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56.こちらでやれること

田舎暮らしを始めて59日目。




再び元の世界に戻ってきました。


不思議なもので……

シュナッピーは異世界のものだからだろうか

こちらの世界では、()()()()()と化している。


青い実をつけた植物に成り代わっていた。


鳴かない、動かない、攻撃しないシュナッピーって

なんか物足りないと思ってしまう私はもうやばいのかしら?



帰ってきたからにはしょうがない。

こちらの生活に戻りますか。


ひとまず家族には帰宅を知らせた。

相変わらず緩い感じの返事だった。


ひとまず、前回戻った時に頼まれていた

ファンタージー関係の雑誌の挿絵の仕事にとりかかることにした。


暇を見つけては、異世界の動植物をスケッチしておいたから

この中から厳選して出していこうと思う。


本当はシュナッピーが一番インパクトがあるのだけれど

彼は家族だから、描くわけにはいかない。


さっそく編集者さんに連絡を取らないと……。



田舎暮らしを始めて60日目(実家に戻ってきました)。




編集者さんと打ち合わせのついでに、実家に戻ってきました。

数種類の植物が好評で、さっそくOKがでました。


「リアル感が凄いですね」


と、編集者さんも感動してたよ。


うん……信じては貰えないだろうけど

異世界に本当に生えている植物だから。


リアル中のリアルガチだから

なんか、ごめんなさい……。


だからだろうか、第2弾のお仕事も頂きました。



田舎暮らしを始めて61日目(実家に戻ってきました)。




(世の中はもう、バレンタインデー一色なのね)


編集者さんとの打ち合わせ終わりの帰り道

コンビニやお店のポップをみながら実感した。


チョコか……。

クロノスさん達に渡したいな。


そう思ったので、下見をすることにした。

まずは百貨店をまわってみようと思う。


今は、海外からの特別出店のお店や地方の人気店とかも

この時期だけは買えるから、もう目移りしちゃって大変。


思わずたくさん買ってしまったわ……。


兄からは……


「お前……男に手あたり次第配るつもりか?」


哀れな目をしながら呆れたように言われたので……

グーで軽く腹パンを入れておきました


「全部自分のだし!!」


鼻息荒く返したからだろうか……。


「それはそれで女子として終わってるぞ……」


だから、可哀そうな目でみるのやめぃ!!


止めをさされてグサッときたけれども

いいんだもん、そういうの求めてないもん。


って、誰に言い訳しているのかわからないが

自分でもちょっぴり切なくなった一日だった。



田舎暮らしを始めて62日目(実家に戻ってきました)。




あれから、色々チョコレートを試食して

作りたいチョコが決まった。


トリュフを作ることに決めた。

余裕があったら、ボンボンショコラも作りたい。


なので……

今日はどーんと買い出しに行きたいと思います。


考えてみると……

チョコレートをあげる予定の人が結構いるな。


クロノスさんとカロスさんとノアムさんでしょ。

魔王さんとコウモリさん……。


コウモリさんにチョコレートあげていいのかな?

とか思ったりはしているんだけれど。


それをいってしまったら、ある意味……

動物や爬虫類などの遺伝子を持っている獣人の皆さんは

全員NGではないだろうか問題にぶち当たるので

よしとすることにした。


形や味は微妙に違うけれども

チョコレートらしきものは、王都にもあるみたいだし。


そういえば、陛下にもチョコレートケーキをすでに

献上しちゃっていたわ……。


食しても大丈夫だと信じたい。


巨大白蛇親子に、浪速の商人のルナルドさん

あと陛下と鷹獣人のおじさま事グラディオンさん。


シリルさんの分もいるのかな?

悩ましいな。


騎士団の諸々の方はどうしよう……。

そう考えると、思ったよりもたくさんいるな。


そんな事を考えながら、製菓食材専門店へと入っていった。


まずは元になるチョコレート大量購入だ。


クーベルチュールチョコレートを業者か?

というくらい購入して、田舎の家に発送した。


生クリームもたくさんいるし……

ココアパウダーも15缶買ったし

グランマルニエというお酒も10本購入した。


何かにつかえるかもしれないから

チョコチップとかフリーズドライのフルーツとかも

購入しておこうかな。


あとは、チョコレートを入れる箱も大量に買った。


「やばい……

思った以上にお金がかかったわ。

うー、また馬車馬のように働かなくては……」


楽しいけれども懐がいたんだ一日だった。




田舎暮らしを始めて63日目(実家に戻ってきました)。




友人とランチに出かけた。


ホテルのバレンタインアフタヌーンティーを

楽しむためだ。


震えるくらい可愛いチョコレートやケーキがあるよ。

目からも楽しめる最高の空間だわ。


「久しぶり~元気にしてた?

田舎暮らしはどうよ?」


席につくなり友人は、矢継ぎ早に質問してきた。


「うん、毎日すごく楽しいよ」


凛桜はにっこりと笑った。


「だろうね、なんだか生き生きしてるもん。

それに奇麗になってるし!

もしかして誰かいい人できた感じ?」


友人は揶揄うようにニヤニヤしていた。


「…………。

えっ……い……いないよ。

だって田舎だよ?」


一瞬クロノスさんの顔が過ったけれども

顔に出ないようにぐっと堪えた。


「その間が怪しいな」


「いないから……」


ますます揶揄うように笑みを深める友人。


「イケメンの農家さんとかいるかもしれないじゃん」


農家じゃなくて、騎士団長ですけどね。

って、違うから。


赤くなったり青くなったりしている

挙動不審の凛桜を見ながら、友人は言った。


「どちらにせよ……。

元気そうでよかったよ。

凛桜は何でもないように振舞っていたけれども

あいつとの事はやっぱり、今考えてもちょっともやるよ」


「ん…………」


友人は思い出しているのだろう、顔をおもいっきり顰めていた。


「3年半も付き合っていたんだよ!

海外についていかないってくらいで、そうあっさりと

別れをつげるかな、本気で信じられない」


友人は本気で元彼の事を怒っているようだった。


「怒ってくれてありがとう。

でも本当にもう吹っ切れてるの。

今は本当に楽しく心穏やかに暮らしているから」


凛桜はそう言って微笑んだ。


「ん、ならいいけどさ。

まぁ、いい人が出来たら必ず紹介してよね」


友人はほんの少し安堵したのか、ひとまず引き下がった。


「ん……」


またもやクロノスの顔が浮かんできてしまい

そんな自分に苦笑してしまう凛桜だった。




田舎暮らしを始めて64日目(実家に戻ってきました)。



実家の近くの公園へ黒豆達を散歩につれて行った。


いつもは広い中庭に放し飼いをしている為か

ハーネスとリードを付けることを嫌がり

玄関先でひと悶着あった。


そうだよね、この2匹は自由犬だもの。

繋がれるとか嫌よね……。


今は納得したのか、散歩を楽しんでいるようだ。


ドッグランで2匹を遊ばせながら

ベンチに座り空を見上げた。


そろそろ一週間が経つけれど

クロノスさん達は元気かな?


もしかしたら、このまま何年も帰らない

なんてこともあるのかな。


逆もしかりよね……。


ちょっぴり不安になる凛桜だった。




田舎暮らしを始めて65日目(実家に戻ってきました)。




母と一緒にぬか床を作成していた。


「お米屋さんでいい糠を貰ったのよ。

あっ、水はミネラルウォーターを使ってね。

その方が美味しくできるから」


母の言うとおりに、生糠を入れ……

水をすこしずつ加えながらかき混ぜた。


糠がべちゃべちゃにならないように……

均一にまぜるのがコツらしい。


ぬか床ができたら、次に塩、粗挽き唐辛子、山椒の実を加えて

また均一になるように混ぜ合わせる。


それが完了したら、保存容器の底面に昆布を敷き詰めてから

ぬか床をいれるといいらしい。


「あとは、捨て漬け野菜をいれて

ぬか床の発酵を促進して、菌の活性を促すまでが大事なのよ」


「野菜は、新鮮なキャベツや人参や大根でいいかな?」


「いいわよ。

最後にぬか床の表面を手のひらで強く押し付けて

平らにならしてね。

しっかりと空気をぬかないと、美味しいぬか床にならないわよ」


「はい、先生!」


捨て漬け野菜の漬け替えの目安は、常温で5日くらいらしい。

その間は触らずにそっとしておくこと。


長いけれども、我慢我慢。

早く美味しい糠漬けが食べられるといいな。


その頃には、異世界に戻っているのかしら?




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