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57.いつになったら……

田舎暮らしを始めて66~72日目(実家に戻ってきました)。




仕事の打ち合わせやその他の役所の手続など……

気が付けば、通常の生活を何日も送っていた。


普通はこれくらい忙しいものなのよね。

異世界の生活ってやっぱりのんびり時間が流れているんだわ。


凛桜は若干疲れていた。


クロノスさん達に会いたい……。

そんな事を強く思った。




田舎暮らしを始めて73日目(実家に戻ってきました)。




今日は実家から兄の車で、じいちゃんの家へと戻ってきた。


2人で縁側に座りながら、某ファーストフード店の

ハンバーガーを齧り付いていた。


「また、何日かしたら異世界にいくのか?」


不意に兄が聞いてきた。


「どうだろ、いつ行くのか帰るのかはわからない。

法則とかもないみたいだし……」


凛桜は疲れたようにため息をついた。


「いいようで悪いな、それ」


兄も苦笑していた。


「ね……」


「お前はすっかりあっちの世界に人間になりつつあるな。

こちらの世界よりお前にあっているのかもな」


兄は何も言わないが、凛桜の心が異世界側に

あるのを感じているみたいだった。


(いつになったら帰れるのだろう?)


凛桜自身もそう思っていた。



田舎暮らしを始めて74日目(実家に戻ってきました)。




今日は動物園に来ています。

ユキヒョウがみたくなりました……。


他県なので、1泊旅行になりそうです。

電車を乗り継いで、こんな遠くまで来てしまった。



動物園に着いて、真っ先にユキヒョウの檻の前に行った。


「…………」


あたりまえだが、これはクロノスさんじゃない。

顔も違う、尻尾の斑紋の柄も違う……。


なにやってるんだろ私……。

何がしたかったんだ私……。

思わず自分の行動に苦笑した。


その後には、白熊をみながらカロスさんを思い出し。


シロクマというよりか、ツキノワグマの方が近いかな?

とか勝手に想像したり。


ノアムさんは、にゃんこだから……。

動物園にはいないかな。


いや、もしかしたらネコ科というだけで

サーバルキャットとかやまねことかかもしれない。

今度聞いてみよう。


動物たちをみながら、騎士団の面々を思い出した。


そして、一通り動物園を探索して、宿に戻った。



その晩、不思議な夢をみた。



「凛桜さん、帰ってこないっスね……

かれこれ3ヵ月近くなるッス……」


ノアムは書類を整理しながら呟いた。


「こればっかりは、どうしよもないからな」


カロスも書類から顔をあげて窓の外をみながらため息をついた。


「団長は平気な顔をしてるっスけど……

あきらかに落ち込んでいるのがわかるッス」


心配そうに獣耳と尻尾が下がった。


「あまりご飯もたべていないようですしね」


カロスも小さく頷き、同意する。


「毎朝と夕方、必ず森に入って凛桜さんが戻ってきているか

確かめているのも知っているッス」


「それな……。

前の時のように魔獣になって一晩中探したりしないだけでも

よしと思うべきか……」


カロスはボロボロになって魔獣化しかけた

クロノスの姿を脳裏に浮かべていた。


「帰ってしまう時期はわかるに、なんで戻ってくる

時期がわからないんっスかねぇ……」


「なんでだろな……」


そこに、会議を終えたらしいクロノスが入ってきた。


「お前たち、まだ残っていたのか

今日はもう遅いから上がっていいぞ。

後は、俺がやっておくぞ」


そう言ったクロノスの顔色は悪かった。


「団長もお疲れように見えます。

今日はこのまま全員であがりませんか?

久しぶりに飲みに行きましょう」


思いがけないカロスの言葉に、クロノスは瞬きを繰り返した。


「いいっスね。

ジャポールの店のチキンが食いたいッス」


ノアムの尻尾が嬉しそうに左右に振られた。


部下二人から見つめられて、クロノスは首を縦に

振る以外なかった。


「わかった、そうするか」


3人は、街へと繰り出していった。




なに……。

このリアルな夢……。


まるで覗き見たみたいだ。


凛桜は、旅館の布団の中で不思議な感覚に陥っていた。



田舎暮らしを始めて75日目(実家に戻ってきました)。




きなこ達に、骨っこのおやつをあげながら

縁側で魂が抜けたように中庭で空を見上げていた。


ファンタージー関係の雑誌の挿絵の仕事

第二弾の入稿も終わりました。


異世界さん、そろそろそちらに帰りたいです。



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