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プロローグ1:全体説明会

ある程度書き進められたので投稿も初めてみます。

初日は三つ、プロローグ部分を載せておきます。

プロローグ1:全体説明会


それは、唐突に起きた。

一地方都市にある有名でも無名でもない中途半端な円城高校の二学期の始業式。およそ550人の全校生徒と、40人ちょいの教師陣が、冷房が効いてる筈なんだけどうだる暑さの体育館で、校長先生のありがたいご挨拶を迎えようとした、その時。


体育館のステージの壇上のマイクに向かっていた校長先生、定年間近なじいちゃん先生と呼ばれる秦野校長の目の前に、全身白タイツでのっぺらぼうな感じの外見の何かが立って、マイクで語りかけてきた。


「喜べ。君たちは私の世界に招待された。次なる主神を決める神々の戦いの駒として最後の一人になるまで互いに殺し合う為に」


「はぁ?」

 それが自分の口から漏れた言葉というか反応だったけど、ふざけんなとか、どこのどいつだお前とか、いろんな反応で体育館の中が溢れそうになった、けど。

 体育館の天井が、壁が消えていた。その先は全く見通せない深淵の闇。そこから何かが自分達をじっくりねっとりとした視線を、誰を選ぼうか見極めようとする熱気の様なものを感じた。


 円城高校の生徒や教師達が唖然として言葉を失う中、全身真っ白なのっぺらぼうは続けた。

「この全体オリエンテーションの後は、個別面談があり、君達はそこで担当の神と出会い、その加護の象徴となるメダルを与えられる。

 君達はそのメダルを奪い合う。勝者は最終的に全てのメダルを手に入れた者だ。ちなみに手持ちのメダルを全て奪われた者は死ぬ。皆、最初は一枚しか与えられないから、その一枚を奪われた者は死ぬ。例外は無い。

 自殺する事はお勧めしない。死ぬよりもつらい目に逢い、心底後悔するだろう事を確約しておく。

 君達はプレイヤーとなる。敵プレイヤーではなく、モンスターや他の生き物に殺されたり事故死した場合、メダルはその場に残る。メダルを手に出来るのはプレイヤーのみだ。プレイヤー以外に奪われる可能性は心配しなくて良い。


 また逃げ続ける事で戦いを回避しようとする者もいるだろうが、最低で月に一枚のメダルを新たに入手出来なかったプレイヤーは、同じ境遇にいるプレイヤーとランダムに組み合わされて殺し合いをしてもらう。

 確率は低いが、相討ちで両方が倒れた場合、双方のメダルはランダムな場所に再配置される。そしてプレイヤーは最寄りのメダルの位置や方角を感じ取る事が出来る。


 この場では質問は受け付けない。この後は個別面談と説明の場が設けられるから、そこでどうしても尋ねないといけない質問は済ませておくといい。

 個別面談の後は、スタート前のご祝儀宝箱抽選タイムだ。詳細については、そこでまた説明があるだろう。

 それから、君達に単に殺し合ってもらうだけでは、君達にとってのメリットが無い。だから、」


「おい、お前、いい加減にしろよっ!」


 ステージ上にいた教師陣の内、一番がたいのいい体育教師の倉橋が、全身真っ白なのっぺらぼうの肩を掴んで殴りかかった。元格闘家という触れ込みが頷けるほどに、躊躇い無くのっぺらぼうの顔面に拳をたたき込んだ。筈が、殴りかかった腕の先が消し飛んでいた。


「ぐっ、ぐああああああっ!?」

 倉橋の絶叫と血しぶきが吹き上がった。血はどうしてだか全身白タイツの身体にはかからずに壇上を真っ赤に染めた。

「これが幻想や夢の類だと思ってる者も少なからずいるようだから、体感しておくといい。君達が死ぬ時に感じるだろう痛みだ」


 次の瞬間、体育館の中が絶叫で溢れ満ちた。でも、そんな周囲の事なんて構っていられなかった。全身を食いちぎられ咀嚼されたり、強酸で溶かされながら消化されたり、あるいは全身を炎で焼き焦がされたり、ほんの一瞬の間に、想像し得るあらゆる殺され方を駒となる全員が体感させられていた。


 ぱちっ、と指が鳴らされるような音がして、痛みは消えた。五体満足だった。何なら、腕の先が消失した筈の倉橋の腕は元通りに戻っていたけど、血塗れな姿はそのままだった。だけどもうのっぺらぼうにつかみかかるのではなく、腰を抜かしたまま床を這いずって少しでも遠ざかろうとしていた。


「さて。報酬の話だったね。君達の願いをほとんど何でも一つ、叶えてあげよう。元の世界に戻して欲しいといった願いでもだ。でも叶えられるのは最後に生き残った一人の願いだけだ。神様になりたいとか、無数の願いを叶えて欲しいとかは無しだ。ゲームが始まった後なら、どんな願いなら叶うのか、自分の心に尋ねてみれば答えは分かる。

 ではこれで、全体説明の場は終わる」


 そして体育館は消失し、自分は、警察の取調室の様な空間に転移していた。


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