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俺の日常非日常  作者: 本樹にあ
◆日常編◆
42/91

番外編!第四幕~第三十二話でのひとコマ~

第四幕情報


これは、本編の第三十二話を見てからご覧いただけると、より深く楽しめます。


もちろん、見なくても楽しめます。……多分ww

「海兄ぃ、エプロンある?あれないと落ち着かなくてさー」


「ああ。台所の二番目の引き出しに大量にある」


「なぜに大量に?」


「なんとなくだ」





番外編!第四幕

~第三十二話でのひとコマ~




「ほれ、エプロン」


「うわダサッ……」


「なんか言ったか琴音」


「いや、別に……」


「えーっと……冷蔵庫の中身は……と」


「おいユキ、あまり勝手に漁るんじゃないぞ」


「分かってますですよー」


「ねぇユキちゃん、どうするの?」


「これとか……これ……もしくは、これか……これで何かできないですかね」


「あぁ、でもそれなら……これや……これ、これもありだよね」


「そうですねぇ」


「おいお前ら。せめて俺にも伝わるように相談してくれ。何のことやらさっぱりわからん」


「あ、そうですよね。うーみん先輩は何なら作れます?」


「ん? 多分残りの材料的にチャーハン辺りが妥当かと思うが……」


「あ、じゃあそんな感じで」


「そうですね」


「なんだお前ら、決めてなかったのかよ」


「いやぁ、何を使っていいのか分からなかったもんで」


「なら冷蔵庫の中身全部出すなよ。ほら、また片付けるはめになってるから!」


「片付けるのはユキなんですからいいじゃないですか」


「いや、冷蔵庫開けっ放しやめれ。電気代が怖い」


「細かいな海兄ぃ」


「誰がやりくりしてると思ってんだっ!!」


「でも、何度も開け閉めするよりは、ずっと開けっ放しの方が電気代がかからないって聞いたことありますですよ?」


「あ、それ聞いたことある」


「喋ってる暇があるならさっさとドア閉めろッ!!」


「それにしても、先輩って結構キッチリしてるんですね」


「そうだね。冷蔵庫の中なんて、私達が片付けた時の方が乱雑だもんね」


「はぁ!? ちょ、なんだこの有様! この冷蔵庫に何が起きた!?」


「そりゃもう色々と」


「うるせぇよ!!」


「まぁ、先輩。そうカリカリせずに……レッツクッキングです!」


「そう言うお前はカリカリと何をかじってるんだ……」


「キュウリですよ?」


「なんで食ってんだ!!」


「やだなぁ先輩、毒見ですよぉ。ど・く・み♪」


「もうお前どっか行けよ……」


「ねぇ、海兄ぃ。フライパンどこ?」


「一番右端の上から二番目の奥の方だ」


「うわ、本当にあった。よく覚えてるね」


「ちゃんと片付けてるからな。当たり前だろう」


「へぇ、凄いですねぇ……カリッ……デリシャスです!」


「ちょ、キュウリ……一本5円の特売キュウリ……」


「一本5円なんですかっ!?」


「うわ、安いね」


「へへっ、すげぇだろ? 超特売セールにて手に入れました」


「へぇ、どれどれ…カリッ……うん、美味い!」


「味は変わらないからね!? 値段が違うだけで味は普通だからね!?」


「ほら、先輩も食べてみてくださいです。美味しいですよ?」


「今晩のサラダ用キュウリがみるみるうちになくなって行くぅぅ!!」


「……ふぅ、さて、味見も済んだことだし。パパッとやっちゃおうよ海兄ぃ」


「毒見ですらない! もはや素材の美味さをそのまま堪能しただけやんけ!!」


「ユキもそろそろ満腹に近くなって来ましたですよ」


「あれ!? 15本あったキュウリがもう7本しかないぞ!?」


「さてと、うーみん先輩、卵とお米とお野菜を貸して下さいです」


「あとで三倍にして返せよ」


「はいです! 愛情をいつもより3倍……いや、100倍多く注ぎ込みますですね!」


「けっ」


「なんか先輩が冷たいです!」


「海兄ぃ、ボーっと突っ立ってないでさっさとやるよ!」


「……はぁ、はいはい」


「先輩! 『はい』は一回ですよ!」


「お前を浪人生にしてやろうか?」


「地味に困りますですねそれ」


「海兄ぃ、まず何からすればいい?」


「いや、別に聞かなくても琴音お前料理できるなら分かるだろ?」


「いや、山空家秘伝の作り方とかあるのかと思ってさ」


「そんなもんねぇよ」


「ならチャチャッと終わらせちゃいますですか!」


「だねー」


「なら役割分担だな」


「じゃあ私卵やるから、ユキちゃんは野菜よろしく」


「任せてくださいです!!」


「あ、野菜は切らなくても……!」


「え? なんですか?」


「あ、あぁ、もういい。一度刺したんだ。ひと思いにやってくれ」


「はいです!」


「……ミックスベジタブルがあるのに………」


「ほら、海兄ぃもさぼってないでさっさとやる!」


「お、おう。って、琴音すげぇな」


「なにが?」


「何がってお前、卵を両手で二個同時に割るなんて芸当……」


「まぁ、慣れてるからね」


「むむっ、殻も入ることなく、利き手で無い方の手でも片手割り……見事なり」


「先輩! ユキも褒めてくださいです!」


「あー、はいはい。凄い凄い……凄いッ!!」


「ちょ、ユキちゃん早くない!?」


「そ、そうですかね? みじん切りですから、このくらい普通に……」


「い、いやそのスピード普通じゃねぇから! 五秒足らずで完了するって何事だよ!?」


「え? こう……シュタタタタッとですね」


「いや、その音の意味は分からん」


「海兄ぃ! さぼってないで手伝って!」


「お、おう。すまんすまん」


「海兄ぃは野菜痛めつけて!」


「おらこのみじん切り野菜どもめ! 俺の肘鉄くらえ! ってバカか!! 痛めつけてどうすんねや!!」


「お、ノリがいいね」


「ノリツッコミですね先輩」


「けっ! ありがとよ! さっさと炒めよう」


「おぉ、その手際のよさに感服するね」


「あ、いや、その、ただ野菜をフライパンに入れただけで感服されても……」


「先輩、お世辞ですよお世辞」


「分かってらい! 逆にお世辞じゃなかったら余計な心配する所だぜ!」


「ほら海兄ぃ、炒めて炒めて」


「ハイッ、ハイッ、ハイハイハイッ、ハイッ、ハイッ、ハイハイハイッ」


「微妙なリズムだなおい!! 炒めるのに不向きだろうよ!!」


「じゃあ暇ですから愛の手入れますです」


「あいのてだろ?」


「行け行け先輩! 炒めろ炒めろ先輩!」


「頑張れ頑張れ海兄ぃ! キミならやればできる!!」


「おぉ、なんか気分いいな」


「フレーッフレーッ! せーんぱい! それっ!」


「かっ飛ばせー海兄ぃ! 絶対ホームランーおぉ!」


「フフフ、男山空、満塁サヨナラ逆転のチャンス。ここで大きく振りかぶります!!」


「野菜が宙を舞い……入るか、入るかっー!? 入ったぁぁぁ!!!」


「見事な放物線を描き、フライパンの中へ見事入って行きましたです!!」


「うおぉぉ!!! って焦げる焦げる! 白米プリーズ!!」


「プ、プリ……? なんて……?」


「早く米よこせ! てかどんだけ英語苦手なんだよ琴音!!」


「いやぁ、それほどでもあるね」


「褒めてねぇよ!?」


「先輩、お米です! それっ!」


「おぉ、間に合ったぜ。ほら、卵くれ。卵」


「はいです」


「おう、サンキューな。って、なんでこの割れてない卵だよ! さっき割った卵あるだろ!?」


「あぁ、こっちですか」


「そっちだ」


「はい、先輩」


「ユキちゃん、今度は私が入れるよ」


「あ、はい、琴音っち」


「ありがと、はい、海兄ぃ」


「え? 結局俺に渡すならユキが琴音に渡した意味無くね?」


「小さい事は気にすんな。それ」


「ワ○チコ……とは言わねぇよ?」


「ちぇ」


「……暇ですねぇ。キュウリでもかじります?」


「おい」


「そうだね」


「おいおい」


「では先輩、いただきますですね」


「いただくんじゃねぇよ」


「……それにしても、海兄ぃって結構しっかりしてるんだね……カリッ」


「ですよねぇ……カリッ」


「カリカリうるせぇなお前ら。今すぐ厨房から出ていきやがれ。つーかキュウリ返せ」


「ねぇ海兄ぃ」


「あ?」


「海兄ぃはさ、どっち系?」


「なにが?」


「あ、それユキも気になりますですね」


「でしょ?」


「いや、だからなにが?」


「先輩って、……いや、男の人って結構不真面目な人って多いじゃないですか」


「そうそう。『料理洗濯風呂掃除。家事はすべて女の仕事だ』っていう人もいるじゃん?」


「確かにいるな」


「先輩はそれについてどう思いますですか?」


「どう思うって何が?」


「だから、海兄ぃはその意見に賛成なのか、反対なのか。どっち?」


「あぁ、それなら反対だな」


「なぜです?」


「ほら、確かに家事は奥さんの仕事でもあるわけだが、やってもらって当たり前ってのは違うよなやっぱり」


「なるほどですね」


「それで?」


「感謝の気持ちは大事だろうな。俺も一人暮らし始めてみて分かったけどさ、結構大変だしな」


「あー、海兄ぃは家族を大事に思う人なんだね。さすが海兄ぃ」


「ユキは安心です」


「なぜお前が安心……まぁ、いいか。それとさ、結構家事ってのも楽しいもんだろ?」


「えー!?」

「えー!?」


「え? なんでそこは同意しないの?」


「家事なんかのどこが楽しいの!? 楽しいのは料理くらいのもんでしょ!?」


「ですよね!? ユキは最近、お料理も面倒だと思ってきたぐらいなんですよ!?」


「おいユキ。それはそれで将来的に問題アリだぞ」


「でもどこが楽しいんですか?」


「料理はほら、なんか卵焼きとか異様に上手く出来た時とかテンションあがるだろ?」


「そう?」


「あぁ。この前なんかサラダの盛り付けが異様に上手くできちゃってさぁ。思わず携帯の待ち受けにしたね」


「携帯開いたらサラダって」


「お腹すきそうですね」


「掃除だって、ピッカピカになれば気分がいいし、洗濯だってフワッフワだと気分がいいし。まだ色々あるけど、俺はそれなりに楽しいぜ?」


「そんな風に何でも楽しめるのは海兄ぃのいい所だね」


「何事も、楽しむ気持ちが大事なんですね」


「その通りでござるよ」


「なんで急にござる」


「あ、先輩、そろそろいいんじゃないんですか?」


「お、そうだな」


「はい、これお皿です」


「お、ありがと」


「……よし、これで完成だね」


「ですね」


「だな」


「それにしても海兄ぃの手際の良さには驚くばかりだね」


「ユキもビックリしましたです」


「俺もお前らの熟年の技みたいなのには驚きを隠せなかったぜ」


「えっへん!」


「琴音っち、嬉しそうですね」


「いやぁ、そりゃあね」


「じゃあ残り持ってきてくれ」


「うん」


「分かりましたです」






「ほら、飯できたぞー」


「やっと来たんヨー!おなか減り過ぎてテレビがスフィンクスになるかと思ったんヨー!!」


なんでやねん。





第四幕 完



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