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第45話 大事な缶を探して

 琴音と清史郎の二人が案内されたのは、事務所のある建物のさらに奥にあった平屋の建物だった。


 そこは資源ゴミの分別施設なのだそうで、ゴミ収集車から出された資源ゴミが種類別に分けられて山積みされていた。そこから作業員たちが手作業で袋を開けると、ベルトコンベアーにどんどん中身を出していく。


 ベルトコンベアーの両側には数人の作業員がついていて、仕分け作業をしていた。彼らの後ろには大きなカゴが置いてあり、時折ベルトコンベアーに流れてくるものから取り分けてそのカゴに入れている。


「うちで回収した缶はここで仕分けされるんです。人の目で確認して、リサイクルに向かないものを弾いています」


 ベルトコンベアーの先では機械で缶の色や種類、材質を見分けて自動で分別していくらしいのだけど、琴音たちが一番気になったのはこの、リサイクルに適さないと判断された不適合缶の山だった。


 田沼の話によると、開けられない缶はまずこの不適合缶に分類されている可能性が高いという。


 その不適合缶のカゴの方は清史郎と阿空に調べてもらうことにして、琴音はベルトコンベアーを流れてくる仕分け前のものを作業員の邪魔にならないように背後から見させてもらうことにした。


 ベルトコンベアーには京都市中から集められた事業系缶が流れてくる。

 家庭用のものよりもバリエーションが多い。いろんな用途に使われる缶があるんだなぁと眺めていたが、なかなか目当ての缶はみつからない。


 どれくらいそうやってベルトコンベアーを流れる様々な缶を見つめていただろうか。

 なんだか目が疲れてかすみはじめてきたころ、見覚えのある缶が目に入った。

 全体的にさびた長四角の缶の容器がいくつも流れてくる。


(あ……あれは、私が捨てたもの!)


 そんな年代ものの缶を琴音の他に同じ日に大量に捨てた人がいるとは思えない。あれは、間違いなく琴音が捨てたものだった。となると、そろそろ時子の缶もベルトコンベアーの上を通りがかるんじゃないかと、身を乗り出すようにして目を凝らして探すと……。


「あ、あった! ありました! あれです!」


 他の缶の間に交じって、全体が赤茶けてさび付いているけれど、うっすらとひまわりの絵が見える四角い缶がみつかった。

 そばにいた作業員が、それを長いトングで取って琴音に渡してくれる。


「これかい?」


「ありがとうございますっ」


 手で取って確かめてみる。間違いない。琴音がゴミに出してしまった、あの缶だった。


(やった……見つかった!)


 嬉しさのあまりじんわりと目に涙が溜まってくる。清史郎たちに知らせようと彼らのほうに視線を向けると、清史郎もにこやかに笑みを浮かべていた。


「よかったな」


「はいっ……良かった……ほんとに」


 溢れそうになった涙を指で拭って、琴音の顔にも笑みが広がった。

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