第十八話~奴再来~
どうもでーす。
今回はデパート編完結!
それでは、どぞ
前回のあらすじだ。
デパートに買い物に来た俺達。
メンバーは、秋、琴音、エメリィーヌ、オメガ、そしてこの俺、海。
だがこの面子で、無事に買い物ができるわけもなく。
オメガの行動により、琴音がブチ切れ寸前。
そこで何と、オメガの開発した精神安定シールを琴音に貼って、その場は難を逃れた。
だがしかし、そのシールには恐るべき後遺症が残っていた。
変動。豹変。性格の切り替わり。
そのせいで、琴音は恥ずかしがり屋から一変する。
オメガの馬鹿臭い告白に、いいよ。と返事を返してしまった。
それを聞いた秋もまた、暴れ出す。
そしてシールの餌食だ。
普段地味なキャラ設定の秋が、とても陽気なお調子者へと変貌。
そして、すべての元凶であるオメガも、琴音に好かれて浮かれてしまっている。
しまいには、このままでもいい。とか言い出す始末。
この中で正気なのは俺とエメリィーヌなのだが、エメリィーヌは陽気な秋と楽しく遊んでしまっている。
効果は一時間。
俺はそんな絶望的状況の中で、買い物を済ませなければならない。
果たして俺たちは、無事に買い物をすませることが出来るのだろうか。
そして、周りの人たちの視線を、俺は耐えきることができるのだろうか―――
第十八話
~奴再来~
入店から、まだ十五分足らず。
そんな短い時間で、すっかり変わってしまったみんな。
琴音を見てみる。
「恭兄ぃは、世界で一番好き!」
……この有様だ。
琴音のこの好きっぷりを見ると、よほどオメガが嫌いだったのだろう。
可哀そうに。一種の惚れ薬じゃねぇか。
そしてオメガは、琴音に腕を組まれ、しがみつかれている。
そんな状態で、無事な訳がない。
「や、山空。僕はもう、死んでもいいかもしれない」
「だめだよっ!恭兄ぃが死んじゃったら、琴音悲しいもん!!」
「ごめん琴音ちゃん!僕が悪かったよ!!」
「恭兄ぃ!もう、ビックリさせないでよっ!!」
「ああ、すまなかった」
「うん。なら許してあげる。…そうだ!アニメの事教えてよっ!」
「そういう事なら、いつでも教えてあげるよ」
「やったー!ありがとう!!恭兄ぃ!!」
……なんだこれ。
俺は何を見せられているんだよ。
つーか琴音もキャラ崩壊してるな。
しかも琴音が、禁断の次元に足を踏み入れようとしている。
さすがオメガのシール。恐ろしい。
一方秋は。
「鳩ぽっぽーイェー!!ぽっぽっぽっぽ鳩ぽっぽチェケラ!!」
あーあ。もう手の付けようがない。
これはもう手遅れだ。
急にエセラッパーと化しちゃった。
だけどあれだな。存在感だけはないんだな。
俺のそんな表情が見て取れたのか、ウザさ百倍ラッパーマンが話しかけてきた。
「ヘイYou!何落ち込んでるんだい!!もっと人生楽に生きろよチェケラ!!」
おいおい、もうお前誰だか分かんねーよ。
やっぱり訂正するわ。存在感があり過ぎる。ウザさがにじみ出てるよ。
もうこれシールがどうとかいう問題じゃない。
ただアホだろコイツ。
そんなに目立ちたかったのかコイツは。
もういやだ。
なにこれ。誰か助けて。ヘルプミー!!
俺はラッパーマンと化した秋に呆れながら、その秋と一緒にノリノリなエメリィーヌに言った。
「おいエメリィーヌ、話があるからちょっと来てくれ。」
俺はエメリィーヌに手招きをする。
すると、俺の言うとおりにエメリィーヌが来た。
やばい、こいつだけは変わってない。
なんか感動だ。
俺は、謎の感情に満たされながらも、エメリィーヌに言った。
「エメリィーヌ。お前、勾玉持ってきたか?」
なぜそんな事を聞いたのか。
エメリィーヌは、しばらく考えるそぶりを見せた後、『あぁ』と、勝手に納得してから言った。
「持ってきてないんヨ」
ないのかよ!!
くそ、エメリィーヌにでも治して貰うか、最悪、自宅に送り返してもらおうと思ったのに。
「人生は、甘くないから、面白い。」
「なんだよ急に!?一句詠むんじゃない!!」
「そんなことより、どうするんヨ?このままじゃ……」
「わかってる。何とかしなければいけないことくらい。」
そう、分かっているのだが、何もできない。
このままじゃ、やばい。
琴音がやばい。
秋はどうでもいいとしても、琴音はやばい。
とりあえずあれだな。
「買い物を済ませてしまおう。」
俺は言った。
少しでも買い物に夢中になれば、いつの間にやら治ってた!みたいな?
俺のそんな言葉に、エメリィーヌが呆れた声で言った。
「それじゃあ、一種の現実逃避じゃないんヨか?」
「うるさい。大丈夫なんだよ。俺がそう決めたんだ」
何が現実逃避だ。
失礼にもほどがあるだろ。
誰だって逃避したくなるに決まっている。
そうだ。俺がそう決めたんだ。
「だんだんガキ大将化してきたんヨ」
「うるせぇな。とりあえずあれだ。エメリィーヌは、琴音がなんかヤバげな方向に行きそうだったら教えてくれ。」
「分かったんヨ!!」
「おし。頼もしいな」
エメリィーヌの顔からは、とても力強さが伝わってくる。
まともな人間ほど、安心できる奴はいねぇな。
こんな小娘でも、頼りになるとは。
とりあえずこれで、後は買い物だ。
俺は、おかしくなっちまったみんなに告げる。
「そろそろ買い物再会するぞ。エメリィーヌの布団を買う。絶対に俺から離れるんじゃないぞ!」
俺がいうと、皆が口ぐちに返事をしだす。
「分かったZE」
「恭兄ぃが良いなら琴音もいいよ」
「僕は別にかまわない」
よし。なんだかんだ言っても、みんなはみんななんだな。
性格が変わったとはいえ、俺の大事な親友だ。
意外と平気かも知れない。
そう思いながら、俺は歩き出した。
「それじゃあ、出発なんヨ!!」
『おー』と、一人で盛り上がっているエメリィーヌ。
俺はそんなエメリィーヌを横目に、エスカレーターを目指す。
このデパートは結構広く、エスカレーターまでの距離が遠い。
しかも、ずっと変なノリの秋。
オメガととても仲がいい琴音。
そんな二人に挟まれながら歩く。
通るとこ、皆が振り返る。
その視線がとても痛かった。
もう勘弁してくれ。
だが俺は、そんな苦労も全て耐え抜き続け、エスカレーター前に到着。
するとその時だった。
「カイ!大変なんヨ!!」
エメリィーヌが突然叫ぶ。
「どうしたエメリィーヌ!!琴音になんかあったか!!」
俺は、慌てて琴音を見る。
だが、何ともない。
おかしいと思い、エメリィーヌに視線を移すと。
「あそこにラーメン屋があるんヨ!!」
と言って、ラーメン屋の看板を指差している。
「だからなんだぁぁぁぁ!!」
俺はそんなエメリィーヌにイラつき、無視してエスカレーターに乗りこむ。
一応、エメリィーヌが、ラーメン求めてダッシュしないか見守りつつだ。
だがちゃんと、ついてきたようだ。
えらいぞエメリィーヌ。
あとで、ラーメンなんか好きなだけ食わしてやるよ。
俺は心が広いからな。
そんな感じで、売り場に到着。
俺は何となく、琴音達を見た。
すると、琴音の様子がおかしい事に気付く。
なんか、凄い顔が引きつっている。
表情が硬い。
どうしたのだろう。
俺は不思議に思い、オメガに問う。
「なんか琴音が変なんだけど。これどうしたんだ?」
するとオメガが、残念そうに言った。
「どうやら効果が切れてきたらしい。個人差ってひどいねー」
おお!さすが琴音。
もう後遺症までふっ飛ばしかけているのか。
凄い生命力だな。
そしてオメガ。一番ひどいのはお前だ。
でもまぁ良かった。
まさか一時間の所、五分ぐらいで切れかかるとは。
驚いた。
とりあえず安心だな。
俺は、心の底から安心した。
だが、この後の事を考えると、やはり笑えないな。
とりあえず布団だ。話が進まん。
そう思った俺は、子供用の布団コーナーへと足を踏み入れた。
そこには、とてもかわいらしい模様の布団達。
ちなみに、掛け布団のみを買うつもりだ。
敷布団は、確か家にあった。
俺が昔使っていた奴が。
エメリィーヌはベッドで、俺はその古い敷布団でいいだろう。
俺は、どれがいいのかエメリィーヌに聞いてみた。
すると、とても目をキラキラさせて答えてくれた。
「これがいいんヨ!!」
そういって指をさしたのが、クローバーが描かれている緑色の布団。
やはり緑か。
まぁ、大体想像はついてた。
エメリィーヌはいつも即決だ。
みていると、気分がいいほどに。
だから、一緒に買い物に来ると楽だよなー。
でも、一応他の物も聞いてみる。
「こっちや、これも緑だぞ?」
俺が順番にエメリィーヌに見せる。
だがエメリィーヌは、見向きもしない。
買う側としては、もうちょっとちゃんと選んで欲しいのだが。
まぁ、本人がそれがいいというのなら、俺は別にかまわないが。
俺は、エメリィーヌの要望通り、クローバー模様の布団を手に取った。
以外と布団って高いんだな。
まぁいいけど。
「なんヨー♪なんヨー♪」
エメリィーヌはすっかりご機嫌だ。
それを見ると、ただの子供にしか見えない。
俺達は、レジに向かう。
もちろん、布団を買うためにだ。
レジにつくと、とても優しそうで、清楚な感じのお姉さんがいた。
俺は金を払い、お姉さんは布団を袋へと詰める。
俺はそれを受け取った。
目的の物を買った俺は、特にもう用はない。
なので、夕飯の材料でも買っていこうと思う。
そんな訳で、エレベータ付近に到着。
って、そういえば忘れてた。琴音は平気か?
そう思い、琴音の表情をうかがう。
すると、表情は先ほどのように、とてもぎこちない。
しかも、オメガをつかむ手は、とても力が入っている。
「オメガ。痛くないのか?」
思いっきり赤くなっているけど。
肉が裂けそうなくらいつねられているけど。
だがオメガは、無表情。
だいじょうぶかいな。
「こんなもの。後の出来事に比べれば怖くはない」
あ、自覚はあったんだ。
なら逃げればいいのに。
「この有様で逃げられん」
あー。琴音、意地でも逃がさない気だな。
体の自由がきくようになったら、オメガ終わったな。
さらばオメガ。短い付き合いだったな。
「おい山空。助けてくれ」
おいおい、何言ってるんだ。
自分でまいた種じゃないか。
それに。
「俺はまだ死にたくない。見てみろよ。完全に俺を見ている」
もちろん琴音が。
まだ睨みつけることは出来ないのだろう。
いつもと変わらない目だが、その視線からはいつも以上に何かが伝わる。
俺の中の危険ですぜ。が鳴りやまない。
「ぽっぽっぽー鳩ぽっぽー。目立てて嬉しい鳩ぽっぽー」
そこに、ラッパーマン登場。
もうお前いい加減にしなさい。
思いっきり喜んでるじゃん。
おまえはいいのか。お前は本当にそれでいいのか。
「あ、ちなみに、竹田兄に貼ったのは、お手軽タイプのやつだよ。もう効果切れてる」
「…………」
「…………」
「カイー。それにシュウも。どうして無言になるんヨか?」
エメリィーヌ。俺達が無言になったのは他でもない。
さっきの言葉を聞いて、琴音の表情が豹変したからだ。
もう、秋がふざけていた事などどうでもいいくらいに。
琴音がなんか凄いヤバそうなので、オメガのためにも聞いておくことにした。
「えーっと、オメガ。なんで琴音にそっちのお手軽タイプを使わなかったんだ…?」
俺が聞くと、考え込むオメガ。
それを見て、気味悪く微笑む琴音。
いや、多分怒っているのだ。
でも、後遺症のせいでそうなってしまうだけ。
なんか理由があるに違いない。上手く答えてくれオメガ。
俺が心から願う中、オメガが発した言葉は。
「……その発想はなかったや!!」
『ドッガーン』だ。
もうこれがアニメとかだったら、ドッガーンと言う効果音がついている。
そしてそのあと、ビシッ、ボカッ、ドコッなどの効果音が響くであろう。
だがこの現状は、そんな生易しい効果音ごときで表現できるものはない。
もっと凄い事に。
もう誰も近寄れない事になるだろう。
だってほら。琴音はすっかり笑顔だ。
薄気味悪いほどに。
そして今、地獄の時間が始まる。
「恭兄ぃ……」
琴音の声はいつもの声。
だが。
「琴音ちゃん。今の僕に、謝るという選択肢をくれないか?」
オメガの必死の抵抗。
その顔は、とても引きつっている。
「……」
「や、山空」
無言の琴音にビビるオメガ。
子犬のようなきらきらした目で、俺に助けを求めてくる。
悪いオメガ。
俺にはこれしか言えない。
「……どんまい」
「や、山空!親友を見捨てるつもりか!」
必死のオメガ。
正直、こんなオメガ見たことない。
やっぱりあいつも人間なのだ。
嬉しい時には喜ぶし、怖い時には怖がる。
うん。オメガ頑張れ。
俺は、人気のない所まで引きずられていくオメガに言った。
「何かあったら、すぐに助けてやるからなー!!」
「ちょっと待て山空ー!!エレベーターに乗り込んだ人が発する言葉ではないぞ!!」
「キョウヘイ!!ラーメン屋で待っているんヨ!!!!」
「エメル!!僕よりラーメンを取るのか!!」
「琴音!」
「竹田兄!!僕を助けてく…」
「俺の分まで入れてこい!!」
「秋兄ぃ!わかったよ!」
「竹田ーー!!!」
ガシャン。
ここて扉はしまった。
エレベータにいる俺たち三人は、一階へと降りる。
エレベータが一階につき、扉が開く。
扉の前にいた次乗り込む人達に、清々しい笑顔であいさつしながらすれ違う。
そして、俺は秋に言った。
「おい秋。何でお前、治っていたのに治っていないふりを?」
俺は聞いた。気になったからな。
だが秋の口から出た答えは、とても想像通りの言葉だった。
「もっと目立っていたかった」
「……秋。とりあえず、エメリィーヌとラーメンでも食っていてくれ。後で払うからさ」
「別にいいよラーメンくらい。俺が出すよ。それより、お前は食わないのか?」
「いや、夕飯の買い物してからな。終わったらすぐに向かうから」
「ああ、なるほど。わかった」
「やったーなんヨ!!じゃあ、早く行こうなんヨ!!」
そういって、秋の手を引っ張るエメリィーヌ。
そのエメリィーヌの顔は、とても嬉しそうだった。
ラーメンでこんなに喜んで。ホント幸せな奴だなぁ。
「おいこらエメリィーヌ。よだれが出てるぞ!!」
俺はエメリィーヌに注意した。
俺の言葉で、自分が大量によだれを垂らしている事に気付いたらしい。
「おっと、これはいかん。……フキフキ」
「ちょ、おい!俺の服で拭くなよ!!」
「お、シュウ上手いんヨね!『服』で『拭く』なんて」
「え、そう?いやぁ照れるな」
「下らない事してないで早く行くんヨ」
「なんだと!!」
エメリィーヌにすっかり遊ばれている秋。
なんだかんだ言って仲が良いな。
っと、そんな事より買い物だ。
唐揚げにでもするか。
となると、まずは鶏肉だな。
俺は何を買うかあらかた決め、目的の場所に向かう。
とても広いが、天井からつるされている標識により、一目で場所が分かる仕組みとなっている。
ちゃんと客の事を考えているんだな。
つーか、それにしても人が多いな。
こんなに人が多ければ、警備員の人もいるだろう。
琴音って、警備員の人に捕まらないだろうか。
まぁ、その時はその時だな。
っと、えーと?一番安くてお得なのはっと。
肉のコーナーに着いた俺は、適当にお得っぽいのを探し始める。
だがよく分からんので、一番安いのを適当にカゴに入れた。
いつもこんな感じだ。
えーっと、次は唐揚げ粉だな。
唐揚げ粉を求めて、再びさまよい始める。
が、しばらくさまよったのち、見つける。
俺は、いつも使っている『ジューシーかつカリカリに仕上がる!魔法の唐揚げ粉!』を手に取り、カゴの中へ。
「おう、山空じゃねぇか!金持ち風情がこんな所で何やってるんだよ!?」
すると突然。左方向から脇役の声が聞こえる。
そう。あいつだ。
「なんだよ山下。みて分からんのか?買い物だよ買い物」
あ、説明しておこう。
山下とは、じゃんけん大会の時、俺にコテンパンにぶちのめされた奴だ。以上。
そしてそんな山下が、喧嘩を吹っ掛けて来る。
「丁度良かった。俺今ムシャクシャしているんだ。一発殴らせろ!」
古いな。むしゃくしゃしてるからとか。
もうちょっと考えろよ。
わざとぶつかって何かを割らせるとか。
そのぐらいしようぜ。
面倒くさいし、適当にあしらっておくか。
「あーはいはい。今、俺は唐揚げの材料を買うのに忙しいんだ。後でにしてくれ」
「なんだ。負け犬が。俺様に怖気づいたか?」
アホかコイツは。
面倒くさいな。
「はいはい。怖じ気づきましたー。もう勘弁して下せぇー。…あ、こっちの方が安いじゃん」
「……お前は完全に俺を怒らせてしまったようだな!!」
なんだよコイツ。勝手にキレてるだけじゃん。
しょうがないだろ。安かったんだから。
50円引きだぞ?買うだろ。
だいたい、俺に勝てる訳ねーべ?
よく考えろよ。
「お前は弱いんだから」
あ、つい声にでちゃった。
俺のそんなうっかりに、とてつもなく反応する山下。
「おい、お前今なんつった?」
「……てへっ。つい本音が。すまんすまん」
「なんだとてめぇ!!じゃんけん大会の時の俺様とは思うなよ!?」
「何が俺様だよ。お前はおバカ様だろ」
「てんめぇ!!!」
「何キレてるんだ。落ち着け。深呼吸だ。カルシウムも取った方がいい。確か向こうの方に牛乳があったはずだ。200円やるから買ってこい」
「おお、サンキューな!」
「おう!体を大事にしろよ!!」
そういって、牛乳求めて走り去っていく山下。
あいつはもともといい奴なんだから。
不良ですらないしな。
一般人だ。
この前、近所の子供たちと一緒に、キャッチボールをしている所を見たぞ。
っと、とりあえず買い物再開だな。
そういって、俺は再び買い物を始める。
それから約十分後。
買い物終了。
俺は片手にビニール袋を持って、ラーメン屋に向かう。
と言っても、このデパートの中にあるのだが。
つーかもう目の前だ。
俺はラーメン屋に足を踏み入れる。
いや、あるのはラーメンだけじゃないけどね。
アイスにハンバーガー。たこ焼きに鯛焼き。
色々ものがある。
色々合わさったレストラン的な感じだろう。
その時、エメリィーヌの声が聞こえた。
「カイー!!こっちなんヨ!!」
声のした方を見ると、エメリィーヌが元気に手を振っている。
秋や琴音もいるようだ。
だが一人だけ、全身ホワイトの不審者がいる。
誰だ?あれ。
とりあえず俺は、皆のもとに駆け寄ってみた。
すると、どうやらエメリィーヌは食べ終わっているみたいだ。
で、俺はみんなに聞いたわけだ。
「琴音、大丈夫だったか?」
すると琴音は、元気に答える。
「うん。もう大丈夫!!すっかり良くなったよ!!婚約破棄もしておいた」
その顔を見ると、すっかり元の琴音だ。
てか婚約破棄って。
「お前、記憶あったのか」
「うん。最悪だったよ。思っている事と、ま逆の言葉が口を突いて出るし、体の自由が利かないし」
「確かに最悪だな。自分が何をしようとしているか分からないんだもんな」
「うん。だけどもうスッキリしたよ」
ああ、確かにスッキリしてるよ。
引っ越してきたばかりの家のようにスッキリしている。
「じゃあ、海も来た事だし帰るか」
「なんヨ!!」
「うん」
「ああ、俺も疲れたよ」
秋の言葉に全員が同意する。
そして俺達は店を出たのだった。
自転車置き場に向かい、それぞれの自転車にまたがる。
約一名は、電動式のバイクだ。
子供でも乗れるやつね。
それを改造して、自転車と同じスピードまで出るようにしたらしいよ。
そして、皆で一斉に漕ぎ出す。
こうして、俺のデパート戦争は幕を閉じたのだった。
めでたしめでたし。
……あーはい、ちゃんと分かってますよ。
あのホワイトマンね。あれは全身包帯ぐるぐる巻きにされたオメガだ。
どうやら、全身複雑骨折程度で済んだようだ。
発明って凄いね。寝ながらでも運転できるようにさえ出来るんだから。
自動運転モードってやつ。
なんか小型ベッドみたいなものが出てるし。
そこにオメガが寝ている。
エメリィーヌも面白がってそこに乗っている。
大丈夫なのかと心配もしたが、来る時もこうだったので大丈夫らしい。
てな訳で、俺のデパート戦争は幕を閉じたのだった。
第十八話 完
はい、と言うわけで、俺日!第十八話ご愛読ありがとうございます!
ですね。はい。
まったく。誰だよこんな面倒くさい展開にしたのは。
もう書いていて嫌になったわww
やっぱりあれですねー。セリフばっかにしようかな。
面倒ww
よし。愚痴り終わった所で、今回。
デパート編完結っすね。て、これ最初も言ったわ。
もうみんな揃うと疲れるww
もうちょっと次回は書きやすいものにします。
もうデパートやだ。
あ、ちなみに、今回一番力を入れたのが山下ですww
ってなわけで、次回をお楽しみにね!!