プロローグ
異世界召喚。
創作物語に採用されるジャンルの一つだね。
娯楽として異世界召喚系の小説や漫画を読む分には良いだろう。娯楽だし。
でもね。
実体験すると、これ以上に迷惑なものは無いんだよね。
なんとなく、雲一つ無い空を見上げた。青色では無い空は、アイスグリーンのような白っぽい緑色だ。それでも、太陽のような恒星は白く輝いている。数は一つで、朝方や夕方になると赤く染まる。この辺りは地球と同じ光景だった。
現在、半年前に運よく再会出来た、ルシア、ミレーユ、マルタの三人と共に行動をしている。女四人旅は平和だ。
まれに勃発する『ルシアとミレーユのキャットファイト』はいつもの事なので気にならない。喧嘩するほど仲がいい、と言う奴である。殺し合いに発展する訳でも無いので、出会った当初とは違い今は飲料片手にスルー出来る。仲裁が面倒だからスルーしている訳では無い。
「すまないが、そろそろ答えを聞かせてくれないかな?」
聞こえて来た声に視線を空から正面に移動させる。どうやら現実逃避をしていたらしい。
正面にいるのは、煌びやかな鎧を身に着けた青年とそのお仲間数名。どうやら、自分を含めた四人で現実逃避を行っていたらしい。返す答えは『否』以外に存在しないのだが、目の前の面々はどう言えば納得してくれるのだろうか。
「返事ねぇ……」
「そうだな。まずは戦犯会議から始めるか」
ミレーユとルシアの視線がマルタに集まる。しかし、戦犯会議か。
戦犯会議と聞き、青年達が困惑の表情を浮かべているが、こちらは誰も気にしていない。こう言う時、『パーティメンバーの常識人最後の砦にて、唯一の良心』であるギィードがいたら間違いなく、『違うだろう!』と突っ込んだだろう。
貴重な突っ込み担当が不在。今回の面子で『まともな突っ込み』は期待出来ない。
突っ込み役にもなりたくないので、賛同の言葉を紡ぐ。
「まぁ、誰が一番罪深いかははっきりとさせた方がいいよね」
「「確かに」」
ダラダラと引き攣り顔で脂汗を流すマルタを注視する。
「ど、どうしてこちらを見るのですか!? 罪があるのは全員ですよ!!」
マルタの絶叫を聞いて、現在に至るまでの過程を思い出す。
ある程度書き上がったので投稿します。
途中までは連投になります。