番外編!第六幕~なぞなぞは謎で始まり謎のまま終わる~
番外編です。
ある日曜日の午後。
琴音がこんな事を言いだした。
「ねぇ、海兄ぃ。ちょっとなぞなぞだしてもいい?」
番外編!第六幕
~なぞなぞは謎で始まり謎のまま終わる~
「ん? なぞなぞ?」
「うん」
「なぞなぞって、あのなぞなぞ?」
「あのなぞなぞがどんなか知らないけど、多分そのなぞなぞ」
「別に良いぞ。暇だしな」
「うん。それじゃいくよ? あ、秋兄ぃも答えていいからね」
「そうか? じゃあ参加させてもらおうじゃないか。海には負けない!!」
「よくなぞなぞでそこまで気合入れられるなお前」
「当たり前よ!俺はお前と出会ってから、なぞなぞだけは勝てたことがないんだからな!!」
「なぞなぞだけ? すべてに置いてこの俺様に勝てたことないだろ秋」
「あ、あるにきまってんだろ!!」
「じゃあ言ってみろ」
「えーとだな……その……ほら。あれだ。影の薄さ……とか……?」
「自分で言って落ち込んでちゃ世話ないな」
「うるせーよ!!ほら琴音!早く問題プリーズ!!」
「あ、私に英語使わないで。頭が吹っ飛ぶから」
「怖っ!!吹っ飛ぶのかよ!緊急脱出的な感じで!?」
「うるせぇよ秋」
「あ、ああ。すまん」
「じゃあ、なぞなぞいくよ」
「おう!!任せとけ!!この俺に解けるなぞなぞは無い!!!」
「なるほど。解けるなぞなぞは無いんだな。お前は底抜けのバカだな」
「……は?」
「秋兄ぃ、『解ける』じゃなくて『解けない』なぞなぞは無い。でしょ?」
「………あぁ!!そう、俺はそれが言いたかった!!」
「うるせぇな秋。琴音もさっさと始めろ」
「はいはい。それじゃ問題です」
【Q1】
近くのワシントン辺りに、世界一長いトンネルが開通されました。
そのトンネルは、どこからどこまで続いているでしょうか。
「ちょっと待ってくれ琴音」
「秋兄ぃ、なに?」
「近くにワシントンは無い!!しかもワシントン『辺り』って適当すぎんだろ!!」
「そうだね。不思議だね」
「そう、不思議だな。って違う!!問題として成立してないだろうが!!」
「秋兄ぃ。なぞなぞだから」
「そうだぞ秋。早く答えろ」
「あ、いや、まだ答えは分かんねーし……つーか、海は分かったのかよ?」
「ああ。チョロいね。チョロチョロだね」
「さすがは海兄ぃだね!!」
「ふふふ。そこらの奴とはココ(頭)の出来が違うんだよ」
「くそ……チョロチョロチョロチョロ言いやがって………。このネズミ小僧め……俺だってなぁ!!こんな問題チャチャっと……まったく分からーん!!!」
「秋兄ぃ、ヒントあげようか?」
「いらん!そんなものに頼るなんて死んでもするか!!」
「じゃあ死ねよ」
「おう!…え? 俺死ぬの?」
「あぁ、今返事しただろ」
「二人とも!変なこと言ってないでさっさと答えてよ!!」
「そうだぞ秋。よく考えてみろよ。簡単だぞ?」
「うーむ……」
「じゃあ、まず、トンネルの始めはどこだ?」
「はぁ? 古代辺りじゃねーの?」
「あ、いや、トンネルが初めて出来た時代の話じゃなくてさ。どこから始まってるのか聞いてんだよ」
「あぁ、そっちね」
「普通そっちでしょ。秋兄ぃはバカなの?」
「バカじゃねぇよ!!天才なんヨ!!」
「あまりの興奮でエメリィーヌが出てきちゃってるぞ」
「おっと、やばいやばい」
「で? 始めはどこだよ?」
「交通路として初めて建設されたのは、紀元前2000年頃のユーフラテス川の河底を横断する歩行者用のトンネル、バビロンに造られたのが最初らしいぜ?」
「だからその『初め』じゃねぇよ!! てか詳しいなお前!! 天才か!?」
「でも根本的にやっぱりバカだよね秋兄ぃ」
「兄貴に向かってバカとはなんなバカとは!!せめて間違っちゃってるお方とか…ってなんでやねん!!」
「うるせぇな早くしろよ秋!」
「さっきからうるせぇなうるせぇなって、お前の方がうるさいわ!!」
「は…?」
「あ、ご、ごめん。そんな顔しないで」
「なら真面目に答えろ」
「あぁ。そうするよ」
「早くしてね。私も忙しいんだから」
「なら俺の家に来るなよ」
「それとこれとは話が別なの!」
「……考え中」
「なにが!? まったくと言っていいほど意味が分からないんですけど!?」
「……考え中」
「だからね? 海兄ぃの家にいるのは忙しい内に入らないんだ『考え中』
「何だその都合のい『考え中』
「とにかく、私がそう決め『考え中』
「いや、だとしてもだ『考え中』
「でも『考え中』
「だか『考え中』
「…………考え中」
「う………うるせぇぇんだよぉぉぉ!!!!何だお前さっきからよぉぉぉ!!!!」
「え、あ、だってよ。このままじゃ目立てなくて……」
「考えてるときぐらい黙れよ!!お前は黙って物事を考えられないのかよ!!」
「おいおい、自分の事を棚に上げて何を言って……」
「ぶっ飛ばすぞテメェ!!大体考え中考え中って、平成教○委員会の勉○小僧かよっ!!」
「お!上手いな海!そのツッコミ、今日から使わせていただきます!!」
「はぁ……ご自由にどうぞ……」
「ほらまた脱線してる!! なぞなぞは!?」
「そうだぞ秋。答え分かったのかよ?」
「あぁ。俺なりに結論をだしたナリ」
「うぜぇー……」
「なら早く答えを言ってよ秋兄ぃ!」
「いいか……? 答えはだな……」
「秋、早く言え」
「なぞなぞは次から次へと謎を呼び込む、謎めいたものだった……ってか?」
「死ね」
「カッコつけてなに意味分かんないこと言ってるのよ」
「分からないも何も、これが答えだ。なぞなぞは謎よりも謎なり」
「もはやお前の頭が謎だよ!! 死ね!!」
「じゃあ本当の答えはなんなんだよ? まさかワシントンから成田空港までとかほざくんじゃないだろうな……?」
「なんで成田なんだよ」
「じゃあ答えはなんだよ!!」
「……琴音、答え言ってもいいか?」
「うん。もう早く終わらせてよ」
「はいはい。じゃあ言うぞ?」
【Q1】
近くのワシントン辺りに、世界一長いトンネルが開通されました。
そのトンネルは、どこからどこまで続いているでしょうか。
A.入り口から出口まで。
「……どうだ?」
「うん。正解だよ」
「……はぁ!? なんだよこれ!! ワトンソン関係ないのかよ!!」
「おい秋。驚きのあまりワトソンとロビンソンがフュージョンしてるぞ」
(※フュージョンとは、有名なアニメにおける合体の意を指す言葉である。)
「こんなのありかよ!!詐欺だ詐欺!!なぞなぞ詐欺だろ!!」
「おいおい、すぐに新たな詐欺師を作り出すんじゃねぇよ」
「秋兄ぃ、もう落ち着いてよ」
「いや、でもよ!!入り口から出口までって、どっちが入り口でどっちが出口よ!?」
「入った方が入り口で出た方が出口に決まってるだろう」
「だからそれはどっちだよ!?」
「しるかよ!!」
「ほらみろ!このなぞなぞには、まだ謎が残ってるんだよ!!」
「一つのなぞなぞをどんどん解剖してくんじゃねぇよ!!収集がつかなくなるだろうが!!」
「それよりも、一つのなぞなぞにどこまで執着してるのよ」
「もうこの世は謎だらけだ!この狂った世界など、この俺がすべて正してくれる!!」
「悪者かよ!!悪役かよ!!正義の使者かよ!!!」
「秋兄ぃ……ちっさい男……」
「なに!? 琴音の方が小さいだろう!とある部分が特に」
「ちょ、実の妹になんてこと言ってんのよ!変態!!」
「ふふふ。俺は身長の事を言っただけだが?」
「うっ……」
「なぁ、秋。それなら、『低い』の間違いじゃないのか?」
「あぁ、それそれ。間違えたな」
「だっさ……」
「お前なぁ!最近兄貴をなめすぎだぞ!!」
「つーかうるせぇよ。秋、お前最近キレやすいけどストレスでもたまってんのか? 」
「キャラ作りッス!」
「あっそ……」
「秋兄ぃ、変なキャラ作りしてると嫌われるよ? そのままの秋兄ぃでいいんだよ」
「普通だと目立てないやん」
「秋。目立って嫌われるのと、目立たないけど好かれるのだとどっちが良い?」
「目立てるの」
「即答かよ……」
「でも秋兄ぃ。今のキャラだとさ。海兄ぃがツッコミ役になっちゃうよ?」
「あぁ、そう言えばそうだな。俺ツッコミ役になってた」
「……琴音……悪かった。ツッコミだけは譲れねぇ!!」
「ふっ、渡さないぜ!!」
「そこは返してあげなよ」
「しょうがねぇな。ほらよ」
「おう!ありがとう!お前のツッコミはしっかりと受け取ったぜ!」
「それ生卵だぜ?」
「なにっ!?」
「いや、なに変な茶番やってるのよ」
「あ、そういえば海。恭平やエメリィーヌはどうしたんだ?」
「今更かよっ!!」
「今さらだよっ!!」
「なんでお前がキレてんだ」
「キレの良いツッコミ!」
「意味分からん」
「で、海兄ぃ。二人はどうしたの?」
「実はな……二人とも、今日の朝から………」
「何かあったの……?」
「出掛けた」
「出掛けただけかよ!!今の無駄な緊迫感なんだよ!!」
「雰囲気作りは大切だぜ?」
「もう疲れたよ。秋兄ぃ、帰ろうよ?」
「……そうだな。帰るかぁ。てな訳でさいならー!」
「お邪魔しました!」
「風のように遊びに来て風のように去っていくのか……って、もういねぇし」
終わり
ボケ役とツッコミ役が逆転してしまった!