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106/219

106.ナッツといっても色々な種類があるよね

田舎暮らしを始めて116日目。




今日からルルちゃん達が、我が家にホームステイするのだ。


旦那さんを見送ってから、お店の戸締りやうちに来るための用意など

諸々の準備を整えてから来るそうだ。


恐らく夕方近くになるのかな?


きっとクロノスさん達の誰かが送ってきてくれるだろうから

夕食は多めに作っておこうかしら。


その前に、うちにあるナッツ類の在庫を確認しておかなければ!


えっと……

確か右の戸棚の奥に仕舞っておいたはずなんだけれども。


凛桜が小さな脚立に登りながら戸棚の奥を覗き込むと

所狭しと袋が幾重にも積まれているのが見えた。


よくわからないので、袋を一通りすべて机の上に

出して見る事にした。


おっ!まずは……これはなんだ?


一番手前の袋を取り出すと、素煎りアーモンド1㎏

と書かれたものが2袋出てきた。


賞味期限は……、よし!まだ半年以上も先だわ。


(バレンタインデーで使用するつもりで買った残りかしら?)


次の袋は、ミックスナッツ3種類 1㎏が2袋か……。


クルミとカシューナッツとアーモンドのミックス。

こんなもの買ったかしら?


おつまみ用?


じいちゃんが買った物かと思ったのだけれども

賞味期限をみると前のやつとほぼ同じだ。

そう考えると私が買ったのよねぇ、きっと。


まぁ、いいや、次に行こう。


更に奥に仕舞われている、袋の束を取り出してみた。


あった!これだわ

無添加、無塩クルミ 1㎏入り。


無事に発見いたしました。

しかも4袋もある!


よしっ!

これだけあれば、試作品作りはなんとかできるかな。


すると、縁側から2匹と1体の熱い視線を感じた。


「…………」


きなこと黒豆は何故か、お手を出す気満々だ。

何故かシュナッピーまでもが、一所懸命葉っぱを振っている。


君たち、何かおやつをもらう気だね。

キューンと言わんばかりのウルウルの瞳。


なんだろうね、これって。


おやつじゃない時もあるのに、袋を開ける音とかに敏感よね。

少しでも、袋のガサガサ音がすると飛んでくるよね君たち。


この前だって、これは除湿剤だから!と言っても……

おやつですか?おやつですよね?


私達知っています、そのガサガサ音がしている袋には

美味しいものが入っていることを!


さあ、ください。

その美味しいものをください!!


って、もう何かおやつをあげないと収まらない状態に

なりましたよねぇ、こちらの事情はおかまいなしですか?


今回もそう言う感じ?


「キューン……」


「…………」


あー、もうお座りからお手、おかわり、伏せまで

一連の動作をやってくれちゃってます。


なにもこちらは要求していませんよね?

そもそも、そんな流れで毎回ご飯あげてないでしょうが。


私、これまで1回もお手!

とか言った事ないよねぇ、そう言えば。


シュナッピーも真似しなくていいから。

あんた伏せとかできないでしょうが。


茎が折れちゃうから、そんなにオロオロしないでいいよ。


逆にきなこ達は、なんでそんなドヤ顔かな?

もう……かわいいじゃないか……。


「はい、はい、もう降参ですよ。

このナッツはあげられないから、こっちね」


きなこ達には、ジャーキーを

シュナッピーにはクッキーをあげました。


思わぬ横やりが入りましたが、続きをしよう。



残りの袋は……

えっ? まさかの“ホタテの貝柱” 500g が2袋。


ジャイアントコーン うすしお 500g 1袋に、

ピスタチオとマカダミアナッツ 300g 2袋

松の実とクルミとピーナッツ 3種入り 300g 1袋

それにトロピカルフルーツミックス 1袋だと?


これは、完全にじいちゃんのつまみ用だな。


そんなに木の実好きだったっけ?

じいちゃん……。


どうすんのよ、この木の実のオンパレード……

結構名のある木の実は、勢ぞろいしていますよ。


奇跡的に賞味期限もギリギリ大丈夫だわ。

なにかに利用できないかしら。

いや、するしかないよねぇ……。



その前に、まずはクルミを使用した新しいレシピを考えないと。


何がいいのかな?


おそらくだけど……

老若男女問わず食べられるものがベストだと思う。


今回は、競争だから万人に受けるものじゃないと勝てないわ。


売り上げと人気を取るには、最低でも2種類?

いや3種類くらいは必要かな?


もうすでに、定番のクルミ料理は普段のランチで

出ているはずだから……

何か目新しい料理がいいよね。


前に教えた、クルミのピザはベスト3に入る

人気のメニューだってルルちゃんが言っていたわ。


うーん、そう考えると難しい。


屋台で売る物だから、あまり難しい工程があると駄目だし

前もってあらかた準備できる料理がいいかな。


人ってお腹が空いている時に待たせられると

イライラしちゃうからね。


回転率がいい料理を目指さないと厳しいかな……。


細かい規定や条件などは、ソフィアさん達が来てから

確認するとして、まずはいくつか候補を考えておこうかな。



凛桜はさっそくクルミ料理の試作品を作り始めることにした。


前にも思ったんだけれど……

個人的には、クルミ入りおこわが好きなのよね。


おにぎりにして売り出したらいいと思う。

手も汚れないし、腹持ちもいいし

きっと子供から大人まで好きな味だと思うけどな。


なんせ、この国にはお米がないからな。


今はひっそり皇帝がお米を食しているレベルだから

いきなりここで登場はやっぱりまずいよね……。


惜しいけれども諦めますか……。


あとは、そうだな。

じつは1つは既に決まっているのよ。


“クルミ味噌入りおやき”


1つくらいは甘いものは入れたいなって。



おやきならば、前もって準備できるから

その点でも向いているレシピだと思うのよ。


生地を前日に作って置けばいいし、中身のクルミ味噌も

なんなら今から仕込んでおいてもいいわけで。


確か冷凍ならば、1週間ほど大丈夫だと聞いた事あるわ。

もしもの時の為に、冷凍分も作っておいてもいいかな。


それに、おやきっていい感じのサイズだから

その場でも食べられるでしょ?


お土産にもよさそうだし屋台向きよね。


ただ、単価は高くつけられないのが難点よね。

これはもう数を売るしかない。


色々思うところはあるけれども……

とりあえず作ってみようかな。



まずは、生地つくりから始めます。


ボウルに湯とベーキングパウダー、塩

砂糖を加えて混ぜておく。


その後に別のボウルに薄力粉と強力粉を入れて手でざっくりと混ぜます。


そこに先ほど作っておいた、ベーキングパウダー入りの湯を加えて

さらにグルグルと混ぜる。


全体が粉っぽくなくなって、ひと固まりになってきたらOKです。


生地を丸めて上からラップをふんわりとかけて

30分程ねかせます。


冷蔵庫に一晩入れてねかせると

もっとのびよい生地になるのだけれども

今回はこのままで作っちゃおうかな。


その間に中にいれる、クルミ味噌を作ってしまおう。


クルミを3~5mm幅に切ってから、フライパンに入れて

中火で2~3分程から煎りします。


「んん……、香ばしい香りがたまらん」


あとは、みりんと酒を加えて、煮立ったら火を止めてから

砂糖、味噌を加えます。


少し冷ましてから、保存容器に入れてできあがり。


簡単だけれども、美味しいのよね。


「あとは、どうしようかな。

このくるみ味噌、そのままだけでいくか。

それとも、ここにひき肉やナスとか入れても

パンチある味のおやきになりそうよね」


おもいつくまま、すべて作ってみようかな。

やってみないと始まらないもんね。


よーし、すべての種類を作っちゃおう。


今夜はおやき祭り決定だ!


「これなんか、ルルちゃんが好きそうな味かな?」


そんな事をおもいながら、凛桜はソフィア達が来るまでの間

せっせとおやきを包んでいた。


のだが……

その裏で、思いがけない事態が起きていた……。




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