第九話 クラプトン翁(とその孫)と話したこと。
えー、名前や細かい状況などは、思い切りフェイク入りです。
人物名は、頭文字すらかすってないですし、祈念堂の礎付近で出会った風になってますけど、それも違ってます。
(ただし、状況からしてここじゃね?にはたどり着けそうなつくりではあるけど)
話しの内容も、繋げる為に思い切り不自然だし。
書いてない内容の方が多いけど、向こうの条件なのであしからず?
ただし、葬儀屋やっててこう言うのあったは、身元系以外事実だったりするし?
後、当時は韓国の大統領は、盧さんなり金さんなりの時代で、韓国の情勢的に女性大統領無理じゃね?時代のお話なんです、とだけ。
男尊女卑だからの向こうは。
「Chikaeru to Stars and Stripes、andIn the name of God?
Grandson of yesterday of the elderly.」
翌朝、ホテルを出てすぐに、結構なイケメンに話しかけられた。
当時の私より五歳以上年上のアラサーに近い人。
後ろにいたレッドに言わせれば、老人そっくしとのことだし、シェンナ曰く「昨日の爺さんの孫」だそうだ。
暗めの蜂蜜色な髪とエジプシャンブルーってのかな、そう言う感じの綺麗な色の瞳のイケメン。
ハイスクールだったら、誰と卒業ダンパを踊るのか、学年中で噂になる感じというのかな、分かりやすい王子様な子だった。
とりあえず、アランさんと呼んでおく。
ちなみに、こっちは、頭一個分小さいぽっちゃり系な無表情系な小娘だ。
身長も日本女性の平均あたりだ、体重は聞くなよ?
無表情と言うか、感情が初対面には、某雅ゴリラ並みに出ないだけだから。
相手が何かを言う前に、冒頭の英語を言う。
意味としては、「星条旗と神の御名に誓えるか?昨日の老人の孫。」と思って欲しい。
文法は、うん、ごめんなさい。
当時のしばらく前に調べた奴を単語を入れ替えたとかそう言うのだ。
発音はたどたどしいけど、通じないほどじゃないとは思う。
……rとlとかの発音は勿論、自信ないけど。
高校大学時代の赤点、両方とも英語だったからな、読むのはともかく、会話は嫌いだ。
「Oh, I, English is very poor.
I just don't speak only a little.」
「大丈夫でス、私、少シ日本語大丈夫、でスよ?」
「ありがとう、で、何の用事でしょうか、わざわざ、待ち伏せされて。
少なくとも、三十分は、此処に居ましたよね。」
ご飯食べた後、部屋に戻って、ふと窓の下を見たら、目の前の人物らしきのが居たら、ねぇ?
ニコニコはしてるが、警戒をする意味の眼が笑ってない感じの笑顔はしてた。
してたけど、内心は嵐です。
後から、ガチガチにほっぺが痛くなるぐらいの笑みの形だけの笑顔だったけど、内心は大嵐ですよ。
元は演劇部、裏方専門で演出家ですら、数回のみの裏キャラだが、元々人見知りから来る無表情に威嚇の笑顔が表に出てるだけマシな状況。
と言うか、その時点で二十歳ほどだけど自分がテンパると真顔に鳴るのに気付いたんだよ、うん。
そして、ある程度は主導権を握らないと、まずいと思ったんだよね。
半分は、そういうナニカとの遭遇経験から、相手が未知だろうと何だろうと完全に主導権を渡したら最悪死ぬのは、分かったから。
良くも悪くも、私は一般人だ。
そして、同じく彼も良くも悪くも、軍人だ。
暴力を無条件に肯定できる、いや、出来なければ、不良品と切り捨てられるだろう職業。
十全機能しているのなら、人を書類の上の数字として判断できるのが、『優秀な』軍人だろう。
まぁ、時代の流れに逆らえず、人を死なせにくいと言うシステム的に矛盾してきてるけれど。
人を死なせて何ぼだろうね、古今東西、戦争と言うのは。
1人も死なせないなんて、ネット小説じゃ、アマちゃん主人公が言ってるけれど、少なくすることが出来ても、1人も死なないのは戦争じゃない。
虐殺だ。
だから、どうしても、其処までがどんなに面白くても好みでも、切ることにしてる。
生きてようと死んでようと、人だろうと人じゃなかろうとそこは変わらない。 とか、考えてたら、当時はハンバーグかタルタルステーキを食べたくなった。
ババロアか杏仁豆腐でも良いかな。
…………生きてる人間も怖いけれど、だけれど、死んで制御が外れた幽霊なんても怖いもんだけれどね。
そう言う益体のないことを考えつつ、大昔に、元下っ端軍人だったらしい縁戚の叔父の言葉を思い返しつつ、会話を続ける。
一応、一般教養レベルではあるけど、聖書(日本語に訳されてれば偽典含む)もコーランも読んだからねぇ?
「はイ、そうでスね。
昨日は、グランパ助けてくれてありがトね。」
まぁ、本人のキャラ的に「はい、そうですね、昨日は祖父を助けていただいてありがとうございます」
なんだろうけども、なんていうか、発音のつたない日本語だと可愛いなぁとは思う。
ついでに言うなら、某刀剣擬人化ゲームの天下一振とタメ張れるロイヤルさんだな、とも思う。
思うけど、後ろでこのめが「ブラフじゃブラフ」といってる辺り、職業軍人と言うか、将校だなぁと。
それで、まぁ、今も思えば迂闊だけども、彼についていく形で、近くのバーと言うか、ダイナーって言うのかね。
後からとある乙女ゲーのメイン攻略キャラ(パケでヒロインの両隣にいそうな)の住処っぽいアメリカンなバーの個室に入ったわけだ。
一応ね、開店前なのと、裏口のすぐ横の個室だったから、了承したようなもんだよね。
後、二代目らしい店主が日米ハーフ(在日×十年かつ英語忘れちゃったぜ、系統の人。)なのと。
……レッドさん、曰く、若い頃のチャーリーさんが好きそうだって。
店主もだし、クダ巻いてた若い米兵の接し方も、爺さんそっくりだって。
将校らしくないとでも言うのかな、階級関係無く接するのはさ。
今は、平和だよ?
だけど、必要あれば、下っ端を使い潰せるのが、優秀な将校だ。
でも、彼らも人間だ。
人間と同じように付き合ってて、場が湧いた下っ端に死ねと言えるはずもない。
だからこそ、一般兵下士官士官で分かれてるんだしさ。
部下に死ねと言えない将校なんて、人間的にはいいんだろうけど、軍人としては不良品もいいところだ。
とりあえずね、ご飯山盛りとみそ汁、スクランブルエッグ、ウィンナーやヨーグルトなんかをしこたま、朝ごはんに食べて一時間経ってないのに、コーラとポテチ(コンソメ味)はげっぷが出ると思うの。
コカコーラだったから、嬉しかったけど。(※作者は、ペプシはレモン以外認めない派)
一口、コーラを舐めて私は、アランさんが話しだす前に、牽制も含めて五寸釘をさす。
うん、既製品だね、特段苦くも甘くも無い。
後、炭酸も弱くない、一応目の前で空けられたけど、細工は出来るし。
昔、ジュース缶に農薬仕込んで、自販機に置いとくなんての流行したし、私の住んでた田舎な町でもあったからね、一応、警戒する。
医者に不思議がられるんだが、沈静鎮痛系統以外、ほとんどの薬で効きが悪いもんだから、体重計算で量を決めても、少し大目のじゃないと望む効果が得られないとこあるし。
多分、昔からの薬漬けなせいだろうけど。
「エドワード=スミスとアルフレッド=サルロ-ス、後は……」
他に何人かの名前をあげる。
別々の場所にある名前だ、沖縄戦で死んだ彼らではあるけれど。
「多分、お祖父さん、チャールズ=クラプトン翁は彼らに会いに行ったんでしょう。
遺体は本国に戻されてますけど、翁が行ったら目立つような場所ですし、ゲットーですから今あるか怪しいですからね。
同じ隊だった戦友に……ああ、ちなみに、裏は取ってるので、あしからず。」
「…………」
「書類上は別になってるらしいけどね、うん、イケメンが睨むと怖いと言うより、ぞくぞくするだけだ。」
アランさんは黙ったままだ。
だよねぇ、一応、数十年前っても軍事機密だぜ?
優先順位は低いけどね。
後、割とすらすら喋ってたけど、一応、確かめながら喋ってるし、もう少し、分かりやすい言葉にしてる。
だけど、人間、テンパり過ぎると逆に肝が座るもんだね、うん。 でも、割と全開無表情スマイル(≒目が笑ってない鷹揚スマイル)だったし、言い方は余裕っぽく不遜にしてるけども。
「独り言。
私は、心霊主義、ええと、スピリチュアリズム?哲学の方の。加えて、現実主義者。
ガラリヤの髭のおっさん以前のヨーロッパなら神の子扱いか、魔女狩り真っ最中なら火あぶりで死んでるような前半生と実家が葬儀屋と坊さんがそこそこ多い家系なんでね。
ゴースト、スピリット、そう言うものに慣れ親しんでるんだわ
キリスト教徒には、業腹と言うか、殺されても文句言えないけれど、幽霊のレッド……アルフレッドがそこにいるんだわ。
だから、あらかたの事情は知ってる。
ついでに言うなら、こう言う時の優先順位は、どっちかと言うと知らない人間よりも、知らない幽霊だ。
こっちじゃ、幽霊も神様扱いと言うか、そちら風に言うなら聖人扱いだからね。」
「人間、嫌いでスか?」
「うん?実家が葬儀屋で、人間不信を発症しない人が居たら見てみたいね。
神様が傲慢だけど、人間のほうが傲慢で狡猾で欲深だ、って思えるから。」
アランさんには話さなかったけどね。
当時まででも、色々見聞きしてるわけだ
うちの葬儀屋家族経営のちっさいとこなんだけど、年に一回二回は、「息子嫁に殺された」とか言う半透明な故メタボ爺とか、「(故人)の子よ、男の子だから跡継ぎでしょう!!」とか、「息子が死んでなんでお前が生きてるんだ」とか、どれかを普通に聞くからさ。
どこのメロドラマよ、と思うもん、サスペンスでもいいけど。
後、メタボ爺に関しては、未必の殺意と土地柄味付けが濃いせいだと思う。
だってねぇ、とあるうちなんて香典返し絞るし(因みに、追加乱舞だった/現在、そういうギフト屋に勤めてる身としては殺意が湧くレベルで)、その割には家屋が庄屋レベルだったり、公務員だったりするのにね、お金持ちだと思うよ。
公務員だとそこそこ給料いいし、と言うかね、喪主息子が公務員(役付き)で250ケはない。
喪主孫も公務員で、喪主息子嫁も地方規模の会社で役付きだってなら、最低350ケは欲しいのにね、身内の包みモノが60ケと公務員関係で香典返しが200ケは出てく計算なのに、250ケってね。
あんまりそう言うことしないうちの社長(父親)が、「その数で大丈夫ですか?以前同じような~」って言うようなこと言うぐらいだし。
あとの二つは、田舎特有と言うか、未だに農家じゃなくても男の子ageが強い土地なんだよ。
何度、「男だったらね」とか「お婿さんとりなさい」とか言われたことか。
最後のは、四人で車旅行中の旅行、交通事故を貰った末に1人だけ生き残った男性に亡くなった別の男性の親が言った言葉。
言っちゃいけないよね、息子さんらしき人がとても悲しそうに透けてたから。
話しが、ズレた。 私はかなり付き合いにくいというか、そう言うとこがあると思う。
ひねくれてるのは、自覚してる。
だけど、人間不信と人間好きが同居してるのは、どうなんだろう。
「……それで、そちらの用件は?
無いのなら、帰りたいんですが、一応、決まった予定の無いとは言え旅行中ですので。」
「……この国はどうなると思いまスか?」
「……素人考えですけど、今の流れ、もしも、韓国に女性の国家元首、向こうは大統領でしたっけ?
それが立てば、今度こそ、『日本だった』国になるでしょうね、数十年前の傑物はそうさせなかったけれどねぇ。
領土問題からの軍事行動、そこからの戦争。
ハメられた、と言えば、それまでですけどね、公共の電波に乗る以上のことを調べようとすれば、変わり者扱いの国ですから?」
「面白イお嬢さんでスね。」
「田舎の変わり者だからねぇ。
少なくとも、ミッドウェイで情報が漏れず、作戦が成功していれば、今ほど弱腰じゃなかっただろうし。
……アメリカにわたった同胞を「そっちが今の祖国なんだからそっちの軍で戦え」なんていう良くも悪くも不器用な国だしね。
戦争を肯定しなきゃいけない軍人に言うのはアレだけどね、戦争を選んだ時点で勝とうが負けようが、負けてるんだと思うよ。」
「why?」
「フィレンチェの外交官曰く、「戦争は勝っても負けてもマイナスである」というもんだよね。
百万人を殺すのにそちらは十万人を支払ったなんていう数字もある、まぁ、技術はともかく物量で押しつぶした感ところがあるけれど。
死んだだけなら、ヨーロッパ戦線の方が多いけど、損害率だとねぇ、ドイツが沈めれなかった巡洋艦?だとかを十隻沈めてる。
まぁ、その数倍は沈められてるけれども。
日本刀と機関銃のような設計思想の違いもあるし、物量的や精神的な問題もあるから、その辺は議論の必要はないけれどね。
……そうだね、真珠湾を沖縄沖で、日本役を中国が朝鮮の両方がやるんじゃないかな。
国内の不満を外にある国にぶつけて逸らすのは、まぁ常套手段だ。
そして、アメリカが付いているとは言え、距離も近いし弱腰の日本は、いい標的だ。」
「Very unusual Lady.(すんげ-変わった女性だね)」
ムッチャいい発音で言われたけど、意味が拾えないほど言葉を知らないわけじゃない。
ヒアリングだけ、ならそこそこなのである。
高校時代、赤点を取った時のテストも、得点の三分の一をヒアリング満点でとったぐらいだし。
「貴女は、面白イ考えでスね。」
「変わってるのは自覚してる。
ただの、知識マニアなんだよねぇ、興味あれば何でも調べるし、シュミュレートする。
その道一筋には敵わないけれど。」
ああと、もう少しあれと言うかここに書けないというか、アランさんにフェイク入れても書いちゃダメって部類のお話してるからね。
どうでもいいというか、雑談ちっくな部分をちょっと増補して書いてる。
書けない部分は一応、アランさんとしては、どうでもいい部分ではあるんだけど、上としては(もごもご)な部分だもの?
繰り返すけど、結構、内心、大嵐。
若い時は「女はくそ度胸」と言うとこだったけど、結構バキバキに折れた。
「Alan, What are you doing! !」
(アラン、お前何をしてるんだ!!)
「Granpa, still, are not you supposed to hospital?」
(お爺様、何故此処に、病院にいるはずじゃ?)
「I heard that I visited there for women.
Interpretation white, and fool grandson.」
(お前が、その女性のとこに言ったと聞いたからな。
通訳しろ、このバカ孫息子が!!)
話の途中に突然、クラプトン翁がいた。
と言うか、レッドに訳してもらうと、病院からどこかに聞いたら、私と孫が此処に居るのを聞いたと言うべきかな。
ちなみに上の会話は、レッドに訳してもらったのを更にグーグル翻訳にかけたものだから、多分正しくないだろうけど、ニュアンス的にこう言う会話してた、ぐらいなもんだと思う。
その時は持ってなかったけど、霊体を触れるマフラーの応用で、霊力を手に纏わせて、レッドを捕まえてた。
だって、クラプトン翁を見て逃げようとしたからね。
制御苦手と言うか、相手を破壊する前提だったら、其処まで疲れないんだけども。
壊さないように、だけど逃がさないようにを前提だと疲れる。
ノリで言うなら、小豆ご飯ならがぱっと食べられるけど、生の小豆を一粒一粒端でお皿移動させるのに似てる感じ?
「Oh, Alfred will talk.
Since I do not speak only a little English,please understand.」
(意訳:英語少しだけしか喋れないから、ゆるしてちょうだい。)
疲れるけど、私は英語が苦手で、彼らの母国語が英語だ。
滅多にやらないというか、これ含めて当時までで三人しかやってないし、本来なら、誰か同じ霊感もち?霊能力者?が1人は欲しい、荒業である。
私は、基本的に漫画のようなことはほとんど出来ないし、しない。
攻撃や干渉してきたら、鼻っ面をぶったたいて逃げるが基本戦法なんだけども。
(その割には、そう言う場所に行ったりするとかしてるけど、お人よしではあるんだ、友人には)
だけどもね、伝えたかったことやしたかったことはあるんだろうなって思うと、手段があるなら知っていて欲しいと思う。
生きてるものには、私の自己満足だもん、自覚はしてる。
某SKよろしく、レッドをむんずと掴んで、私の中に入れる。
一応書くなら、このめ含めて後ろの眷属達には「アンタバカか!?」みたいなことは言われたよ。
気持ち悪い、と言うか、酷く窮屈な感覚だけど仕方ない。
後から聞くと、眼の色、レッドの赤茶になってたらしい。
うん、他の2人が日本人だから、分からなかったことだね。
こっからしたは、基本英語なんだけど、こう話したしこう聞こえてたって意味で日本語で表記する。
()は、私のツッコミである。
「よう、チャーリー。
老けちまったな、かれこれ、×十年ぶりか?」
(そりゃな、ってか、クラプトン翁、名前チャールズか。)
「レッドか?」
「おうよ、この嬢ちゃん面白ぇよな。
ちゃんと、チャーリーの話してくれたこと覚えてるぜ?」
(まぁ、好きに話せばいい、私が止めるのはある一点だけだ。)
数十年ぶりの会話だ。
墓石代わりのあの場所での一方的ではない対話。
片や、軍人ながらも上流に属するクラプトン翁。
片や、ゲットー育ちのチンピラだったレッド。
戦争がなければ、会わなかったかもしれない。
そう言う二人だ。
でも、そうは持たない。
霊感が弱くはないが、質はともかく、量がそれほどではないというか、こう言うことに向いてないんだよねぇ。
色々とやっても、それでも、二時間。
それだけしか持たなかった。
「これ以上は、無理だな。
お嬢ちゃんが持たない。
ありがとな、チャーリー、こっちに来るにしてもなるべく遅くな。」
瞬間に、意識が飛びそうになるのを堪えて、服のポケットの漢方薬の紙を剥いでコーラで飲み込む。
お世辞にもいい薬の飲み方じゃないけども。
同じく漢方薬系統の煮汁と甘くしたミルクを合わせた飴を口に含む。
気付け薬としてだけど、めちゃんこ苦い。
ミルク飴部分が、気休めなぐらいに。
「……疲れた。
うん、お節介だったけど、会話してくれてありがとうって感じかな。」「ええと、祖父もアルフレッドさんと話せて良かったと言ってイまス。」
「これも、縁でしょうね。」
『誰』が結んだかはわからないけど。
少なくとも、レッド達には話す意思がなかったんだもの。
なのに、私は引きずり込まれた。
多分、明言したら本当だと分かってしまうから、口にはしなかったけど。
クラプトン翁をどうにかしたのも、年齢的なことを抜くと『誰か』のせいだろう。
年齢が当時80代頭と考えるとあれだけど、それでも、よく鍛えてある身体だけ見たら、60代ぐらいなんじゃないかなってぐらい若々しい体だったんだもの。
さすが、軍人って感じのね。
真面目で豆で、本当に。
レッド達の影響もあるんだろうけども、ハイソな階級出身なのに、なんてかね、嫌味のないお人だった。
「できれば、また、会イたイ、とのことでスが。」
「うーん、可能と言えば可能、話し足りないでしょうし。
連れて来たと言うか、此処にいるのレッド以外にも、恐らく、話したいのはいるんでしょうけども。
先ほどのようなのは、今朝の段階で絶好調に近い体調でもこうなりますので、頻繁に行えません。
それで、Please tell me your name?」
「Charles=Clapton。
Please tell me your name?」
(チャールズ=クラプトンだ。お名前を聞いてもいいか?)
「Thank you, I'm Yumiko Kano.
So of mediums. It is an intermediary.」
(ありがとうございます、私は、叶野弓子です。
霊媒で、仲介者です。(ニュアンスとして、それ以上ではない、って意味で。))
「中々、難しい単語知ってまスね。」
「そっち生まれのRPGのシャドウランの日本語訳を知ってて、それの分からないまんまな単語を調べてると割と覚える。」
その後も、しばらく、雑談してた。
シェンナ(コイツに関しては、次の話で)に、他の戦友も連れてきてもらったりして、タイムラグはあったけど、数十年ぶりに会話できたようでクラプトン翁も嬉しそうだった。
んで、夕飯をご馳走になったんだけど、さすがアメリカって感じの肉の塊でした。
それから、年に二度三度、大体は名古屋で会って、誰かを降ろして会話させて。
或いは、クラプトン翁を伴って、色々と名古屋を観光案内したわけだ。
平易な日本語か英語で色々小難しい話もしてるけども、それでも、親子でもないし孫祖父でもないから、やっぱり友人なんだろうな。
と言うか、今更ながら、どういう関係に見えてたんだろうか。
アランさんが居たり居なかったりだったから、なおさら謎の組み合わせだろう。
80代の白人老人と20代の日本人女性。
後は、数ヶ月に一回の手紙とクリスマスカードのやり取りだけだ。
……最後に、基本的にこういうことしないんだけども。
だけどね、覚えていてくれるのがいるのは、幽霊にとって何よりも僥倖だってのが分かってるからね。
それが、死んで数十年経てば、居ること自体が奇跡だもん。
んで、数年前、クラプトン翁は、九十少々で天に召されて、今に至る。
そう言う、お話。
怖い話でもないし、話ベタなせいで不思議な話どまりな気がします。
と言うか、スレてるせいか、怖い話も怖くないかも。
あ、最後に作中の「フィレンチェの外交官」こと、マッキャベリさんの言葉は物凄く意訳してありますのであしからず。