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第四話 九十九神 ~財布の場合~

とりあえず、4話目。

 

 まぁ、九十九神と言うだけで、最低3つはある辺り、アホな人生だった。

 そのうち一つは三分割出来るネタだったりする辺り察して欲しい。

 とりあえず、一つ目。



 九十九神になる条件。

 それは、幾つかある。

 一番有名なのは、月日を経る事。

 正確には、自然の力、特に太陽と月を浴びること。

 この辺りは、道教の妖怪仙人辺りを参考にして欲しい。

 或いは、霊力の高い人間の血を吸収すること。

 最後に、霊力そのほかの要因が優れた人間に作られる事。


 特に、最後は造った本人も無自覚だって場合が多いから、余り笑えない。

 特に、最近はそれが顕著だって言うことも。

 このお話は、そんな“あの子”のお話。








 ネットオークション。

 不用品からマニアックな品物まで色々と売っている場所。

 それこそ、小物入れから模造槍まで色々と。

 ハンドメイドの手芸品もよく売られている。


 今から五年ほど前だろうか、当時そのオクで人気のハンドメイド作品を売る人が居た。 

 例えば、長財布を二千円より。

 装飾のレースなどで材料費で、多分、足が出ているだろうそれ。

 (※メートル1000円も珍しくないのだ、オールドレース、風でも指して変わらない。

   新しいのは、風合いがよろしくない。)

 使い勝手もよく、柄によっては五千円を超えることもしばしばだった。

 んで、家にも一つ来た。

 生成生地でレース縁が可愛い長財布。

 まぁ、当時は財布を変えてそう経ってない時期だったから、ストックとしてだ。

 分かりやすくいえば、一目惚れだね。

 所謂、森ガールっぽいブランドで一万少々で売っても遜色ない出来と言えば、分かるだろうか?

 ポケットも多いし、コンスタントに作れるなら通販したほうが、稼げるレベルだ。

 まあ、此処までは良くある話。

 異変が起きたのはそれから半年後、財布を変えようかと 言う頃合い。


 財布が掴まらない・・・・・・・・


 文字通り。

 例えば、財布を交換する前にトイレしようと自分の部屋に置く。数分後、戻ってくる。

 そしたら無い。

 数日後に廊下にふとある。

 或いは、廊下で洗濯物抱えて、「変えるか」と思って数十秒後に戻ると無い。

 それを十数回繰り返して、ちょっと、ぷちっと来た。

 十数回目の発見時、なりふり構わず、捕まえた。

 んで、自宅の使ってない和室に、財布を掴んだまま、あんまり使わないというか、一応造ったけど初めて使う布に陣を書いた物と捨石用のパワーストーンを引っつかんで入る。

 陣の上と部屋の四隅に、適当にパワーストーンを置いて、陣の中央に正座の上でその財布を額に当てる。

 接触できればなんでも良かったけど、その時半分キレてたからだけども、誰かに見られてたら、死ねる体勢なのは今思い出すとリッパに黒歴史ですね☆

 だって、拝んでるんだもの。

 以下、接触テレパシーでの会話。


『で、なんで逃げるのかしら、坊や?』


『おかあさんに、あいたいんでち』


『……造った人?』


『そうでち。

 おかあさんはやさしいんでち。』


 結論から言えば、思い切り気勢を殺がれた。

 何と言うかね、まだ、「お前なんか主と認めん」系の強気っ子を想像してたんだ。

 だけどね、何と言うか、印象からすれば、三歳四歳のショタっ子?

 某刀剣擬人化の「貴いお方に仕えてました」って言う白タイツっ子並みに健気なちびっ子なんだよ。

 一応、砕けた敬語にしてるけど、ちょいちょい、タメ口が混ざったりして、「お母さん」にちゃんと言われたんだろうね、って感じの。

 そのお母さんは、同時に自分が付喪神メーカーだっての気づいてないだろうけど、不思議ちゃんというかモノに話しかける系の人だってのも分かった。


 しょうがないから、懇々切々説明をした。

 その子の理解力に合わせて、つまりは、三歳四歳児に合わせて、説明は脳みそがヒ-トした。



 んで、後日談。

 それから、約二年後に役割を終えたその子を私は、製作者の住む場所の近くで、お焚き上げをしている神社に送りつけた。

 お焚き上げと言うのはこの場合、正月に古いお札や縁起物を燃やすことで。

 せめて、魂なりとも製作者の側に在ればいいんじゃねぇかなぁと言うことで送りつけた。

 無事に、燃やされたようで、その財布の彼が製作者とともにあることを祈って、この話を締める。







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