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モノクロ  作者: 砂漠の鷹


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2/2

静穏

【一ヶ月半前】


「は・・・・る・・・、と・・・、たす・・・はる。。。。春斗!!」




春斗「うわぁっ!」



目が覚めるとそこには目鼻立ちはハッキリしてるが、どこか抜けた雰囲気があるショートボブで少し赤茶色の髪色した女性がこっちを見ていた。


理沙子「ちょっと!なんで寝てるのさっ!!なんでかなー、つまらない?」


春斗「ごめん、最近寝不足で 」


1周するのに15分もあるのは寝るチャンスがあるからラッキーだ。


理沙子「いくら高いとこが苦手だからって

寝てやり過ごすって。。。もう頂上は過ぎたからね!まったく。この遊園地からの景色すごーーい良いって真奈美に教えてもらったからきたのに1人で見ても感動半分だよぉ」


春斗「ごめん。」



苦手だ。。みんなこんなとこから景色を見てなにが楽しいのか。頂上が一瞬しかないから感動するとか理解できない。

そもそも隣のカップルがイチャイチャしてるのもここからは丸見えなのにどう感動しろと言うのか。。。



理沙子「もう下着いちゃうねー。。。もう1週する?笑」


春斗「勘弁してくれ。観覧車を2周するなんて聞いた事ないぞ。」


理沙子「聞いた事ないからやらないの?案外春斗は型にハマった考えなのね」


春斗「そういう意味じゃない。ただどうせ同じ時間過ごすなら他の乗り物乗ったほうが楽しいかもしれないだろ」


理沙子「まぁ良いけど。じゃあ次はなに乗ろっか!ああ、 パレードも観たいなー!ここのパレードは参加型なんだってさー!」



この遊園地は日本で1番大きく、1番人気の遊園地だ。完成してからまだ半年だが毎日10万人以上は来園してる。

日本の総人口が現在約3億人だと考えても10年もあれば国民全員が入場してる事になる。

まぁ観光地なんて行くとこ限られてるし、遊園地に行くくらいしかないのだろう。

【海外への旅行】なんて娯楽が昔はあったみたいだが、今は規制やらなんやらで行けない。

もはや海外滅亡論や、宇宙人に占領されてるなどの都市伝説として扱われてるが、俺は過去1度だけ行った事がある。

記憶も曖昧だが親父に連れられてだ。

幼少期だったからか、向こうでの記憶もたいしてない上、滞在中の外出は一切出来ないし、学校らしき場所と家をスモークがかかった車で移動するだけだった。

学校らしき場所も先生とマンツーマンだし、他の子供を見たりもなかった。親父がどこでなにをしてるかもわからない。でも身内が親父しかいない俺にとって側に親父がいるってだけで十分だったからそんな生活も深くは考えなかった。

海外なんて宇宙に行くのと同じようなもんだ。だから皆が知る必要もない。

ましてよくわからないキャラクターが祭りの山車みたいな物に乗ってクルクル周っている光景を見ながら考える内容でもない。



理沙子「ねぇー!春斗もこっちきて踊ろうよー!」



フワフワと光るイルミネーションの中、どことなくあどけない表情で踊る理沙子を見て少し胸が締め付けられる思いをした。




理沙子「はぁー、疲れた!!めっちゃ楽しい!!あとね、あのね、ずっと思ってたんだけど、そろそろ髪切ったほうが良いよー?嫌いじゃないけど。。もっと健康的な感じが似合うと思うんだけどなー」



今言う事なのかと、全くよくわからない間で言われて呆気に取られた。

まぁでも確かに自分でもそう思う。ただでさえ目つきが鋭いと言われるのに前髪があるだけで他人から一線を引かれてしまうくらいだ。別に殺気を出してる気はないが何度も友達に殺気を感じる、なんて言われれば嫌でも意識はしてしまう。



理沙子「ああーーーでもやっぱり今が丁度いいかも!長すぎず、短すぎないし。なんかミステリアスって感じ!!」



どっちだよ!と言おうと思ったが言った先の展開が読めたせいか言葉に詰まった。まぁ結論このままで良いって事か。



理沙子「ねぇ、ねぇ、お土産でさ、ブレスレット、買わない??笑」


春斗「なにそれ?」


理沙子「それは、なににたいして言ってるの?ブレスレットがなんなのか?それともお土産でブレスレットを買う事に??」


春斗「両方」


理沙子「あんたマジで言ってんの?!ここのブレスレットってめっちゃ有名じゃん!名前入れられるんだよ!」


春斗「だからブレスレットってなんだよ」


理沙子「見ればわかる」


そういうと強引にお土産屋に連れ込まれ、なし崩し的に名前の入った革製のブレスレットを購入させられた。


理沙子「はい、これ春斗の!」


春斗「これ名前逆だけど」


理沙子「逆じゃない!なんで自分の名前を書いてあるやつしなきゃなんないのよ!お互いの名前を身につけるの!」


春斗「そうか」


理沙子「いやならいい」


春斗「いやじゃないです」


理沙子「ならよし!」



あたりが夕暮れから暗闇へと変わる。

行き交うカップルがここぞとばかりにイチャ付き合いを魅せ争う時間だ。この瞬間はカップルでない2人組にとって地獄の時間だ。カップルではないのにいるほうが悪いか。と言わんばかりだ。


理沙子「この後どうする?明日授業4限からだから全然私は大丈夫なんだけど、春斗は1限からでしょ?」


こういう質問が1番困るが。


春斗「いや大丈夫だよ。どうせ出席だけしてれば良いし、先生もたいした事話してないんだから。」


理沙子「さすが主席君は言うこと違うね!!頭の出来が違うのかなー?」



理沙子と俺は大学は一緒だが学部が違う。理沙子は経済学部、俺は法律学部に通う。法律学部って言っても名ばかりで中身が伴った授業だと思った事は1度もない。自分で本を読んだほうがよっぽど身になる。


皆俺を羨ましがるが、言わせればお前らの勉強の仕方が他力本願だから成績が残せないんだって思う。



理沙子「さて主席君どうする??ご飯でも食べる??」


春斗「そうだな。そうしよう」



恋人が欲しいと思った事はある。むしろ今も欲しいと思う。相違を2人で歩み寄りながら埋めていく関係。好きだという理由のみで生きる意味にもなり得る関係。

理沙子の気持ちを気づいてないほど俺は鈍感ではない。でも確証がないのに突っ走れる程俺は勇敢ではない。情けない。そんな自分に嫌悪感を抱くがすぐにこの関係も面白いとすり替えるのが自分の良くない癖って事もわかってる。




理沙子「春斗ーー!!早くーー!」




暗闇が月明かりに照らされる。その月明かりは時に暗闇をさらに引き立たせる意志があるかのように輝いてた。


漆黒の闇を、黄色い月が。





『は・・・る・・・・は・・・ると・・・た・・け・・・はる・さ・・・すけ・・・き・・・春斗・・さ・・・・て・・春斗さん、起きてください』



見慣れた天井が見えた。向こうからテレビの音、外からは夏を知らせるアブラゼミの発音膜から発せられる音。

そして15畳ほどの部屋の入り口には自分と歳が10歳程しか変わらない女がいた。



明美「春斗さん。もうすぐ朝食の時間です。みんなで食べましょう」



みんなって事は親父がいるのか。まぁこの人と2人で飯は気まずいし話す事もないから助かったか。

飯を作ってくれることは感謝してるが、思春期にいきなり他人の女性に家にいられても面白くはないのは普通だ。


夜は子供がいるというのに親父とその女は愉しみに夢中でうるさく嫌な思いをした事もあった。

つか思春期は卒業したんだからそろそろ普通に接しろよ。ともう1人の自分が言う。が間も無くその考えはもう1人の自分が却下する。そんなこんなを5年間もやってる自分を考えると、よく飽きないなと感心する。


自分の部屋を出るとそこには40畳あるくらいの部屋がある。

中央テーブルにはスクランブルエッグとロールパンが置かれていた。奥にあるダイニングキッチンではミキサーをかける女性がいた。たぶん親父の健康ジュースでも作っているのだろう。

テーブルの左端に親父が新聞を読みながらテレビのニュースを聞いていた。反射的に俺は親父の反対側の席に座った。

この女と正面切って飯を食う勇気がなかったからだ。


父「春斗。おまえ昨日女と出掛けてたろ。」


親父は新聞から目を離す素振りすらなく、淡々と、そして急に爆弾を投げ込んできた。

今年で22歳の男子が女の子と出掛けてなにが悪い。って言う間もなく予想と違った言葉が新聞から目を離さずパンを頬張る親父から続いた。


父「帰り早過ぎだろ。女もロクに口説けないからお前はいつまでもそんなんなんだよ」

 


大きなお世話だ。つか普通逆だろ。なんで早く帰ってきた事に突っ込まれないといけないんだ。


明美「春斗さんには春斗さんの考え方があるんですよ」


知った口を聞くな。と言いたかったが代弁してくれた事に少しホッとした自分もいた。


父「そろそろ仕事だからオレは行くぞ。最近の若いやつは仕事覚えが悪りぃから忙しいわ。お前も鈍臭いボンクラどもと同じになったら勘当だからな。」


そう言い放った後、こっちを見るでもなく席を立ち、間も無くして玄関から出て行った。


実の息子との別れ際に言う台詞とは到底思えないが、俺はそんな親父がカッコ良く見えてたりもした。


春斗「明美さん。ご馳走様。僕も学校に行ってきます。」

そう言ってこの気まずい空間からの脱出を行った。



外はすっかり暑くなり学校ももうすぐ休みになる。単位さえ取ってれば卒業出来るし夏休みに入ったとこでなにが変わる訳ではないが、身のない授業に出席をするという意味のない行為を行わなくて良いだけマシだ。

そんな事を考えながら最寄り駅に向かって歩いているとシャツの左胸にしまっていた携帯が鳴った。


〔優太 TEL〕と液晶に出ていた。



優太「おー出た出た!おまえ時々無視すっから安心したわ 笑

今どこだ?」


春斗「今は立川駅の近くだけど、なんだ急に」


優太「いやさ、この前真奈美とデート行くって言っただろ??あれが最悪でさーー。なんかオレの勘違い??みたいな感じになっちまってさ。春斗は相手の気持ちとか結構見抜くの得意じゃん??だから真奈美と一緒にいるとこ見て脈ありか調べてほしいんだよね!!!頼む!!!」


奴のなかで俺はいつからメンタリストになったんだ。そもそも俺が相手の気持ちが見抜ける人間なら是非昨日の夜にタイムスリップしてほしいとこだ。


春斗「なんだよそれ。そんな能力俺にはないぞ」


優太「あるんだよ!!洞察力があるってやつ!!なるほどなーーっておまえと話してると思う事メッチャあるもん!だから頼む!」


こいつの勢いには感服する。身長もデカイが声もデカイ。それに拍車をかけるように態度もデカイ。それを知ってるが故に電話でも結局押し負けしてしまう。


春斗「わかった。でも見抜ける自信はないからな。検討違いな読みしても責任はとれないぞ」


優太「よっしゃーー!!!そしたら今日の15時にいつものとこな!んじゃな!!」


あいつ俺の話を聞いてるのか。。。あの勢いが俺にもあれば昨日の夜はもう少し良い展開が待っていたんじゃないかと少し虚無感が胸を覆った。




《レンテンローズ》

この喫茶店は俺らがいつも集まる時に使う。

もともとは理沙子が見つけてきた店だが、4人で仲良くなってからは俺らの溜まり場になっている。

レンテンローズとは花の名前らしい。《大切な人》という花言葉がある花だと理沙子に教えてもらった。

花に興味はないが花言葉は素敵だなって少し感じた。

木造で出来たその建物は決して大きくはないが、真っ白なペンキに塗られた切妻屋根のこの時代には珍しい古民家風の店だ。

向かって右側に白いフェンスで囲われた庭には数多くの花が咲いている。そこには白いテーブルと椅子がありちょっとしたテラスになっている。

向かって左側には木で出来た《レンテンローズ》と書かれた板が立っており、その奥に白い扉がある。


中に入ると珈琲とラズベリーの匂いが交差した独特な匂いがするが、不思議と不愉快な匂いではない。

入ってすぐ左にカウンター席があり、いつものマスターが自慢の豆引きで豆を弾いては、本を読んでいる。

右奥にはソファ席がBOX状になって置かれている。そこの1番奥がいつも俺達が座ってる席だ。

奥からデカい声が聞こえてくる。

もう優太がいるらしい。話をしてるって事は1人じゃないからもう真奈美もいるのか?

奥のBOX席に近づくと案の定短髪で肌が茶色く焼けた肌の優太がいた。その隣に真奈美、向かい側には理沙子がいた。



優太「おせーぞ春斗!!もう2分遅刻だ!!」


理沙子「そうだ!!そうだ!!昨日も5分待たされたんだから!!」


優太「マジで!?女待たすなんてさすが男前は違うなーー!」 


理沙子「ホント!挙句真奈美に教えてもらった観覧車で寝たからね!もうこっちはテンションダダ下がりだよーー」


優太「ウソーーー!そんな状況で寝る男がこの世に存在したのかーー!!オレなら間違いなく寝ない!!!むしろずっと乗ってたいわーーー!!」




こいつら。。。。。。



まぁ遅れた俺が悪いから甘んじて受けよう。

それにしてもこの2人、いつもこんなノリで疲れないのか。

人間を大きく3つの種類に分けたら、この2人は必ず同じ人種だと断言出来る。


真奈美「久しぶりだね春斗君。珈琲で良い?」


反して真奈美はとても落ち着いている。顔は小さく、知的な印象を感じさせる黒くて長い髪の毛、身長も高くスラっとした体型でアナウンサーに居そうなタイプだ。時折見せる落ち着いた笑顔にはドキッとする。


春斗「久しぶり。ありがとう。ブレンドで。」


真奈美はなにを言うでもなくニコっと笑い、そのまま俺とすれ違いカウンターにいるマスターのとこに変わりに注文をしに行ってくれた。俺はそれに甘え理沙子の横に腰を下ろした。

俺はなぜ真奈美ではなく理沙子に惹かれてるのか疑問を持つ。間違いなく真奈美は俺と同じ人種な気がする。同じ雰囲気を持ってるほうが関係を気付くのは容易なはずなのに。

横でギャーギャー会話している脳筋2人は全く何を考えているかわからない。


真奈美「珈琲どうぞ」


真奈美がマスターの変わりに持ってきてくれた。

まだ淹れたてだから熱いが、平然を装う意味でも慌ててカップを口に運んだ。


そんな事を考えていると目の前に理沙子が急に乗り出してきた。


理沙子「今真奈美が素敵だなーなんて考えてたでしょ」


いちいち勘の良い女だ。おそらく身体能力で生きているのだろう。

付き合ってもないのだから他の女の事を考えても良いだろ。

とは言えない。



そんな中、4人で学校の事や身の回りの事を楽しく雑談する時間が始まった。

この時間がとても楽しく、ずっと続けば良いとさえ思わせる。

平和だ。こうやってみんな大人になっていくのだろう。そしていつまでも変わらずこんな話をしていける、そんな人生が送れたら幸せなのだろう。



暫くしたら皆の話を遮るように優太が話始める。



優太「しかし昨日のニュース見たか?」


デカイ声で続ける。


優太「なんか隕石が日本に落ちるみたいな話やってたぞ?それもかなりのサイズらしい。直撃したら北海道くらい吹き飛ぶらしいぞ。どうりで最近軍用車が多いわけだ。今も窓の外を10台くらい通ったぞ。」


横でカフェラテを飲んでた理沙子が急に話に入ってきた。


理沙子「知ってる知ってる!!私も今朝見たよ。直撃を外しても未知の微生物とかが付着してると厄介だのどうなのって偉そうな人が言ってた」


春斗「未知の生物?」


俺は思わずカットインした。


理沙子「うん。ようは病原菌的な??ほら、インフルエンザみたいな感じじゃない?私達に対抗がないから危険みたいな?」



そういえば今朝はニュースを見る暇もなく出て行ったのだった。

ただ親父はそんな事一言も言わなかった。

国の仕事をやってるんだからもう少し家族に情報提供してくれても良いのではと思う。

いくら守秘義務があるからって家族の危険くらいは考えてほしい。ただ逆を言えばそこまで心配する問題ではないかもとも捉えられる。


ふと意識を皆との会話に戻すと落ち着いた様子で真奈美が口を開いた。


真奈美「私もそのニュース見ました。ただ隕石がくるまであと一ヶ月ほどあるって言ってたので、ある程度の防衛策は考えられるんではないですかね。」


理沙子「例えば?」

カフェラテ女がカットインする。


真奈美「なんでしょう。落下予測地点から避難するとか、被害が想定以上の場合は海外に退却させて頂くとか。。。」


優太「そもそも海外に退却とか出来るのか??実際どこにどうなって海外があるのかオレらは知らねーしさ。この日本が俺にとっての世界だし、実際海外があるかもわからねーしな。そういや春斗は行った事あるんだよな?」


春斗「ああ。ただ行った事があるって言っても移動はほとんどスモークありの目隠しだし、そこがどこでどうやって辿り着いたかわからないし。実際親父にここが海外だって言われただけで自分の目で日本ではないことを確認した訳じゃないし。」


優太「そしたらそこが日本かもしれないって可能性もあるよな!!ようは全部嘘でさ 笑」


理沙子「だとしても春斗のお父さんがその嘘をつく理由がなくない??息子にわざわざそんな嘘ついて隔離する理由なんてさ。」


デカ男とカフェラテ女の言ってる事はもっともだ。

正直海外があるかどうかわからない。所詮は教科書やメディアの情報に過ぎない。でも親父が俺に嘘をつく理由はない。ではやはりあそこは海外か??海外。。。。。

確かに空気が。。。

なんか匂いが違ったような。。。




その時だった。背中に張り詰めるような寒気が走った。

その感覚は今までで1度感じた事がある。。。なにか抗う事の出来ない存在に見つめられ、体が恐怖で硬直している感覚だ。

だがいつだったか、どこだったか思い出せない。ただ、普通ではないと、俺の第六感が教えてくれている感じがした。

悪寒と震えがとまらない。


理沙子「春斗大丈夫?様子おかしくない?具合悪いなら言ってね。」


春斗「ああ。。。大丈夫だ」


優太「春斗大丈夫か?時間も時間だし、今日はとりあえず解散するか!!真奈美送っていくぞ!!春斗ー!!!あの結果はまた今度教えてくれよな!」


理沙子「なーにー?その怪しい話?」


優太「男の話だ」


理沙子「へぇー」


真奈美「ああ。。うん。春斗君は大丈夫?」


理沙子「春斗は私が送るから大丈夫よ」


そう理沙子が言い放つと同時に優太と理沙子は立ち上がり、テーブルにあったカップやお菓子の入ったバケットをマスターに渡しに行った。

真奈美も少し間を置いて立ち上がり同じように片付けを始めた。

今自分が完全に迷惑をかけていることに罪悪感を感じる。

こんな楽しい時間の終わりをネガティブな流れで終わらせてしまった。次会った時に皆には謝ろう。

そしてもう一つ罪悪感を感じる事がある。


それは真奈美が俺に気があるということに気づいた事。



《レンテンローズ》から家まで30分くらいだ。理沙子の家は反対方向だが15分ほどで着く。お互い実家暮らしのわりに近い事にビックリしたのをよく覚えている。

気分はだいぶ楽になった。その反面横を歩く理沙子の元気がない事に気づいたのは歩き出して5分ほど経ったころだ。


春斗「だいぶ良くなったよ。ありがとう。家逆方向だろ?もう大丈夫だから」


そう言って立ち止まったが理沙子がそのまま直進する。


春斗「おい!理沙子?」


ハッとした顔を理沙子が見せた。


理沙子「あ、ごめん。ボーっとしちゃった笑 春斗こそ大丈夫?私の事は良いから帰って平気よ」


この状況で帰れるほど腐ってない。


春斗「良いよ。大丈夫。もうすぐ日が暮れるし女の子1人で帰すわけにはいかない。」

とっさに思いついた言葉にしては自分としても上出来だと思った。だがその反面理沙子にいつものような元気はない。


理沙子「うん。ありがとう。」


なんか調子が狂う。つかなんかありますオーラが半端ない。本当にわかりやすい。


春斗「理沙子どうした?さっきから様子おかしいぞ。なにかあったのか?」


理沙子「・・・・」


春斗「ごめんな。俺が体調崩したせいでこんな展開になっちまって」


理沙子「そうじゃないの!そうじゃなくて。。。春斗は私の事どう思ってるの?」


一瞬何を言ってるのか、どんな意味なのか理解するのに時間がかかった。まさかの展開だ。

あの時俺が真奈美に魅力を感じてると思ったのか。そして真奈美が俺を気にかけてる事にも気づいてる。

でもこれはチャンスだ。ピンチにこそチャンスとはこの事か。ここで自分の思いを伝えれば。。。でももし、数%の確立で勘違いだったら?確かにこの展開、普段の気遣い、態度からも好意は感じる。理沙子が他の男といるとこは優太以外見たことないが、でももし俺が知らないだけで皆にそういう態度だったら?俺の勝手な勘違いかもしれない。。。でもこの子のタイプ的に考えても・・・・・



理沙子「ごめん!変だよね!!私。体調悪いのにごめんね!なんでもないから !先帰る!今日はありがとう!」


走り去る理沙子を呼び止める勇気がなかった。やはりビビりか。最悪だ。ピンチからのチャンスをそのまま目の前でスルーした。小さくなっていく理沙子の背中をただ見つめるだけの自分が最高に愚かに思えた。



結局俺は色んな知識で自分を固めてるが根本は鈍臭いボンクラだと。。。。。

急に朝の親父の顔を思い出して苛立ちが更に増した。




暗闇が月明かりに照らされる。その月明かりは時に暗闇をさらに引き立たせる意志があるかのように輝いていた。


漆黒の闇を、真っ赤な月が。







「・・・でーあるからにしてー・・・・刑法では・・・以上の事から・・・」


なんて無意味な時間なんだ。全く俺の為になっている気がしない。

よくも偉そうに大したことでもない内容を語れるものだ。

周りも周りだ。必死にノートなんか取りやがって。だから壇上の上で調子のって喋り出すんじゃないか。本人も悪いが周りも同罪だ。用は犯人幇助ってとこだな。

まぁそんなクダラナイ事を偉そうに考えてる俺も同じ穴のムジナなのかもしれないか。



あれから3日ほど理沙子とは会ってない。連絡もないし、学校では学部が違うから偶然の奇跡が起こらない限り会うことはないだろう。

連絡しても良いが、別れ際があんな会話だったせいかなんて連絡取れば良いかわからない。

今更理沙子に緊張とは。。。

やっぱり俺は理沙子が好きなんだと皮肉にも再確認する。



クダラナイ授業を終え無駄に広い部屋から出ようとしたその時


右ポケットに忍ばせた携帯が鳴った。



期待をしていた訳ではない。まさかこんなタイミングで連絡きたとなればテレパシー的なシックスセンスが俺にもあるんじゃないかと疑う予定だった。

期待と高揚感を持ちながら、恐る恐る携帯の液晶に目をやった。





[優太 TEL]





反射で舌打ちが出た。そして虚無感に襲われた。人生はそう甘くない。




優太「もしもし?この前大丈夫だったか??あまり具合よくない感じだったからしばらく連絡しないでいたんだけどさ!。。。。

やっぱり気になって!!

この前の検証結果聞かせてほしい!!」


検証結果か。。。なんて言おうか。真奈美は俺が好きだと思うなんて言うのか。無理だろ。


春斗「あーー。そうだな。正直あんな短時間じゃちょっとわからないな。あんまり話してないし」


優太「確かにさすがの天才でも無理だよなーあれじゃ」


なんかカチンときた。でもまぁ良いか。適当に流そう。


春斗「期待に応えれずごめん。

また会ったらなんかわかるかもしれないし。とりあえずまた連絡するよ。」


電話を切ったあと、自分の恋愛さえ上手く出来てないクセに友人の恋愛を手伝うなんて100年早ぇーよ。と自分に言って罵った。


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