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俺の日常非日常  作者: 本樹にあ
◆日常編◆
17/91

第十三話~開催!じゃんけん大会~

どもです^^待望の十三話。


是非ご覧ください

じゃんけん。それは、最もシンプルかつ迅速に勝敗がきまる。


じゃんけん。それは、いわば相手との心理戦。


じゃんけん。それは、時には戦場と化す、奥深いゲーム。


そう、じゃんけんは、運なんかではない。少しの油断が死を招く。


そう、じゃんけんは、神頼みなんかではない。己の実力。



そんな嵐のような大会が。


今、始まる――




第十三話

~開催!じゃんけん大会~




「おい、もう行かないと」


時計を見て時間を確認し、秋が言った。



「お、もうこんな時間か」


俺も時計を見て、言った。


時計の針は、12時20分を指している。


もちろん昼だ。


開始は1時。


今から出て行けば、まぁギリギリだ。


てな訳なので、皆が若干慌ただしくなりだした。


ちなみに、なぜこんな時間になってしまったかと言うと。


ほら、あれだよ。うっかり。


そんな感じで、俺たちは外に出た。



「そういえば、エメリィーヌどうするんだ?」


秋が言った。



そういえばそうだな。


みんな自転車だけど、エメリィーヌの分はないし…


それどころか、乗れるかすらも怪しい。


超能力で行くからいい。みたいなことも言っていたのだが、超能力を多用すれば、エメリィーヌの体が疲れてしまう。


さっきだって、やっと目を覚ました所だった。


今までは、デメリットなんてないと思っていたが、いまは違う。


あまり無理させるのは可哀そうだ。


あまり使わせないようにしよう。


俺は、小さく決心した。



「自転車のかごにでも入れとけ」


自転車のかごが目に入り、俺が言った。



「カゴ!? ウチは荷物じゃないんヨ! せめて荷台なんよ! 後ろの方がいいんヨ!!」


ん?コイツアホだなぁ。


「荷台って事は、モロ荷物置く所じゃねぇか」


俺は言った。


すると、エメリィーヌの顔が少し赤くなる。


「そそ、そんなこと知ってたんヨ!! 早く乗せるんヨ!!……カゴに!!」


「おい、最後になんか付け足したぞ」


荷台と聞いて嫌になったのだろう。


そんな所に乗るくらいなら、カゴの方がマシ、という事なのだろうか?


まぁいいや。



「じゃあお前、秋のカゴに乗れ」


「なんで俺? まぁいいけどさ…」


なんで秋の方に乗らせたか分かっていないらしい。


決まっているだろ、それは…



俺が言おうとしたら、先に、少し呆れ顔で琴音が言った。


「秋兄ぃが迷子になった時の為でしょ」


「む、失礼な!!」


む、失礼な!!じゃねぇよ。


「お前が道に迷ったらえらい事になるからな。24時間さまよったのち、エジプトに到着」


「アホか!!俺どうなんだよ!凄すぎるだろ!!」


「いやぁ、意外と誰にも知られていない、隠し通路かなんか見つけちゃったりして」


「あぁ、誰も迷いそうな所にまで迷い込むからなぁ…ってシバクぞ!!」


「なに…この茶番」


俺たちのプチ漫才は、琴音の強烈な一言により幕を閉じたのだった。


とりあえず急ごう。


こんな所でふざけている場合ではない。


そう思った俺は、エメリィーヌを秋の自転車の荷台に乗せ、自分の自転車にまたがった。


「ちょっと待つんヨ。なぜに荷台?」


「お前、カゴに乗せると前が見えないだろ。」


もしかしたら喜びすぎて立ちあがったり、かごが破損したりと、色々と危ないからな。


これからバトるってのに、余計な神経は使えん。


「バトるって…じゃんけんするだけでしょ…」


暗い声で、ツッコんでくる琴音。



なんだよまだスネているのか。


さっきまで遊んでいたババ抜きで、俺がインチキしたからって。


すると、秋がいった。…俺の考えが読まれている事には、あえてツッコまない。


「海、あれはインチキなんて生ぬるいものじゃない。世界ババ抜き選手権なら、死刑に処するぐらいの…」


なんだよ世界ババ抜き選手権って。


とてつもなくシュールな光景だな。


「なんだよ。トイレに行くふりして、手札をチラーッと見ただけじゃねぇか。」


「おまえなぁ、チラッじゃなく、チラーッってのがもうアウト」


「海兄ぃ、思いっきりガン見してたよ。」


「へへっすげーだろ。普通コソコソする所を、堂々と見てやったぜ」


「くたばれ」


とてもどや顔の俺に、琴音が言った。



俺はその時、初めて聞いたかもしれない。


琴音の口から『くたばれ』という単語を。



「とりあえず急ぐなんヨ」


荷台にただのっているだけのガキが、えらそうに命令しやがる。


でも確かに、急がないとまずい。


エメリィーヌの言葉で、秋や琴音も、自転車にまたがる。



「ちゃんとつかまってろ」


暴れるエメリィーヌに、秋が言った。


「分かったんヨ」


その言葉を合図に、皆が一斉に漕ぎ出した。




―それから三十分後。


俺たちは無事、公園に着いた。


時間は12時55分。


とてもギリギリだ。


自転車置き場が、自転車で溢れ返っている。


その数ざっと、二十台。


それほどでもなかった。


とりあえず俺達は、適当な場所に自転車を止め、公園へと入っていく。


まるで学校の運動会のように、人でいっぱいだった。


車で来た人も多いらしく、大人子供、俺たちも入れて40人弱ぐらいいる。



「すげぇ人だな」


秋がポツリと呟く。


その呟きをスルーし、俺たちは公園の入口付近にある、受付っぽい所に向かった。


そこには、とても優しそうなおばちゃん。


「あら、海ちゃんじゃない、それに秋くんと琴ちゃんも」


「あ、武藤(むとう)さんこんちわッス」


「こんちわー」


「こんにちは、武藤さん」


俺があいさつをすると、それに続くように、秋、琴音と挨拶をしていく。



この人の良さそうなおばちゃんは、町内会の会長の武藤さん。


自称永遠の十八歳らしいが、どう見ても五十代のおばちゃんだ。


この武藤さんという人は、毎年いろいろな事を企画して、町内の皆を楽しませてくれている。


俺たちはいつも参加するので、お互い顔を覚えてしまったわけだ。


確か昨年は、ビンゴ大会だったな。


誰でも出来て、楽しく遊べるようなものが多い。


さすが武藤さんだ。


だけど十万円って、いつもは賞品だけなのに、いったい何があったんだろう。


毎年、賞品はあったものの、賞金というのは珍しかった。



なので、当然気になるわけで。俺は訪ねてみた。


「今年の景品、何があったんですか?」


すると武藤さんは、嬉しそうに話し始めた。


俺はそれを聞きながら、参加票にみんなの名前を書く。



「実はね。宝くじが当たったのよー。ねぇ、いくらだと思う?」


突然のクイズ。これも、武藤さんの特徴だ。


答えるまで聞き続けてくるので、いやでも答えなければいけない。


「えと、やっぱり十万くらい?」


賞金が十万なのだ。


多分そのくらいだと思う。


それを聞いた武藤さんは、嬉しそうに衝撃の値段を口にした。


「実は一万円なのよ~」


え、一万!?


俺が驚いていると、俺よりも先に秋がツッコむ。



「思いっきり、赤字じゃないッスか!!」


そう、実に九万円の赤字。


これは結構痛いぞ。


だが、武藤さんは嬉しそうな表情を変えずに言った。


「なんか嬉しくなっちゃったのよ」



…ははは。見ての通り、とても気前のいいおばちゃんだ。


だけど、武藤さんがそこまでしてくれているんだから、これは勝たないとな。


そこらのガキに、軽い気持ちで使わせてたまるか。


俺は、さらに気合が入った。



すると突然。


さっきまで嬉しそうに話をしていた武藤さんが、俺たちの方を見て、不思議そうな顔で尋ねてきた。


「そこにいる緑色の女の子、見ない顔だけど…どこの子かしら?」


緑色とは服装の事で、女の子は、もちろんエメリィーヌの事だ。


まいったな、どう答えればいいんだろう。



俺が悩んでいると、秋が俺を指差しながら言った。


「コイツのガールフレンドだ」


「あらまっ!!」


はぁ!?何適当な事言ってんだよ。


そして武藤さん! コイツに騙されないでほしい。



「おい秋。ぶっ飛ばすぞ」


「すまん、冗談だ。こいつは海の遠い親せきのようなもんだ。」


秋が、とても信じ込んでいる武藤さんに言った。



「なんだぁ、そうだったの。おばちゃんはてっきり…」


おい、てっきりなんだ。


最後まで教えてくれ。



…まったく。疲れるな。


そこに、秋がまた、いらん事を付け足す。


「今は訳あって、こいつの家にいるんですよ」


「あらまっ!!」


あらまっ再び。


おい秋!!


お前殴るぞ。


まぁ、間違ってはいないから否定はできないが…


とりあえず、あらまっはやめてくれ。


俺は心からそう思った。



「ウチは、エメリィーヌなんヨ!!」


と、手をあげながら言った。



「エメちゃんっていうのね。おばちゃんは、おばちゃんでいいわ。よろしくね。」


優しい顔でエメリィーヌに伝える武藤さん。


それに答えるように、『よろしくなんヨ!!』と、元気よく挨拶した。



それを見てにっこり微笑むと、武藤さんが言った。


「ほら、そろそろ始めるから、みんなの所に行ってきなさいな。」



それもそうだな。


そう思った俺は、人が集まっている方に歩き出そうとした。


だが、琴音の様子がおかしい事に気付いた。


さっきからあまり喋っていないし、ずっと俯いている。


俺は、気になって尋ねた。


「どうしたんだ琴音? 体調でも悪いのか?」



俺がきくと、小さい声で『大丈夫』と琴音。


だが、まだ俯いたままだ。


すると、秋が言った。


「…琴音。いやなら無理しないで、そこで見てろよ」



その言葉で、俺も理解した。


そうだった。


誰よりも人見知りで、恥ずかしがりの琴音。


そんなやつが、知らない人だらけの所で、平気なはずがない。


そんな琴音に俺は、優しく告げる。


「そうだぞ? 名前は書いちゃったけど、そんなもんどうにでもなるしな。俺たちに気を使って、無理なんかするな。」


「…うん。ありがと。みんなには悪いけど、私は見てるよ」


琴音はそういって、公園の隅っこの方に歩き出した。


それを見たエメリィーヌが、突然。


「ウチも疲れたし、琴音と一緒に見てるんヨ」



そういって、琴音の後を走って追いかける。


おいおい、走ってるじゃねぇか。



…これも、エメリィーヌなりの気遣いなのかもしれない。


追いついたエメリィーヌを見て、琴音は驚いた顔をしているが、どこか嬉しそうだった。


そんなエメリィーヌに俺は、元気良く言い放った。


「エメリィーヌ!待ってろ!!絶対勝って、お前に好きなもん食わしてやる!!」


そういって、俺は人ごみの方に、走った。



それを聞いた秋も、琴音に告げる。


「俺も、海なんかには負けない! まってろよ琴音!!…あと、おばちゃん。そういうわけだから、あの二人の名前、悪いけど消しといてもらえません?」


「もちろん。じゃあ、頑張っておいで」


「ありがとうございます!!」


そういって、秋も俺の方に駆け寄ってくる。



この勝負、絶対に負けられないな。


俺は心から思った。




広場…もとい公園の中央に、町内会の人たちが集まり、マイクで話し始める。


『えー、今日は暑い中お集まり頂き、ありがとうございます。』


というほど、暑くはなかったのだが。



さすがに、人が多いと熱気がすごいな。


『とりあえずルール説明。まず、Aブロック。Bブロック。Cブロック。Dブロック。Eブロックにわかれてもらいます。』


なるほど。なかなか本格的だ。


『方法は、くじ引きです。基本はじゃんけんですが、暴力、イカサマは禁止。それ以外なら何でもありです。もちろん…奇策なんかも…クックック』


おい、キャラが変わってるぞ。


それを聞いた、他の参加者だと思われる、小学生達が後ろで話し始めた。


「べつに、じゃんけんに奇策もくそもないよな」 「そうだよな。運だ。」


フフフ。残念だったなお前達。


そんな事を言っている内は、俺や秋には勝てないぜ。



俺には策がたくさんあった。多分秋にもあるだろう。


他のやつらとは、十万円に対しての覚悟が違うのだ。



――そのような調子で、ルール説明が終わる。


分かりやすくまとめるとこうなる。


参加者は、綺麗に40人丁度。


それぞれのブロックに8人ずつ。


計40人だ。


それをくじ引きで決め、それぞれのブロックで勝ち上がった人たちと最終対決。


最後はみんなで一緒に、つまり勝ち上がってきた5人でじゃんけん。


勝ったら見事優勝。十万円というわけだ。



そういうわけで、今はくじ引き中なわけで。


俺は、箱の中に手を入れ、中にあるくじを適当に一枚つかむ。


そして、引きだす。


三角に折りたたまれた紙。


見れないようにホッチキスで留めてある。


「じゃあ、そのくじのどこでもいいので、表面に名前を書いてください」


と、くじ係の女の人が言う。


なるほど。俺たちは最後の最後まで分からないというわけか。


できれば、秋とは、あたりたくないな。


俺は名前を書き終え、係の人に渡す。


これで、後は待つのみ。



俺は、他の人が引き終わるまで、琴音のとこで待っている事にした。



「オッス」


公園の端で、ベンチに座っている琴音。


その隣には、とても元気なエメリィーヌもいる。


どうやら楽しく遊んでいたようだ。


「あ、海兄ぃ。くじ引き、どうだった?」


声で俺に気付き、聞いてくる。


その顔は、さっきとは違い明るい顔だ。


エメリィーヌの相手をするので忙しく、恥ずかしさなどは、少し和らいでいるようだった。


これも、エメリィーヌのおかげだろう。


ナイスだエメリィーヌ。



すると、エメリィーヌが言った。


「ノド乾いたんよ~」


あ、そうか。


暑いもんな。


日陰にいるとはいえ、喉は乾く。


「琴音。俺の財布渡すから、喉乾いたりなんかしたら、適当に買って来てもいいぞ。」


そういって俺は、三千円入っている、黒い長方形の財布を琴音に差しだす。


「え、いいの? 多分凄く使っちゃうかもしれないけど…エメリィちゃんもいるし」


琴音は、申し訳なさそうな顔をしている。


そんな琴音に、俺はカッコよく言い放つ。


「これから十万を手にするんだ。遠慮することなんてない!!」


「…まったく、その自信はどこから……まぁいいや。とにかくありがとう」


そういって、財布を俺の手から受け取る琴音。


「ついでに、近くのコンビニで、弁当でも買って食ってろ」


「やったー。なんヨ!!」


…あ。


俺は、勢いで言ってしまった。


あの大食いエメちゃんがいるのにも関わらず。



…だがまぁ、勝てばいいんだ。楽勝だ。


俺は開きなおり、自分に言いきかす。


いろんな意味で負けられない戦いになってしまった。


まぁ、良しとしよう。



そのとき、丁度くじ引きを終わらせた秋が、こっちに向かってきた。


「おぉ、海もいたのか」


とてものんきな声だ。


だがその顔からは、覚悟が伝わる。


秋もそれだけ必死なのだ。


「あ、秋兄ぃ。今海兄ぃに、お金もらったんだよ」


「ああ、なんか食いたかったりするんじゃないかと思ってな。」


「お、そうなのか。じゃあ俺も何か…」


「お前は自分で買え!!」


「なんだよ。ケチ」


何がケチだ。


普通はお礼の一つでも言う所じゃないのか?


別に、お礼が欲しくてしてるわけじゃないが…


でも兄貴として、そこはお礼をするべきだろ。


「それだけ、仲が良いって事なんヨ」


と、エメリィーヌが言った。



…どうやら俺の考え事は、もはや筒抜けらしい。


でも仲が良いってことか。


少し嬉しいな。それ。


うん。それなら許せる。


俺は、エメリィーヌの一言で、とてつもなく納得した。



「とりあえず、ゴチになります」


「あぁ、エメリィーヌにも、好きなもの買ってやってくれ」


そういうと、琴音は公園を出て、コンビニの方に歩き出す。


ちなみにコンビニは、公園の向かい側だ。


なので、自転車もいらない。



…あ、そういえば。


俺は一つだけ気になる事が出来たので、秋に聞いてみる事にした。


「琴音、店員の人は平気なのか?」


あの琴音が、普通にレジに行けるのだろうか?



すると秋が言った。


「一応大丈夫だと思うぞ。一人の時は行きたがらないけど、ちゃんと買ってきた事もあったし。そばに知っている誰かがいると、強がって意外と平気みたいだ」


なるほどね。


まぁ、こんなみんなが注目する状況じゃない限り、心配はいらないだろう。



―秋とそんな事を話しながら、ベンチに座り、集計結果を待った。


10分ぐらいすると、琴音たちも戻ってくる。


どうやら大丈夫だったようだ。


両手に持っている、レジ袋以外は。


まぁ、エメリィーヌもいるし仕方ないだろう。


しかるにしても、人がいてあまり強くは言えないだろうし。



それから5分後。中央の方から声が聞こえた。


『皆さん!集計が終わりました。表を貼ったので、気になる方はご覧くださーい』


町内会の人がそういうと、ホワイトボードを指差す。



「おい秋。おにぎりなんか食ってないで、いくぞ」


「おう」


なんでお前が食ってんだよ。


…まぁとりあえず、向こういって見てくるか。


俺と秋は、ホワイトボードの場所に向かった。


だがそこには、人だかり。


後ろの方からだと全く見えない。


とりあえず俺は、俺のも見てきてもらうよう、秋に頼んだ。


すると秋は、見事に人の合間を縫って奥に行く。


こういうことは、無駄に上手い。


すると突然、『ギャーース』と、秋の悲鳴が聞こえる。


ギャースって言う人、本当にいたんだな。


俺は、とても珍しい悲鳴を聞き、少し呆れた。


それからしばらくすると、秋が戻ってきた。


……ボロボロで。


「何があったかは知らんが…とりあえずお疲れ」


「おう…、転んでメチャクチャに踏まれたが、しっかり生きて帰ってきたぜ」


「……お疲れ」


あちこちに、靴の泥が残っている。


相当踏まれたようだ。


「ところで、俺はどこの何番目だ?」


俺はきいた。


「ああ、お前はBの1だ。ちなみに俺はCの5」


Bの1。つまりBプロックの1番目という事だ。


とりあえずは、秋と当たらないらしい。


とにかく良かった。



それからすぐに、町内会の人が開始の掛け声を出す。


『はい、確認してくださいましたでしょうか。では、最初の人と、その次の人。前に出て来てくださーい』


そういうと、二名が人ごみの中から前に出て、それぞれが台の上に上がる。


あれ?いつの間にあんな台が。


その台は、半径約五メートルぐらいの丸型の台。


参加者の人たちがそこに乗ると、見る側もとても見やすくなる。


ふと、俺は琴音を見た。


すると琴音の手には、双眼鏡。


なかなか用意周到じゃないか。



そんな中、両者のじゃんけんが開始される。


『Aブロック!!最初の選手はかっこいいお父さん対町の小学生A!!それでは、始め!』


おいおい、小学生Aは可哀そうだろ。


それに、なんか気合入ってるなぁ、あの町内会の女の人。



後ろの方で、『お父さん頑張れー!!』という、声援が聞こえる。


そして、もう一方からも『さとし頑張れ!!』との声。


これは恥ずかしいだろうな。


俺がそう思っていると、決着がついたようだ。


さすがじゃんけん。


『あーっと、決着がつきましたぁー。勝ったのは小学生A!!お父さん残念でしたね。でも参加いただいたので、お茶をプレゼントします。』


おいおい、空気を読めよ。


無駄に気合の入っている実況に、俺は呆れた。


負けた家族は、一気に暗い雰囲気に包まれる。


お父さんは悪くない。頑張った。



一方、勝った方は歓喜の声に包まれる。


たった数十秒で、雰囲気が対照的の人たちが生まれた。


これがじゃんけんというもの。


すぐに勝敗が決まってしまう。


大人だろうが子供だろうが関係ない。



すると、また勝敗が決したらしい。


『おぉー! 三連続あいこと、いい勝負でしたが、勝ったのは気さくなお兄ちゃん!子供相手にも容赦はせずに、華麗にたたきつぶしましたぁー!!』


ちょ、実況!子供泣いちゃってるじゃん!!勝った方も気になっちゃって喜べてないよ!!調子に乗り過ぎだぁ!


俺のそんな思いもむなしく、ハイテンションで繰り広げられていく大会。


俺は少し、この大会に出た事を後悔し始めた。


こんな事されたら、琴音じゃなくても人間が嫌いになる。


ある意味出なくて正解だよ。



そんなこんなで、試合は進み、Aブロックは最終戦。


しかも、その二人が小学生だと言うのだから。


これがじゃんけんの現実だ。


『さぁ、お二人!がんばって~!!』


「「じゃんけんぽん!!」」


両者が一緒に唱え、それぞれの手を出す。


最後にもかかわらず、一瞬で勝負が決まる。


チョキとグー。


結果は右側の子の勝ち。


とても嬉しそうな顔。


だが負けた方は、悔しそうな顔をして、涙を押しころしているようだ。


そこで、またあの悪魔の声。


『おめでとうございます!!最後につなぐ切符を手にした少年A!!それとは逆に、負けてしまった、そこのきみ。残念だったねぇ。てな訳で、Bブロック戦突入です!!』


その一言で、負けてしまった子が泣きだす。


とうとう、心にとどめを刺した。


そんな実況の人が、同じ町内会の人に呼ばれ、人気(ひとけ)のない所に連行される。


そして五分後。


凄い暗い雰囲気を漂わせながら、戻ってきた。


こってり叱られたのだろう。



その雰囲気の中、俺の番が回ってきた――――




第十三話 完




どもです^^


そして、十三話ご愛読ありがとうございましたー^^


中途半端な終わり方で申し訳ない。


実はね。長くなってしまったので、急遽分割ww


一話で終わる予定が、まさかの前後編ww


もしかしたら、前中後編になるかも。


途中でバッサリ切ったので、本当に中途半端ww


ギャグもあまり入りませんでした^^


本当に申し訳ない。心から謝る。


と、言うわけでして。


次回をお楽しみに!



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