プロローグ
ぽかぽか邸の朝。
新しい姓「如月環」として歩き出す環。
名前が変わることで、少し照れくさくも、
「新しい自分」が始まる瞬間――
― 新しい朝 ― 新しい名前 ―
ぽかぽか邸の朝。
柊はキッチンでコーヒーを淹れ、環はトーストを焼く。
リビングでは凪が慌ただしく資料をまとめていた。
「凪くん、今日も早いですね。」
「はいっ!朝からエンジン全開です!」
「ほどほどにしとけよ〜。」
柊が静かに言うと、環がふっと笑う。
そんな“いつも通り”の朝。
けれど、今日は少しだけ違う。
三人は同じ車で出社する。
春の光がフロントガラスをやわらかく照らしていた。
オフィスに着くと、環はパソコンを起動した。
画面に表示された文字が目に入る。
> “如月 環 ようこそ”
胸の奥が、ぎゅっとなる。
昨日までと、ほんの少しだけ違う世界。
背後から、優しい声。
「如月環、ようこそ。」
振り向くと、柊が立っていた。
「柊……なんだか、ちょっと恥ずかしい気がしますね。」
「そうか?」
「はい。昨日と何も変わらないのに、
今日から別人になったような、不思議な気がして。」
環は少し微笑んで、続けた。
「名前は特別……です。
今日から、如月環として新しい一歩を踏み出します。
柊、凪くん、これからもよろしくお願いします。」
柊が小さくうなずく。
「環……こちらこそ、よろしく。」
凪が満面の笑みで続ける。
「もちろんです!環さん!よろしくお願いします!」
モニターの光が三人の笑顔を照らす。
新しいプロジェクトの依頼メールが届く――
それが、灯との再会の始まりだった。
その日、再び“灯”との再会へとつながる案件が舞い込む。




