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俺の日常非日常  作者: 本樹にあ
◆日常編◆
2/91

第一話~いたって平凡な日常~

初めまして、作者の本樹にあです。

このたびはアクセスしていただき誠にありがとうございます。


(※この第一話は第六十五話を書き終えた頃の作者が、改めて書き直したものです)

 気づいたら異世界っていうのは、最近のライトノベルにはよくあることだ。

 謎のオンラインゲームをクリックしたら飲み込まれてしまったり、普通に町中を歩いていたら妙な魔法陣が現れて飛ばされてしまったり、いきなり目の前に物理的法則を完全無視した謎の空間の裂け目が出てきて興味本位で飛び込んでみたり。

 物事には、突飛な出来事にもそれなりの理由がつきものである。

 先ほど例に挙げたモノで言うと、クリックしたり、魔法陣を踏んづけたり、飛び込んだり。

 どんなに避け得ない状況でも、本人が何かしら行動を起こしたがゆえの、異世界スリップだ。

 じゃあ、今回。俺の場合はどうなるのだろう?

 街を歩いていたわけでも、珍しいゲームを見つけて起動したわけでも、ましてや謎の空間に胸を高鳴らせていたわけでもない。

 ただ普通に一日を過ごして、普通に寝床についただけ。

 お日様の光を浴びてポカポカの心地よい香りを放つ布団を身体に優しくかけて、長年使用して頭部の形に馴染んだ枕に頭をあずけて、就寝に至った。

 そんな俺が、目が覚めると日本ではないどこかにいた。正確に言えば、どこかの建物の中に、俺は(たたず)んでいたのだ。

 電灯なんて親切なものは何一つなく、ただただ広々とした部屋の中心の真っ暗闇に俺一人。

 どこからか入ってくる隙間風が鳴き声をあげ、寝間着姿(Tシャツとパンツ)の俺を身震いさせた。

 どこまで続いているのかわからない部屋。白と黒のタイルが交互に隙間なく埋め込まれた床。所々に存在する逞しいほどに太く、ゴツゴツとした柱。どっからどう見ても、長年使われていなかったであろう大きな大きなお城めいた内観だ。


「どこだよここ……」


 間違っている。全てにおいて間違っていると思わないか。

 普通、こういうわけのわからない場所に呼ばれる奴っていうのは、平凡と謳うも実は主人公になり得る資質を持った男子高校生と相場は決まっているはずだ。少なくとも、俺のような奴じゃない。

 大体は、重度のオタクか、ニートか、ひきこもりか、平凡な日常の繰り返しに憂いを覚えている奴か、その他にも多くの例はあれど、その殆どは一般的な男子高校生とは少しズレている特徴的な人が主役になり得るのだ。

 こんな、俺みたいな、家はそこそこお金持ちで、両親は海外で働いてるため一人暮らしで、親が金持ちなことから「金持ち野郎」などと学校では忌み嫌われて、友達があまりいないような高校二年生の俺なんかにゃ主人公の素質など到底……。


「あれ? 俺って結構イイ線いってんじゃね?」


 夢と希望とユニークさに満ち溢れた17歳という年齢。少し目つきが鋭い強面な地顔。痩せているわけでも太っているわけでもない平凡な中肉中背の体型。ところどころ寝癖に弄ばれた平均的な長さの黒髪に、いきなりこの何もない部屋に召喚されてもあまり動じない鋼の心。

 無地の黒いTシャツに縦縞模様のトランクスパンツで下素足な服装を除けば、意外と主人公に向いてそうな己の出で立ちに、根拠のない自信が沸いてきた。

 もしここが本当にアニメとかでよく見かける異世界ならば、きっともうすぐ誰かが俺に話しかけてきたりとか、突然この部屋がライトアップされて「おぉ勇者よ! よくぞ来た!」みたいな感じで、サンタクロースが衣装を変えただけみたいな風貌の王様が俺をもてなしてくれるに違いない。

 そしてゆくゆくはヒロインとかに出会って、数々の苦難をこなして行く中で吊り橋効果みたいなものが発揮され、お互いにお互いのことを好いていくのだけれど俺は元の世界に帰らなきゃいけないからみたいな理由で感動のお別れ(フィナーレ)を迎えるのだろう。

 俺も一端の男子高校生。こういうシチュエーションに憧れがないといえば嘘になる。

 クラスメイトには(さげす)まれ、嫌われ、避けられる。そんな居心地の悪い学校生活なんておさらばして、異世界に生きるのも悪くないかもしれない。

 ただひとつ不安なのは、俺はインドア派なため結構な運動不足という点だが……。なあに、ここは異世界。きっと重力的な何かが地球とは違う感じに働いて、俺はここではスーパーマン的な身体能力を発揮するに違いない。さっきからずっとその辺徘徊してみてるけど全然疲れないし、おそらく間違いないだろう。

 ……にしても広いな、ここ。


「おーい、誰かいませんかー? 焦らし演出はもう平気なんで、そろそろ誰かしら出てきてくれてもOKですけどー?」


 健気に発した俺の言葉が、暗闇の中に吸い込まれて小さく消えていく。

 しばらく耳を澄ませて返事を待ってみるも、聞こえるのは静かに鳴く風の音だけ。

 今頃になって一人という心細さに不安を覚えた俺は、歩いていた足の動きを徐々に早める。


「ちょ、マジで誰かいないんスかー!? 走ってますよ!! Tシャツパンイチの男がご住居を走り回ってますよ!! ちゃんとセコ○してますかー!?」


 ひとりぼっちの不安に精神が崩壊しかけながら、俺は無我夢中で叫び、走った。

 先程『いきなり何もない部屋に召喚されてもあまり動じない鋼の心の持ち主』と言ったな? あれは嘘だ。今は怖くてたまりません。このプレッシャーに負けそうだし、投げ出したいし、逃げ出したい。きっと俺は選ばれた勇者だなんて、そんな子供じみた妄想など信じ抜けない。

 スーパーマン的な身体能力で全然疲れないとかただの戯言だ。だって見てみろよ。その証拠に、俺は今こんなにも息切れしている。そのうち酸欠で倒れるぜ。どなたかタンカの準備お願いします。あ、俺今ひとりぼっちなんだったや! てへぺろっ!


「やべえ……!! なんかテンションがおかしくなってきた……!! 敵の魔術か……!?」


 そもそも敵なんているのかよ。そんなツッコミ聞こえない。

 ゼェゼェと肩で息をしながらも走り続ける俺。

 真っ暗闇の中に、ペタペタペタと俺の走音だけがこだまする。

 走っても走っても、一向に先が見えない。昔のゲームにあったいくら登っても上にたどり着けない階段と酷似しているこの状況。気分はさながらルームランナー。いいダイエット効果が期待できそうだ。


 ――ドンッ。


 何かにぶつかり、俺は反動で尻餅をついた。

 

「いってて……なんだ……?」


 腰をさすりながら、目の前のそれに触れてみる。

 大きくて、ゴツゴツとして、とても硬い……レンガの柱のようなモノ。でも、最初に見た周りにあった柱とは別の素材で出来ているみたいだ。

 最初の柱は大理石のような素材だったが、目の前のこれは荒々しい表面のいぶしレンガのような手触り。

 まぁ大理石やレンガなんてそんなまじまじと触ったことないから完全に俺のさじ加減だが、とりあえず手触りだけは全然違った。


「壁……っていうわけでもなさそうだし……。マジなんなんだよこれ」


 ペチペチと乱暴に叩いてみる。

 するとどうだろう。ゴゴゴゴゴとか言い始めた。


「え? え? は? 地震?」


 パラパラと砂埃が頭上に降り注ぐ。

 大きな音に共鳴するように、地響きが勢いを増していく。

 目の前のレンガ造りの柱が、驚くことにゆっくりと浮き始めていた。


「なんか……ヤバそうだな」


 数々の映画から得た知識だが、こういう未知の場所での突然の地鳴りは大方なにかの罠とか、だいたい宜しくない出来事の初期騒動なのである。

 例えば洞窟とかで地面が揺れればでかい石の玉が転がってくるし、水路とかなら水責めになるし、雪山なら雪崩だろうし、普通の山なら噴火だ。

 なら、お城の中の場合はどうだろう?

 答えは簡単。十中八九、建物の崩落だ。

 ……でも、違う。今回はお城の中じゃない。いや、お城の中ではあるんだけど……音の発信源は目の前の柱だ。

 柱に触れた瞬間地面が揺れ、挙句その柱が砂埃を散らしながらゆっくりと上昇していく。……うん、脳内検索結果、ヒット0件だ。あ、でも『もしかして:UFOの拉致』とか出てきた。俺の脳、数少ない知識を絞り出して頑張ってんな。働き者すぎだろ、本当に俺の脳かよ。


「なんて、変なこと考えてる場合じゃねえ! 逃げよう!!」


 命の危機を感じ、俺はその場から離れようと走り出した。

 しかしその瞬間、今まで仕事を放棄していた灯りが、どういう原理か部屋全体を明るく照らし出す。

 想像していた通り、壁から壁まではものすごく遠く、大理石の柱は何本たっているかわからないほどに等間隔で設置されていた。


「いやいや……ちょっと待てよ……待ってくれ」


 部屋が不自然なくらい広い? そんなの、気にならない。

 柱がめちゃくちゃ多い? そんなの、部屋が広いんだから当たり前だ。

 問題は、そう。目の前の浮いている柱。……否、正確には柱じゃない。柱なわけがなかった。色は全体的に黒ずんでいるが、間違いない。


『ゴォオオオオオレェエエエエエエム!!!』


 完全に怪物モンスターです。本当にありがとうございました。

 まぁ、鳴き声(?)でも「ゴーレム」って言ってるしね。いや、もしかしたら自己紹介してくれたのかも? なぁんだ、結構フレンドリーな人なのかな? だっから仲良くなれそう!


『ニンゲン……コロス……』


 わぁ、「人間殺す」だって! 困っちゃうなぁ! アハハ!


「普通に狂気の塊じゃねえか! 仲良くなれねえよ!!」


 自分自身にノリツッコミをし、俺は再び逃げ出した。

 無理だよ無理。なんだよあのゴーレムさん。驚くべきところは彼の身長だよ。東京ス○イツリーの何百倍だよって話ですよ。こんな化物が収まってる天井の理不尽な高度も気になるけども、そんなことよりもあいつ何メートルあるんだよ。ス○イツリーが634メートルで「ムサシ」なら、こいつは339526メートルで「ササキコジロウ」だよ。早く巌流島いってこい。

 それにちょっと気づいちゃったんですけど、なんか空中のいたるところに剣浮いてませんか? しかもその剣、全部刃先が俺を追尾してますよね。明らかに俺に向かって飛んできますよ感満載じゃないですか。一人VS数千本の剣&ゴーレムとか卑怯ですよ。こちとら丸腰な上にTシャツにパンツだということをお忘れなきようお願いします。


『ニガサヌ……オモイツクナカデ、イチバンエグイカンジデコロシテヤル……』


 ヤベーよこいつ。絶対ラリッてんだろ。


『シラフダ! ラリッテナンカイナイ!』


 ゴーレムにも素面しらふとかいう概念あるんだ!?


『シネエエ!!』


 その何千何万の高さがある身体から伸びてる腕が、逃げ惑う俺に攻め寄ってくる。

 あまりにも大きいその腕が、あまりにもデタラメな速さで俺を捉えようとしてくるのを見た瞬間、俺はすべてを悟りすべてを投げだしていた。

 いや、もう無理だって。逃げるにしたって周りに扉ないし、むしろ柱しかないし、床は黒と白のタイルで埋め尽くされてるからモノトーンなチェス盤みたいになってて目に優しくないし、天井はさっきも言ったように剣的なモノが俺を狙って離れてくれないし。

 ゴーレムはゴーレムさんで、『クウ! オデ、コイツ、ワサビジョウユデクウ!』とか頭の悪いことを言いながらいきなり食欲旺盛だし、もう俺絶対勝てないって。こんな奴に立ち向かうぐらいなら、俺は大人しく死を選ぶ。それくらい、俺に突きつけられた現実は残酷すぎだ。


「さぁこいゴーレム! 俺は抵抗も反撃もしねえぞ! 食いてえなら食うだけ食って腹でも壊せちっくしょう!!」


 逃げる足を止めて、両手を広げてゴーレムに向き直った直後。

 ドガァアアンッ……と、今まで生きてきた中で一番に派手な音が俺を包み込む。それと同時に、身を切るような痛みが俺の全身を駆け巡った。


「カハッ……!!」


 人生初の吐血を経験する。

 気が付くと、俺は壁に叩きつけられていた。

 あぁ、そうか、俺、あの巨体に殴られたのか……。よく生きてんな……。


「はは……地味な人生だったけど……散り際は派手やかで良かったぜ……」


 そう呟くとほぼ同時に、叩きつけられていた俺の体が壁から剥がれ、力なく地面へと落下していく。

 霞む視界でさきほど俺が叩きつけられていた壁を見やると、そこには綺麗な人型がスタンプされていた。


 ――サクッ。


 天井に浮いていた剣の一つが、落下途中の俺の背中めがけて猛スピードで飛んできて、突き刺さる。

 しかしもう、今の俺に痛みを感じる程の力なんて、のこされていなかった。


 ――サクッ。サクサクサクッ。


 最初の一本を追いかけるように、次から次へと俺の体を突き刺していく数十本の剣。

 なんだよ、もう死ぬんだから、そんなに刺すんじゃねえよ。黒ひげ危機一発みてぇになってっから。


 ――サックサク。


 俺はサクサクな食感が売りのスナック菓子か何かか。


『チャージカンリョォオオオレム』


 そうこうしている間に、何やらゴーレムがチャージを完了したようだった。

 なんか語尾がおかしい人みたいになってたのは、触れないほうがいいのだろうか。


『メカラビームハッシャマデ、イチビョウマエ』


 わかりやすい技名だなおい。というか1秒前て。もうちょい心の準備させて。


『ハッシャレム』


 もう好きにしてくれ……。

 なんだか生きていることさえ馬鹿らしくなってきた俺は、迫り来るレーザービームに抗おうともせず、その場で静かに目を閉じた。

 それを見計らったかのように、特大のレーザーが俺を包み込み、溶かしていく。

 そしてようやく、その瞬間に俺は意識を失った――。




 第一話

 ~いたって平凡な日常~




 ――ジリリリリリリッ!!!!


「うわっ!?」


 頭に謎の音が響き渡り、俺は慌てて飛び起きる。

 呆ける頭を必死に回転し、鼓膜を刺激してくる甲高い音の発信源を探るように辺りを見回すと、俺のすぐ後ろにガンガンと暴れる手乗りサイズの目覚まし時計が目に入った。

 すぐに時計の頭頂部に手を置くと、その音は今までの騒音が嘘みたいにピタリと音をやめ、カチコチと静かな秒針の音に切り替わる。

 カーテンの隙間からさす光。重たい身体。そして目覚まし時計。

 これらすべてが、この俺に如実に物語っている事がある。


「…………夢、か」


 異世界に召喚? 昨日寝る前に読んだ漫画のせいだ。

 でっかいゴーレム? 昨日全クリしたRPGのせいだ。

 豪華なお城? これに至ってはよくわからないけど。


 ――あるわけないよねー!!


 あるわけがない。ありえない。現実的に考えて。

 ここは二十一世紀ですか? 違います。

 未来の道具を出すネコ型ロボットは居候していますか? 俺はの○太くんじゃありません。

 結論。

 ここはごく普通の平成の世界。消費税増税が騒がれているごくごく普通の日本列島でございます。

 仮想空間にログインできるネトゲ(インターネットに繋いで遊ぶオンラインゲーム)のβ(ベータ)版をやり込んでいるわけでもなければ、実は父が勇者だったなんてこともない、俺は目を見張るぐらい普遍的な高校生だ。


「まぁ……一軒家に一人暮らしなんだけどな……」


 誰に言うわけでもなく、ポツリと呟く。

 父が映画監督。

 母がファッションデザイナー。

 両親ともども、海外で絶賛活躍中。らしい。

 昔は親子三人でそれなりに仲良く暮らしてはいたが、俺が中学に上がると同時に、先ずは父が唐突に俺に黙って渡米した。ちなみに俺がその事実を知ったのが、父渡米から数年後の事だった。

 普段おっとりとした母の性格のためか父が海外で働いていることをずっと聞かされていなかった俺は、事実を知るまでの間ずっと父は蒸発したものかと勘違いしていた。その反動のせいか、今では父にあまり良い印象がないのが本音だ。

 母は母で、父の知り合いである海外のお偉いさんから推薦されたこともあり、ファッションデザイナーとして俺が高校に入学すると同時に親父の元で一緒に働くことを決意。職種は違えど、いやらしい話両親ともども結構稼いでいるため、世間一般では俺はプチお坊ちゃんということになる。

 しかし勘違いしないでもらいたいのは、両親がお金持ちなのと、その息子がセレブ生活を送れているのとでは、全く別の話なのだということだ。

 お金持ちといえど数億円とか、数兆円とか、そんな莫大な富を得ているわけではなく、一般家庭と比べて多少裕福なだけの現状。それに加え、お金の取り扱いに必要以上にうるさい両親の教育方針から、俺は本当に生活に必要最低限の金額しかもらえていない。

 まぁ、我が家は最近流行りのオール電化とかいうヤツと契約しているのでガス代は無いが、水道代、電気代などの生活に欠かせない費用。あと学費など、毎月きっちり入金してもらえている。それだけでもありがたいことなのだとは思うけど……。

 朝昼晩の食費、そしてお小遣い含め、俺が月々に使えるお金はたった3万円。その3万の中から、1ヶ月間の食事を考え、なんとかやりくりしなくてはならないということだ。『足りなくなったら働け』、それが我が山空やまぞら家の家訓である。

 なので当然遊ぶ金なんてないし、だからってバイトはしたくないし、遊ぶ金を作り出そうとした結果カップラーメンを箱買いすることになるのは火を見るよりも明らかだろう。

 栄養バランスの配分などという女子力の塊など男子高校生が考える訳もなく。

 お湯を入れて3分待つだけのお手軽料理に魅力を感じないはずもなく。

 料理嫌いというわけではないが、毎日作るなんてそんなまどろっこしいことしている暇もないため、手抜きをするのは必然といえば必然だった。偏った食生活万歳。


「そういやなんで目覚ましかけてたんだっけ」


 今日は休日。

 学校に行くわけでもないのに、俺が目覚ましをかける理由がない。

 規則正しい生活を目指している訳でもなければ、見たいテレビ番組があるわけでもない。つまり、目覚ましが鳴る必要など、全くないのだ。

 しかし、現実問題目覚ましは仕事をした。基本的に寝坊助な俺をこんなに清々しく目覚めさせてくれたのだ。理由がないなんて言わせねーよ?


「ったく、もうこんな時間かよ……」


 目覚ましが鳴った理由のヒントになるんじゃないかと時間を見てみると、時計の針は午前11時を指していた。

 午前11時。

 その現状に思い当たるフシもなく、なにか予定があったとしても忘れているくらいなら大した用事じゃないだろうとわけのわからない理屈で自分を正当化して、布団に潜り込み二度寝を決め込むことにした。

 昨日は夜遅くまで漫画を読みふけっていてあまり寝れていない。就寝に至った時には、確実に深夜4時を回っていただろう。もはや明朝と呼べるべき時間帯だったのは間違いなかったはずだ。

 いやはや、最近の漫画というものはとても素晴らしい。昔に比べると絵はスッキリとしていてわかりやすいし、物語もなかなかに独創的だ。

 特に、俺が昨夜読破したこのファンタジー漫画なんか最高だ。序盤に散りばめられた謎や伏線が、重要なところで綺麗に回収されたのは目を見張るほどに美しかった。

 先程も言ったように遊ぶお金がない俺は漫画を買うお金もなくて、先日俺の唯一の友人からこの漫画を借りるまでは全然読んでいなかった。

 だからだろう、最近の漫画の素晴らしいエンターテインメント性により一層魅了されてしまったのだ。ゆえに、既刊67巻で完結の超大作も一夜で読破するに至ってしまったのだと思う。

 読了後の圧倒的な満足感。これが言葉にし難いというものなのだと知った。

 いやー、この漫画を貸してくれた友達のしゅうには、感謝しないとな。


「…………あぁっ!!!」


 漫画で思い出した。俺は今日、その借りた漫画を貸出人であり俺の友達でもある秋に返しに行かなくちゃいけないんだった。だから夜ふかししてまで読みふけっていたということをすっかり忘れていた。

 なんで目覚ましが鳴ったのか、理解すると同時に俺の額から嫌な汗が吹き出る。

 漫画を返すついでに一緒に遊ぼうとかで、10時頃に近所の広場で待ち合わせの約束をしていた。そして、その近所の広場まで、自転車で大体20分くらいはかかる。

 約束の時間は午前10時。

 現在時刻は先程も言ったように午前11時。

 本来なら9時半頃家を出て丁度イイぐらいの予定だったのに、あろう事か目覚ましの設定時刻を大幅に間違えていたのだ。

 わかりやすく言うと、遅刻である。


「寝ぼけながら目覚ましセットするもんじゃねえな……」


 時間にして、現時点で約一時間の遅刻。これはもう、道に迷っただとか、信号に引っかかりまくっただとか、そんなチャチな言い訳など通用しない時刻だ。

 でもだからといって、普通に謝ったところで許してもらえるかどうか……!!


「とりあえず急がねぇと!」


 遅刻の言い訳を考るよりも、この遅刻の時間を埋める方が先決だ。

 いくら急いでももう取り返しがつかない気もするが、だからといって急がなくていいという理由にはならない。

 ベッドから飛び起きて、若干焦りながら、しかし冷静に出かける準備を済ませていく。

 服を着替えて、手櫛てぐしで寝癖を整えて、借りていた漫画を1巻から最終巻まで綺麗に揃えてから、手で軽くホコリを払って紙袋に丁寧に入れていく。

 人から借りたものは、できるだけ借りた時の状態を維持する。

 漫画なんかで言えば、飲食しながら読むなんて以ての外だ。

 自分のものじゃないんだから、常に借りた時よりも綺麗にして返すぐらいの心持ちで有り続ける。それが俺のポリシーである。


 “アイツなら大切に扱ってくれる”。


 相手にそう思わせれば、いつしか相手の方から「これ面白いから貸してやるよ」みたいな感じでオススメを貸してくれたりする。

 相手の信頼と、その相手がオススメと謳うぐらい素晴らしいとっておきのアイテム。その両方をモノにできるという、最高の方法なのだ。

 そういう訳で俺は、たとえ遅刻をしていようとこの漫画の手入れだけは繊細に行う。

 だから遅刻のことは大目に見てくださいね、我が友よ。


「……重いな」


 漫画を借りた時と同じ大きい紙袋に全部詰め込み持ち上げてみるも、やはり67冊あるだけあってそこそこ重い。

 けれどいくら重かろうと待ち合わせ場所までの通行手段は自転車のため、チャリのカゴに放り入れて荷造り用のビニール紐で固定すればなんてことはないのだ。自転車大好き。


「携帯……は、一階か」


 粗方準備を終えた俺は、漫画の入った紙袋を片手に部屋を出る。

 先程も少し言ったと思うが、俺の家は一軒家。それも、この地域あたりでは結構大きい部類に入るレベルで。

 家の敷地が何坪あるだとか、そういう細かいことは両親に確認しないとわからないけど、一人で住むには十分すぎる部屋数と広さを兼ね備えている。

 グルニエ付きの二階建てで、俺の自室はその二階に位置しており、部屋を出てすぐ右側に一階へと続く階段がある。

 小さい頃、家の床全体をワックスがけした時に、この階段で滑って転んで落っこちて頭を打って記憶を失いかけたというほろ苦い思い出があるのだが、なぁに、今はもう高校生。ワックスだってかけてないし、こんな階段鼻歌交じりで愉快に駆け下りてみせるぜ。

 なんてことを考えつつ階段を降りようとしたら足を踏み外しまくり物凄い音を立てながら滑って転んで一階へ到着した俺は、手に持っていた漫画の安否を確認し胸をなでおろしたあとリビングへと向かう。


「いてぇ……」


 漫画の入った紙袋をその辺に置き、こけた時に漫画をかばってぶつけて痛めた腰をさすりながら、テーブルの上に置いてある自分の携帯電話ガラケーを拾い上げた。

 携帯を開くと、案の定秋からの着信やらメールやら留守伝言メッセージやらがごった返しており軽く意識が遠のいた。

 もしやと思い家の電話を確認してみるも、やはり着信アリの表示が赤くピコピコ点滅しており、「これがストーカーの被害に遭っている人の気分なのかな」とのんきなことを考えながら、とりあえず携帯のメールだけでも確認してみることにした。


「とりあえず、一番新しいメールだけ開いてみるか」


 受信メールフォルダを開き、慣れた手つきで一番上に表示されている最新のメールを開く。

 その瞬間俺はギョッとした。

 え? なんでって? そりゃーアンタ、こんなの予想できるわけないでしょう。

 だってさ、まさか友達から……。


【本文】『(かい)、なんで死んじまったんだよ……!!』


 俺が死んだみたいなメールが来るなんてさ。

 

「何言ってんだコイツ……?」


 “海”っていうのは、俺の名前だ。山空 海。これが俺の名前。

 そのことを踏まえて、もう一度メールを確認してみる。

 タイトルは未記入で、本文だけに『海、なんで死んじまったんだよ……!!』と書いてある。

 俺が……死んだ?

 いやいや、馬鹿言っちゃあいけねえよ。

 俺は生きてる。

 今だって、携帯を手に持って、冷蔵庫から取り出したひえひえの牛乳で一杯やっている。

 口の中に広がるミルクの濃厚な味わい。滑らかな舌触り。鼻に抜けるような甘さが牛乳の美味しさを如実に物語っている。

 飲み干して空になったガラスのコップをテーブルに置き、俺は冷静になって考えた。


「……イタズラか?」


 もしこれが悪戯だとしたならばそれに対する意図がさっぱり読めないが、どうせ待ちくたびれてその場のノリか何かで適当に送ったに違いない。なん通送っても俺から連絡が来ないんだ、退屈しのぎにと一通だけ変なメールを送りたくなってしまうのも頷けた。

 今朝、ゴーレムに射殺される夢を見たせいか変に信じてしまったが、よくよく考えると別にこのメールに戸惑う要素などどこにもない。きっと一つ前のメールを確認すれば、普通のことが書いてあるに違いないのだ。

 一つ前のメール……一つ前のメール……っと。


【本分】『海がぁああああ!!! 誘拐されたあああ!!!』


「何があった!!!」


 思わず声に出してツッコミを入れてしまう。

 一つ前のメールを見ればきっと何かがわかると思って開いてみたら、余計に謎が増えただけだった。

 誘拐? 俺が? 高校生のこの俺が? 

 たしかに、俺は鍛えているわけじゃないし、一般的な男子高校生と比べると筋力はない方だろう。

 でも、誘拐なんてされるほどひょろっちい見た目してないし、むしろ「あいつと関わったらやばそう」みたいな雰囲気でいつもクラスのみんなに避けられる始末よ? そんな高校生を誰が誘拐するんだ。女子ならまだしも男子だぞ。男だぞ。誘拐する価値ねえだろ。


「……いや、待てよ? さては金銭目的か……!!」


 そう考えると合点がいく。

 息子の俺が言うのもなんだけど両親は金持ち。

 そしてこの家は、傍から見れば相当リッチな一軒家。

 そこに高校生である俺が一人暮らしとくれば、比較的誘拐しやすいだろう。

 まぁ俺誘拐されてねえけどな。


「一体何なんだよ。……つーか迷惑メールって知人からも来るんだな。初めて知ったよ」


 もしかして俺嫌われてるのかな。

 友達付き合い慣れしていない俺だから、人知れず嫌われている可能性もなくはなかった。

 ……いや、バカなことを考えるのはよそう。

 秋は超がつくほどのいい奴だ。あいつに嫌われる人間がいたら見てみたいくらいだ。いい奴すぎてたとえ殺人犯だろうが「殺人するほど嫌なことがあったのか……!?」などと言い始めそうで怖い。


「まぁいいや。メールの内容は本人に会って聞きゃあわかるだろ」


 こんなところでメールの確認に時間を食われているのも今は惜しい。

 冷蔵庫にあった特濃牛乳を寝起きの一杯として決め込み、俺は急いで家を飛び出した。

 七月の日差しに目を晦ませながらも玄関に鍵を掛け、庭の方に回り念のため窓などの戸締りも確認し安全を実感したあと、ブラックカラーが映える長年愛用していた自分の自転車にまたがった。


「うおおお! 待ってろよ、秋!!」


 声に出しながら同文のメールを秋に送り返し、ペダルに乗せた足に力を込める。

 その力に呼応するように、自転車が力強く前へと進んだ。

 待ち合わせ場所はここから20分程度の広い広場。

 公園と呼ぶには遊具が少なすぎるので、町内のグラウンドと呼んだ方が表現的には正しいと思う。

 その証拠に、町内会で行われるイベントなんかは、ほとんどこの場所で行われる。

 幼い頃、俺もよくこのグラウンドでサッカーボールと一緒に走り回ったもんだ。友達はいなかったけどな。だけど俺は大丈夫。だってボールは友達だもんな。悲しい。


「あ、海ちゃん。今日も元気ねぇ」


「こんちわーっす」


 すれ違うご町内の方々に挨拶しながら、ペダルを踏みつけること十数分。

 待ち合わせの広場につくと、自転車置き場に自転車を止める。

 子供もよく利用するということから広場の外枠には背の高いネットが張られているが、中はしっかりと確認できる。

 秋の姿を探すため軽く見渡してみると、木で日陰になっている場所にあるベンチに腰掛けながら携帯電話スマートフォンを弄っているようだった。

 あの様子からみると、俺の存在には気づいていないらしい。

 だったらもうやつことはただ一つ。


「イタズラしよう」


 遅刻している立場であることなんぞとうに忘れ、俺は自分の携帯をポケットから取り出す。そしていつの日か買った携帯に接続するだけで声が変えられるというボイスチェンジャーを取り付けた。

 なぜこんなものを都合よく持ってきているのかと聞かれれば、最初からいたずらする気満々だったからとしか言いようがない。俺の反省の色は無色透明なのだ。

 イタズラの手順はこうだ。

 秋は頭おかしいくらいビビり。そんな秋に、ボイスチェンジャーで声色を変えた俺が“非通知設定にして”電話を掛ける。

 そして、俺はこう言うのだ。


『私、メリーさん。今、広場にいるの』


 このイタズラは予備知識として『メリーさん』という都市伝説の情報が必要だが、この世の中にメリーさんの話を知らない日本人などほぼ存在しないだろう。

 秋だって同じだ。

 最初は悪い冗談だと一蹴するだろう。

 しかしそのわずか1分後、俺はまた同じ方法で電話を掛ける。


『私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの』


 秋は「まさかな……」と思いながらも恐る恐る後ろを振り返るだろう。

 その背後には、こっそり近づいていた俺が外枠のネット越しに彼を見下ろしている。

 それを見た秋はきっと悲鳴を上げるに違いない。俺は、そんな彼の顔がたまらなく見たいのだ。

 というわけで、いざ実行!!




「ぎゃああああああああああああ!!!!!!!!!! うわあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


 結果として、めっちゃ上手くいった。

 背後に立った俺を目撃した秋は、すごい勢いでイスから転げ落ち、涙を流しながら地面に両手両膝ついて体を震わせている。

 思ったより驚いた秋を見てかえって俺も驚いたが、それ以上にイタズラが大成功を収めたというこの状況に口元のゆるみが抑えきれそうになかった。


「ぶわっはっはっはははは!!! ざまぁねえな秋! ドッキリ大成功ばんざーい!」


「え? か、海……? へ……?」


「そうだ。俺だ。待たせて悪い、寝坊しちまったんだ」


「ちょ……悪い冗談やめろよ……心臓がいてぇ……」


 メリーさんの正体が俺だということに気づき、秋は心底安心したように顔を綻ばせる。

 いや、もうね、リアクション芸人顔負けでしたよ。ナイスな反応ごちそうさまでした。


「あやうく失禁しそうになった……」


「ビビりすぎだろ!」


 危ういな! 友達が失禁するところなんて見たくねえよ!


「うるせーな! お前の顔怖いんだよ!!」


「地顔なんだからしょうがねぇだろやめてくれコンプレックスなんだ」 


 俺は生まれつき目つきが悪い。

 毎朝鏡を見るたびに「不良かな?」って思うぐらいには人相が悪いのだ。

 そのせいもあって、余計誰も俺に近寄らない。友達が、できない。

 俺と仲良くしてくれる同級生なんて、この秋ぐらいなもんだ。


「とりあえずそんなとこにいないで早くこっち来い」


「おう」


 ネット越し(広場の外)にいた俺は急いで広場への出入り口へと走り、秋の元へと駆け寄る。

 携帯に接続されているボイスチェンジャーをポケットに戻していると、俺はとあることを思い出し、秋に問いかけた。


「そういやさ、このメールどうしたんだよ。俺が死んだとか、誘拐されたとか」


 そういいながら、もう一度例のメールを開いた。

 そこには見間違いとかではなく、はっきりと『海、なんで死んじまったんだよ……!!』という頭おかしい文章が存在していた。


「あぁそれ? 5通前のメール見ればはっきりするぜ」


 その前にメール出しすぎだろ。

 全部で68件って。1分間に1通ペースじゃねえか。めんどくさいタイプの彼女かお前は。


「えっと? 5通前ってーと……これか」


 そのメールには、どうやら写真が添付されているようだった。

 いったいなんだろうと思いながらメールを開くと、「うまそうだったから海のも買っておいたぜ!」という本文とともに中華まんを手にしている秋の自撮り写真が表示された。お前何してんだ。


「コンビニで新発売だったからさ。海も遅いし、ちょっと腹ごなしをな」


「そっか。まぁそれはいいけど……なに? 俺のも買っておいてくれたの?」


 急いで家を出てきたため、起きてから何も食べていないことにその時気づき、同時に腹の虫も泣き始める。

 俺はコンビニの中華まんの(たぐい)に嫌いなものはないので、素直にありがたかった。

 やっぱ秋は最高の友達だぜ!


「まぁもうないんだけどな」


 前言撤回。


「なんでないの? 食ったの? まさか食欲に負けて俺のも食ったの?」


 いや、別にいいよ? 秋が自腹切って買ったものだし、俺がとやかく言う権利はないよ?

 でも考えても見てくださいよ。問題はこの写メですよ。

 こんな堂々とうまそうな中華まんの画像を添付しておいて、本題の中華まんは食べちゃったとか、このメールただの(たち)の悪い自慢メールにしかならなくなるからね? 中華まん買っておいたよ詐欺だからなこんなん。もしこれがそこいらの子供なら結構な反乱がおきるぞ。


「食ったかどうかは、その次のメールを見ればわかる」


「もう口で説明しろよ。なんで場面場面でメール開かなきゃいけねえんだ。紙芝居かよ」


 文句を垂れつつ、素直に次のメールを開く。

 すると、またしても写真が添付されていた。

 その写真には、中華まんを手にしている秋の前に、何かの影が通り過ぎたような瞬間が撮影されている写真だった。


「……なにこれ」


「それも次の写真を見ればわかる」


「何だお前」


 言われるがまま次のも開くと、またしても本文すら記載されていない、写真だけのメールだった。

 その写真を開いた瞬間、俺はすべてを悟る。


「実はな、海の中華まん……」


 添付された写真には、一言で言えば、俺の分と思われる中華まんが食されている瞬間をとらえた写真だった。しかし、犯人は秋じゃない。


「野良猫にとられたんだ……」


 そう、写真には、白い猫が俺の中華まんを口にくわえて颯爽と逃げていく様が写っていたのだ。いや撮影してる暇があったら取り返せや。


「え? 海お前ネコがくわえたヤツでも食べれる系?」


「食べれないです無理言ってごめんなさい」


 というか俺の心の声を読まないでくれ。


「わかりやすいからな、海は」


「……で、だからこの次のメールが“俺が誘拐された”ってメールになるわけか」


 俺の分の中華まんが、ネコに誘拐された。

 つまりはそういうことだろう。


「そうそう」


「じゃあその次のメールの“俺が死んだ”ていうのは?」


「ネコの後追っかけたら半分だけ食われた中華まんが車にひかれたのかグロテスクな惨状になってるシーンに遭遇したんだが……あれ? 写真添付し忘れてる?」


 ちょっと待っててくれといい、秋は自分のスマートフォンを何やら操作すると、そのひき逃げされた俺の中華まんの事故現場をとらえた写真を見せてくれた。うん、いちいち撮らなくていいから。そのせいでお前の写真フォルダクソ画像でいっぱいになっちゃってるし……中華まんだけじゃなくて容量も食われてるじゃねえか。


「お、海それうまい!」


「うまいのは中華まんだけにしてくれ」


 というか心の声読むなっての。






 第一話 完

この第一話は書き直したものなので、次回以降から酷い文章力になる可能性が非常に高いです。ご了承ください。

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