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俺の日常非日常  作者: 本樹にあ
◆日常編◆
28/91

第二十二話~これが俺の戦い方だ!不幸続きの約15分間~

『――――んだとコラ!?』


『―――や――放して!!』


飛び込み台の上で休憩していた俺達(海と秋)に、琴音のそんな声が耳に飛び込んできた。


ちなみに、琴音は下の方な。


上の『んだとコラ!?』の方ではない。


俺達はほぼ同時に、声のした方に顔を向ける。


「なあ海!!今の琴音の声だよな!?」


「ああ、多分!」


二人してその場で立ち上がり、琴音を探す。


幸い、ここは10mの高さの飛び込み台だ。


とても見晴らしがよく、他の客もあまりいなかったため、すぐに見つける事が出来た。


だが、見つける事は出来たのだが。


全身日焼けの金髪チャラ男と、これまた全身日焼けの黒髪チャラ男が、幼い琴音の手首を乱暴につかんでいる。


いや、琴音は幼くはないが。


体格の差。身長の差で、仕方ない表現だったのだよ。


ちなみに、前もちょこっと言ったとは思うが、もう一度言っておく。


琴音は、他の人の前だと緊張するがために、本当の力を発揮できない。


人見知りがもう体に染み付いてしまったのだろう。


体が勝手に反応してしまうらしい。


まぁ、しょうがない事だ。


そんなわけで、今の琴音は、か弱い一人の少女だ。


そう。


そんな少女に、明らかに不良な二人組。


エメリィーヌの姿がないことから、トイレに言っていると推測される。


そして警備員。


警備の人は、運悪く、あの兄ちゃんただ一人だった。


しかもその兄ちゃん。あの事故でともいえる悲惨な結果により、今治療室だ。


入って行くのを俺は見た。


他の客は恐れて近寄ろうともしない。


琴音を助けられる人は、琴音の周りにはいなかった。


そう。


その時だった。


「っ……琴音!!」


「おい秋!!どうする!早く行かない……と」




第二十二話

~これが俺の戦い方だ!不幸続きの約15分間~




「おい秋!!どうする!早く行かない……と」


俺が秋に視線を移したとほぼ同時だった。


あれだけ恐れていた飛び込み台から、秋が躊躇なく飛び降りたのだ。


「……秋」


『ドッパァーン』と、水に何かが落ちた音が聞こえる。


そう、秋だ。


俺は下をのぞいてみる。


だがそこに秋の姿はなく、もうすでに琴音のもとへ走っている。


秋の後ろには、オメガの姿もあった。


くそっ、早く俺も行かないと!!


俺も急いで飛び降りようとはした。


でも、恐怖で一瞬止まる。


秋のやつ……こんな所をあんなすぐに飛び降りたのかよ!!


もうこうなったらやけだ!


オメガのクリームを信じて跳ぶしかねぇ!!


俺は覚悟を決め、目をつむって飛び降りた。


……あれ?地面はまだか?


なかなか来ない地面。


俺は確認の為、まぶたを開いた。


すると。


「う、うわ『ゴキャッ!!!!』


鈍い音。


そう、目を閉じて飛び降りたものだから、水のある場所とは違う方向にジャンプしていた。


そう。正真正銘の地面。


なにがあったか頭で理解するのよりも先に、足に鈍い痛みが走る。


俺は恐る恐る目を開けた。


……驚き。


俺は奇跡的にも、どうやら足を捻っただけで済んだようだ。


俺は今。オメガのクリームの凄さを思い知った。


あいつやばいぞ。天才だ。


まさか、あいつに命をすくわれるとは。


そんな事より琴音だ!!


俺は、痛い右足を引きずりながらも、必死で琴音のもとに駆け寄る。


にしても広い。


なかなか琴音の姿が見えない。


俺は、しばらくという言葉がぴったりなほど、しばらく走った。


すると、やっと琴音の姿が。


そこには、倒れこむオメガと、その隣でオメガを支える琴音。


そして、琴音達の前に立って、不良たちを鋭く睨んでいる秋の姿。


そんな秋にむかついたのか、とても恐ろしい形相の不良金と不良黒。


ちなみに、髪の色で分けております。


俺は、なんとなくだが、その状況が理解できた。


そして、秋に向かって不良金がむかつく口調で言った。


『はぁ?なんだお前?俺達に文句でもあるのか?』



『へっへっへ』っと、秋を馬鹿にして笑っている。


秋を見ると、少し震えているのが分かる。


もちろん。武者震いだろうか。


多分秋もむかつくのだろう。


でも基本ビビりだからな。


たぶん、少しは恐れているのかもしれない。


だがな。


今のお前は、どこの誰よりもかっこいいぞ。


そんな秋を、再び挑発する不良金。


『おい見てみろよ!!こいつ俺達見てブルッてやがんの!!』


それに便乗して、不良黒も馬鹿にしだす。


『本当だぜ!!妹さんにかっこいい所見せたかったんですかー!?けっけっけ。弱虫は引っ込んでな!!』


……こいつら、絵にかいたような不良だな。


本当にいるんだな。このての不良。


すると、ずっと無言だった秋が喋り出した。


「―――れませんか?」


『はぁ?』


よく聞き取れなかったらしく、不良金がわざとらしく秋に耳をすませたフリをする。


そして、秋の発した言葉がこれだ。


「今日の所は、帰ってくれませんか?」


丁寧な口調。


さすがは秋。


俺だったら、その場でソッコーぶっ飛ばすけどな。


秋には秋なりの戦い方があるんだな。


まぁ、とりあえず俺は、俺なりで行くか。


「…オメガー。スライム型かしてくれー」


俺は小さい声でささやく。


オメガは俺の言葉に気付いたようで、こっそりと、俺に銃を投げてくれた。


ただ、俺の声に気付いて振り向いたオメガの顔が、オメガの右頬が赤くなっていた。


そして、口から赤いものが垂れていた。


どうやら血のようだ。


そう、殴られた。


オメガは殴られた。


だが無表情。


なんか感情を出せばいいのに。


無表情ですやん。痛くないの?


まぁ、むかついてる事だけは確かだけどな。


目がいつもより鋭い。


針のような鋭さで、不良らを睨みつけている。


うん。それでこそ男だ。


でも琴音は、どうやら怯えているらしい。


少し震えている。


ムカつきもあるだろうが。多分あれは恐怖でだ。


あと悔しさ。うん。間違いない。


とりあえず、秋がいるんだ。


何とかなるだろう。


俺はオメガから受け取ったスラ銃を、自分の足に使用する。


『シュー』と、軽快な音を立てて、傷を治していく。


ちなみに、スラ銃は、略しちゃったてへっ。みたいな感じだ。


さんざん熱さに苦しめられた俺は、何とか耐えた。


そして復活。


その間にも、色々と進展してる。


『俺達にビビって、なにも出来ないのか?このチキンのお.に.い.ちゃん!ひゃっはっははは!!』


ワオ。見事に不良だ。


って、こんな事をしている場合ではない。


俺は俺でやる事があるんだ。


足が完治した俺は、手に持っている銃を適当に投げ、その場を離れ、目的の場所へと向かう。


全力疾走。


無駄に広いこのプールは、俺の体力をガリガリと削っていく。


目的の場所とは。


そう治療室だ。


あの、警備の兄ちゃんがいた所。


秋が頑張っている間に、警備の人を呼んできちゃおう作戦。


卑怯だなんて言わせねぇ。


これが俺の戦い方だ。


まぁ、誰もいなかったら、俺も秋みたいにしてたけどな。


でも、秋がいるから。


あいつには、隠された特技がある。


まぁ、それはまた後ほど。


そんなわけで、俺の頑張りにより30秒で、到着。


俺は、勢いよく治療室と赤い文字で書かれたドアを開いた。


「たのもーー!!」


俺の突然の登場に、驚く警備の兄ちゃん。


足と腕に包帯を巻いて、医療用ベッドで横になっている。


うわぁ、思ったより重症だ。


『なんだきみか。いったい何の用ですか?今ここ誰もいなくてね』


重症の兄ちゃんが、ゆっくりと身体を起こし、俺に話しかけてくる。


とりあえず、ここは謝るしかないだろう。


「えっと、その、俺達のせいでそんな事になってしまって。本当にすみませんでした!!!」


罪悪感でいっぱいです。


俺の良心ズキズキです。


ホントごめんなさい。


そんな気持ちを込めて、俺は頭を下げる。


すると、重症の兄ちゃんは。


『もういいですから。それより、何か御用ですか?』


「あ、はい。ちょっと不良がいてですね。」


『なんだって!?』


俺の言葉を聞いて、ガバッと起き上がる兄ちゃん。


「それでその暴れていまして、警備の人を呼びに来たんですが……」


『それはまずい、今すぐ行き…っててて』


勢い良く起き上がって見たはいいものの、体が悲鳴をあげているらしかった。


ちょっと待てよ?切り傷じゃないよな。


なら治せんじゃん。


この銃さえあれば!


ってありゃ。どうやら置いてきていまったらしい。


取りに戻ろう。


いや、ちょっと待てよ?


「警備員さん!他に警備の人いないんですか?」


他にいるなら、わざわざ治さなくてもいいわけで。


って、我ながらひどい事を。


俺の言葉に、返事を返す警備員。


『今はちょうど昼で、僕以外は昼食を取りに……いてって』


ああ、なるほど。昼だと、お客さんもあまり来ないからか。


飯食いに行っていて。


だから、一人でも平気というね。


適当だなこのプールの人たち。


とりあえず誰もいないなら、頼りはこの人のみ。


やはりあれを持ってこよう。


「ちょっと待っていてください!!知り合いに、怪我によく効く薬草を持っている人がいるので!!」


俺は告げると同時に走り出した。


『ちょっと待って!!そこは……あちゃー』


『ゴンッ』俺はドアに激突する。


くそっ。忘れていたぜ。


俺は根性を入れ直し、治療室から飛び出した。


俺は急いで戻る。


そしてやはり30秒ぐらいかかった。


その場についてみると、いまだに秋と不良の戦いが繰り広げられている。


ファイトだぜ!秋!!


俺は心の中で応援し、銃を拾……ないよ。


銃がないよ!!


ってそういえば!!


『足が完治した俺は、手に持っている銃を適当に投げ、その場を離れ、目的の場所へと向かう。』


『手に持っている銃を適当に投げ』


――手に持っている銃を適当に投げ。



投げてしまったんだったぁぁぁ!!!!!!


やばいぞ!!どこに投げたっけか!?


周りにはないようだし、あるとすればプールの中か!!


だとしたらまずい。


ぶっ壊れているかもしれない。


しかも流れるプールだ。


流れてしまっているはずだ。


くそったれ!!


俺は、流れるプールにダイブする。


もちろん、銃を探すため。


水の中に潜っては、地面を探す。


多分沈んでいるはずだ。


重いからな。


でも、俺が結構使ってしまった。


少し軽くなっていたとしたらまずいぞ!!


沈んでいるクセに流されるという最悪の結果に。


俺は、水面に顔をつけながら、自慢のクロールで泳ぎながら探す。


多分五分ぐらいたった。


でも見つからない。


てか、無駄に広い!!


このプール無駄に広い!!


俺が困惑していると、不意に声が聞こえる。


『えーなにこの銃!!』


『カッコイイー』


ん?銃?俺は水面から顔をあげ、声のした方を見る。


すると。まさしく銃だ。


うん。銃だ。


俺が探し求めていた銃だ。


それを、子供が持って走り回っている。


二人組。兄弟かな?


とりあえずラッキー!!


俺は陸地に上がり、その兄弟に話しかけた。


「はぁ…はぁ…坊やたち…はぁ…はぁ…その銃…はぁ…お兄さんの…だからはぁ…返してくれないか?」


さっきまで全力で泳いでいた俺は、とても疲労がたまっていた。


肩で息をする俺。


水で濡れていて、陸地に上がる時に髪をあげたので、髪型はオールバックのようになってしまっている。


さらに、疲れている為か、顔が半笑い。


目は笑っていない。


俺的には、上手く表情を作っているつもり。


でも疲れで、表情がおかしい。


そんでもって、俺は元々目つきが悪い。


よって。子供恐怖。


『うわぁぁ!!!』


『逃げろーーー!!』


俺の顔を見たとたん、銃を持って走り去っていくガキども。


くそったれ!!


宝探しの次はおにごっこかよ!!


俺は、ガキどもを必死に追いかけまわす。


だが、何度も言うようだが疲れている為、なかなか追いつかない。



その後。しばらくおにごっこが続く。


するとその時。


『お兄ちゃん!!スライダーに逃げろ!!』


『そうだな!!悪者から逃げるんだ!!』


キャハハハと言って、スライダーの階段を駆け上がる子供達。


もう面白がってるじゃねぇか!!


くそっ!疲れているのに!!


なぜに階段なんか上がらんやならんのだ!!


「待ちやがれぇぇ!!!!」


そう叫びながら、階段猛ダッシュ。


スライダーの出口で待ってればええやん。とかいう考えは、今の俺にはなかった。


疲れ過ぎて、そこまで頭が回らなかったのだろう。


今はただ、あいつらを捕まえる事だけだ。


俺が階段の一番上まで上がると、俺を挑発するがために、ガキどもが待っていやがった。


『怖い兄ちゃんこっちだよー!!』


『返してほしかったら捕まえてみろー!!』


そういって、二人で左右のスライダーに乗り込みやがった。


スライダーは右と左、二つあるのだが。


両方取られちゃ、俺はいけない。


だって看板に書いてある。


ランプが青になってから行きましょうって。


人が通ると、センサーが反応。ここで、ライトが赤くなる。



そして、スライダーの出口にもセンサーがあり、そこでも反応。ここでライトが青くなる仕組みだ。


なので、今はまだ赤い。


俺は、青くなるのを待つ。


ちなみに、他に客はいない。


本当にすいているのだ。


俺は、秋達の方を確認してみる。


まだ乱闘中。


お、エメリィーヌも来たみたいだな。


秋頑張ってくれ!


お、今秋がこっち見た気が……


っと、青になった!!


待ってろガキども!!


俺は、華麗に左のスライダーに乗り込む。


すると、物凄いスピードで流される俺。


20秒という驚異的な長さのスライダーにゆられ、とうとう出口。


『バシャーン』と、俺は投げ出される。


俺はそのあと、陸地に上がった。


「いやー、結構楽しかったな。もう一回……」


俺は階段を駆け上がり、今度は右の方に乗り込む。



「ひゃっほーーう!!!!」


『バシャーン』



もう一回だけ。


「流しそうめんの気分だーー!!!」


『バシャーン』



さらに。


「良い旅夢気分ーー!!!!」


『バシャーン』



そして。


「ブーーン!ブーン!キキッー!!!」


『バシャーン』



……。


「おーっと海選手!早いです!ぶっちぎりです!!見事他の選手を追いぬかし、海選手一位でゴーーール!!!!!」


『バシャーン』




いやー何度やっても飽きない面白さ。


どれどれもう一回……。


…ってアホか!!


なに盛り上がっているんだ俺は!!


くそっ、ノリノリで五回も流されちまった!!!


迂闊だった。まさかこんな罠にはめやがるとは。


ガキどもめ、ただじゃおかんぞ!!!


ガキどもどこ行った!?


ってあれ?


こんな所に銃が落ちてる。


俺の足に何かが当たり、俺はそれを確認した。


そしてそれは、俺の探していた銃だった。


うおっ!ラッキー!!


多分、帰ったのだろう。


なかなか来ないから。


……どうだ見たか。これが俺の作戦だったわけだよ!!


ガキどもをあきらせる作戦!!


見事成功だ!!


治療室へGO!!


俺は、一人で意味不明な言い訳をし、治療室へと向かった。



そして50秒後。



「たのもー♪」


俺は勢いよく治療室の扉をあける。


『うわっ!!……なんだきみかぁ。たのもーって、道場じゃないんだから。』


再び驚いたらしいあの兄ちゃん。


俺は、その兄ちゃんに告げる。


「警備兄さん!!これが例の銃です!!」


俺は銃を見せた。


『警備員さんでしょうに…って、銃!?』


とてつもない驚きっぷりの兄さん。


ノリが良い人は嫌いじゃない。


とりあえず時間がないので、俺は説明を省いた。


「まず包帯取りまして、怪我している所を差し出してください」


俺はお願いした。


すると、警備の兄ちゃんは、黙って言うとおりにしてくれた。


なにこの人。メチャクチャいい人じゃん。


言う事聞いてくれるし。ガキどもとは大違い。


『えっと、ここと、ここ。あと、ここにここかな』


順番に怪我した所を教えてくれた兄ちゃん。


『でもそんなもので、どうするつもりなんだい?』


ここに来て、やっと質問とは。


人がよすぎるよ兄ちゃん。


なんか仲良くなれる気がする。


俺は、そんな兄ちゃんに、『まぁ、見ててください』とだけ告げ、順番に怪我した所を狙撃していく。


『ビチョン』

『ビチョン』

『ビチョン』

『ビチョン』


そして、『シュー』


うんうん。焼けとる焼けとる。


『え!?あ、ちょ!?熱い!!熱いんだけど!?』


とても慌てふためく兄ちゃん。


芸人も真っ青のリアクションっぷりだ。


「大丈夫です。見ていてください。……ほら」


スライムが自然と消滅し、さっきまで赤くなっていた場所が、すっかり治っている。


『うわっ!!なにこれ!?きもちわるっ!!』


うん。この人最高。


「とりあえず!!こっちです!!」


『わかりました!!』


ずっと跳ねたり触ったりして、傷の調子を確認している兄ちゃんに言った。


すると、兄ちゃんの表情が、キリッっと切り替わる。


とてもいい顔しておるやないかい!


そんな兄ちゃんを、不良どもの場所へ案内する。


「お、見えてきました!!あそこで……はぁ!?」


俺が驚くのも無理はない。


秋が不良黒に羽交い絞めされて、不良金に何かを突き付けられている。


きらりと光る何か。


鋭い刃。その大きさからして、果物ナイフだと思う。


ナイフ!?


おいおい、シャレにならねーぞ!!


『俺達に喧嘩売った罰だ!これで苦しめや!!』


そういって、不良金がナイフを振りかざしている。


やばいだろ。このままじゃやばいだろ。


するとその時、『そこの不良どもめ!!警察に突き出してやる!!』


あの兄ちゃんが言った。


それ故に、一瞬不良の動きが止まる。


それが、一気に場を形勢逆転へともたらす光となる!!


「食らえ!スライム式腫れ引きレーザー銃!!」


俺は、やつらのナイフめがけて狙撃する!!


だがしかし。


『プシューン。燃料切れだよ♪補充してね♪』


スラ銃から、最悪の言葉。


燃料切れ!?ふざけんじゃねぇぇ!!


俺は、反場やけくそでその銃をぶん投げた。


だが奇跡的に、その銃が不良金のナイフを弾き飛ばす。


『なっ!?』


とても驚く不良金。


『もがっ!もががっ!!』


その不良の顔に、謎の赤いスライムが付着する。


そう、オメガだ。


オメガが、謎の道具で狙撃した。


ナイスだオメガ!!


不良のもとにたどり着いた兄ちゃんは、不良の腕を後ろ手に縛り、不良と共にそのままどこかへ行ってしまった。


「とりあえず、お疲れー」


俺は言った。


疲れたようで、地面に座ってへばっている秋。


伏せ撃ちのような体制で、銃を構えているオメガ。


すっかり腰を抜かし、安心している琴音。


こんな時までお調子者のエメリィーヌ。


みんなの知らない所で、ナイスな活躍をした俺。


そして、あの警備の兄ちゃん。


みんなの力があったからこその、勝利。


とりあえず良かった。


みんな怪我がないみたいで。


「おい、僕は殴られたんだぞ?」


あー。そうだったな。


「恭兄ぃも結構カッコ良かったよっ!!ありがとねっ♪」


お?琴音が恭兄ぃって呼んだ。


だが、そんな琴音の言葉を、やはり台無しにするのがオメガ。


「琴音ちゃん!僕はカッコよかったろう?なら結婚するしか!!」


そういって、琴音に張り付くオメガ。


そして。


「グフォラ!!」


「本っっ当にさいてい!!!メガ兄ぃなんか嫌い!!」


琴音に怒涛の攻撃を浴びせられ、流れるプールへと飛んでいくオメガ。


そして、流されていく。


あーあー。台無しだな。


だがオメガは、急に両手をあげ。


「しかし、好きだぁー!!!!」


「メガ兄ぃ!うるさい!!」


「ははは、恭平のやつは、まったく」


「本当に懲りないんヨね」


「だな」


その言葉で、みんなが一緒に笑う。


琴音も笑っている。


ただオメガは流されていく。



今日プールに来て、みんなの絆がより深まった気がした。


たまにはこういうのも悪くない。


「それじゃ、遊ぶか!」


「そうだな」


「だねっ」


「なんヨ!ウチはウォールドスライゴンがやりたいんヨ!!」


「はぁ!?なんだその強そうなドラゴンは!!」


「エメリィちゃん、ウォータスライダーでしょ」


「ああ、それか。琴音凄いな」


「えへへー」


「ってかそういえば!!お前俺が大変な時に、一人でスライダーで遊んでたろ!!」


「あ!えと、そのあれはだな……」


「カイ!ずるいんヨ!!」


「だからちゃんと理由があるんだよ!!」


「海兄ぃずるーい」


「もう琴音まで!!」




――こうして、俺達はみんなでたくさん遊びつくした。


ウォータスライダーをした。


流れるプールも遊んだ。


もういいというほど楽しく過ごした。


これが幸せというものなのだろう。


本当に良かった。遊びに来てよかった。




ただ最後まで、オメガが流れ続けていたのと。


オメガが不良に撃った、赤いスライムの効果が気になっている俺だった。




第二十二話 完

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