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202/219

202.ツンデレ知的美少年

田舎暮らしを始めて174日目の続きの続き。




「とっても美味しいれしゅ……」


「甘くてふわふわなんでしゅ…………」


そう言って獣人の子供達はマドレーヌを頬張りながら瞳を輝かせた。



秘密の通路はバラ園の奥に隠されていた。


一見すると蔦に覆われていて見えないのだが

それはあくまでカモフラージュで……。


その蔦をまるで扉を開くように開けるとなんと!

子供1人がギリギリ通れるくらいのトンネルがあった。


この時だけは自分がちびっこでよかったと思ったよ、うん。


例え日常生活の中で……

電車の網棚は荷物が奥にいってしまったら2度と取れないから

ほとんど使えないとか……。


本屋では大抵床に置いてある謎の小さい台を使って

上部の本を取らないといけなかったり。


あとは……うん、悲しくなるのでこの辺にしておきますが!

小さいと不便な事が多いのだよ。


しかしこの謎のトンネルは何!?


カシムくんでさえギリギリ通れるくらいよ。


彼がこの先成長したらきっともう通れなくなるだろう。


こんなにも小さい抜け道だからきっと大人は見過ごしてしまったのね。


「大丈夫ですか?」


時々後ろを振り返りながらカシムくんは気を使ってくれている。


「大丈夫だよ」


なんとか重いドレスを引きずりながら前に進んだ。


地味に中腰姿勢は辛かったわよ。


そのお陰でさらにドレスは木の枝や葉っぱなどがついてしまい

もうこれは確実にレオナさん達にツッコまれる状況になったわね。


と、いうかその前に副院長さん達の前に再び出られる

いで立ちなのかこれ?


それにしてもコウモリさんの瞳が異様に光るのもちょっと怖い。


さすが暗闇種族……

暗い空間だとテンションが上がっちゃうのかしら……。


目がランランとガン極まりだから……。


「キューキューワ、キュワ、キュワ~」


鼻歌ですか!?

鼻歌まで出ちゃうくらい楽しいですか!?


うん、今は何も考えますまい……。

なるようにしかならないから。



そんな中、しばらく進むとようやく光が見えてきて……

裏庭のような場所に出た。


すると先ほどのキツネ獣人の幼体が木の陰から転がり出て来た。


「カシムにぃ……!!」


そう言ってカシムくんの足にぎゅっとしがみつくと

横にいる凛桜の事を不安そうに見上げた。


他にもなんとなくだけどたくさんの視線を感じるから……

恐らくどこか姿を隠せるところで子供達が私の事を見ているのかな?


「キュ!キューワ」


コウモリさんも居心地悪さを感じているようだった。


カシムくんはそんな状況をわかっていながらあえて

何事もなかったかのように凛桜の手をとって歩き出した。


「こっちだ、足元に気をつけてな。

ここはあちらと違って道も悪いからな」


そう言って古めかしい建物の方へ歩いて行った。



そして今……

建物の前に来ましたが……。


その、なんと言ったらいいかな……。


よく言えばアンティークな洋館。


はっきり言っちゃうと……

古すぎないか?


本当に人が住めるの?これ?


お約束のようにめちゃくちゃ壁に蔦が生い茂っていますけどぉ!?


これってサスペンスドラマでよくある感じだよね!?


ほら、謎の招待状とか届いてさ……

何故か館に閉じ込められちゃって……

次々に殺人事件が起きちゃう呪われた洋館的な?


「…………」


いや、その……うん……

別に屋根が朽ちていてカラスがとまっているとか

窓ガラスが割れているとかではないのよ、うん。


それでも築何十年ですか?

くらいの古めかしさ!


「…………」


凛桜のそんな表情をみてクスリとカシムくんは笑った。


「年季はいってんだろ。

でもこれでも中はなかなか奇麗で快適なんだぜ」


そういって軽く右目でウィンクしてきた。


おうい……そういうのやめぃ。


本当にこの子は素で女子のハートを殺しにかかってくるなぁ。


「まあ、どうぞお入りください、お嬢様」


そう言ってカシムくんは古めかしい扉をあけてくれて

うやうやしくお辞儀をした。


と、同時に足元にいたキツネ獣人の幼体も


「しゃい!」


同じように可愛くそう言ってぺこりと頭をさげた。



促されて入った洋館は確かに思ったほど朽ちていなかった。


ゴミも落ちていないしカーテンもビリビリに破けていないし

カビ臭くもない。


が、凛桜が一歩踏み入れた途端……

さあ~っと波が引くかのように幾つもの気配が消えた。


おそらく子供達が警戒して身を潜めたのだろう。


その間にもカシムくんは、ここが食堂だとか……

こちらが風呂だとか……

屋敷の中の間取りを紹介してくれる。


1階の奥にある大きな部屋は幼体たちの部屋らしい。


いまは6人いるとの事だった。


その横に2部屋があり……

比較的年齢の大きな獣人の子達の部屋になっていて

交代で幼体たちのお世話をしているんだって。


みんなえらいな、小さい子の世話までするんだ……。


きっとそのうちの1人がこのキツネ獣人の幼体の子だろう。


ざっと見たところ別段何か変わったところはなかった。


ちなみに2階はすべて子供達の部屋らしい。


大抵は2~4人部屋となっているが2部屋だけ個室なんだとか。


そして大きな渡り廊下をはさんだ向かい側にも

同じ作りの棟があって

あちらは女子達だけの棟らしい。


中庭は男女共通なので……

兄妹達はそこで一緒に遊んだりして交流はあるみたい。


しかも渡り廊下には結界があって!

基本男女とも許可がないと通れないようになっているんだって。


まあ、そうよね、年頃の男女が一緒だと色々ね、うん。


そういうところもちゃんと配慮してくれているんだ。


そう考えると特に問題はないんだよねぇ……

今のところはだけれどもね。


だけど明らかにおかしいところが1点だけあるのよ。


「ねえ、カシムくん」


「なんでしょうか」


「素朴な疑問なんだけれども……

ここには大人はいないの?

さっきから先生達というか

職員さんの姿が見えないんだけれども」


凛桜が首をかしげながらそう言いうと急に部屋の空気が

3℃ほど下がった気がした。


「キュワ!?」


急激な変化にコウモリさんにも緊張が走った。


「あ~、そのですね……。

その話はまた後で……」


そう言ってカシムくんは何かを誤魔化すように愛想笑いを浮かべた。


有無を言わせないその張り付いた笑顔に……

とりあえず黙って頷いておいた。


私は空気がよめる子でございます。


「あ、そうだ、ひとまずお茶にしない?」


ちょっと強引だったかなとは思ったが凛桜はこの空気を変えるべく

とびきりの笑顔でマドレーヌの入った籠をかかげた。


「そうですね……。

こいつらも先ほどからお嬢様の菓子に興味深々のようだし」


「そうしよう!マドレーヌ美味しいわよ」


凛桜のその言葉に触発されたのか……

一気に子供達が姿を現した。


ふぅわ!

こんなに隠れていたの!?


いつのまにか私とカシムくんを取り囲むように

あるゆる種類の獣人の子供達が瞳を輝かせていた。


「ったく、お前たちは食いしん坊だな。

いいか、行儀よくするんだぞ」


“はい!”と言わんばかり一斉に全ての子供達が頷いた。


そして今……。


中庭と思われるところで絶賛マドレーヌ祭りが開催されています。

女子棟からも可愛らしい獣人の女子達が来てくれました。


飲み物は……

琥珀色のお茶をカシムくんが出してくれました。


「ラテチャだ。きっとお嬢様は飲んだことないだろうが

俺達は普段これを飲んでいる」


そういってちょっと悪い笑顔を浮かべていた。


それに反して比較的年齢の高い獣人の少年少女たちは何故か

私とカシムくんの顔を交互に見比べながらハラハラしていた。


そんな様子に頭の中にハテナがたくさん浮かんでいたが

コウモリさんもさして何も言わないので……

素直にごくりと一口飲んだ。


よくわからないけれど紅茶と麦茶の間のような

甘い香ばしい味がした。


「お口にあいましたでしょうか?お嬢様」


そう言ってカシムくんがニヤリと笑うから。


「とても美味しくってよ。

香ばしい感じがいいわね。

今度買ってみようかな……」


凛桜がそう答えると子供達は心底驚いたように目を丸くしていた。


聞いた本人のカシムくんも固まっていたからね。


えっ?何、そのリアクション。

あなたが聞いたんじゃない。


ええ?怖いんだけどぉ……。

危険な成分でも混入しています?


私何か変な事言ったかな?


赤くなったり青くなったり……

くるくると変わる凛桜の表情に堪えられなくなったのか

ついにカシムくんが声を出して笑い始めた。


「ククククク!!

アハハハハ……あんた、本当にお貴族様かよ。

ククククク……こりゃあ、兄貴が気に入るはずだ」


手を何度も叩きながら目尻に涙を浮かべながらの大爆笑だ。


「えっ?ええ?何?」


あのクールなカシムくんが壊れた!?


「おい、カシム、本当にいいのかよ」


顔を引きつらせながら猫獣人の少年がオロオロしているじゃなぁい。


なに、やっぱりやばいものでも入っているの?


凛桜が食い入るようにお茶を見つめていると……。


「クククク……悪りぃ……。

でもよ、ラテチャはカランテを干して作ったお茶だ」


ほう、言われてもさっぱりわからないけれども……

玄米茶やほうじ茶的なものかしら?


いや、もっとワイルドなどくだみ茶とか柿の葉茶とかかな?


でも、それが何か?


「お貴族さまからしたら雑草に等しい草だぜ。

それを美味しいと言って飲んだあげく

その茶葉が欲しいなんて。

あんた狂気の沙汰だから」


そう言ってカシムくんはまだ笑っていたのよ。


そういうことか、やってくれたわね。


だから比較的大きな獣人の少年少女たちは顔を引きつらせていたのね。


お貴族様に出すにはあるまじきお茶って事か。


そのせいで怒らせたら大問題だもんね~。


フフフフ、でもそんな可愛い悪戯なんか

私にとっては何でもないからねぇ。


そんな程度の軽い悪戯は小さい頃にうちの兄貴から

何度も仕掛けられていましたので耐性がついております。


それ以上に本当にこのお茶美味しいのよ。


所詮私はゴリゴリの庶民舌だからねぇ。


「雑草……フフフ……そうなんだ。

でも美味しい物の前で身分なんて関係ないでしょ?

美味しいものは美味しい、ただそれだけじゃない?」


凛桜がサラリとそう言うと何故か一瞬にして沈黙が訪れた。


カシムくんも破顔して爆笑していたくせに急に真面目な顔になった。


えっ?ええええええええっ?


今度は何?

また更にみんな固まっちゃっているけどぉ?


やだ、静止画じゃないよね!?


お~いいいいいぃ。


再生ボタンどこぉ!?


凛桜が内心1人パニクっていると……

ハッとしてカシムくんが現実世界に戻ってきた。


「まいったな……」


そう言って困ったように眉尻を下げて頭を掻き混ぜるようにかいた。


「本当にあなたって人は……。

こんなに面白くて思い通りにならない女性は初めてですよ。

兄貴……俺も参戦してしまいそうですよ」


そう言って苦笑しながらひとりごちた。


「えっ?」


「なんでもないですよ。

本当にお貴族様らしくないですね」


「もう、そのお貴族様ってやめてよ。

そんなたいした者じゃないから私」


「…………」


カシムくんが急に優しい瞳でみつめてくるから

おば……お姉さん、ドキドキしちゃったじゃないか。


凛桜が密かに胸を押さえているとコウモリさんがまた

ギュワギュワ何か言っている。


あ、一瞬コウモリさんとカシムくんの間に火花が散った!


何かよくわからにけれども……

2人とも凄い不敵な笑みを浮かべている事だけはわかった。


「…………」


うん、仲良くしてね……。


“お嬢を狙うなんて100年早いぞ、小僧!”


“使い魔のオッサンは黙っててくれる!”


なんてやり取りがあったとか、なかったとか……。



中庭で子供達が嬉しそうにしている姿を

暖かい瞳で見つめながら……

急にポツリとカシムくんは言った。


「本当にありがとうございます。

あいつらのあんな笑顔を久しぶりに見ました」


「そう、よかった。

はりきって作ったんだよ、皆に食べて欲しくて」


「ありがとうございます……」


そう言ったカシムくんは何かを堪えるように空を見上げた。


何かが頬を伝わったように見えたのだけれども

見なかったことにしてあげよう。


「ねえ、カシムくん……。

本当の事を教えて」


私は改めてしっかりとカシムくんの瞳を見てそう言った。


そう言われたカシムくんは戸惑ったような顔をしたけれども

大きく息を吸い込むと不意に切り出した。


「何から話していいかわかんねぇけど……。

ここがおかしくなったのはヤギ院長が倒れた時からだ」


案外話始めたらカシムくんは止まらなかった。


きっとこの小さな身体で必死に抱えきれない秘密や苦労を

抱えて来たのだろう。


カシムくんの話をざっくりまとめると……

半年前のある日、朝食を食べたヤギ院長が急に倒れたらしい。


もともと軽い心臓病を患ってはいたのらしいけれども

薬を飲んでいたし前日までは子供達とボール遊びをするくらい

元気だったらしい。


しかもその第1発見者はリュートくんとカシムくんだったらしい。


口からたくさんの血を吐いて倒れていて……

その時には既に意識が朦朧としていたらしい。


驚いたリュートくんが急いで副院長先生とレイラさんを

呼びに行っている間に……

カシムくんが必死にヤギ院長先生の名前を呼んでいると

ヤギ院長先生が一瞬意識を戻したんだって。


そして震える手で紅茶のカップを指さしたらしい。


カシムくんが驚いてカップを掴もうとしたが

信じられないくらい強い力でヤギ院長が止めながら

もう一方の震える手で自分のハンカチを差し出したんだって。


最初はヤギ院長の意図がわからなくて困惑したけれども

すぐに理解して頷いたのだとか。


急いでカップの中身を覗くと底の方に少しだけ紅茶が残っていた。


だからカシムくんは指紋がつかないように慎重にハンカチを使って

その残りの紅茶を浸して回収した。


それから自分のポケットからもハンカチをとりだし

ヤギ院長の口から流れている血も軽く拭きとったとの事だった。


それを素早く内ポケットにしまっていると……

直ぐに副院長先生達がリュートくんとともに部屋に飛び込んで来た。


後は大人で処置をするからと言われた上に……

今日見たことは誰にも言ってもいけないし忘れなさいと

きつくレイナさんに言われたそうだ。


やっぱり本気でヤバいなあの人……。

真っ黒やんけ……。


そして子供達や大多数の職員に知らされないまま

ヤギ院長は秘密裏に遠いサナトリウムに送られてしまったそうだ。


勿論このことを騎士団に伝える訳もなく病気として処理したと思われる。


何事もなかったように現在も孤児院が成りたっているのが

いい証拠だろう……。


断言はできないけれども誰かがヤギ院長の命を狙ったのだと思う。


そしてレイナさんもその件に1枚嚙んでいるのだろう。


たまたまリュートくん達に発見されちゃったから

ヤギ院長は命を取り留めたんだと思う。


だから当然の如くカップや使った毒などはきっとレイナさんが

破棄したのではないかなぁ……。


まあ、あくまでも推測でしかないけどね。


後にカシムくんが証拠の品を見せながらリュートくんに全てを話したのだが

様子をみようという話になったんだって。


まあ、そうよね……。

未成年の子供2人が怪しいと訴えても握りつぶされちゃうだろうね。


それからというものどんどん孤児院がおかしくなったんだって。


まずは急に子供達の間に階級差が生まれた。


今までは皆が平等の扱いだったのに……

魔力が高い者や見目麗しいものが来賓館に呼ばれて

あからさまに贔屓されるようになった。


来賓館とは院長室のあるあの館の事ね。


そこで厳しい礼儀作法を学ばされ……

何故か貴族を相手にお茶会をさせられるようになったらしい。


そんな異常な異変にいち早く気がついたのがリュートくんだ。


勿論リュートくんもその選抜に選ばれそうになったんだけど

激しく抵抗したんだって。


あの子が大人しくそんな所にいくわけがないよね。


その結果、違う意味でレイラさんはじめ職員に目をつけられ

つらくあたられたらしい。


そこで、ある日ついに堪忍袋の緒が切れたのだろう。


だから悪事の証拠を掴んでやろうと院長室に忍びこんだわけか。


まあ、職員に見つかってしまった上に……

年齢的に孤児院を卒業せざるを得ない日が来てしまった。


しかも目をつけられているからまともな斡旋先など

紹介されるわけもないよね。


そして裏世界に落ちそうになって私に果物屋で捕獲されて

今は騎士団預かりってところね。


しかしそもそも何故に?だよね。


なんでその代理のお貴族様は孤児院を隠れ蓑にして

そんな大胆な事をおこそうと思ったんだろう。


そこを詳しく調べる必要があるよね。


その件に関しては、あとでチッタさんに報告しようっと。


その選ばれた少年少女達は最初の頃は2~3人だったのに……

いまじゃ常時12人近くもいるらしい。


勿論その子供達を選別しているはレイラさんと

各週に1度くらいの頻度でここを訪れる代理のお貴族様だ。


カシムくん曰く……

見た目は美しい豹の獣人だが

人を見下した感じで気障で嫌味な男らしい。



本当は自分もそんな中に入るのは死ぬほど嫌だったんだって。


「俺は兄貴みたく大きくもないし力も度胸もない。

だけど俺は頭がいいし魔力も高い。

まあ、見た目も幸か不幸かいいしな……」


あ、自画自賛しちゃうタイプ?


「だからこそ兄貴みたいに力業じゃなくて

むしろ懐に飛び込んで真実を炙りだしてやろうと思ったんだ。

ああいうやつらは一筋縄じゃいかないだろう」


確かに相手は大人な上に一枚も2枚も上手だよ、うん。


「バカの一点突破じゃ倒せる相手じゃねぇんだよ」


カシムさんや……

さりげなくリュートくんをディスってないかい?


「それで何か決定的な証拠は掴みましたか?閣下」


凛桜がわざと慇懃無礼にお道化てそう聞くと

カシムくんはドヤ顔でこう答えた。


「愚問です!お嬢様……

俺を誰だと思っているんですか」


「フフフ……

天下に名を轟かす知的美少年カシム様かな?」


そう言うとカシムくんは真っ赤になって目を逸らした。


「ばッ……そういうのやめろよな」


どうやら褒め倒すことは得意でも……

褒めちぎられるのは得意ではないらしい。


ウフフ……可愛い。


「ったく……本当に質の悪い人だな……」


なにやら1人でぶつぶつ文句を言っているみたいだけれども。


「で、証拠とはなんなの?」


凛桜がそう直球にきくとカシムくんはニヤリと不敵な表情で

自分の事を指さした。


「それは、()()()だ」


そう言ってドヤ顔を決めていた。


「はい?」


あなたこそ本当に質が悪いイタチだな……。


凛桜は遠い目になっていた。



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