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49.下準備

田舎暮らしを始めて53日目。




昨日は偶然にもクロノスさん達が来てくれた。

なので、例のイベントにお誘いしてみた。



最初3人は、臼と杵をみて驚いていた。


なんだこれ?


といわんばかり……

3人はその周りをうろうろして観察していた。


これを使って餅ができることを説明すると

クロノスさんは目をカッと見開いた。


「この前食べたあの餅ピザの餅か!?」


凛桜の肩をガッと掴み、嬉しそうに獣耳を

ピコピコと動かした。


「そうですよ。

しかもつきたての餅は、この前食べた餅よりも

何倍も柔らかくて美味しいですよ。

食べ方も無限大にありますし……」


そう聞くと、今度は満面の笑みを浮かべて

尻尾が見えないくらい高速で左右に揺れていた。


「それは楽しみだな」


「餅って何っスか?

団長は食べた事があるっスか?」


ノアムが矢継ぎ早に質問してきた。


「ある、美味いぞ!」


カロスも声には出さないが、静かに喜んでいるように見えた。

そして恥ずかしそうに切り出した。


「先ほど、凛桜さんが作られていた黒い甘いものは

その為の食材ですか?」


(フフフ……。

やっぱりカロスさんは強面だけどスイーツ男子。

甘いものサーチ能力が高い)


凛桜は、心のなかでこっそりにやけた。


「そうなの、これは餡子だよ。

ほら、前に渡したどら焼きの中にも入っていたでしょう?」


「ああ、甘い皮に挟まれていたあのお菓子ですか。

確か和菓子という、凛桜さんの国特有のものですよね。

俺……あの柔らかい甘さが好きです」


カロスさんは照れたように頬をかいた。


「餡子、美味しいよね。

これをつきたてのお餅に絡めて食べるともうたまらないよ」


凛桜がそう言うと、横でじゅるりという音が聞こえた。


何事かと音がした方へ視線を投げると……

ノアムさんとシュナッピーが遠い妄想の世界へと

旅立って発した音のようだ。


「ハハハハハ!!

あいつら本当に似た者同士だな」


「ですね」


カロスさんもつられて笑っていた。


なので1つ返事で来てくれることになった。


皆の予定もあるから明後日にやることに決まった。


男手がたくさんいるといったら

騎士団の若手を何人か連れてきてくれるそうだ。


この前くらいの人数、確か12人だったかな?

来てくれてもいいですよと言ったのだが

何故だか慌てたようにカロスさんからのNGがでた。


よくわからないが……

団員を甘やかすのもいけないし、それ以上に

その後のクロノスさんが面倒くさいらしい。


(面倒くさいって何が?)


ノアムさんも真っ青な顔で激しく頷いていた。


凛桜さんがほかの男に囲まれているのを

みるとすこぶる団長の機嫌が下がるから無理っス。


あいつらカレーパーティー以来

全員が魚の目鷹の目で、この家のお供として

来られる日を狙っているからな。


行けなかった団員の不満もでているようだし

こんな話がでたら暴動でも起きかねん。

公平にトーナメント戦なら文句はあるまい。


それ以上に、若い団員と凛桜さんの交流に

いちいちやきもきして圧をかけては……

自己嫌悪に陥る団長も面倒くさいっス。

本当に面倒くさいっス。


大事なことだから2回言うっス。


特に馴れ馴れしかった奴に、制裁を加える為なのか

その後の訓練が、地獄の訓練モードになるのも

問題ですし……。


いい大人なんですから団長

少しは自粛してください。


副団長何とかしてください。

俺、地獄の訓練はいやっス。


わかっている、最善を尽くすつもりだ!


凛桜の知らないところで、密かにカロスとノアムは

目くばせをして通じ合っていた。


よって、騎士団の中で公平に参加者を募り

トーナメント方式で勝ち上がった6人だけを連れて来るそうだ。


クロノスさんも渋々、納得している様子。


そんな大事になっちゃうの!?

勝ち抜き戦までする必要性ある?


ただの“餅つき大会”だよ?


とは思ったけれども……

まぁ、私の知らない騎士団ルールがあるのでしょう。


よくわからないが、深く触れちゃ駄目な気がしたので

黙って頷いておいた。


そんな事を思い出しながら、餅米を大量に研いでいた。

これは前日にやらないといけない作業だ。


餅米どれくらい用意すればいいかな?


きなこもいるでしょう。

海苔と醤油と砂糖は……大丈夫ね。


あと、餅ピザに乗せる具材も切っておかないと。


そうそう、臼と杵は木製だったので水に浸しておきました。

こうすると割れにくくなるんだって。


凛桜の作業は夕方まで続いた。



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