13/26
<13>
家の外で物凄い音がしている。まるで巨大な生き物が外で暴れまわっているような、雨、風、ぶつかる音。
夕方から、島に台風が上陸していた。この島では何年かに一度、夏の初め頃に台風が直撃する。今日は外出を控えるようにとの連絡が村からきていた。吹きつける風で家がグラグラと揺れて、叩きつける雨で屋根と壁が打楽器のように打たれる。
果樹園は大丈夫だろうか。僕は心配になる。それはアキタカも同じようで、彼が何度も外の様子を確認しようとするのを僕は止めなくてはならない。まだ世話を初めて一年もたっていないのに、彼はすっかりこの果樹園の守護者だった。彼の姿勢を、僕も見習わなくてはならない。
「あの果樹園は今日みたいな台風を何度も乗り越えてきた強い木ばかりなんだ。だから大丈夫だよ」
僕は自分に言い聞かせるように彼にそう言って、灯りのランプを消す。暗くなった部屋の中で、ますます外の轟音が響く。なかなか寝つけずにアキタカのほうを見ると、何度も寝返りを打ったり、身体を起こしたりしている。
眠れない夜を二人で過ごす。雨風の勢いはますます強まり、狂ったような音を立てている。それでも一人では、ない。同じ不安の、同じ夜を過ごす。そんな小さなことが、今日みたいな夜にはとても大事だった。




