表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

4

 

 王都にある、冒険者ギルド。夕陽に変わりつつある陽射しが差し込む広間で、マスターは苦笑する。

 「じゃあ、レキ少年のパーティ加入……いや、再加入の件はしばらく無しなのね?」

 

 

 とまとは「しばらくっつーか、二度と組まないし」なんて言っている。

 

 「俺も、とまとと組む気は無いです」レキは不敵に笑う。「むしろ、とまとより先に一番すごいダンジョンを攻略してやりますよ」

 

 「は?」とまとがにんまりとレキを眺める。

 「うーん、それはちょっと無理ちゃう?」うずらも苦笑した。

 

 「何その微妙な反応」

 

 「あー、少年にはまだ話さなかったっけ? 冒険者には金銀銅木ってランクがあってね。少年はまだ『木級』だから、大規模なダンジョンには入れないわ?」

 

 「ええー……」レキはがっくり肩を落とす。

 

 「常識っすよ」ナビが鼻で笑うが、「常識くらい先に教えてくれよ」とレキに言い返された。

 

 「ちなみに私達は『銅級・二つ星』!」とまとが威張る。

 「『三つ星』になったら、この辺りで一番大きなゴブリン窟に入れるんよ」狐耳を動かしながら笑ううずら。

 

 「だからクソ野郎は諦めて、私達が活躍するのを眺めてなって!」

 

 「……いや、逆に燃えてきたわ」

 「ふーん?」とまとの目が光る。

 

 「とまとと俺、どっちが先に大ダンジョンを攻略するか勝負だ! 負けたほうが、自分が悪かったって土下座で謝ること! いいな!」

 「上等! クソ野郎を三日で土下座させてやるよ!」

 

 この瞬間。レキととまとの、プライドを賭けた勝負が始まった!

 

 

 「あの」成り行きを見守っていたナビが、とまと達に話しかける。

 「どっちが勝っても女神様的にはオッケーだと思うんで、ナビも女子側に行っていいっすか?」

 

 「お前ーっ!」レキが叫ぶ。「すみませんレキ様、これも女神様のためっす」ナビが申し訳なさそうな言葉を、ニヤけながら言う。

 

 一瞬顔を見合わせる、とまととうずら。

 「私達のところには、もう別の天使が来てるけど?」「えっ」

 とまとの言葉に、ナビが固まる。

 

 「王都に来たその日やったなぁ。ナビちゃんは、女神様から聞いてないん?」

 「……まだ一回も連絡が来てないっす」

 

 「ついでに言うと、そもそもウンコ宣言したのはナビじゃん? 私的には、レキの共犯レベルだから置いて行ったんだけど」

 「そ、そんな……」

 

 ショックを受けるナビ。

 (自分も置き去りにされたと気付いてなかったのか……)レキは思ったが、口に出さないだけの情けはあった。

 

 

 「……レキ様! あいつらをボッコボコに負かしてやりましょう!」

 「え……ああ、そうだな」

 

 やる気になったナビと共に、レキは決意を新たにする。

 

 (でもナビって、女神に言われて来た割にはポンコツなんだよな)

 そう思ったが、やっぱりレキは口に出さないでいた。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ