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評議広間のドアの前には金ピカのスケルトンが数人。普段通り、よく手入れされた黄金に輝く装備で全身を包んでいる。


「ではマーラ様」

「ええ」

ゼナが隣接する従者の待機広間へ向かっていく。


「武器はこちらに」

「はいはい」

武器を預けた後、全身をチェックされ。

「どうぞ」

中へ入る。


既に始まっているようだ。


リーウィアが手招きしてくれている。

リーウィアの隣の席へ座る。


リーケンが何やら指示を出している。


元は何の種族だったか分からないアンデッドの執政官が数回リーケンに頷く。


「この半年で確認された越境違反者は768名。悪質のある者から軽微な者まで。違反者の処遇について、一部の諸侯から提案された減刑案は反対多数で否決された」


「残念だったわね」

「まあいつものこと」


「しかしながら、リーウィア卿の代替え案である処刑形式の策定変更は王の裁量権により可決された。よって公開処刑は自体は見送るが、民衆の認知を広める目的での公開処刑はこれまで同様執り行うように。これらに際し、該当する関連機関に属する高官、及び……」


「リーウィア、こんな事してくれてたの?」

「良いサプライズでしょ?」

「うん……」

「あら、意外って顔してるけど?」

「そう……かな。だって……いや…兎に角ありがとう」

「立場をはっきりさせておきたかったのよ」


「質問がないようであれば次の議題へ移ります」


「おや、本当に獣人だったとは」

隣に座っている在り来りな黒いローブを身に着けた見慣れないアンデッドが話しかけてくる。とても落ち着いた声だ。

「どうも」

「どういった経緯でここへ?」

「あなたは誰?」

「これは失礼。私はゼフォ。しがないリッヂの一人。それで…」

「私は…マーラよ」

「御会いできて光栄だ、マーラ卿」片手を胸に当て、頭を軽く下げるゼフォ。

「こちらこそ、ゼフォ卿」仕草をオウムで返す。

「伺っても?」

「大したことじゃないわ。偶然、陛下と居合わせて、偶々命を救っただけ。あぁ、魂だったかしら」

「なんと、それは素晴らしい」

「私のこと知ってるんでしょ?」

「勿論。ですが、噂とは当てにならないもの。実際に自身で確かめてみなくては」人差し指で軽く前方を指すゼフォ。

「あなたの事も聞かせて」

「私は以前、陛下に相談された事がありまして。それが偶々、良い結果を生んだので今の至るんです」

「ふ〜ん、なるほどね」

互いに本音を言わないのは分かってる。でもこのリッヂ、ニオスと同じにおいがする。


退屈な話を聞くのに戻る。


報告が終わり、論議に移っていた。


「生者の教養を身につける機会を奪い、奴隷にするだと? 我々にはもっと広い視野が必要だ」

「これはただ時間を有効に活用する案に過ぎない。ペイウス卿は些か、事を大袈裟に捉えすぎている」

「しかしまあ、頭が空っぽの女を抱いた所で、満足が得られないのは確かだ」

「同感ですな」

「「ハッハッハ」」

「リゴルド卿、これは貴方にも大いに関係する事。冷やかすのはやめて頂きたい」

「おいおい俺を巻き込むなよ。議論はお前らの専売特許。俺の役目はただ敵を叩き潰して、この世界の良い女を味わう事だ」

「「ハッハッハ」」

「先っ…」

「だがまあ、どちらの意見に賛同するかと問われれば」ペイウス卿の肩を叩くリゴルド「サマリ卿でなく、あんたさ」

「その言葉を聞けて安心しましたよ」

「あぁ、もういいからあんたら続けてくれ」


「我々の目下の相手はこの領域内の国々だが、それも長くは続かない。

別の領域へと進軍するにはより多くの優れた才を持つ者達が必要になる。そして…」


耳に何か入ってくる。

「あっ!?」

「起きた?」

「リーウィア、耳に指突っ込むのやめて」

「寝てる相手を起こすのにはこれが一番だもん」

「終わったの?」

「ぐっすりだったわね」

「うぅ〜ん」背伸びする。

「難民の件、代わりに上げといたわよ」

「あぁ…ありがとう。はぁ…」

「文書、うまくできてたじゃない。感心したわよ。やればできるじゃない」

背中を軽く叩いてくるリーウィア。

「ゼナにも付き合ってもらったの。それでも私のせいで、遅くまで時間かかっちゃったけど」

「兎に角、上手くいって良かった。さっ、寄るところ沢山あるんでしょ」

「そっ! 頑張ろ」立ち上がる。

「全部終わったら寄って、見せたいものがあるの」

「分かった」


広間を出る。


さて、まずはどこから行こうかな。

「お疲れ様です」

「んっ」

片手を軽く上げて相槌を送る。

「どちらへ行かれます?」

「まずはホームステッドね」

「はい!」


暫く歩き転移門へ向かう。


いつもの転移門の前で、ドワーフとアンデッドが何やら口論している様子。


「それは名目上。意味なんてないんだ。よお! マーラ」

「忙しそうね」

「忙しいだけで退屈なのは変わらんがな」

「一体どうしたの?」

「見ての通りさ。転移門が壊れたってのに、修理する許可が下りてないだの何だのと」

「一体どういう事?」

「詳細は述べられませんが、資源供給に多少の不備が生じておりまして…その…」

「つまり俺達には転移門を使わせたくねーって事だ」

「いつもの嫌がらせね」

「そうは仰っておりません」

「見せて」

動揺しているアンデッドから文書を取り上げる。

「あぁ…マーラ卿、それは…」

ゼナと一緒に読む。

「資源管理官の印書がありますね」

「思った通り、サマリ卿のくだらない妨害ね」

文書に大きくサインする。

「はいこれ、返すわね」

「ああ…」

「レクト、いいわよ」

「任せてくれ」

調整官が肩を落とし去っていく。


「一件落着ですね」

「当然、すぐには無理よね?」

「ああ。半日は掛かるな」


「仕方ない。歩いていくしかない」

「最近外に出られてないのでは?」

「そうね。かなり久し振り」

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