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36.部下は見た!!

田舎暮らしを始めて37日目の続き。



クリスマスツリーを飾っている時に起きたアクシデント。

でもクロノスさんのおかげで免れた。


あとは仕上げに星を飾るだけだ。


「そうだ、クロノスさん。

一緒にこの星をてっぺんに飾りましょう。

この星を誰が飾るかで、よく子供の頃に兄妹で揉めました。

それほど、この星を飾るというのは大事な事なんですよ」


凛桜は嬉しそうな笑顔を浮かべながらクロノスを見上げた。


「そうか、それは名誉な役目なのだな。

よし飾ろう!!」


そう言って徐に、クロノスはいとも簡単に片手で

凛桜を抱き上げた。


「ちょ……クロノスさん……!!」


まさか抱き上げられて抱えられるとは思っていなかった

凛桜は、目を白黒させながら狼狽えた。


あまりの高さに、思わずクロノスの首に手をまわして

軽く抱き着く格好になってしまうくらいだった。


「脚立なんかに乗らなくても、この方が早いだろう。

たとえきなこ達がぶつかってきても、おれは凛桜さんを

落としたりしないぞ!

さぁ、一緒に飾ろう」


そういって嬉しそうに笑うと星を持っている凛桜の手に

自分の手を重ねて、もみの木のてっぺんまで誘導した。


「…………」


そして無事に星は飾られた。


「なんかいいな」


クロノスは凛桜の顔を見ながら満足げに微笑んだ。


(困ってしまうくらい距離が近くてかなり焦る!!)


意外と睫毛長いな……。

琥珀色の瞳だけど、真ん中の部分は少し金色がかっているんだ。

それに獣耳の中も、意外にモフモフなんだな……。


改めてクロノスの顔を細部まで見られる距離にいる為に

新たな発見がたくさんあった。


その分、自分も同じようにクロノスに見られているのだ。

ふいにクロノスが真面目な顔で呟いた。


「凛桜さんの瞳は、黒曜石のような色で奇麗だ」


まっすぐに見つめる瞳に当てられて……

顔の体温があがってきている気がする。


「クロノスさんの瞳も琥珀色で奇麗……」


おもわず自分もそう呟いていた。


「凛桜さん……俺……」


クロノスは凛桜の頬に手をあてた。



そこに大きな声が聞こえてきた。


「団長、凛桜さんどこにいるんっスか?」


「ノアム、人様の家に勝手に入ってはいけませんよ」


その声に二人はギクッとして一瞬固まった。

しかし時すでに遅かった……。


「あぁぁぁぁ!!

団長と凛桜さんがキスしようとしてるっス……!!」


ノアムは二人を指さしながら、目を見開いていた。


「…………」


カロスは信じられないものをみたような顔で

口をあんぐりとあけていた。


カロス達はしばらく無言だった……。


クロノスにがっつり抱きかかえられ、至近距離で見つめあっている

姿をみた二人は激しく勘違いをした。


そして、カロスはさすが副団長というべきか

すぐに立ち直ると、何事もなかったようにノアムの口を

塞いで、そのまま縁側から立ち去ろうとしていた。


「ちょ……!!待て、お前ら。

何を勘違いしている!!」


「そ……そうですよ!!

そんなんじゃないですから」


二人は焦りながら、ノアム達を引き留めた。



しどろもどろになりながら、なんとか事の顛末を説明して

納得してもらい、今は恒例のおやつタイムとなっていた。


「なんだ、そうだったんっスね。

あの()()()()()が、こんな昼間っからいきなり

あんなことをするなんて本気で焦ったっス」


ノアムはマドレーヌを頬張りながらいい笑顔で

そう言い放った。


ゴンッ!!


その瞬間、かなりいい音で頭を叩かれていた。


「俺をなんだと思ってんだ、あぁ?」


クロノスの雷が落ちた。


「そうですよ、()()()()()()()()()()()

そんなことするわけないじゃないですか」


フォローにまわると思われたカロスがまさかの

とどめを刺してきた。


「カロス……お前もか」


クロノスはがっかりしたのか……

これでもかと獣耳と尻尾が萎れていた。


「フフフ……凄いいわれようですね、団長様」


凛桜はこらえきれず笑ってしまった。


「凛桜さんまで……」


「フフフ……ごめんなさい……フフ」


「あっ、そうだ。

ヒューナフライシュ、昨日5羽捕まえたっス」


ノアムはドヤ顔をしていた。


「本当に!?

ありがとう助かるわ」


「へへっ!

俺、凛桜さんの為に頑張ったっス。

今は血抜きをしているので、明日持ってきます」


褒めて褒めてと言わんばかり胸を張った。


そんなノアムの肩を誰かが叩いた。


「ん?」


ノアムが振り返ると、シュナッピーがいた。


「げっ、お前?

なんだよ今大事な話をしているところっス」


鬱陶しそうにそう言うと……

シュナッピーはシュナッピーで、葉っぱを揺らして

何か訴えていた。


どうやら、庭のある一画を指し示しているらしい。


全員でその方向をみると……

ヒューナフライシュがうず高く積まれていた。


「なっ!!」


シュナッピーは、どうだと言わんばかり踊っていた。


「ハハハハハ!!

ノアム、シュナッピーに一本取られたな」


クロノスは豪快に笑った。


「凛桜さん……あいつ……燃やしていいっスか」


ノアムさんの目が本気だよ!!


「ノアムさん、ストップ。

おさえて、後でよく言い聞かせておくから。

シュナッピーもメッ!!」


ツーンとそっぽむくシュナッピーだった。


「本気でライバル視されていますね」


カロスも楽し気に目を細めた。


「本気であいつ許さないっス」


「ライバルがいた方が、お互いに切磋琢磨して

強くなるからな」


植物がライバルってありなの?

そんな疑問が浮かんできたが、飲み込んだ。


ひとまず材料は揃ったので!

皆さんのおかげで、大量のローストチキンが

作れそうです。


シュナッピーが狩ってきた分を今すぐに

クロノスさん達に下処理をしてもらい

私は、ローストチキンの下ごしらえを始めた。


当日の朝にオーブンで焼こうと思います。


明後日、皆さんの都合がいいらしいので

クリスマスパーティーをやろうという事になりました。


カロスさんが、美味しいシャンパンを持ってきて

くれるらしい。


今日は、なんだがいろいろな意味で疲れたので

早く寝ることにする。


クロノスさん達もぐったりした様子で帰っていった。


今日のお土産は、マドレーヌだけだ。

ごめん……力尽きました。


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