、そろそろ本題に戻ろうか。」

柊が咳払いをひとつして、モニターをつける。


その時、内線電話が鳴った。

環がすぐに受話器を取る。


「はい、アークシステムズです――あ、はい。お待ちしておりました。今、伺います。」


電話を切ると、柊のほうを見た。

「永峰さんがいらっしゃいました。」

「そうか。迎えに行ってもらえるか?」

「はい。」


環は軽くうなずき、ドアの向こうへ向かった。

エントランスには、春の光の中で一人の男性が待っていた。

車椅子に座りながらも、姿勢はまっすぐで、穏やかな表情を浮かべている。


「お待たせいたしました、永峰様。

 私、事務担当の如月環と申します。」


「初めまして。永峰です。」


「このまま会議室へご案内させていただいてもよろしいでしょうか?」

「ええ、お願いします。」


環がうなずいたその瞬間、背後からゆっくりと近づく足音。


「……永峰?」


その声に、永峰は振り返り、柔らかく笑った。

「やあ、久しぶりだな、柊。」


――春の光が、ふたりの間を照らしていた。



◇◇◇



― 再会の会議室 ―


会議室に入ると、柔らかな春の光がガラス越しに差し込み、

テーブルの資料を淡く照らしていた。


永峰は静かに車椅子を進め、柊と向かい合う席へとついた。


「改めて――久しぶりだな、柊。」

「本当に、な。もう……何年ぶりだ?」


「五年。クロノスを辞めてからだからな。」


短い沈黙。

その空白を埋めるように、環がそっとお茶を置いた。


「どうぞ。」

「ありがとう。」


永峰は軽く会釈をして、柊のほうを見た。

柊「まさか、ここ(アークシステムズ)で再会するとは思わなかったよ。」

永峰「俺もだ。聞いた時は少し驚いた。

 けど、また一緒に仕事ができるのは……うれしい。」


凪が明るく口を挟む。

「クロノス時代の同僚なんですね! すごいなぁ。

 どんな仕事をされてたんですか?」


永峰は少し笑った。

「プロジェクト開発部門だ。柊とはよく衝突していたけど、

 目指すものは同じだった。」


「衝突?」

「そう。俺が理屈で、柊が感情派。

 でも結果的に、いつも同じ結論にたどり着いてたよな?」


柊が苦笑する。

「まぁ……そうだったな。」


環が静かに見守る中、

懐かしさと新しい時間が、少しずつ混ざり合っていく。


永峰は手元のノートパソコンを開き、

画面に資料を映し出した。


「今回の案件、僕はPMOとして全体の管理を担当します。

 システム開発の基幹部分は、そちらのアークシステムズにお願いしたい。」


「了解した。こっちは凪がプログラム、俺が設計。

 環がデータの分析を担当する。」


永峰がうなずく。

「環さんの分析、楽しみにしています。」


環は少し緊張しながらも微笑んだ。

「ありがとうございます。全力で取り組ませていただきます。」


一瞬、永峰の表情がやわらいだ。

「……いいチームだな。

 柊、おまえがうらやましいよ。

 いい仲間に出会えたんだな。」


柊は何かを感じ取ったように視線を上げた。

「永峰……」


永峰は、淡い笑みを浮かべたまま続けた。

「俺はもう第一線ではやれなくなった。

 でも――今の俺にできることを、やるだけだ。」


春の光が、ゆっくりと永峰の頬を照らす。

柊は深くうなずいた。

「そうか……」


静かな会議室の中で、

その言葉がしずかに響いた。


環はふと気づいたように、

パソコンの画面に映る永峰の横顔を見つめた。

そこには――諦めではなく、

再び“進もうとする光”が宿っていた。


気づいた瞬間、心の奥で何かが動き出す。

この章は、環たちが“真実”の扉に手をかけた瞬間を描いています。

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