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俺の日常非日常  作者: 本樹にあ
◆日常編②◆
60/91

番外編! 第八幕~白雪姫活劇物語~

番外編ですよー!

俺日のメンバーで白雪姫の演劇をするとこうなる。

ピーンポーンパーンポーン♪

(※超カッコイイ作者からのお願いとお知らせ)


この物語は、グリム童話『白雪姫』を題材とした物語です。

原作と多々違う部分がございますが、ご了承ください。

そして、この物語に登場する人物、その他もろもろはフィクションであり、実際に登場する場所の名前やその他もろもろとは一切関係がございませんのでそこんとこよろしくお願いします。


あと、実は作者は『白雪姫』という童話をよく知りませんので、話の流れやその他もろもろが全く違う風な展開になる事があると思います。


上記の事の1つでも気に入らない事があった方。

作者の存在が生理的に受け付けない方。

『白雪姫たんは俺の嫁!』と豪語なさる方は、直ちにブラウザバックする事をお勧めします。


以上の事をすべて受け入れられて、なおかつ『作者死ね!』とか思わない心の優しい方だけご覧ください。

『作者なんか朽ちてしまえ』とか思ってる心の優しくない方は、その気持ちを心の中だけに収められる方だったらぜひご覧になってください。

それでは『俺日流白雪姫』の始まり始まり~♪



番外編! 第八幕

~白雪姫活劇物語~



むかーし昔の事だった。

ある国のお城に、白雪姫と言うそれはそれは美しい少女がいたんだそうです。


―――そして場面は変わり、その国とはまた別の国のお城に、あからさまにきつそうな性格した王妃様がおりました。

ここで物語は進みだします。


そのあからさまに性格のきつそうな王妃が、ある日の草木も眠る丑三つ時に、魔法の鏡の前に立っておりました。

ちなみに魔法の鏡は、『何でも正しい事を教えてくれる鏡』という売り文句で有名な鏡で、王妃の使いの者が市場で根切りに値切って購入したものです。


まぁ、そんな細かい情報は置いときまして、物語の方に戻りましょう。


あからさまに性格のきつそうな王妃が、魔法の鏡に対してこう問いかけました。


「俺が目立てるにはどうすればよいでしょうか」


違うだろ。


「お、おっと、すまんつい本音が!」


よっぽど悩んでいたのでしょう。まさか魔法の鏡に目立てる方法を問うとは思いませんでしたよ。

まぁそんな事は置いといて、あらさまに性格のきつそうな王妃は、魔法の鏡にこう問いかけました


「えと、鏡よ鏡よ鏡さん……って、ちょっとまって!? 何で男の俺が王妃役なの!? 配役明らかに間違ってるよねこれ!?」


黙ってください。あなたは誰が何と言おうと王妃なのです。

王妃なら王妃らしくちゃんと性格のきつそうな王妃を演じきってください。


「いや、だけどよ! なんで俺が王妃だよ!? もっとほかにいるだろ、琴音とか!!」


もう決まった事なのですから黙ってください。

決まった事にいつまでもグダグダと情けない……見ていて痛いですよ。


「ひどいっ!!」


あからさまに性格のきつそうな顔した王妃が、魔法の鏡に向かって『鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しい女性は誰だい?』と問いかけました。

すると魔法の鏡は言いました。『世界で一番美しいのは、スッゲーナ王国に住む白雪姫です』と。


「ちょ、俺のセリフをナレーションで終わらせるなよ!?」


魔法の鏡の返答を聞いた地味な王妃は、まるでおれおれ詐欺に引っ掛かった狩人のような形相で怒り狂いました。


「一応童話だからこれ!! おれおれ詐欺とか現代風の手口とかないから!! 『狩人のような』とか童話的な表現使ってもごまかしきれてないから!!」


ぶーぶーとまるでブタのようにうるさい豚王妃の事は無視して、さっさと物語を進めましょう。


「豚王妃!?」


とにかくかなり怒り狂った王妃は、『白雪姫をギッタンギッタンにしてぬっ殺しなさい』と、運悪くトイレに起きてしまった城の兵士に八割方脅迫のような気迫で命令しました。

城の兵士は『アラホラサッサ』と、王妃の命令どおりに白雪姫をぬっ殺すため、城を飛び出しました。


だがしかし現在の時刻は草木も眠る丑三つ時だ。このままでは白雪姫の寝込みを襲う事となってしまう。

そんな事が頭をよぎった兵士は、一瞬動きを止める。……がしかし。

これは王妃様の命令……つまりは不可抗力として寝込みを襲えるではないか!!という何ともいかがわしい思考が頭をよぎり、若干興奮気味に、白雪姫の住むスッゲーナ王国へと自慢のベンツに乗車して走り出したのでした。


「ベンツ!? ベンツに乗っちゃったよこの兵士!!」


豚のような顔した王妃は黙ってください。


「ひどいっ!!」



―――そして場面は変わりスッゲーナ王国の一室では。

ひらひらと美しいドレスを身にまとい、そのドレスにも負けないほどの美しい顔立ちをした少女が、窓からきらきらと輝く夜の星空をひっそりと眺めておりました。

だが、そんな少女の顔はどこか退屈そうな顔で、大きなため息をついてます。


「はぁー……せっかく友達になったげたってのに、あのニセ不良の奴は相変わらずだしなぁ……男ならビシッとしなきゃだめなのよ! ビシッと!!」


おっと、部屋を間違えたようだ。白雪姫の部屋は隣でした。

この部屋は白雪姫のご友人のお部屋です。気をつけましょう。

ところで、さっきの方どこかで見かけたような気がするのは気のせいでしょうか。


……そんなことより白雪姫の部屋をのぞきましょう。

って、誰もいない。まったく、最近の若い白雪姫はすぐに出かけてしまうのだから困ったものである。

いったい白雪姫はどこへ行ったのか。それは森です。森に行ってなければ物語が進まないので誰が何と言おうと森に行ったに決まっているはずです。



―――そう信じて、場面は森へ。

すると早速、白雪姫のような人とさっきのベンツ兵士を発見。

どうやらすでに乱闘が起きているようだ。


「ヘイそこのお譲ちゃん……恨みはないがお命…いや、ハートを頂戴!」


「き、きゃぁぁあぁぁぁ!!!」


王妃の使いである兵士が、白雪姫と思われる人物に襲いかかっている。

兵士はまだ若く、この時代には珍しいメガネ姿。月明かりに照らされて光輝く銀髪がとても印象的です。


「ふふふ、白雪たんは僕の嫁ぇぇ!! 白雪たんはおそらくロリッ娘少女ォぉ!!」


最初の注意事項で読者様に向けて忠告したまでは良かったものの、白雪姫萌えの人がまさか出演者の中にまでいたとは予想外でした。


「き、きやあぁぁぁ!!!」


「白雪たんハァハァ! 白雪たんハァハァ!」


よだれを垂らし、例えるならそう、ポ○モンのベ○リンガのような表情で白雪姫を襲う変態兵士。

あの変態紳士、見た目はオタクっぽいのに足が速いのなんのってもう。


「ちょ、マジでやめろよオメガ!! キモいんだよお前!!」


白雪姫はそんなこと言いません。


「なんだと……白雪姫は山空だったのか……マジショックだわこれ……」


変態紳士は地面に両手両膝をついて激しく落ち込んでいます。

そんなことより、白雪姫…改め白海姫の事を不憫に思った変態兵士は、とても優しい口調で白海姫にこう告げました。


「僕は男には興味ない。さっさと行くがいい、コスプレ男子よ」


「コスプレじゃねぇし!! 好きでこんな恰好してるわけじゃねぇし!!」


王妃の命令に背き白海姫をかばった変態紳士…いや、変態兵士は、白海姫の代わりにその辺に落ちてたマネキンの首を抱え、王妃の元へ持って帰りました。


「くそっ、なんで俺が白雪姫何ぞやらにゃならんのじゃ……」


そういうこと言わないでください。


なんにせよ、悪態をつきながら蟹股で森の奥へと歩き続けた白海姫は、偶然にも小屋を見つけました。

白海姫は歩き疲れたのでしょう。勝手にお邪魔すると心に決め、ノックもせずに堂々と小屋へと侵入しました。


「チーッス」


品性のかけらもない声と挨拶で小屋に不法侵入する白海姫。

窓から明かりが漏れていていたので、てっきり小屋内に誰かいると思っていた白海姫ですが、小屋の中には誰もいないようです。


「……まぁ、いいや。ちょっくら休憩ー」


小屋のベッドによこになった白海姫は、ちょっくらどころかとても深い睡眠…つまり爆睡を始めてしまいました。


「ぐがぁー……! ぐがぁー……!!」


白雪姫はそんないびきかきません。



―――その頃、王妃の住むヤッべーナ王国の城内では。

先ほど森から帰ってきたばかりの変態兵士が、マネキンの首を抱えて魔法の鏡が置いてある部屋へとあわただしく入ってきます。


「王妃ー! 王妃ー! 白雪姫を始末して……って、誰もおらんではないか」


なんと王妃は、運悪くお手洗いのようです。

とてもタイミングの悪い地味王妃。



―――そして再び森。


「なんヨー♪ なんヨー♪ ごちそうなんヨー♪」


白海姫がすっかり夢の世界へと落ちている頃、その小屋付近になんとも愉快な歌声へが聞こえてきました。

歌声を頼りに辺りを見回してみたところ、緑色の服を着たとても可愛らしい小さな少女含め7人の小人たちが陽気に歌って歩いてきました。


「なんヨー♪ なんヨー♪ からあげなんヨー♪」


合計にして七人の小人は、スキップをしながら何やら楽しそうですね。

その中でも一番元気なのは緑色の小人。肩に鳥を担ぎながら、陽気にスキップしている。

それとは打って変わって、ほかの小人たちはみんな死んだ魚のような目をしてズルズルと引きずられて行く。その小人の人形結構なお値段だったんだから、もうちょっと大切に扱ってほしいものです。


そんなこんなで、小人たちはとうとう、白海姫の眠る小屋へ到着し、扉を開けました。


「なんヨぉー♪ なんヨぉー♪ お袋さんヨぉオぉおォぉいー♪」


なぜか古い曲を熱唱する小人。

選曲が渋いですね。


「おぉぉおぉーきなぁのぉっぽぉの古時計ぃー、おじいぃさんとぉ時計ぃ~♪」


なんという事でしょう。

この小さな小人は、童謡としても歌われているあの有名な歌を、白海姫の存在にも気づかずに渋い顔で歌い出しました。

それと『おじいさん“と”時計』ではなく『おじいさん“の”時計』です。


「おじぃいぃーさんのぉ生まれた朝にぃぃー買ぁあってーきたとぉーぅけいさぁぁ~♪」


ちょっとノリノリ過ぎて何言ってるのか分からないという事態に陥ってしまった。

おそらくこの小人にとって、この不気味とも言える歌は鼻歌変わりのようなものなのでしょう。

小人は台所に立つと華麗な手さばきで鳥をさばき始めました。


「今はぁ~もぅ~動かなうぃ~♪ そのとぉぉ~けぇぇ~うぃ~♪」


うぃ~♪ とか言ってないで早く白海姫に気付いてください。


「とぉぉ~♪ けぇぇ~♪ うぃい~♪」


だから気に入ってないで早く発見してください。お願いします。

物語が進みませんから。


「わぁー! なんなんヨかコイツー!!」


小人はどうやら、ようやく白雪姫を見つけたよう…


「消費期限が二年前なんヨー!!」


消費期限でした。

小麦粉の消費期限が二年以上過ぎていたようです。それはビックリだ。


「それにしても、この小さいオッサンが邪魔なんヨ」


オッサンとか言わないでください。一応それでも可愛い森の小人なんですから。


……もうこの小人さんはやる気が無いようですので、私の独断により少し話を飛ばす事にします。


(ここからは一息気分で読んでみましょう)


森の小屋で小人に出会った白海姫は何週間もの間何事もなく楽しく暮らしていましたがある日の夜またまたヤッべーナ王国の王妃が魔法の鏡に『鏡よ鏡よ鏡さん世界で一番美しいのは誰ですか?』と問いかけたところ魔法の鏡は『それはやっぱりスッゲーナ王国のお姫様である白雪…あいや白海姫でしょう』と答えちゃったもんだから『復讐だー!!』とか言って色々頑張ったけど結局ダメだったので今度は王妃自らが現代で言う押し売り訪問販売的なのに化けて白海姫に近づいたから次に紹介する謎な状況にも納得してください。


「さりげなく俺の出番まで飛ばすなよぉ!?」


押し売り訪問販売…もとい物売りに化けた王妃は、小さな小人たちが外出したのを見計らい、白海姫のいる森の小屋への前へと接近しました。


「普通にスルーかよッ!」


うるさいですよ。


「うるさいってことはないだろ!? 大体、なんで王妃の役が俺なんだよ! 琴音とかのがピッタリだろ!? 腹黒的な意味で!!」


ちょっとそこの人。

そこに正座してください。


「なんでっ!?」


いいから座れ。正座しろ。


「ちょ、なんだよ急に……ほれ、これでいいのか?」


その時だった。

ペチャクチャうるさい王妃の周りの空間に突如亀裂ができ、王妃の周りが次々と砕けていき王妃は身動きが取れなくなって…

「おいおいおいおい!! 空間とか裂けないから!! ナレーションにどんな力が宿ってんだよ!!」


その時だった。

ペチャクチャうるさい王妃の周りの空間が突如砕け始め…

「なに失敗したからって再チャレンジしてんだよ!? しかも王妃であるこの俺が身動きとれなくなりゃ白雪姫に違う意味でのハッピーエンドが訪れちゃうぜ!?」


ペチャクチャうるさい王妃が突如砕け始め…

「ごめん! もう喋らないからっ!! ってか王妃であるこの俺が突如砕け始める事になってるから!!」


ならば腹黒いとかバカにするのはよしてください。

さすがの私もそこまで言われると悲しいものがあるんだよ!?


「えぇ、ナレーション琴音だったの!? ただでさえ人数が足りない演劇なのにナレーションで一人使っちゃってるの!?」


うるさいよ秋兄ぃ。せっかく雰囲気を大事にしてたのにもう台無しじゃんか。


「いや、しかしだな!!」


「なんだようるせぇな」


王妃がなんかゴチャゴチャ騒いでいでいたせいで、白海姫自ら小屋から出てきちゃいました。

それにしても、一応お嬢様なんですからお尻をボリボリと掻き毟りながら出てこないでください。って、お尻とか言わせないでよ!!


「キェッキェッキェッ。そこの美しいお嬢さんや。おいちいりんご、おひとついかが……?」


さっきまであんなノリだった人とは思えないほど素晴らしい切り替えっぷりで、とっても凄まじい熱演しているところ悪いのですが。

物売り(王妃)はキェッキェッキェとかバカみたいな笑い方しないよ。おいちいとか可愛い言い方しても私は騙されないよ。


「……キョッキョッキョ。いいりんごが送られてきたんだじょ」


そういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ……。

まぁ、とにかく、物売りに化けた王妃が、人を疑う事の知らない白海姫を騙し、毒入りのリンゴを渡しました。


「あ、俺リンゴよりも梨派だから」


そんなに梨が好きなら『洋梨(用無し)』にしてあげてもいいんですよ?


「そ、それは果物的な意味ですよ……ね?」


物理的な意味です。


「わ、私ぃー、実はリンゴダイエットにはまってるのぉー!!」


白雪姫はそんな渋谷のギャルみたいな喋り方しません。

あと海兄ぃの高い声気持ち悪い。やめてください。


「ヒョエヒョエヒョエ。そんなお嬢さんには、おリンゴスの秘宝をプレゼント」


ただのリンゴを無駄にカッコイイものにしないでください。物語的によく分からない事になりますから。

あとさすがの王妃もそこまで変な笑い方しません。


「まぁ、真っ赤でつやつやしてて、まるで私の唇のようなリンゴだわ! このリンゴは美しい私によく似合うとても妖艶なリンゴだわ!」


白海姫、あなた少しは自重してください。

王妃が怒りで我を忘れてリンゴを握りつぶしてしまう危険性が高まりますから。


「ヌヒョヌヒョヌヒョ、このリンゴを今なら特価であなたにお売りになられるでゴロチャグエ」


どこの怪物ですかあなた。


「あら嬉しい、早速丸かじりしてみましょう!」


リンゴを受け取った白海姫は、言葉の通りリンゴを豪快に丸かじりしました。

まさかそれが、王妃の手によって制作された毒リンゴだとも知らずに。


「…………」


そんな黙々と食べ進めないでください。本当なら一口かじっただけで倒れるはずなんですから。


「……うっ…うっ…」


毒リンゴを半分平らげたところで、ようやく白海姫はうめき声をあげ…

「うっまぁぁぁい!!!」


古き良きギャグなんかやってないでさっさとぶっ倒れてください。

さもなくばそのリンゴ爆破しますよ。


「爆破を恐れて白雪姫が演じれるかってんだ」


…………。

白海姫の持っていた毒リンゴが突如爆発して、不運にも腸をまき散らしながら弾け飛んでしまった…

「ちょ、待てって! 冗談だから! しかも妙にグロテスクだから!!」


「そうだぞ琴音! 生々しいからやめるんだ!!」


琴音とか言わないでください。

今は語り部として頑張ってるんだから。


「ったく、油断も隙もない恐ろしい奴だな琴音は」


毒リンゴが突如爆発し不運にも腸をまき散らしながら弾け飛んだ王妃…

「なんで俺が弾け飛んでんだよ!! 俺何も言ってねえよ!?」


とにかく白海姫は毒リンゴ効果で倒れ、それを見届けた王妃はその場を後に…


「どうしたんヨか!!」


戻ってくるの早すぎですよ小人さん。

逃げ遅れた王妃と思いっきり鉢合わせちゃってるじゃないですか。


「貴様がやったんヨか!?」


もうそれ物語の趣旨変わってきちゃいますからやめてください。

王妃も突っ立ってないでさっさと逃げて…


「そうだ、私がやったんだ」


ってなんでですかー。

そんなカッコよく自首しないでください王妃さん。

今は逃げるが得策です。何ならアリバイとか作っておきますから今すぐ逃げて。


「ヨクも……ヨクも白雪姫を……!!」


え、なんですかこれ。

なんのドラマですかこれ。


「へっ、そいつが私より可愛いからわりーんだ」


改めて聞くとなんていう自分勝手な殺害動機なんでしょう。正直最低以外の何物でもないです。

ってかそんなことより逃げてください。王妃、あなたはまだここで朽ちるには惜しい存在なんです。


「どうやらウチの秘められしパワーを解放する時が来たようなんヨね……?」


解放しないでください。


「あばよ、おとっつぁん!!」


おとっつぁんって誰ですか。


「ヨ!? 逃げるんヨか!! 卑怯者めぇ、待つんヨーー!!!」


そんなアドリブ要りませんから追いかけないでください……って、もう遅かったようです。

残りの6人の小人たちの人形が無残にも投げ捨てられて泥だらけ。誰かこの6人の小人を動かして白海姫をどうにかしてください。


「琴音ちゃんと頼みとあらば!!」


あなたの出番はもう終わったんですから出てこないでください変態兵士。


「『あ、こんな所に白雪姫がいるぞ? わー、助けなきゃー!』」


驚きの演技力に今私ハニワのような顔になっていますよ。

その調子で頑張って物語を修正してください変態兵士さん。


「『白雪姫! 目を覚ましてください! あ、死んでるよこれ、ガラスの棺にいれよう』」


諦めが早すぎるのとなんか軽いノリなのが少々気になりますが、やっと物語は終盤へとさしかかる事が出来たのでよしとしましょう。

って、なんで兵士であるあなたが白海姫を運んでるんですか。せめて小人の人形を持ってください。このままじゃ小人が要らない子になってしまいますから。


「よし、棺へ運び終わった事だし帰るか」


とうの昔に出番を終えたはずの兵士は、一仕事終えると小人の人形を持って去って行きました。

てか小人まで帰っちゃったよ。小人本格的に要らない子だよ。


たった一人、棺の中に放置された白海姫。

こんなお葬式があったら別の意味で涙しますねきっと。


「パカリ、パカリ、パカリ、パカリ、ヒヒーンです」


足音と鳴き声を口で表現しながら、誰かがやってきたようです。

白馬に乗り、とてもリッチな格好をしているところから、王子様と断定できます。


「って、なんで白雪姫さんの役がユキじゃないんですか!! ユキのフルネームを略すと白雪になりますですのに!!」


謎です。


「迷宮入りですか!? クエスチョンですらないんですか!?」


英語とか使われても意味分からないです。

それよりも物語を進めちゃいましょう、もう私ヘトヘトですから。


「いつもの琴音っちじゃないみたいです……」


ごめんねユキちゃん。今私は語り部なんだよ。

これはしょうがない事なんだよ。私がちゃんとやらないと、ボケが多すぎて読者さんがついて行けなくなっちゃうんだよ。


「ならしょうがないですね」


理解してくれて助かったよ。


「それじゃ、物語進めちゃいますですか!」


そうだね!

……それにしても、ユキちゃんだけだよ。こうやってちゃんと演じてくれるのは。


「おぉ、なんというカッコイイお姫様なんですか! 今すぐ私の愛のファーストキスを先輩に……!!」


早いよ!! 展開も早いけど私を裏切るのも早すぎだよ!! 思わず素でツッコミを入れちゃう始末だよ!!

もう、ちゃんとやってよ……お願いだから……。あと先輩じゃなくて白海姫…あぁいや、白雪姫だからね!


と、とにかく、白海姫の死体を見つけたユキ王子は、その白海姫の美しい姿に一目惚れをし、自分の城に連れて帰る事に。


「よいしょ……お、重いです、む、無理ですよこれ!」


連れて帰ろうと頑張ったユキ王子でしたが、白海姫の入った棺の重さに無像にも敗れてしまいました。


「どうしましょうです……どうしましょうですか……」


城に連れて帰れない。でも、人を呼んで来るにしても白海姫をおいてその場を離れたくない。

打つ手がなくなったユキ王子は、ゆっくりとガラスの棺をあけ、白海姫の頬にそっと、優しく静かに手を添えました。


「白雪姫先輩……ユキ王子は、あなたが大好きです」


先輩とか言わないでください。白雪姫の方が年上みたいじゃないですか。


「……しょうがない、いったん城に帰り、家来さん達を呼んできますですか……」


さんざん悩んだ結果、ユキ王子はいったん城に戻る事を決意しました。

そして、少しの間だけですが離れ離れになってしまう白海姫に、ユキ王子は優しく話しかけます。


「先輩……ユキは、絶対に戻ってきますから。それまでお別れですね……先輩……」


悲しげな表情で白海姫に近づくと、再び頬に手を添えるユキ王子。

そして、静かに眠る白海姫のとても綺麗な唇に、自分の唇を近付けて優しい…き、キき、き、キ。


「しっかりしろよ琴音!!」


秋兄ぃ出てこないでよ!! しょうがないでしょ恥ずかしいんだから!!


「待つんヨぉぉ!!!」


「シツコイなこの小人!!」


あ、まだ追われてたんだね。

なんというか、お疲れ様。


「琴音っち、早く進めてください! 大切なキスシーンなんですよ!」


うっ……//

か、海兄ぃは平気なのかな……。って、寝てるし!!


「琴音ちゃんは僕とキスシーンを演じてみようよ!!」


嫌だよ!! 恭兄ぃの出番はもうとっくに終わったんだから帰ってよ!!


「嫌だよ!!」


嫌だよじゃねーよ!!


「Zzzz……ん? 何だよ騒がしいなぁ……」


起きちゃったー!!!

きき、キ、キ、キスする前に起きちゃったよ!! 毒リンゴの毒効果切れちゃったよ!!


「って、うおぃ!! 何してんだよユキ!!!」


「せせ、先輩!? な、なんで起きてるですか!?」


「なんでって、周りがうるさいから……ってそんなことより顔近いから!!」


「あ、先輩顔真っ赤ですよー? ユキに迫られて意識しちゃったとかですかー?」


「う、うるさいな、もう離れろよ!!」


「いたっ……突き飛ばすなんてひどいです!!」


「わ、わりぃ、つい。ってか来るなぁぁ!!!!」


「ユキを突き飛ばした罰としてキスされてくださいですー!!」


「ちょ、誰かこの人止めてぇぇ!!!」


……自分で何とかしろよ。


「そんなことよりこのすばしっこい小人を何とかしてくれ!!」


「待つんヨぉぉぉ!!!」


秋兄ぃに至っては自業自得でしょ。大人しく捕まってさばかれるがいいわ。


「琴音ちゃぁぁぁん!!! キスしよーう!!! マウス・トゥ・マウスしよーう!」


あぁ、もう気持ち悪いな!!!

いつにも増して気持ち悪いな!!!

そういう事は私が溺れて意識がない時に人工呼吸としてお願いするよ!!


「NA☆RU☆HO☆DO」


何その怪しい笑み!! さっきのは例えだからね!? ちょっと勢いで言っちゃっただけだからね!?

てかその顔まさか怪しい道具で溺れさせようとか思いついちゃった顔じゃないよね!?


「そうだよ」


そうなの!? 正直だね恭兄ぃ!!

気持ち悪いから消えて! てか死んで!!


「先輩! お待ちになってぇぇぇ!」


「なるかボケぇ!!!」


……あーあ、もうめちゃくちゃだよ……。


「ってなわけで海に行こうよ琴音ちゃん」


行かねーよッ!!





終わり

作者「めでたしめでたし」


琴「めでたくねーよッ!!」


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