第十七話~デパートで大惨事~
文字数半端ねぇww
ではいってらっしゃい
「オメガー!ちょっといいか?」
「うむ」
「お前、秋達の事よく知らないだろ?」
「うむ」
「しかも、琴音には嫌われているだろ?」
「えぇ!?」
「そんな訳だから、より仲良くなるためにも、みんなで買い物に行こう」
「うむ」
「じゃあ、デパートに行くぞ。お前荷物持ち」
「うむ」
「よし。荷物持ち確保。とりあえず、エメリィーヌも喜ぶしな」
「うむ」
「ついでに、秋達と仲良くなろう作戦。あと、荷物持ち。」
「うむ」
「琴音に今以上に嫌われないように気をつけろよ?」
「僕は嫌われているのか!?」
「まぁ、そういうわけだから、これからデパートに出発だ。あと、お前は荷物持ち」
「うむ」
第十七話
~デパートで大惨事~
上記の会話を見てくれただろうか。
見てくれたなら、説明はいらないだろう。
今俺たちは、デパートの入り口前にいる。
このデパートは結構広く、色々なものが置いてあるらしい。
なので一度来てみたかったんだ。
今回は一応、エメリィーヌ用の布団だな。
それを買いに来た。
でもここまで広いと、他の物まで買ってしまいそうだ。
エメリィーヌもいるしな。
で、今何をしているかというと、秋達を待っているんだ。
現地集合という事だ。
なので、今現在ここにいるのはエメリィーヌとオメガのみ。
「シュウ達、遅いんヨねー?ラーメンでも食べて待っていようなんヨ!!!」
とてもはしゃいでいるエメリィーヌ。
子供って元気だなぁ。
「そろそろ来ると思うんだけどな」
ちなみに、今は午後二時。
このデパートは、俺の家から40分程度の距離だ。
つまり、結構遠出だな。
「遅いんヨー。しょうがないからラーメン食べるんヨ」
「いちいちラーメン食わなくてよろしい」
駄々をこねるエメリィーヌ。
おいおい、俺たちが着いてから、まだ五分ぐらいしか経ってないだろう。
飽きるの早いぞ。
「そんなことより、山空。僕もせっかくだし見たいものがあるんだが……」
イヤホンを外しながら、唐突にオメガがいった。
「ああ、好きに見てくれ。だけどあまりあちこちに行かれると、後々面倒だからな。なるべく離れないように頼む。」
「うむ」
そういって、またイヤホンをつける。
何かの音楽を聴いているようだ。
かすかに漏れる音から、アニメソングだということが伺える。
オメガって、基本無口なんだな。
少女たちがいるとよく喋り出すくせに。
エメリィーヌもいるのだが、宇宙人という事を教えたら急に大人しくなった。
といっても、たいして変わらないのだが。
琴音の時と比べるとえらい違いだ。
まぁ、家にいる時はエメリィーヌとずっと話してるけどな。
俺の存在は消されているみたいな?
まぁ、俺の家だし?元々一人暮らしだから別にいいのだが。
一緒に住んでいる以上、俺を話し相手として見てくれてもいいと思う。
いるのにほっとかれると、少し寂しいものもあるしな。
秋の事はすっかり忘れ、自分の事ばかり言う俺。
そんな事を思いながら、二人を待つ。
「むぅ、シュウはなにをやっているんヨか!!もう疲れたからラーメンを…」
「食わねぇよ」
どんだけだよ。昼食ってきたろうが。
「まぁ!?下僕のくせに主人であるこの私に逆らうというの!?」
「俺は下僕でもなけりゃ、お前に主人になってもらった覚えもない」
「うーん、カイのいけずぅ」
「やめい」
まったく。すっかりオメガに汚染されやがって。
お前いったい何キャラだよ。
何を目指しているんだ。
「おぉ、エメル。きみも分かってきているじゃないか!!」
急にテンションが変わるオメガ。
お前ら元気だな。俺は疲れたよ。
「キョウヘイはいったい何を聞いているんヨ?」
「フフフ。よくぞ聞いてくれた。魔法少女プリティーマジックの主題歌だ。しかもフルバージョンですぞ?」
「お前、なんてもん聞いてんだよ。一緒にいるこっちが恥ずかしくなる」
「ウチも聞かせてなんヨー」
「いいですぞ」
そういって、エメリィーヌの耳にイヤホンをつけるオメガ。
それを聞いて、ノリノリでダンスを始めるエメリィーヌ。
それを見ている周囲の人から、くすくすと笑われているのを聞き続ける俺。
なんという生き地獄。まるで晒しものだ。公開処刑だ。
秋よ。今ほどお前に、早く登場してほしいと強く願った事はないだろう。
たのむ。俺を解放させてくれ。
そんな俺の願いが通じたのか、秋達到着。
「わりぃ!遅れた!!」
「いやぁ、ごめんねー。…ってこの前の変態!!」
オメガを見て、琴音がメチャメチャ驚いている。
あー、言っておくの忘れてた。
「こいつな、今俺の家にいるんだよ。居候ってやつ?なんか色々あるらしくてさー。つまりはだな……」
俺は適当に説明する。
俺がオメガから聞いたすべてだ。
オメガも所々相槌を打つ。
秋達は、以外と平然としていた。
「なるほどな。まぁ、どうでもいいわ」
「うん。そんな事より帰りたい」
ちょ、ここまで来て帰りたいとか言うな。
琴音のそんな言葉を聞き、秋が説得に入る。
「せっかく来たんだ、楽しく行こうぜ」
「やだ。無理。帰る。」
「琴音。嫌なのは分かるが、少し我慢ぐらいしてだな…」
「秋兄ぃ。もう私帰る」
「子供かよ!?お前見てみろ!!エメリィーヌだってこんなに悲しそうな顔に…」
そういって、秋がエメリィーヌを指差す。
だが、エメリィーヌは楽しそうに踊っていた。
おいこら、エメリィーヌ空気を読みなさい。
そこで嘘でもいいから悲しい顔をしなさい。
そんな俺の思いむなしく、琴音が軽快なダンスをしているエメリィーヌを見てしまった。
「…私にはダンスをしているようにしか見えませんが?」
「はははー。ですよねー。」
すっかり負けた秋。
なんだよダメ兄貴だな。
しょうがないから俺がフォローしておこう。
「あれは、エメリィーヌ特融のかなしさアピールなのだよ」
「なんでやねん!!」
おい秋!!なぜお前がツッコむ。
全部台無しじゃないか。
琴音の顔を見てみると、険しい表情でずっとオメガを見ていた。
おい、そんなに嫌なのか。
つーか琴音。
「お前、人見知り大丈夫なのか?恥ずかしくないのか?」
なんか普通に話しているけど。
「人見知りは何とか平気だけど、一緒にいると違う意味で恥ずかしい」
「同感」
琴音がとても、なんか冷たい。
オメガ、相当嫌われているらしい。
でもまぁ、本人があれだからな。よしとしよう。
とりあえず、そろそろ買い物だ。
そう思った俺は、みんなに、特に琴音に言った。
「そろそろ行くぞ。時間がなくなる」
「おう。」
「なんヨー」
「うむ」
「帰る」
おい。面倒くさい奴だな。
まだそんな事言っているのか。
ああ、めんどい。
いつまでもわがまま言っている琴音に、俺は言った。
「帰るな。もし帰ったら、俺の家に泊らせるぞ。オメガ大喜びだぞ。」
「…ほら行こうよ、エメリィちゃん。」
そういって、エメリィーヌの手を引き、勝手に店内へと入っていく琴音。
とても効果があったようだ。
とりあえず良かった。
「オメガ、今日は琴音に手を出すんじゃないぞ。絶対にだ。」
「大丈夫だ。僕は手を出したことなどない。」
「嘘つくな。とにかく、絶対にだ。」
「わかった」
オメガに強く言い聞かせた俺は、琴音を追って店内へと入った。
後から、秋、オメガも続けて追って来る。
それにしても広いな。余裕で迷子だな。
店内を見渡すと、とても広かった。
エレベーターやエスカレーターもある。
やばいぞ。エメリィーヌを連れてきたのはあれだったな。
…まぁ、琴音と一緒にいれば大丈夫だろう。
そんな事を考えながら琴音に追いついた。
「琴音、迷子になるから先に行くな」
「ああ、ごめんなさい。ちょっとノリで」
「はた迷惑なノリだな。」
「おい海!お前も迷惑だよ。走るんじゃない」
どうやら秋達も追いついたようだ。
走るなったって、しょうがないじゃん。
「とりあえず、何買いに来たんだよ?」
秋が聞いてくる。
あ、言ってなかったっけ。
「いや、エメリィーヌの布団だよ。」
「じゃあ、二階だな」
そういって、壁に貼ってあった案内板を指差す秋。
なるほど。案内板があるのか。これなら迷いそうもない。
俺が案内板を眺めていると、後ろの方から突然『ドコッ』という音と共に、誰かのうめき声が聞こえた。
おい、まさか。
俺は、恐る恐る後ろを振り向いた。
するとそこには、腹を押さえているオメガと、明らかに殴りました。のように、拳を前に出している琴音。
あーあー。やっちゃったよ。
どうしてくれる。
店の中だぞ。勘弁しろよ。
なんでだよ。オメガ最低だな。
少しは辛抱しろよ。
それらの事が頭の中を駆け巡った俺は、とりあえずオメガを叱る。
「おいオメガ、お前何してくれる。入店から五分足らずで手を出すって。お前最低にもほどがあるぞ。」
俺が言うと、必死に言い訳を始めるオメガ。
「いや違うんだ。肩に埃がついていたものだから。」
「ものだから、なんだ?」
「これはチャンスと思ったわけさ」
「やっぱり最低じゃねぇか!!」
もうコイツ駄目だ。最悪だ。
そんな事をされて、琴音が帰るとか言い出すのかと、おびえながら俺は見守る。
でもそんな事はなく、琴音は無言で歩きだした。
もちろん秋も驚いたらしく、琴音に聞いた。
「あれ?琴音怒らないのか?」
すると、琴音が言った。
「もう気にしない事に決めた。」
「あ、そうなんだ」
うん。琴音はえらい。
もう感激。
それに引き換えオメガという奴は。
俺が、あきれ果てた目でオメガを見る。
でもオメガは、何食わぬ顔して歩き出している。
もう疲れた。帰りたい。
元はと言えば、オメガと二人を仲良くさせる為に連れてきたのに。
俺の負担を考えるの忘れてた。
だがまぁ、しょうがない。
とっとと買い物を済ませて、帰ろう。
俺は強く思った。
「取り合えず、布団だ。二階行くぞ」
俺はみんなに告げ、歩き出す。
そんな俺について来るように、皆も歩き出す。
「琴音ー。先行くなよ」
「わかったよ」
琴音が立ち止まる。
そして、俺が琴音を追い抜かす。と、琴音もそのあとについてきた。
「ところで。この人はどこの芸人なんですかい?」
オメガが唐突に言い出す。秋を指差しながら。
「はぁ!?ありえないだろう!!芸人ってなんだよ!?」
秋の鋭いツッコミ。
そんなキレのあるツッコミしているのだから、間違えられても当然だな。
「え?芸人の方じゃなかとですか?じゃあ一体……初めて見るんですが」
「なぜだ!!俺はそんなにも影薄いのか!?忘れ去られる存在なのか!?琴音の兄貴だよ!!隣にいただろ!!初めて会った時も!!」
とても必死の秋。
だがオメガはふざけている様子ではない。本当に覚えていないのだろう。
その時、オメガは思いだしたようだ。
なるほど。のポーズをしている。
「あぁ、いましたね。確か…緑原 清さんか。」
「ミドリバラキヨシ!?誰!?そのお方誰!?キヨシってだれ!?そんなんだと、琴音も緑原 琴音になっちゃうよ!?」
「何の事か分からないな。琴音は、鳴沢 琴音だろう。」
「ナ、ナンダッテ!?」
とても驚きまくる秋。
おいオメガ。何を言っているんだ。
ほら見ろ。琴音がキレそうだ。
さっきまでの会話を静かに聞いていた琴音が、とてつもない表情で、オメガを睨んでいる。
そして。
「ふざけないでよ!!いくら私でも怒るよ!?」
「っヨ!?」
突然の琴音の怒りに、エメリィーヌがビビっている。
エメリィーヌがビビるのも無理はない。
琴音があんなに怒っているのを初めてみた。
俺もビビったよ。
だが当の本人は。
「ですよね琴音ちゃん。この緑原って人がしつこいんですよ。でも大丈夫。琴音ちゃんは僕が守ってあげるから!!」
『ブチッ』
あ、琴音の何かが切れた。
もうだめだ。オメガ。さようなら。
琴音って、怒ると無言になるんだよなー。
怖い怖い。
「こ、コトネ…手が痛いんヨ…」
エメリィーヌの声が震えている。
エメリィーヌ初めてだよな確か。琴音がキレる所を見るの。
あーあ。二人とも可哀そうに。悪いなエメリィーヌ。
俺は逃げるぞ。
心の中でエメリィーヌに謝罪し、俺は全力でその場を離れた。
秋はすでに、俺よりもはるか先にいる。
逃げ足速いな。
「ここなら大丈夫だろう。」
そう思った俺は、その場で立ち止まり琴音たちのいる方を見る。
といっても、商品の棚とかに隠れて見えないのだが。
俺たちぐらいになると、そこだけ不穏なオーラに包まれているのが分かる。
しばらく眺めていると、何の音もせずにオーラが消えていく。
「あれ?何があったんだ?」
いつの間にか隣にいた秋が驚いている。
本当だよ。いつもなら、悲鳴の一つや二つ聞こえてきても、おかしくはないのに。
って、自分でいってて恐ろしいな。
でもあれだよな。オメガもなかなかやる奴だ。
普段だったら、琴音は恥ずかしがって、どんなにムカついても我慢するタイプなのに。
琴音があんなにキレるって、ある意味認められているようなもんだぞ。
俺だって、初めてあの琴音とご対面したのは、琴音と出会ってから一年後ぐらいだったのに。
それを二回目のご対面でこなすとは。オメガ。良かったな。
「てかおい、恭平の馬鹿は大丈夫なのか?」
と、秋が言った。
恭平の馬鹿って。お前は。
まぁいいや、様子でも見てくるか。
悲鳴をあげる暇もないまま、殺害されているかもしれないし。
とりあえず俺たちは様子を見に向かった。
するとそこには……
無表情の琴音と、無傷なオメガ。
エメリィーヌは相変わらず震えているが、何事もなかったようだ。
何でオメガは助かったんだろう。
やはり秋も気になったんだろう。
オメガに聞いている。琴音に聞くのが怖いのだろうか?
「おい恭平。お前、何かしたのか?」
「ああ、緑原か。」
「緑原じゃねーし!!俺は秋だ。竹田秋!」
「わかった。琴音兄でいいか?」
「もうどうでもいい」
「じゃあ、お義兄さんと呼ばせてもらう。」
「やめろよ!!寒気がする!!しかも同じ年だし!!」
「いや、僕の方が月日の都合で下だ。現に、僕はまだ十六だしね」
「おい、おかしい!お前何キャラだよ!!急に喋り方変更するなよ!!さっきまで俺様クールタイプだったじゃん!!何急に僕っぽくなってんのさ!?」
「いや、なにをいっているんだい。僕は最初から僕だ。」
「なんというか合わないんだよねー。なんか俺って言いそうな感じがする。」
「理解不能だ」
「って、お前ら下らねぇ事言ってんじゃねぇよ。早く話を進めろ。」
俺は、話がそれた二人に言った。
俺も気になってたんだ。下らない話なんかで時間を無駄にできるか。
俺が言うと、秋がわりぃと言いながら、話を進める。
「どんな魔法使ったんだよ?あの琴音を黙らせるなんて。」
「そうそう。俺もそれが聞きたかったんだよ」
「いやなに。ただちょこっと貼っただけだよ。精神安定シールを」
「はぁ?成人漢検セール?なんだそれ。」
成人を迎えた人たちが、漢検に挑戦できるセールなのか?
意味が分からん。
「意味が分からねぇのはお前だよ。精神安定シールだぞ。」
「ああ、精神安定シールね。なるほど。それで?」
それを使うとどうなるんだ?
「うむ、僕が作ったんだけど、それを貼るとたちまち精神が安定するんだ。」
「まんまじゃねぇか」
そのままの効果に、俺は少しがっかりした。
「ってかおい!!お前が作った!?お前天才じゃん。」
と、秋が言っている。
確かに、天才だな。
てか精神安定って、そんな無理矢理安定させてもいいのか。
俺は気になったので、オメガに聞いてみた。
「それって大丈夫なのか?なんかデメリットとかあるんじゃ…」
「おい海!!何怖い事言ってるんだ!!」
「なんだよ秋。だって気になるだろう。」
「そうなんヨ!!」
うわっビックリした。
いきなり出て来るなよエメリィーヌ。
びっくりしただろう。
一応後ろを振り向くと、琴音は向こうの方で商品を見ている。
なんの商品かは分からんが。あれは醤油か?
まぁいいか。
「とりあえず話を続けてくれ。」
俺はオメガに言った。
すると、オメガが衝撃の一言。
「デメリットはある。」
え!?あるの!?
「おい恭平!!デメリットって何だよ!!!」
秋がとても慌てている。それはそうだろう。
だって一応こんなんでも兄貴だからな。
心配だろう。
そんな秋を見ても、やはり冷静にオメガが言った。
「まて、落ち着け。デメリットといっても、大した事はない。僕が琴音ちゃんを大事にしているのは分かるだろう。」
「ああ、たしかに。」
とても大事にしていると思う。
間違った方向で。
だが、秋もその言葉で納得をしたようだ。
少し落ち着きを取り戻したみたい。
秋が落ち着いたのを確認した後、オメガが言った。
「そう、デメリットとは、上手く感情をコントロールできない訳ですな。」
「……へ?ちょっと待ってくれ、それだとどうなるんだ?」
秋が困り顔で聞いている。
「つまりは、性格の一時的な変動みたいな感じ?」
「みたいな感じ?と言われても、あんまりピンと来ないぞ」
「ウチもサッパリなんヨ。」
なんとなくは伝わったが、やっぱり意味がよく分からない。
それは秋も同じのようで、この世でもっとも困ったような顔をしている。
そんな俺たちの表情を見て、オメガが何かを思いついたように言った。
「じゃあ、分かりやすく言うと、悲しい話をしたときに、本人は悲しいと感じず、逆に楽しい感情が表にだな…」
「あーもう、わからん!!サッパリわからん。そんな理屈っぽく話されても困る!!」
と、秋が頭を悩ませている。
ちょっと落ち着いたらどうだ。今のは俺でも分からんかったが。
なんとなく伝わった。
俺は、オメガに確認を取るように聞いた。
「つまりは、今秋が困っているけど、もしそれが今の琴音だとしたら、困っていると感じず、逆に違う感情が表に…」
「やめろ!!意味分からん!!俺には理解が出来ない!!」
「キョウヘイは宇宙人なんヨか!?」
「いや、僕の記憶が正しければ、生物学的には宇宙人ではない事になる。が、他の星、つまり地球ではない所の人たちから見れば、宇宙人に相当するだろう。つまり、結論を言うと分からないだ。」
「おいオメガ。お前冷静に分析を開始するんじゃない。ゴンドラポールのスカウンターか!」
「良いか山空。ドラ○ンボールのスカ○ターではない」
「うるせぇな分かってるよ!!俺がせっかく名前を変えているのに、堂々と発表するなよ!!」
「おい海!世界観がめちゃくちゃだ!!」
「これでは混乱が始まるんヨ!!」
「…うっ、しょうがない。今回は俺が引こう。」
「えらいぞ海!!」
「立派なんヨ」
「うん、なんかよく分からんが良かった。」
まったく。意味が分からん。世界観って何だ。
皆はいったいなんの話をしている。俺は皆が怖いよ。
俺が落ち込んでいると、オメガがさっきの話の続きらしい事を言った。
「とにかく、琴音ちゃんについては、分かっただろう。」
「全く。」
「さっぱり」
「デラックスなんヨ」
「なるほど。ならば分かりやすく実践してみよう。」
「え?おい恭平!デラックスはスルーなのか!?おいスルーなのか!?デラックスだぞ!?おかしいだろ!!DXだぞ!!」
秋が必死にエメリィーヌの言葉に突っかかる。
そんな秋を無視して、琴音の方に歩き出すオメガ。
ん?何をする気だ?
俺たちはよく分からないままオメガを見守る。
するとオメガは衝撃の行動に出た。
「琴音ちゃん!あんなダメ兄貴すてて、僕と駆け落ちでもしようじゃないか!!」
「馬鹿野郎!!そんな事をしたらまた殴られるぞ!!」
「俺の事をバカ兄貴とは失礼だろ!!せめてちょっと賢くないお兄様とか!!ってふざけんな!!」
「シュウが乗りツッコミしているんヨ。しかもカイよりもキレがあるんヨ。」
おいエメリィーヌ。どさくさに紛れて俺をけなしやがったな。
後でシメるぞ。
俺たち三人は、すぐに逃げる準備をしていた。
だがオメガはまだ続ける。
「僕と結婚でもしてみないか?」
「ずらかれ!!」
俺の言葉を合図とし、一斉に走り出す俺達。
でも、皆が同時に歩みを止めた。
なぜか。
琴音の口から出た言葉に衝撃を受けたのだ。
「おい琴音。今、なんと仰いました…?」
秋の声が震えている。
頭では分かっていても、体が拒絶反応を起こしているようだ。
そんな秋にとどめを刺そうとするオメガ。
「ごめん琴音ちゃん。よく聞こえなかったんだ。僕の為にもう一度言ってみてくれるかい?僕と、結婚してください。」
「うん。いいよ♪こちらこそよろしくお願いします。」
「うわぁぁぁぁ!!!!!!」
その一言で、秋の脳内で大爆発が起こる。
もちろん、俺も絶賛大混乱中だ。
「ちょっと、琴音がおかしいんヨ!」
エメリィーヌも異変に気付く。
だろうな。だって明らかに不自然だ。
琴音が、あんなこと言うはずがない。
やばい。秋が。秋がやばい。
大丈夫かお前。
「うそだ。…琴音が…コトネが…ことねが。うわぁぁ!!!!嘘だぁぁぁぁ!!!」
「しゅーーう!!!!!!!」
「シュウまでおかしくなったんヨ!!!」
頭を抱えて、その場で跳ねながらぐるぐる回っている秋。
どうしよう。秋がいかれた。
ぶっ壊れた。精神崩壊。
…ん!?おい秋!!砂糖なんか持ってどうする気だ!!
やめろ!!弁償しなくちゃいけなくなる!!
俺が慌てていると、エメリィーヌが言った。
「ウチに任せるんヨ!!」
そういって、オメガの方に走り出すエメリィーヌ。
そして、至福の時を迎えているオメガと話をしている。
しばらくすると、エメリィーヌが秋の方に走り出し、顔をひっぱたいた。
俺は唖然とするしかない。
だがそのおかげで、秋が落ち着きを取り戻した。
「おいエメリィーヌ。お前何した?」
当然気になる。あの秋が一瞬にしておとなしくなったのだから。
すると、エメリィーヌが俺の方に何かを差し出す。
いや、見せてるようだ。
「なんだこれ?」
その手にあったのは、白くて丸いかたちをして、二本の曲線と、一本の直線で描かれた、寝ている顔かな?それっぽいものが描かれている。
エメリィーヌが、説明しようとする。
「これはえっと、せん…しんあえ…たす?『精神安定シールだ。』
もたついているエメリィーヌの言葉を遮り、オメガがこっちに来ながら言った。
しかも、琴音と手をつないでいる。やばい。
「…てか、これが精神安定シールか。なるほどな。エメリィーヌにしてはやるじゃないか。」
「えへへー。」
満面の笑みのエメリィーヌ。
よく見ると、秋をひっぱたいた所に、これと同じシールが貼ってある。
琴音の手にもだ。
ん?て事はだよ。
「これをはがせば、元に戻るんじゃないのか?」
俺はオメガに聞いてみた。
でもやっぱり。
「不可能だよ。はがせる事にははがせるが、このデメリットは後遺症のようなものだからね」
「あ、やっぱりね。でも、元には戻るんだろ?」
「うむ、一時間ぐらいで。」
「なげぇ!!おいどーすんだよ!!ずっとこのままか!?一時間ずっと!!」
「まぁ、そういう事になる。でも、僕は嬉しいね」
うわぁ最悪だよ。
どうするんだよ。秋はともかくとして、琴音が可哀そうすぎる。
悲惨すぎるだろ。
って、ん?なんだこの歌は。
急に歌が聞こえ、俺はその方向を見た。
すると。
「ぽっぽっぽー。鳩ぽっぽー。スズメもぽっぽー。マロぽっぽー」
「…………。」
「これは後遺症だな。」
「おい!!どうすんだよ!!秋がおかしいよ!!」
「ぽっぽっぽー鳩ぽっぽースズメもぽっぽーマロぽっぽー♪」
「エメリィーヌ。歌うな。なんか悲しい。」
「ぽっぽっぽー…」
「って聞いちゃいないし。」
「恭兄ぃ。一緒に遊ぼうよー。」
「そうだね琴音ちゃん。何して遊びたい?…あっそうだ、アイスでも買ってあげようか?」
「ありがとう!恭兄ぃ大好きっ!!」
そういって、オメガに抱きつく琴音。
「琴音!もやめて!!お願いだから!!」
「うるさいのよ海兄ぃ!!黙っててくれないかな」
「……はい」
「これが妹萌えという奴か。うむ。悪くない」
琴音が怖いよ!!どうすんだよ!!やばいよ!!
しかもシールはってないのに、オメガまで壊れてきたよ!!
もうだめだぁ!!エメリィーヌ助けて!!!
「ぽっぽっぽーソイヤ!!鳩ぽっぽーチェケラ!!」
うわぁー!!秋がやばいよ!!
もうゆるしてーーーー!!!!
――こうして俺は、謎の集団の中に取り残されたのだった。
「さーて、来週の俺日!は!!『山空苦戦』『山空崩壊』『山空一人旅』の三本です。来週もまた見て下さいねー!!じゃんけんぽん!うふふふふ」
「オメガぶっ飛ばすぞ!!!!」
……俺はこの地獄から、抜け出す事が出来るのか。
そして、みんなを救う事が出来るのか。
最後に、ここが店の中だという事を忘れてはいないだろうか?
「それでは、また次回でお会いしましょー。じゃあね!!」
「オメガのバッキャロー!!」
第十七話 完
どうもです!!
まず初めに、俺日!十七話。ご愛読ありがとうございました!!
というわけでね。
メチャクチャなってしまいましたが。
夜中のテンションって怖いですねー。
それと、オメガは発明が得意だったんですねーw。
てな訳で、次回をお楽しみに!