幸せな君へ
ガラスの靴を履いた女の子たちが
「私も王子様と結婚したいから」っていうの
灰なんて被ったことなんかないでしょうに
どうして?
私の辛かった思い出に
誰も思い馳せることをしないの?
白雪みたいな白い肌に
憧れるって 女の子たちが囁いている
本当のお母さんに
毒リンゴなんか 貰ったこともないでしょうに
花屋に並んでいる
花はみんなエリートなの
どうして?
間引かれた私のことを
誰も知らなかったの?
(知りたくもないの?)
魔法使いに出逢わなかった灰被りだって
いたかもしれないでしょう?
必死でお父さんに助けてって言ったのに
知らないふりをされたかもしれないでしょう?
七人の小人に慰め者にされた白雪だって
いたかもしれないでしょう?
嫉妬されるほどに美しい肌なんて
持たなくていいと思ったかもしれないでしょう?
あなたたちは そんな女の子の話を嫌うよね
私のことを嫌うよね
……本当にこんなもの欲しいの?
欲しいならくれてやるわよ
だから早く取りに来なさい
お願いだから
早く
私の手の届くところへ
幸せだけ置いていきなさい
ぼやぼやしてないで
楽しそうに無意味なお喋りをしている暇があるのなら
その首が私の掌の届く距離に来なさい
その幸せな頭を挿げ替えてあげるからね
早く
私は花なんてものじゃないの
どこに行っても花は咲いていなかったわ
あるとしたら貴女の頭がそれなのよ
いい塩梅に切り取って
剣山に刺してあげるから
私のハサミが届く距離に来なさいね
早く
早くなさいよこのグズ!
そうじゃないの
思いを抱くのは
みんなに与えられた希望なの
(箱の底には)
だって みんなだって そんなに
幸せに生きているわけじゃないんでしょう?
ねぇねぇねぇねぇ
(きいてよ)
ねぇねぇねぇねぇ
……私だけなの?
だとしたら
絶対に許せないし許さないわ
不可能だし、その気もないの
いい塩梅に切り取って
挿げ替えて
慰めて
最期は灰塗れにしてあげる
どうよ
これが私よ
みんなが花や蝶や白雪やと謳った私なのよ
幻滅した?
面白いこと言うわね
笑わせないで
違うよね
貴女が勝手に思い上がっただけだわ
どうせ陰では笑っているんでしょ
知っているのよ
貴女の空っぽな頭の中のことなんて全部ね
塀から突き落として、その幸せな頭を粉々にしてくれるわ
トランプの兵隊に嬲られて、串刺しにされればいいのよ
それがお似合いよ
何も不思議なことなんてないわ
ガバガバの泥棒猫には丁度良いサイズのはずよ!
アッハハハハハ!!
……なに笑ってんのよ
見世物なんかじゃないわよ
なぁに? あなたも飾られたいの?
ああ、そう ならいいわ
今挿げ替えるから、そこを動くな
病じゃってますねこれ。
なんでこんなメンヘラ女の詩を書いたのか今となっては理解できないのです。