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ジンジャーエール

土曜の夕方、

代々木公園店は、

平日よりも少しだけゆっくりしていた。


成城くんは、

日曜は家にこもるつもりでいた。

特に予定は入れず、

外にも出ないつもりで、

その分の買い出しに来ている。


惣菜と、レトルト食品と、

明日の朝の分と、

月曜に備えるための何か。


棚の前で立ち止まり、

成城くんは、カゴの中を一度だけ見下ろした。


「珍しいですね」


声をかけられて、顔を上げる。


石井さんだった。


平日とは違う服装だった。

無地のTシャツではなく、

少しだけきれいめのシャツ。

色も、いつもより落ち着いている。


成城くんは、

「今日は雰囲気が違うな」と思ったが、

口には出さなかった。


石井さんのカゴは軽そうだった。

中に入っているのは、

ジンジャーエールが一本だけ。

生姜が十倍という、ふれこみの辛口だ。


「土曜に会うのは初めてですね」


成城くんが言うと、

石井さんは、うなずいた。


「あんまり来ないんすけどね」


それ以上は、言わなかった。


二人は、同じ棚を少し離れて見ていた。

会話は続かなかったが、

居心地が悪いわけでもない。


成城くんは、

自分のカゴの中身と、

石井さんのカゴの中身を、

無意識に比べていた。


量も、目的も、全く違っていた。


レジに向かうころ、

石井さんが先に会計を終えた。


「じゃあ」


いつもと同じ声だった。


「はい」


それぞれ、

違う方向へ歩き出す。


家へ向かう途中、

成城くんは考える。


日曜は、外に出ない。

冷蔵庫を開けて、

今日買ったものを並べて、

それだけで終わる一日。


石井さんは、

たぶん、違う過ごし方をする。


そう思っても、

特に、引っかかる感じはなかった。


また、平日どこかで石井さんと会うんだろうか。

そのとき石井さんは、何を買っているんだろう。


成城くんは、それだけを考えた。

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