SEAFOOD
現実世界と似ていますが、フィクションのコメディです。
別次元の近未来です。
読んでみて、ダメだと思ったらブラウザバックですよ!
作者との約束です(笑)
今から10年前---
この地球に、地球外生命体、つまり宇宙人が攻めてきた。
きっと、ほとんどの人がようやく来たかと思ったに違いない。
宇宙開発も進み、月や火星に人間が住めるコロニーの開発研究も実現段階まで進んでいて、これで宇宙人がいれば完璧だと、SF好きのコメンテーターが言っていたくらいだ。
特に、ここ日本国では、宇宙人がどういったタイプなのかを検証するバライティー番組が高視聴率を得ている。
スタンダードなグレイ、タコ型。
映画に出てくるような、昆虫型や人型。
そして、世界各地で目撃されるUFO情報や動画までも紹介されている。
それが、本物かどうかは別として。
しかし、10年も経てば、情勢は変わる。
侵略者とされていた地球外生命体は、今や救世主なのだから---
「筒井さん、一番銛いけますか?」
『えっ!俺がやっていいの!?』
「はい。筒井さんが一番いい位置にいます。雪間さん、200フィート上昇して、R地点へ移動してください。二番銛をお願いします」
『ラジャー』
レーダーと衛星画像を見比べながら、隊員たちに指示を出す。
「きよ、それだとHに逃げられるぞ」
「H地点には、土田さんがいますが?」
「まだ、新人じゃ抑えられん。工藤を向かわせろ」
「ラジャー」
経験豊富な上司の指示に否を唱えるつもりはない。
早速、工藤隊長へ移動の指示を出す。
ここは、国連の外部組織、地球外生命体安全対策本部対空捕獲部隊である。
こんな長ったらしい名前を覚えているものはいないだろう。
なんてったって、正式名称がSEAFOODなのだから。
SEAFOODに所属している者たちはフィッシャーマン、漁師と呼ばれている。
まぁ、やっていることは、漁師と変わらないんだけど。
『拓己、そっちに行ったぞ!』
『おっしゃー!腕がなるぜっ!!』
一番銛が発射されると、しっかりと目標に突き刺さる。
しかし、目標はまだ生きており、銛は弱点となるエラではなく、頬に刺さっていた。
すぐさま二番銛が発射され、今度は目標のエラを貫いた。
目標は、大量の血液を流しながら、なおも暴れ、徐々に高度を下げていく。
「地上に落下させないよう、しっかりと捕獲お願いしますね」
『もちのろんよ!』
お前はいったいいつの時代の人間だとツッコミたくなるような筒井さんの返答に、ぽつりと工藤隊長が呟いた。
『招和時代には耳が痛いな』
このチームの中で唯一の招和生まれな工藤隊長。
なんか、すみません。
「今日は大トロが食べられそうだな」
上司が心持ちウキウキしている。
私は漬け丼が食べたいところである。
捕獲が無事成功し、基地に目標が運び込まれる。
「こりゃ、見事なマグロを捕まえたな!」
「でしょでしょ。俺が一番銛打ったんですよ!」
マグロ、つまりは地球外生命体を見た解体部隊の隊長に、筒井さんが意気揚々と報告をしていた。
「仕留めたのは、おれの二番銛だけどな」
雪間さんが調子にのるなと、筒井さんを小突く。
まぁ、鮮度を考えると、一発で仕留められる方がいい。
捕まえたマグロはここで解体され、市場に卸される。
この地球外生命体は、今では地球の漁業を支えているのだ。
水産資源の減少が著しく問題になり、マグロやウナギ、さらにはカタクチイワシ、サンマまでもが漁獲制限がかかり高級食材となった。
そんな中で、巨大な、マグロやサンマの形をした地球外生命体が侵略してきたのだ。
みんなが食べられるかもしれないと思っても不思議ではない。
しかし、一応未知の生物ということで、最初の何匹かは研究材料になった。
連合軍による地球外生命体の捕獲任務が行われたが、それに参加していた日本国人がやらかした。
サンマなら、食べられるんじゃね?と。
サンマ型の地球外生命体を退治し、彼はこっそりと身の部分を切り取った。
仲間に止められながらも、その身を焼き、醤油を垂らし、白米と一緒に頬ばる。
「……うめぇーーー!!」
彼は久しぶりのサンマを、泣きながら食したらしい。
後にバレて、人体に影響がないかを調べるために長期間隔離されるはめになったが。
彼は後に語る。
あの時のサンマの味が忘れられないと。
「あ、山内さん!私、赤身の漬け丼が食べたいです!」
調理部隊の山内さんを見つけて、今日の夕飯をリクエストする。
「漬けか。いいな。タイもあれば、漬け茶漬けもできたのにな」
タイの茶漬け!!
それも美味しそう!!
「タイー!出てきてー!」
私が空に向かって叫ぶと、周りのみんなが笑う。
今日も今日とて、日本国は平和です。
アホな話を読んでいただいて、ありがとうございますm(_ _)m
宇宙人が醤油にあう味だったら日本人が狩り尽くす説の話を聞いて、日本人だったらあり得るなって思ったのが始まりでした。
いやー、宇宙魚介類、書いていて楽しい(笑)
ストックがなくなるまでは毎日更新ですが、それ以降は不定期となります。