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黄校曲 第二番 前

 黒を基調とした制服を着た男女が、ひとりふたりと歩いて来る。ごくふつうの高校の、ごくふつうの登校風景。

 その中に普通と違う景色を見つけ、私は影の中で立ち止まった。

 ふたりの少年が、ひとりの少年を壁際に追い詰めている。それもまた、必ずどこかにある、いつになってもなくならないもの。

 私は、ああゆうのがとても嫌いだ。特に、反抗する力がありながら従う者が。

しばらく見ていたが事態は変わらない。ただ二、三回ほど少年が殴られただけだ。

 少年は相変わらず、反抗するつもりはないらしい。

 私は気まぐれを起こして近づいた。だれにも見つからないようにこっそりと。そして殴られた少年の後ろから、その耳元に小さく囁く。

 力の正しい使い方を。






 授業の終わりを告げるチャイムが鳴りひびいた。HRが終わり、生徒たちはつぎつぎと教室を出てゆく。

 そんな中、他の生徒とともに帰ろうとするキスイを、クラス担任の教師が呼びとめた。


「キスイ、お前さぁ進路希望の紙、まだ出してないだろ」

「いやぁ俺、まだ右腕治りきってないからさ。右利きだから、左手で書いたら先生読みにくくなるだろ?」

「心配しなくてもいいぞ、読めるまで書き直しさせるからな」

「先生、アンタ鬼だ!」

「かわいい生徒のためなら、鬼にでも仏にでもなるさ。だからお前は終わるまで帰るなよ」

「……マジ鬼だ」


 3年間も顔をあわせている、教師と生徒の会話。

 キスイの反論を笑顔でかわして、教師はそのまま廊下へ出て行った。

 キスイが担任に捕まっていた丁度その時、一人の生徒が病院へ運ばれて行った。

原因は不明。

 ただ、彼は朝から顔色が悪かったらしい。事件の報告は意外な所から、キスイに告げられた。


 キスイは机の上の紙をにらんでいた。2年のうちから大学へ進学すると決めてあり、今もまだそのつもりでいる。

 だが…その先。

 大学へ行って、それから何をするのか、したいのか。それが思いつかなくて、どの大学を受験するのかがはっきりしない。

 とにかく勉強をして、有名どころを狙えばいいとも思ったが、目標がないとモチベーションが全然あがらない。

 あくびのような、叫びのような奇声を吐きながら天井を見上げたキスイの目の前に、人の顔があった。


「こんにちは」


 天井に少女が立っている。


「えーっと、その。どちらさま?」

「浄霊部に所属しています幽霊部員。岩松くるみ(いわまつ くるみ)です」


 天井の少女は、にっこりとほほえんでお辞儀をした。


 黄央高校の七不思議に『幽霊の住み憑く部室』というのがあったことを思い出し、それが浄霊部の部室なんだろうとキスイは納得する。


「真昼の幽霊か。意外とはっきり見えるもんだな」


 漆が塗られたような黒髪。乱れひとつなく着つけられている旧制服。

前髪はまゆげの上、後ろ髪は肩口で切りそろえられている。『教科書どおり』というべき姿がそこにある。


「ええ、あそこには依り代がありますので、とても助かっております」


 依り代とは、霊体をこの世にとどめるためのものだったと授業で言ってた気がする。

 肉体という依りどころのない幽霊は、とても儚い存在だ。普通なら水に垂らした血のごとく、すぐに散って消えてしまう。依り代は魂を守るための、かりそめの入れ物なのだと。


「で、何の用?」


 キスイはくるみを見上げている。

 逆さまに立っているのに、髪の毛も制服も落ち着いている。

 校則には従っているのに、重力の法則には従ってないんだな、と関係のない思いが頭をよぎった。


「用というか、ちょっと相談したいことがありまして」


 くるみは口元だけ笑った。





 キスイは一年の教室に向かっていた。

 くるみは普通に廊下に足をつけて、説明をしながら歩いている。数日前、校門付近で起こったこと。

 その日に彼女が少年にしたこと。そしてその後、なにが起こったのかを。

 くるみの説明を聞いて思ったことを、キスイはつい声にだしてしまった。


「つまり全部君のせいだな」

「ひどい!そんな言い方しなくても…」


 まるでこの答えを予測していたかのような速さで返された。

 しかし、うつむいて小さくなっている少女を見て、キスイはちょっと罪悪感を感じてしまった。


「ああ、ゴメン」


 とりあえず謝ると、くるみは涙を拭う真似をした。


「いいんです。その通りだし。でも、私が何とかしたいけど、どうにもできないんです」

「それで、そいつに能力の扱い方を教えてやってほしいと」

「そう。お願いしていいですか?」


 扱い方と言っても、能力によってかなり変わる。気楽に返事することができない。


「そいつの能力って何?」


 そう聞いた時、一年の教室から怒鳴り声が響いた。


「違う!僕じゃありません!!」


 まるで内側から馬が蹴飛ばしたかのように、腹にひびく音をたててドアが壁に叩きつけられた。

 ドアが外れたところから、小柄な少年が飛び出して来た。


「あの子よ。緒形斗祈(おがた とき)っていうの」


 トキは自分が出て来た教室を振り返りながら、キスイの方へ走って来る。正面にまったく注意がとどいていない。


「廊下を走ると危ないぞ」


 キスイは止めるつもりで声をかけた。

 しかし正面を向いたトキの顔には、単なる障害物としか見えてないようだった。


「どいて下さい!」


 トキの言葉とともにキスイは見えない何かに強く押されて、教室側の壁に押し付けられた。


「うわっ!」

「あっ!ごめんなさい!」


 トキは、キスイの横を走り抜けて行ってしまった。

 トキが曲がり角に消えた後、くるみはキスイの背後から言った。


「今のがあの子の能力よ」


 キスイは自分の右腕にさわった。

 トキとは距離があり、触れられてもいないのに真横に強く押された。


「キスイか?大丈夫か?」


 トキのいた教室から、知り合いが顔を出した。





「彼の能力はサイコキネシスらしい」


 先ほどトキが飛び出していった1年生の教室。ドアをはめ直したキスイは、手近なイスに腰をかけた。


「情報が遅いよ、イヅル風紀委員長」


 キスイは不機嫌に返したが、すぐに笑む。


「ま、しかたないか。今日はいるだけマシだな」

志島井弦(しじま いづる)、風紀委員長であり、キスイの親友。

 さわやかな見た目と裏表のない人柄で、『恋人にしたい生徒・男子部門』の1位に選ばれている。


「毎日いないわけじゃないよ。クランクインもしたし、あとは映像の仕事だからね、もう普通に来れるよ」


 イヅルは、大手の芸能事務所に所属している。

 イヅルの家系は、昔から演劇や歌謡を仕事としてきた。両親や親戚について歩くうち、当然のように彼は芸能の技術を自分のものにしてきた。

 学校生活も、芸能生活も、イヅルにとってはどちらも大切な日常なのだ。


「雑談はそれくらいにして、本題に入りません?」


 2人の横から、くるみが口をはさんだ。


「イヅルさんはあの子にどういう用があったのですか?」

「部室のほうにタレコミが来たんだ。下級生が能力を使って、他の生徒を病院送りにしたってね」

「その生徒は?」

「2年の、いわゆる不良って言われてる生徒だよ。タレコんできたのもやっぱり同じ。次は自分の番だって思ったんじゃないかな?」

「恨まれてる自覚はあったのですね」


 くるみは1人でなにかを納得していた。


「それで、病院送りになったヤツは骨でも折られたのか?」


 物騒なことを笑って言うキスイだが、本気ではないことはイヅルにも分かっていた。


「それがどうやら、呪いの類いらしいんだ。病院の検査では、体の外にも中にも疵はなかったらしい」

「…あいつは数日前に、いきなり能力に目覚めたらしいな」


 くるみをチラリと見ながら言う。


「そう聞いてるよ」

「二年の生徒に囲まれていた時に、ってのもか?」

「さっき言った二年からも詳しく聞いてる」

「なら……」

「彼はあの力を悪いことには使ってない」

「信じるのか?」


 キスイの問いかけに、イヅルはさわやかに微笑んで質問を返した。


「君もわかってるんだろ」


 まあな、とキスイはうなずく。


「被害は呪い系、あいつは直接物理系。サイコキネシスだけなら理屈に合わない」

「なら、呪いはどこからきたんだろうな?」

「それは私が知ってますわ」


 妙な流し目で、くるみはイヅルを見ながら言った。


「今朝、その人たちが話しているのを聞きましたの。それによるとその人たち、どうやら音楽室で噂の人を見つけたらしいですわ」


 なぜかとても楽しそうにくるみは話した。






 問題の呪いの話を聞いたあと、キスイとイヅルは音楽室へと向かっていた。くるみは浄霊部の部室に戻ると言って消えてしまった。


「目が光るベートーベンの絵。目が合うと三日以内に死ぬ、だな」

「肝試しに行って、本物にあってしまったパターンだね」

「3月の定期調査じゃ、なにもなかったってのに。最近、この学校おかしいよな」


 学校側も管理責任があるため、専門家に定期的な調査を依頼している。本来はキスイ達のような、生徒自らが問題解決に当たるほうが珍しい。


「そういやキスイ、腕は平気なの?ヒビが入ったって聞いたけど」

「ああ、包帯は取れた。絶対に無理するなと言われたけどな」

「じゃあ、気をつけなよ」


 キスイはニヤリと笑って、大丈夫だとうけあった。

 そして2人は白い扉の前に立った。


―――


 その日、トキが音楽室に部活の準備に行くと、運悪く不良の上級生二人に捕まってしまった。いや、もしかしたら彼らはトキを待ち構えていたのかもしれない。だがトキにとってはどちらでも同じことだった。


「離して!やめて下さい!」


 トキの両腕は、二人の人間によってしっかりと抱えられてしまった。小柄なトキがいくら暴れて叫んでも、つかまれた手に痛い程の力が加わるだけだ。

 二人の不良は薄く笑いながら、音楽準備室の扉を開けた。

 最初はちょっと怖がらせてからかうだけのつもりだった。

 だが二人は、トキの尋常ではない怖がり方に嗜虐心を刺激され、優越感を感じていた。

 だがトキが恐怖を感じている本当の理由は、この不良によるものではなかった。準備室からにじんでくる、背筋をアリが這い登る様な悪寒。

 それと同じものを、二人もうすうす感じているのだろう。

 しかし、トキほど感覚の鋭くない二人はその悪寒を理解ができずに、自分たちのちょっとしたイタズラのスパイス程度にしか思っていなかった。


「離して下さい!僕に近付くな!」


 トキは得体の知れない恐怖に突き動かされ、身を守るためにその能力で一人を突きとばした。

 自分達よりはるかに弱いはずの羊の、突然の反抗に緊張の糸を切られ、不良の二人は激昂した。

 トキを二人がかりで準備室に連れ込むと内側から鍵を閉める。

 薄暗く、空気のよどんだ小さな部屋。


「嫌だ、イヤだ、ここには居たくない!」


 ふくれあがる恐怖感から、半狂乱になりながらトキが逃げようとするが、不良二人が横から押さえ込む。


 小さな部屋に、不機嫌そうな声が響く。


 煩い。

 五月蝿い。

 うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい。


 不良の二人は、それが自分の口から出ている言葉だとずっと思っていた。

 逃げようと暴れるトキの力は以外に強く、黙らせようとしているその声にさえ苛立って、彼らは大きな叫びをあげた。


「うるせぇ!」


 不意に、すべての音が止まった。

 三人とも、突然できた音の空白に戸惑い、何が起こったのか顔を見合わせた。薄氷の上に立ったような緊張感が、彼らを動けなくする。

 トキは入口を向いて、不良の二人はその逆、部屋の奥を向いて固まっている。

 何分、それとも何秒だったのか、鉛のような時間が過ぎた。

 トキは静寂のおかげで、かなり落ち着きをとりもどしてきていた。しかし、余裕を持てたせいで無関係な事が頭に浮かぶ。


 まるで自分達は蝋人形のようだとトキは思った。そして、その蝋人形をつかもうと何者かが手をのばしてくる。その手は、年齢によってではなく、外的な力によって皺がついている。

 そんな光景がトキには視えた。

 皺のよった手が、生命を感じさせない手が、トキの背後から近付く。トキは、空気が固まり、耳が詰まったような気がした。

 外からは何も聞こえず、ただ自分の心臓の脈打つ音と耳鳴りしか聞こえない。

 背後で、乾いた紙が開くような音が、それだけが幽かに響き、皺のよった手が……。


 その直後、ブラスバンド部の部員が忘れ物を取りにこなかったなら、トキは助からなかったかもしれない。

 準備室の扉が開いた瞬間に、あの気配はどこかへ消えてしまった。


 だが、トキとは反対に部屋の奥を向いていた不良の二人は、真正面からその何かを見たようだ。

 今朝になって、不良の二人は血の気の引いた顔でトキに詰め寄ってきた。

 半分は意味の通じない脅迫だったが、彼らが何かに追い詰められていることは何となくわかった。

 そしてトキは今、ふたたび、準備室の扉の前に立っている。今度は自分の意思で、一人で、音楽準備室の扉に手をかけた。






 キスイが音楽室のドアノブを掴むと、急に表情を変えた。

 イヅルが視線でどうかしたかを聞くと、キスイはドアノブを掴んだままドアの向こうをにらんだ。


「振動だ、誰か叩いてる」


 キスイが目線を送るとイヅルはポケットから小さな丸い緑の珠を取り出した。


「開けた瞬間に飛び出してくるってのはないよな」

「なら、刑事ドラマみたいにやってみようか。キスイが突入して、ボクがバックアップする」

「わかった。それで行こう」


 うなずき、イヅルが小さく唱え始めたのを確認して、キスイはドアノブを回した。

 体ごとドアを押し込み、一気にドアをあける。

 同時に中から飛び出してきた何かが、キスイの横をすり抜けようとした。


「オン!」


 イヅルのするどい声とともに珠が飛び、音楽室から出てきた何かに命中した。


「アミタリティ…」

「待て待てイヅル」


 キスイがイヅルを遮った。

 二人の目の前には、額に珠を受けたまま、呆然としているトキがいた。


「大丈夫か?おーい」


 立ったままピクリとも動かなくなったトキの頬をキスイはペチペチ叩く。


「あ、えっと、いったい何が……。まさか!」

「悪い。まさかキミがいるとは思ってなくて……」

「ごめんなさいごめんなさい助けて下さい許して下さい僕はそんなつもりじゃなかっ……」


 突然早口で話し始めたトキの頭に、ポン、と手をのせる。


「ちょっと黙れ」


 トキが黙ったので、キスイは手を離す。


「ごめんなさいもうしませんごめんなさ」


 トキの頭に手をのせ、離す。


「ごめ」


 手をのせる、離す。


「もうしませんか」


 手をのせ、離、そうとしたキスイの手をイヅルが止めた。


「もういいから。それよりも……」

「悪い、ついな。えっと、オガタトキ君だったな。君はここで何をしてるんだ?」

「…」

「…」

「キスイ、手」


 イヅルに言われて、手をトキの頭から離す。


「ごめんなさい!あの、僕はその、あの」


 キスイはまた手を伸ばし、今度は左肩に置いた。

 トキは身をすくませて、恐る恐るキスイを見上げる。


「大丈夫だ。後は俺らがやるから」

「ち、違うんです。僕は、僕だけ助かってしまったから。あの人達はあんなに怖い目に遭ったのに」

「あいつらは自業自得だ。君はただ」

「違います。僕は何もやってませ」


 今度はイヅルが、横からトキの頭に手を置いた。


「君も来るかい」


 ためらいも、抑揚もなく、イヅルは言った。

 トキは目の前の三年生二人を見比べ、小刻みに二回うなずいた。


「じゃあ入って」


 トキをクルッと半回転させ、イヅルは音楽室へ入っていった。


「……あっさり決めすぎだ。少しは俺にも相談しろっての」


―――


 音楽室は芸術棟の三階、突き当たりにある長方形の部屋だ。入口から入ってすぐ右に窓があり、教壇を挟んで入口と反対の位置に、準備室への扉があった。


「あそこが、その部屋だね」

「はい。でも開けない方が……」

「それはどうしてだい?」

「いえ、その……、すみません変なこと言って」


 うつむくトキに、イヅルが何かを差し出した。


「これ、持ってて」


 そう言って手渡されたのは、ヒスイ色の小さな珠だった。


「お守りだから。しっかり持っててね」

「あ…ありがとうございます」


 キスイは、そんな二人の横を抜けて準備室のドアノブを握った。


「あ!あのっ!」

「ん?」

「入ってすぐに、誰かいます」


 キスイはイヅルの顔を見る。イヅルはあいまいな微笑みで、わずかに首をかしげた。


「実体は、はっきりしてるか?それともぼやけて見える?」

「ちょっと……わかりません」


 自信なさげなトキを見て、キスイは少し考えてから聞いた。


「オマエは自分の能力を自覚してるか?」

「ぼ、僕ですか?」


 トキは自分の手や体をあわてて見回す。それから泣きそうな顔で、キスイを見上げた。


「もってません、ごめんなさい」


 キスイは首を振る。


「トキ、お前はもうイジメをはねのけられる力を持っているんだ。暴力から自分の身を守れる力を手に入れたんだよ」

「で、でも。僕は、そんな力なんて持ってませんよ」

「そんなことはないさ。上を見てみろよ」


 キスイが指差した先を目で追うように顔を上げると、トキの頭上には、緑色のビー玉のようなものがたくさんあった。

 イヅルが先ほどトキに渡したものと同じ珠だ。


「え??」


 重力に引かれて、その珠は下にいるトキに向けて落ちてくる。頭をかばおうと上げた両手を、キスイが途中でおさえつけた。


「よく見て、止めろ!」


 キスイの言葉を理解する間もなく、珠がトキの耳や髪をかすめる。

 そして一つの珠がトキの額に向けて落ちてきて、皮膚に触れる直前で動きを止めた。

 バラバラと音を立てながら、珠が床に落ちてゆく。あれだけたくさんあったのに、トキに直接当たりそうになった珠は一つだけだった。

 そして床に落ちた珠は、転がりながらイヅルの足元に集まっていく。


「力を使う為にまず必要な事は、自分の力を認識することだ」


 トキの額の上で静止した珠をつまみながら、キスイが言った。


「オマエは、自分の力で自分を守ることができる」

「自分の力で、自分を守る?」

「ああ、ひとりでここまで来れたんだ。勇気もある。だから、できるさ」

「僕が、勇気がある?」

「そうだ。そして戦うのは俺達がやる。だから、自分の身をしっかり守ってやれよ」

「……はい、頑張ってみます」


 トキは少し不安そうな顔をしていたが、それでもしっかりうなずいた。

急に長くなって、前、後編になりました。

書いてくうちに、いつになったら終わるんだと自分で思ったほど。

後編も長いですよ。

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