真実
7月16日 午前8時
鏡夜『所長、ここの兵士全員をフィールド前に集めてもらえますか?』
所長『どうかしたのですか?』
鏡夜『伝えなければならないことがあります。』
兵士達は緊急集会と伝えられ、フィールド前に集められることになった。
槍上級クラス前
愛望『緊急集会だなんて、なんかあったのかな?』
片手剣上級クラス前
劉輝『緊急集会?なんか嫌な予感がするな。』
午前8時20分 戦闘フィールド前
所長『鏡夜さんから大事な話があるそうです。しっかりと聞くように。』
ざわついていた兵士達が一斉に静まった。
鏡夜が深刻そうな顔をして階段を上り、兵士達のほうに顔を向けた。
鏡夜『今日なみんなに伝えなければいけないことがある。地球外生命体についてだ。』
鏡夜『単刀直入に言うと、奴らの侵略行動が今日から2週間以内に起こされる。』
兵士達が騒ぎ始めたが、鏡夜は話を続けた。
鏡夜『調べによると、ターゲットとなる場所は.....此処だ。』
劉輝『っ!それは本当なのか!?』
劉輝は思わず口走った。
鏡夜『あぁ。ほぼ確実だろうな。』
劉輝『何故それを知っている?』
鏡夜『俺は元国軍兵士だ。この情報は国から伝えられた。俺は此処の全ての兵士を奴らと互角に戦えるようにすることを目的に此処に来た。』
しばらく沈黙が続いた。劉輝以外の兵士は驚いたまま鏡夜を見つめていた。
劉輝『俺たちはどうすればいいんだ?』
鏡夜『今のお前達じゃ、歯が立たない。何故なら動機見察を持っていないからだ。』
鏡夜は動機見察の説明をした。
鏡夜『つまり、動機見察が無ければ、奴らに攻撃を与えることも、奴らの攻撃をかわすことも出来ない。』
愛望『(そんな無茶苦茶な...)』
鏡夜『だからおれは奴らの侵略が始まるまでに、お前らに自分の命の守り方を教えなければいけない。』
そして鏡夜は以下のことを説明した。
鏡夜自身は動機見察を持っていること
動機見察を使用するときの特徴について
動機見察を使用すると目に色が出る
地球外生命体について
地球外生命体は危険度に応じてランク分けされている。またそれには動機見察を使用するときの目の色が関係している。
Dランク:使用時の目の色が黄色
Cランク:使用時の目の色が緑色
Bランク:使用時の目の色が赤色
Aランク:使用時の目の色が青色
地球外生命体は人間に似ている容姿をしていて、ほぼ見分けがつかない。
今回の侵略行動によって兵士訓練所を襲撃してくる地球外生命体のランクはD。
鏡夜『これからの訓練は、俺が各クラスに配る指導内容に従ってくれ。質問はいつでも受け付ける。』
あっという間に時間が過ぎ、鏡夜は急ぎ足でその場を去った。
兵士達の中には怖がり泣き出したり、失望したような顔をするものもいた。
そして兵士達は各自クラスに戻った。
鏡夜がクラスに戻ろうとしたとき、鏡夜は後ろから声をかけられた。
声をかけたのは治療系魔導士の上級クラスに属する玲奈だった。
玲奈は身長が低くみんなから可愛がられる存在で、おっちょこちょいな性格だ。
玲奈は両手で杖を握りしめ、あどけない顔を歪めて鏡夜を見ていた。
玲奈『あの、すみません。』
鏡夜は振り返り玲奈の顔を見た瞬間目を疑った。
鏡夜『(咲弥......?)』
鏡夜『君、名前は?』
玲奈は突然の質問に戸惑った。
玲奈『あ、え...えっと、玲奈っていいます』
鏡夜『いきなりごめんな。俺の知り合いに似ていたから...』
玲奈『咲弥お姉ちゃんのことですかっ!?』
鏡夜『君、もしかして...』
玲奈『5年前の大陸防衛戦で行方不明になった咲弥という人の妹です。』
玲奈『鏡夜さんは、さっき元国軍の兵士だったと言っていましたよね?だから、姉のことを何か知ってるんじゃないかと思って...。』
鏡夜は言葉が出なかった。
しばらく間があいたあと鏡夜は口を開いた。
鏡夜『今は話す気分じゃない。ごめん』
鏡夜はそう言い残してその場から逃げるように立ち去った。
その日から訓練は本格化した。2週間以内に奴らが侵略して来る恐怖に怯えながら。。。