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彼女たちの日常

「ハァ……ハァ……」


「ハァ……ハァ……」


小さな部屋の一室で二人の吐息だけが響いていた。

私はベットの上で手錠をかけられ、身動きがかけられないでいた。彼女は今までの行為を噛みしめるように、ある得物をじっと見つめていた。私に馬乗りになったままで。

とりあえずしばらく休めるかも。そう思ったつかの間、彼女は再び得物を私に突きつけた。


「先輩……。わたし、先輩のこと大好きなんですよ」


彼女が持っているのは、日用品とかでよく見かけるカッターナイフ。彼女はそれを私の腹部に勢いよく振りかざす。


「アッ……グ……」


鋭い痛みが走り出す。傷口からは赤い血が溢れ出していた。私の服や彼女の服がその新しい赤色で彩られていく。

きっと今私の顔は苦痛で醜く歪んでいるだろう。目の前の彼女と違って。


「……先輩、いただきます」


彼女は私に刺したカッターを抜いた。傷口からは血が止めどなく流れ出す。もしかしたら、大きな血管の1本か2本逝ってしまったのかもしれない。

彼女はその傷に自分の顔を近づけて、舐め始めた。

ピチャリ、ピチャリ、と音を立てながら彼女は一心不乱に舌を動かし続ける。さながら、主人に甘えている子犬のようだ。彼女のよだれが傷口から入り込み、私に鈍い痛みを与えていた。


「ーーハァ……」


どれくらいの時間が経ったのだろう。彼女は満足そうに私の傷口から口を離す。口に残っていた私の血を味わいながら、とろけるような顔で私を見つめていた。


「先輩、美味しかったです。

でもですね、まだ足りないんですよ。もっと、もっと、もっともっともっともっともっともっともっともっと、先輩をもらってもいいですか?」


彼女はカッターナイフを持ち直し、私に向ける。

ただ傷つけたいだけなら、何も言わずに手を出せばいいと思われるだろう。でもこれは彼女にとっての愛情表現なのだ。醜く、歪んだ、私たちだけの。

だから私はキチンと向き合って応えてあげる。


「大丈夫だよ。でも、やさしくしてね」


「わかり、まし、たっ!」


そう言いながら彼女はなんどもなんども刃を私に突き刺していく。あまりの痛みに思わず声を上げそうになったが、彼女はそれすら許してくれなかった。


「先輩、大きな声出したらご近所さんに迷惑かかりますよ。すぐに終わりますからねっ!」


「〜〜」


口の中に指を突っ込まれて、無理やり声を押さえ込まれる。歯が当たって切れたのか、口の中で私のとは違う鉄のような匂いが広がった。

しばらくして、彼女の手は止まった。自分のお腹を見てみると、皮が、肉が、臓物が、なんども刺されてグチャグチャにかきまぜられていた。

彼女はその中から大きめの破片を選んで口の中に入れる。


「はぁ、先輩が私の中に入ってく……。わたし、先輩と一緒になれているんですね……」


クチャリ、クチャリ、とその味を堪能しているかのように私の肉を噛み続けている。


「あ、先輩ごめんなさい。一人で堪能してしまってて」


彼女は私の口から手を抜くと、代わりに自分の口を私につけた。彼女の舌が私の口内を舐め回す。彼女の口に入っていたものが私の口に移っていき、口の中いっぱいに血の匂いが充満する。


「ん〜〜、ん〜!」


息が続かなくなり抵抗しようとするが、彼女は私を味わうことに集中してしまって聞く耳を持たない。解放されたのは彼女が存分に堪能した後だった。


「ーーはぁ、ワタシの中に先輩がいて、先輩と同じものを食べて、ワタシとっても幸せです」


初めて彼女に会った時、すぐに壊れてしまいそうだと思った。したいことを我慢し続け、いつか決壊したダムのように暴走してしまう、そんな気がした。でも、私なら彼女を幸せにできる。これはこんな私を愛してくれる彼女に対するお礼なのだ。


「私も、あなたに会えて幸せだよーー」


その後、再び興奮した彼女にメッタメタにされ、すべての行為が終わる頃にはすでに日が昇り始めていた。


「もう、刃物使うのはいいって言ったけど服は壊しちゃダメでしょうが」


「う〜、ごめんね……」


今は二人で部屋の片付けをしている。さすがに誰も入ってこないとわかっていても血だらけのまま放置しておくのは問題があるだろう。事実、一度彼女がこのまま私を堪能していたいと言って片付けずにいた時、警察沙汰になりかけたことがある。

物押しそうに見つめてくる彼女を尻目で見ながら、汚れたシーツや服をまとめていく。


「先輩、いつもごめんなさい」


そんなことをしているとふいに彼女が謝ってきた。


「どうしたの? いつものことじゃない」


「でも、先輩が痛いってわかっているのに、苦しいってわかっているのに、ワタシやめられなくて……」


「もう……」


最近になって彼女は時々こんな弱気な発言をするようになっていた。愛しすぎるという行為が一周まわって罪悪感を覚えるようになったらしい。

泣きじゃくっている彼女を私は両手で優しく抱きしめる。彼女は少し驚いたように震えたが、すぐに私の体に身を委ねた。


「大丈夫。たとえどんなことがあっても私はあなたを嫌いになんかならないから」


孤独な不死者と壊したがりの狂愛者は互いに足りないところを補いながら生きていく。


「私はあなたのことを愛してるわ」


「ワタシもです。先輩」


人の理を外れた者たちの恋物語はきっといつまでも続くことだろうーー。

ノリで書き始めてやっちゃった感があるのは気にしないでください。

各キャラのスペックは

・先輩 165後半 黒髪ロング メールアドレスは後輩のだけ 一人暮らしなう

・後輩 150前半 茶髪ショート 小動物系女子 好きなものを壊したくなる衝動持ち 一人暮らしなう

となっています。後輩の衝動になんか略称みたいなのあったと思うんだけどわかりません。教えてください。なお、二人の名前はまだ未定なのでご希望があれば是非。

次回は2人の過去編で。それでは。

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