第十五話~俺とオタクとメガネとデジャヴ~
どもです^^
いやー、頑張ったよ。
心が折れかけまくったけど良かったよ。
それでは、どぞ
朝。
温かくて優しい光。
「くそっ、まぶしいな」
俺は、そんな朝日を浴びて目覚める。
重たい体をゆっくりと起こし、目覚まし時計を見る。
6時半。
目覚ましは、七時半にセットしてある。
いつもより早い起床だ。
俺の隣では、エメリィーヌが静かに寝息を立てている。
パジャマ姿で、ほんのりとシャンプーの香りが漂う。
なにぶん、俺は一人暮らしだったもんで、布団が一つしかない。
ソファで寝ようにも、朝起きたら体が痛くなる。
それは嫌だ。
しかも、ベッドの大きさがシングルときた。
とても狭い訳だ。
一応、エメリィーヌを壁側にして寝かせている。
寝返りうって落ちたら困るし。
俺は俺で、寝返りは打てない。
少しでも動いたら、落ちるかエメリィーヌを下敷きにするかのどちらかだ。
だけど、それにもだいぶ慣れた。
多分唯一の救いは、エメリィーヌの寝像がとてつもなくいい事だろう。
エメリィーヌは、本当にきれいに寝ている。
布団をはがすような事もなければ、俺を蹴っ飛ばしたりする事もない。
寝ている間は、とてもおとなしい。
寝ている間だけは。
とりあえず、腹減ったから朝食でも作るか。
俺はそう思い、布団から出る。
俺が布団から出た事により、エメリィーヌにかかっていた布団が一緒にめくられる。
それを俺は静かにかけ直し、部屋を出て、一階に下りた。
そうそう、実は俺、今とても気分が良い。
なぜなら、スッキリと。何事もなく目覚められたからだ。
普段は、エメリィーヌが基本早起きだ。
自分が起きるとすぐに、俺を巻き込む。
あるときには、水をかけられたり。
またあるときには、顔を踏まれたり。
そして一番ひどいのが、階段から落とされた事だ。
超能力があれば、俺を運ぶ事なんて造作もないだろう。
まぁ、さすがに、階段から落とすのは危ない。
そんな訳で、すぐにやめさせた。
普段寝坊してた俺が、そのおかげもあって寝坊しなくなった。
ちゃんと八時前には目が覚めるし、十時を過ぎれば眠くだってなる。
こんな健康的な生活を送れるのは、あいつのおかげだ。
それだけは、感謝をしている。
日ごろの感謝もこめて、今日は俺の好きなオムライスにでもするか。
一応、あいつも好きだと思う。
なにせ、俺が好きなのだから。
…っと言うのは冗談で、この前作ってやったら、とてもうまそうに食べていたからだ。
一階に降りた俺は、早速準備にかかる。
―10分後―
「いやぁ、うまそうだ。」
具だくさんなチキンライスが、ふわふわとした卵で包まれている。
だが何かが足りない。
何だろう。
…そうか。
何もかかってないや。
そう思った俺は、冷蔵庫を開ける。
そこでふと思った。
ケチャップとデミグラス、どっちがいいのだろうか。
だが俺は、すぐに考えるのをやめた。
大体ケチャップかけとけば美味い。
そんなノリで、ケチャップをかけ始める。
その時、俺は思いついた。
エメリィーヌの所に、ケチャップでなんか書こう。
そう思った俺は、『バカ』とだけ書いた。
あいつがどう反応するのか、気になったからだ。
出来上がったそれらをテーブルに並べ、俺はエメリィーヌを起こしに二階に上がる。
「エメリィーヌ。ちと早いが飯だぞー」
そういいながら、エメリィーヌが寝ているであろう、自分の部屋のドアを開けた。
第十五話
~俺とオタクとメガネとデジャヴ~
エメリィーヌを見ると、まだ静かに寝息を立てている。
起こすために俺が、エメリィーヌに近づいた時だった。
とてつもない勢いで、ガバッと跳ね起きるエメリィーヌ。
そして言った。
「メシなんヨか!?」
どうやら、俺が運んできたほのかな香りにより、目覚めたようだ。
つーかエメリィーヌ。言葉遣いが悪いぞ。
メシはないだろうメシは。
せめて朝食とか。
最低でもブレックファーストと言いなさい。
「そんな事言うような奴、日本にはいないんヨ!!」
俺の考えを読み取ったかのように、ツッコんでくるエメリィーヌ。
なんだよ。
「そんな事言うなら、俺が毎朝使ってやるよ。」
オシャレだからな。
俺はオシャレが好きなんだ。
「どの口がほざくんヨ」
あきれ果てた目で、俺を見るエメリィーヌ。
お前。口悪いな。
ほざくとか。
まぁいいか。
「とにかく、ブレックファーストが冷める」
俺が言うと、エメリィーヌの表情が、なんか凄い事になっている。
すごく引いてるようだ。
え、なんでだ?
なんでそんなに、怪訝そうな顔をする。
もしかしてあれか?
うん。あれだ。あれしかない。
俺は、大きく息を吸い、そして…
「breakfast」
「イヤァァァァ!!!」
おい!?なんだその悲鳴は!?
発音じゃないのか?
発音がいけなかったんじゃないのか?
なんだよその目は!?
今のは完ぺきな発音のはずだぞ!?
なんか間違ってたか!?
そう思い、もう一度自分で確認する。
「breakfast」
「イヤァァァァァァ!!!!!」
なんだよ!?
その犯人が人を殺害しているのを見てしまったような悲鳴は!?
breakfastの何がいけない!?
もしかしてあれか!?
よし、任せろ!!
俺は再び、大きく息を吸う。
そして…
「breakfast!!」
「イヤァァァ!!!エクスクラメーション・マークなんか付け足し始めたぁぁぁ!!!!」
おいこら。
『!マーク』を正式名所で呼ぶな。
頭がおかしくなりそうだ。
ってか、冷める。
オムライスが冷める。
とりあえずあれだ。
一階に連行だ。
俺は、ムンクの叫び状態のエメリィーヌを抱き上げ、オムライスのある部屋に向かう。
そのオムライスを見た瞬間、エメリィーヌがトビウオのごとき瞬発力でかぶりついた。
おいこら!
それは俺のだぞ!?
お前がそれを食ったら、お前宛に書いたメッセージはどうなる!!
ブーメランでもないのに、俺のもとに帰ってきちゃうだろ!?
俺は自分に対してバカって書いて、何がしたいんだよ!!
自虐趣味を持ってる、ただの変態じゃねぇか!!
っと思ったが時すでに遅かった。
無我夢中でパクついているエメリィーヌ。
最悪だ。
もうこうなったらトイレ行くしかねぇよ。
「ちょっとトイレ行ってくる」
俺はエメリィーヌにそう告げて、トイレへと向かった。
「くそっ、なぜこんな事になった」
そう愚痴りながらトイレをすませ、手を洗う。
そして、観念してバカと書かれた憎たらしいオムライスでも食おう。
そう思い、俺はオムライスのもとに向かう。
だが…
俺のオムライス。
そう、俺のなのだから、俺が食べるのは当然。
の…はずなのに。
俺の目の前で、どんどんとなくなっていく。
俺はただ、唖然とするしかなかった。
するとその時、エメリィーヌと目があった。
その顔は、とても焦っているようだ。
エメリィーヌ。お前がどんなに誤魔化そうが、俺の怒りはもう止まらない。
覚悟しやがれ。
俺のオムライスに手を出した罪だ。
俺はこぶしを握りしめ、静かに近寄る。
エメリィーヌは、苦笑いだ。
そんなエメリィーヌに構わず、俺は腕を振り上げる。
そして、いまだ気付かずに食べ進めている奴の頭に振りおろした。
「なんでテメェが食ってんだよぉぉ!!!」
『ドゴッ』
「いっ……ってぇぇぇぇ!!!!!」
住居不法侵入に、朝食泥棒。
両方現行犯となると、これは通報するしかないだろう。
「何すんだよ!?」
「何するんだよはこっちのセリフだ!!なんでテメェがいるんだよ!秋!!!!」
エメリィーヌは、『あーあ』と、言わんばかりの顔だ。
まったく。こんな朝っぱらから何やってんだよ。
暇人かコイツは。
そんな事をしていると、家のインターホンが鳴りだす。
くそっ、なんと間の悪い。
俺はぶつぶつ言いながら、玄関のドアを開く。
「あ、朝からごめんね。秋兄ぃが来てるみたいだから…」
そこに立っていたのは、琴音だった。
あー。琴音も来たわ。
この暇人兄妹が!!
悪態をつきながらも、琴音を家にあげる。
早くこのゴミを処理してくれ。
すると、秋を見た琴音が言った。
「秋兄ぃ! 自分のわがままで周りを巻き込まないの!!」
「あ、琴音。来たのか。」
叱られているにもかかわらず、まだオムライスを食い続ける秋。
とりあえずだ。
「何で来た」
俺は聞いた。
そう思うのは当然だと思う。
意味もなくこんな事されているのなら、俺は多分暴れ出す。
すると、秋が話し出した。
「いや実はな、俺、今日は早く目覚めてしまったわけよ。」
「それで?」
「んで、腹が減ったもんだから、琴音を叩き起こしたわけよ。」
『起こされました』と、隣で聞いていた琴音が付け足す。
「だけど、琴音がキレてさー」
「当然だ。」
「やっと琴音にも反抗期が来たのかと思って、お袋に頼む事にしたんだ」
「それで?」
「なんと、お袋にも反抗期が来たみたいでさー」
ずいぶんと遅い反抗期だな。
このダメ兄貴が。
「自分で作れとか言い出すんだよ。」
「当然の受け答えだな」
「でもそこは俺。どうせ朝作るんだから、今作っても変わらないだろ!!と、ビシッと言ってやったわけさ。」
「いや、おかしい」
「そしたら、ブチ切れだしてさー。」
「当たり前だ」
「んで、仕方がないからお前ん家にきて、ごちそうになったってわけだ。」
「ごちそうになったってわけだ。じゃねぇよ!!ごちそうした覚えねぇよ!俺完全に無関係じゃねぇか!!」
くそっ!こんな奴にbreakfast!! を取られたなんて!!
最悪にもほどがある!!
そして琴音が言った。
「それで、私がそれを処理するよう言われたんだよ」
うわぁ、とことんダメ兄貴じゃねぇか。
もうお前、兄貴やめちまえ。
俺が呆れていると、唐突にエメリィーヌが言いだす。
「みんなで公園に行きたいんヨ!!」
「許可する!!」
俺は、すぐに賛成した。
なぜかって?
もう、俺が暴れ出しそうだったからだ。
そのあと二人が、俺に続くように答える。
「俺は構わん!」
「私も構わん!」
秋の口真似をしながら言った琴音。
正直、引いた。
まぁ、仲がよろしい事はいいことだ。
俺は何もいうまい。
――このあと、俺とエメリィーヌは用意をし、公園に出発した。
エメリィーヌの要望で、行った事のない公園に行くことなった俺達。
でも、俺たちは公園には詳しくないので、適当に探しまわる事にした。
結構時間かかるかと思ったが、なんかすぐ見つけた。
俺の家から徒歩五分。
走って三分。
チャリ一分。
まさかこんな近くにあったとは。
俺は少々驚きつつも、その公園に足を踏み入れたのだった。
そして。
「うわぁ、めんどくさそう」
なぜこのような発言をしたか。
皆さんも、この状況だとそういうに決まっている。
なぜなら。
銀髪の青年が、目の前にいるからだ。
いや、いるだけではない。
なんか踊っている。
見た感じ、俺たちと同じくらいか。
銀髪で、ショート。
四角い黒ぶち眼鏡をかけている。
なかなかのイケメン。美男子だ。
だが、一番いけないのが、それらを帳消しにするほどの装備。
イヤホンをつけ、イヤホンのコードが胸ポケットへとつながっている。
そして、その付近のベンチには、折りたたまれたノートパソコン。
そんな銀髪の青年が、キラキラと汗を散らし、さわやかに踊っているのだ。
そんな銀髪の青年は、俺達が来た事に気付き、踊りをやめる。
だが、恥ずかしいとかそういうのではないらしい。
真顔だ。
イヤホンを外し、胸ポケットにしまいこむ。
おいおい、よく見ればうちの制服じゃねぇか!!
まさか、同じ学校にこんな痛い奴がいたとは。
違うクラスだと思う。見たことない。
その銀髪の青年が、静かに俺達の方に歩み寄って来る。
琴音が、ゆっくりと秋の後ろに隠れる。
さすがのエメリィーヌでさえも、硬直している。
そしてとうとう、銀髪の青年が目の前にやってきた。
と、思ったら、俺の顔をじっくりと見てくる。
当然、俺は聞いた。
「なんだよ…?」
すると青年は。
「きみ、山空か?」
……え?
何で俺の名前を知っているんだコイツ。
俺がそう思っていると、秋が俺に聞いてきた。
「お前…知り合い?」
「俺の記憶が正しければ、知り合いではない。」
だって見たことねぇモン。
だが、青年は違ったようだ。
俺にずっと問いかけてくる。
「山空か?…山空か?…山空か?…やまぞ『うるせぇよ!!』
俺はつい、いつもの調子で怒鳴りつけてしまった。
面倒くさいので、とりあえず名乗っておく。
「山空ってのは、確かに俺の事だ」
すると青年の中で、想像が確信へと変わったようだった。
「ああ、やっぱり。昔から変わってない。」
昔?
えー、誰だっけなぁ?
俺が思いだそうとしていると、青年が言ってきた。
「ほら、僕だよ。小学校の時の…まぁ、半年で転校したし、覚えてないのかもしれないけど」
小学校?
半年?
うん。わからん。
…っちょっと待てよ?
かすかに記憶が…
俺は、じっくりと青年の顔を見る。
…あ!?
このメガネ。このオタクっぷり。
まちがいない。
「お前、オメガか!?」
「ああ、そうだ。オメガだよ。」
あーあーあー。
いたなぁ、こんなの。
でもあれ?
昔は確か…
「オメガ、黒髪だったよな?」
俺は聞いた。
「ああ」
ああって。
何でそんな髪色になったんだよ。
俺がそう思うと、やはり伝わったらしい。
「この小説、黒髪や茶髪が多いからね」
は?何言ってんのコイツ。
まぁいいや、とりあえず。
「懐かしいなぁ!!元気だったか?」
「見ての通りだよ」
俺達が、感動の再会を楽しんでいると、秋が言った。
「なんか盛り上がっている所悪いんだが、どういうことだ?」
ああ、忘れてた。
とりあえず、紹介しとかなきゃまずいよな。
そう思った俺は、オメガに頼んだ。
「オメガ、悪いが自己紹介頼む。」
俺が紹介してもいいんだが、なんかヤダ。
そんな俺のわがままを、快く引き受けてくれた。
え?何でオメガって呼んでいるのかって?
そんなあわてなくても、すぐに分かる。
オメガは、自己紹介を始める。
「僕は、鳴沢 恭平。山空とは、古い友人だ。そして…」
オメガが大きく息を吸う。
やはり変わってない。
オメガの覚醒が始まる。
「二次元と少女をこよなく愛する!!マネーが入ればマッハな速度で秋葉原!!悲鳴が聞こえりゃマッハな速度で駆けつける(少女達にのみ)!!三次元の女なんてクソ食らえ(三歳以上十五歳未満は除く)!!美少女達は僕の物(十五歳以下のみ)!!誰が言ったか二次マスター!!未来の明るい少女たちの目指す先にはいつも僕がいる!!見た目は無敵!頭脳(妄想)は無限!!幸せ振りまく女性の味方(十五歳まで)!!その名は…鳴沢 恭平だ。」
メガネをクイッと上げ、秋を指差し、ポーズを決めるオメガ。
「見ての通りの変人だ」
と、俺が付け足す。
律儀な奴だ。カッコやカッコ閉じまでキッチリ言うなんて。
ちなみに、オメガの由来はというと。
もうお気づきだろう。
オタクメガネ。
【オ】タク【メガ】ネ。
オメガ。だ。
俺は、オメガにみんなを紹介する。
「コイツが、親友の秋」
「そして、その妹の琴音」
「最後に、エメリィーヌだ」
俺がいうと、まるで人形のように、コクコクとうなずく秋達。
みなさん抜け殻状態。
あと、琴音に言っておくことがある。
「琴音。一人の時は、背後に気をつけろよ」
って、聞いちゃいねぇか。
俺が紹介し終わった途端、オメガが琴音に話しかける。
オメガ。通報だけには気をつけてもらいたい。
「琴音ちゃんていうんだ。いい名前だね。良かったら僕と結婚を前提に付き合ってみないガグフォ!!」
琴音の手に触れた瞬間。
オメガのあごに膝がクリーンヒット。
そのあと、みぞおちに正拳突きが綺麗に入る。
その衝撃で、綺麗な円を描いて宙を舞うオメガ。
あれ?なんかデジャヴ。
しばらく吹っ飛んだ後、首から地面に着地する。
『グキュリ』と嫌な音を立てて。
そんなオメガに、琴音が顔を真っ赤にして怒鳴りつける。
「この変態ロリコンバカ!!!」
おいおい、すげーな。ははは。
俺は一応、その辺に落ちていた枝で、オメガをつついてみた。
「おーい。大丈夫かー」
するとオメガは。
「なかなか過激な女の子じゃないか…悪くない。」
「死ね。変態」
「グホッ」
俺は、思いっきり蹴っ飛ばしてやった。
いやー、それにしても。
いい天気だ。
こう天気が良いと、メガネ取りたくなるよねー
俺はなぜか、唐突にメガネが取りたくなった。
なので、オメガのメガネを盗もうじゃないか。
俺は倒れているオメガに、そっと手を伸ばす。
そしてメガネに触れた。
その時、オメガが気づいたようで、慌てて止めてくる。
「や、やめろ!!メガネには触れるでな…!?」
俺は、お構いになしにメガネを取った。
すると…
「はっはっは、俺様の制御装置を外してしまったようだな!!愚かなる人間よ!!!この私の前に跪くのだ!!!!」
「はいはい、ぶっ倒れたまま何言ってるんだ」
「いやぁ、こういう路線も、この小説にはないからな。もっと色々なレパートリーも兼ね備えております。」
色々なレパートリー?
なんだそれは。
「どんなのがあるんだ?」
「たとえばさっきのが、メガネを取れば性格が変わる奴だ」
「それは確かにありそうだな」
よく、アニメでも見かける。
「次に思いついたのが、メガネがないと妄想が止まらなくなり、ついでに鼻血や唾液があふれ出るという」
「パクリじゃねぇか」
マニアックすぎる。
多分大半の方たち理解できてないよ!!
気になる方は、知ってそうなお友達に聞いてみよう!!
あとググろう!
「そしてさらには、目からビームが暴発してしまうという設定のもある」
「どう表現するんだよ」
「声で」
声!?えっと、こんな感じ?うわぁ目がぁ!目がぁ!ビーみたいな?
「ちがう!!チュドンだ!!」
あー、さいですか。
まぁ、とりあえずどうでもいいわ。
俺がそんな事を話していると、後ろから秋達がやってきた。
「おい、お前ら何楽しそうにしてるんだ。まさか海、お前も同類の…」
「ちがう!!けして俺にそんな趣味は!!」
「海兄ぃ、さいてー」
「俺にそんな趣味はねぇぇぇぇ!!!」
あれ?またデジャヴ。
…と、こんな事をしている場合ではない。
エメリィーヌと遊びに来たんだった。
遊んでやらなくちゃ。
そう思った俺は、ずっと口を開きっぱなしのエメリィーヌに声をかける。
「とりあえず、エメリィーヌ遊ぶか?」
「…っヨ!?何かとてつもない変人を見ていた気がするんヨ!!!」
おいおい、お前が言うなよ。
まぁ、当たってるけどな。
そんなやりとりを聞いて、急に跳び起きるオメガ。
そしてまた、懲りずに話しかけている。
「山空がエメルと遊ぶなら、琴音ちゃんは僕と一緒に遊びません…ガハッ!!」
それを見ていた俺と、秋。
そして琴音。
皆同時に、オメガを殴った。
顎、腹、脇腹。
三点同時に食らって、オメガはうずくまっている。
俺たちは、無視して遊び出した。
オメガがエメリィーヌの事をエメルなどと呼んでいる事は無視して。
「ほら!エメリィーヌ。ボールが行ったぞー」
「分かってるなんヨ!!」
「……」
「琴音!パスなんヨ!!」
「アホ!!琴音は敵チームだ!!」
「エメリィちゃん、ボールありがと」
「……」
「一応気になったが言っておく。無言は消して俺じゃないぜ!!」
「何言ってんだ秋?」
「べつに、なんでも」
「カイ!!ボール行ったんヨ!!」
「おう!」
「……」
カァー。カァー。
「おい、そろそろ帰るぞー」
「後もうちょっとで、山が作れるんヨ!!」
「……」
「エメリィちゃん。もう暗くなってきたし、お夕食の時間になっちゃうし」
「俺もそろそろ帰らないと、お袋がキレるんだけどー!」
「ったく、しょうがねぇな。夕飯ハンバーグにするつもりだったんだが…」
「早く帰ろうなんヨ」
「切り替え早!!」
「……」
「じゃあなー、秋!琴音!」
「さようならなんヨー」
「うん、また遊ぼうね!!」
「じゃーなー」
「……」
「じゃあエメリィーヌ。夕飯の材料、買って帰るぞ」
「了解なんヨ!ウチ、チーズハンバーグが良いんヨ!!」
「わかった、チーズな」
「やったーなんヨ!!」
「……」
シーーン
「なるほど。僕はそういうキャラになった訳か。面白いじゃないか。覚悟しろ山空!!僕を無視できると思うなよ!?ハーッハッハッハ」
一方その頃。海はというと。
~海の自宅~
「よっしゃ、出来たぞエメリィーヌ!」
俺は、ハンバーグを皿に盛りつけ、最後にエメリィーヌの要望通り、とろけちゃうぞチーズを一枚のせる。
ハンバーグの熱気で、見る見る内にチーズがとろけて行く。
とてもうまそうだ。
ちなみに俺は、目玉焼きハンバーグ。
俺はどうやら、卵が好きらしい。
出来上がったハンバーグを、食卓に並べる。
半額で買ったサラダも付けた。
とても美味しそうな夕飯だ。
「いただきますなんヨ!!」
「おう、食え食え。熱いから気をつけろよ?」
俺がそう言ったのだが、もう遅し。
「あっちゃ!」
エメリィーヌは勢い良く頬張ると、熱かったときに良くやる、謎の行動を始める。
口の前に手を持ってきて、指をなんかもじゃもじゃさせてる。
これはいったい何なのだろうか。
とりあえず俺は水を差しだし、エメリィーヌはそれを奪うようにして飲みだす。
どうやら、おさまったようだ。
俺はエメリィーヌに、
「ちょっとトイレ行ってくる」
と告げ、トイレに向かった。
トイレをすませた俺は、手を洗いハンバーグのもとに向かう。
すると…
デジャヴ!!!
俺のハンバーグが、オメガに食われていたのだった―――
第十五話 完
どもです^^
てな訳で、俺日!第十五話。ご愛読ありがとー!!!
いやぁ、新キャラですねーww
いいキャラしてるぜ!
この小説にいなかった感じのキャラを考えると、こんな感じになってしまって。
オタク。メガネ。変人。変態。その他もろもろを詰め込んだ結果、恭平が出来上がりました。
それらの方が、苦手な方にとっては、最悪なキャラになっているでしょう。
どうぞけなしてください^^
だが、あいつの暴走は止まりませんがね!!
てな訳で、次回もお楽しみにね!!