スリハモ6 若返りプロジェクト
【高校生の恋のアプローチ大作戦】
十数年後。
春の新学期。
ユリとミカの娘たちは、すっかり成長して高校生に。
ある日、帰宅したおじさんを迎えたのは、二人のちょっと照れながらも張り切った姿だった。
ユリの娘ナツキは、手作りのお弁当を「おじさんに一番おいしいって言ってほしいの!」と渡し、笑顔を見せる。
ミカの娘アオイは、「おじさん、今日は一緒に勉強しよ!」と教科書を持って誘う。
おじさんは照れくさそうに笑いながらも、二人の成長に目を細める。
ある日、家のリビングでは、二人が協力しておじさんに歌のサプライズを披露。
ミカはギターを弾き、ユリは歌う。
おじさんは感動しつつも、「まいったなあ」と照れ笑い。
しかし、そんな日々の中でも、三人の絆はますます深まっていくのだった。
【研究室の静かな夜】
ミカとユリは長い時間をかけて完成させた「若返りプロジェクト」の最終段階に差し掛かっていた。
「これが成功すれば、おじさんも若返るはず……!」
ミカの声には期待と不安が入り混じっていた。
ユリも深呼吸をして頷く。
おじさんが実験台に座り、二人は慎重に処置を施した。
その瞬間、光が溢れ出し、数分後におじさんの姿は劇的に変化した。
なんと、若返ったおじさんは20代の若々しい体力と容姿を取り戻していた。
「信じられない……!これが現実なんだな!」
おじさんは鏡の前で拳を握りしめ、力強く動き回った。
さらに驚くことに、ミカとユリも同時に変化を感じ、鏡を見て愕然とした。
二人も娘たちと同じ10代の姿に戻っていたのだ。
「これでみんな若返った。家族みんなが同じ世代に!」
笑い合う3人は、新たな生活への期待で胸を膨らませた。
「これからもずっと一緒だ」
「家族も恋人も友達も、みんなが一緒にいられる幸せ」
そうして、奇跡の若返りから始まる新たな物語は、輝かしい未来へと続いていった。
【奪われた日常、立ち上がる主夫】
ある日の夕方。
ユリ・ミカ・ナツキ・アオイの4人が買い物帰りに立ち寄った商店街で、突然のトラブルが起きた。
地元で噂の不良グループ「鉄牙」に絡まれ、4人は車に連れ込まれてしまう。
騒ぎを聞きつけたおじさんは、現場に駆けつけたが既に遅く、そこには落ちたユリのスマホだけが残されていた。
おじさんはそれを拾い、静かに呟く。
「……あいつらを、連れ戻す」
◆ヒーロー、動く
かつて一度だけ“とある事情”で体得した護身術と、主夫生活で鍛えた動体視力・反射神経をフルに活かして、情報を追い始めるおじさん。
不良の溜まり場、廃工場に乗り込む。
◆罠と対話
・電気の消えた廊下でワナにかかるが、掃除用モップの応用で回避
・落とし穴を予測し、持参したエプロンをロープ代わりに脱出
・一人の不良に「なんで助けに来たんだよ…あんた、ただのオッサンだろ」と言われ、こう答える。
「彼女たちは、俺の大事な家族なんだ。何があっても、迎えに行く」
その言葉に不良の一人が心を揺さぶられる。
◆決着と救出
最深部で4人が拘束されていた。
立ちはだかるリーダー格の男は、意外にも正義感に歪んだ過去を持っていた。
だが、おじさんは一歩も引かず言う。
「力じゃなくて、人を想う強さを持て。俺はそれで生きてる」
短い格闘の末、おじさんは勝利し、4人を救出。
◆帰り道、夜のベンチ
ユリ「ほんとに…助けに来てくれたんだね」
ミカ「かっこよすぎるでしょ…!」
ナツキ「もう、ちょっと惚れ直した!」
アオイ「パパって……ヒーローなんだね」
おじさんは微笑みながら、小さくこう答えた。
「ヒーローじゃない。ただ――父親なんだよ」
【もう敵じゃない、でもライバル】
数日後――
町は平和を取り戻し、鉄牙の一件も大ごとにならずに落ち着いた。
不良グループは解散、メンバーもそれぞれ更生の道を歩み始めていた。
そんな中、学校帰りの5人の前に、再び現れた一人の人物。
革ジャンの上に校章を縫い直したシャツ。金髪を落ち着いたブラウンに染め直し、真っ直ぐな眼差し――
鉄牙の元リーダー、カイだった。
カイ「……あんたに、会いに来た」
ミカ「え、おじさんに……?」
ユリ「っていうかその目、まさか……」
カイ「戦ってわかったんだよ。俺、おじさんの全部に惚れた。……真面目に、恋してる」
おじさん「えぇぇぇ!?(※スプーン落とす)」
ナツキ「えっガチなの!?ガチ恋!?」
アオイ「……まるで少女漫画だよ」
ミカ「どこに惚れたの?」
カイ「全部だよ!!料理してる背中も、戦ってる時の眼も、傷だらけの手も、全部が本物だった!」
空気が微妙にざわつく中、おじさんは真剣に答える。
「ありがとう。でも、俺にはもう家族がいる。お前の想いは嬉しいけど、その気持ちは…しまっておいてくれ」
カイは俯き、少し笑った。
「だよな……そう言うと思ってた。でもな、俺、簡単に諦めねぇからな」
そして、カイは立ち去る間際に、こう言った。
「いつか、家族ごとまるっと幸せにできる男になる。だからその時は……もう一度、俺を見てくれ」
4人「えぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」
おじさん「……また賑やかになるな、こりゃ」
【秘密と再会、そしてもう一度名乗る】
ある日、町の図書館の裏庭――
おじさんは偶然、制服姿のカイと再会した。
けれど今日のカイは、いつもの革ジャンも、ガラの悪さも無く、肩までの髪をおろし、まるで別人のように静かだった。
カイ「……あんたに、話したいことがある」
おじさん「なんだい?こんな静かな場所で改まって」
カイは一瞬だけ目を伏せて、そして、はっきりと言った。
「……俺、本当は“女”なんだ」
おじさん「…………え?」
カイは語った。
本当の名前はカイリ(海璃)。
小さな頃から家庭の事情で男のふりをして育ち、不良グループでは強さを証明するために男を演じていた。
でも、おじさんとの出会い、そして敗北と憧れ、何より――「恋」が本気になったとき、自分を偽ったままでは想いを伝えられないと思ったのだ。
カイリ「もう、偽るのはやめる。だからあらためて、言わせて――」
「私はカイリ。あんたが好き。……本気だよ」
その目はどこまでも真剣で、そしてどこか寂しげだった。
その場に現れたユリ・ミカ・ナツキ・アオイも、カイリの姿に驚きつつも、しばしの沈黙のあと──
ミカ「……カイリ、か。ふふ、いい名前じゃん」
ユリ「恋敵になるかもしれないけど、ウソついてない分だけ、悪くない」
ナツキ「むしろ、戦う前から勝てると思ってたら失礼だし!」
アオイ「……うん。もう、敵じゃないね」
カイリは笑う。
「ありがとう。でも――勝負は、まだ始まったばっかだからな」
おじさんは小さく笑いながら、こう答えた。
「じゃあ、ちゃんと受け止めるよ。俺も、家族の一員としてね」
5人目の“家族”候補が加わった瞬間だった。
続く




