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 柚原とまと。陸上部で日焼けした肌に、プールの塩素で赤みがかった髪。見た目通りに活発で騒がしいバカ。小学校に入る前から一緒に遊んでいた、レキの幼馴染……そして、彼を追放した少女。

 

 「へえ、元気そうじゃん」

 とまとは、アイテムボックスから短槍を呼び出す。アイテムボックスのスキルも、今出した槍も、とまとが女神から授かったものだ。

 

 「おかげさまでな」レキも心の中でアイテムボックスを開き、石を手の上に呼び出す。女神は彼には武器をくれなかった。

 

 

 「ちょっと、やめなさい!」マスターが制止しようとするが、二人には聞こえていない。

 

 ギルドの広間で、二人が武器を構える。槍の穂先が徐々に下がり、石はレキの手の上で回転浮遊。二人の目線がぶつかり、そして――。

 

 「やめぇな二人とも!」

 

 「ぐえっ!」「おぅぶ!」

 声とともに飛来した矢が、二人の頭部に直撃した。

 

 意識を失う寸前、閉じかけたレキの目に、弓を構えた緑髪の少女が映る――。

 

 

 ……数分後。レキととまとは、ギルドの床で目を覚ました。

 

 「あ、おはよう」

 それを見て声をかけるのは、緑髪の少女だ。頭に生えた狐耳が、声に合わせてぴょこんと跳ねた。

 

 「うずらか」「そやにー、おひさしぶり。いや、三日ぶりやな」

 先端を丸くした矢を弄びながら、花垣うずらが笑う。彼女もまた、レキと一緒に召喚されたうちの一人だ。

 

 「私まで撃つのひどくない?」「そうでもせんと、落ち着いてお話もできやんと思てん」

 とまとの抗議を、うずらは軽く受け流す。レキにとってそれは、小学生の頃から見慣れた光景だ。

 

 

 「なるほど。『鉄匣の賢者』と一緒に来たルーキーと、この新人少年が元仲間同士、ね……」

 マスターが首を傾げる。

 「それにしては、双方の言い分が違い過ぎない?」

 

 「「それはコイツが嘘ついてるんです」」

 レキととまとが同時に主張する。

 

 「とまとは、一緒に戦った俺を、ちょっとのミスで殴って追い出したんですよ!」

 

 「レキは戦った後に調子に乗って、スキルでとんでもない嫌がらせしてくるクソ野郎ですよマスター!」

 

 「ナビちゃんとうずらちゃんも見てたのよね? 一体何があったの?」

 マスターは判断しかね、別の二人に問いかけた。

 

 「しょうもない話っすよ」ナビが鼻で笑う。

 「とまととレキくんがええなら、話しますけど……」うずらも頷く。

 

 かくして、彼らの過去が語られることとなった。

 

 


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