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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第77話 縄が大好き(必死)

 射線の向こう側から、ゆったりとした足取りでネクロがこちらに近づいてくる。

 体に血の弾が当たり、貫こうが食い込もうがお構いなしだ。

 あまりの威力に、腕が吹き飛んだ。

 それでも足取りは一切変わらない。


 ってか、元々きわどい衣装が、もっときわどくなっていくんだが……。


「うーん、こりゃ駄目だな」

『ま、まだであるッ!!』


 ――ズガガガガッ!!


 人間が食らえばひとたまりもない攻撃だが、ネクロの足は止まらない。

 穴が空いたり、ちぎれたりしている体が、数歩歩くと再生される。


 まさに、不死者。

 撃っても撃っても、壊滅こわれない。

 どんどん近づき、十メートルほどになった時だった。


 ネクロの体が霞んだ。

 次の瞬間、


「うる、さい」

『は――ッ』


 ――ドッ!!


 シャドウの顔面に、ネクロの拳がめり込んだ。

 今度はシャドウが、凄まじい勢いで吹き飛ぶ。


 次元層に激突し、顔面が陥没しながらも、ふらふらと立ち上がる。


『し、死ぬかと思ったのであるッ!』


 いや見た目死んでるぞ。


 てかなんだよこのパワーこそすべてみたいな怪獣大戦争は。


「帰っていいかな?」

『マスター……』

「うん、わかってるよ」


 駄目か。うん、駄目だよな。わかってた。


「さて、状況も整ったし、そろそろ終わりにするか」

「そう。やっと、死んでくれる」

「いいや。死ぬのはお前だ」


 インベントリからロザリオを取り出し、首に装着。

 レギオンを構え、魔力を装填。


「貫け――《ブレイズ・ランス》」

「はあ。魔法は、効かな…………えっ?」


 ネクロの腹のど真ん中に、拳大の穴が空いた。

 穴の周囲が、ちりちりと赤く熾っている。


 その穴が、塞がらない。

 困惑したように、ネクロが腹を探った。


「どう、して?」

「悪いが、種明かしはナシだ」


 続けて上級魔法を連続でカマす。

 そのダメージも、修復されない。


 理由は俺が装備したロザリオだ。

 ネクロを倒すと手に入る、不死者向けのアクセサリー。

 ――咎人のロザリオ。


 不死者の再生能力を完全停止させる効果があるが、それは人間にも適応される。

 怪我をしても、ヒールやポーションで回復出来なくなるのが、このアクセのデメリットだな。


 とはいえ、俺一人なら何の問題もない。


「何故、再生、しない!?」

「さあな」

『ご主人大変であるッ! 我が輩も、再生しないッ!!』

「…………」


 居たな。

 すっかり忘れてたわ。


 シャドウは放っといても死なないだろう。

 それより今はネクロだ。


 かれこれ十発たたき込んでるが、倒れる気配を一向に感じない。

 てか、魔法もかなり減衰されてるな。

 さすがは魔王種、並の上級魔法じゃ痛打にはならんか。


「そろそろ頃合いだな」

「ふっ。魔力、尽きた?」

「悪いが魔力はまだまだ尽きない」


 上級四属性を四方八方に撃ちばらまく。

 範囲は極大。威力は全力、全開だ。


「無駄撃ち? そんな魔法、当たらない」

「だろうな」

『あちゃちゃちゃちゃッ! ご主人、魔法が当たってるのであるッ!!』

「……」


 うん。馬鹿シャドウは放置だ。


 四属性の魔法をつなぎ合わせ、空中で融合させる。

 ネクロがハッとした顔をして、急接近。

 さすがに気づくか。


「シャドウ!」

『承知ッ!!』

「ぐっ――!」


 シャドウが死角から殴打。

 ネクロが大きく打ち飛ばされた。


「エルドラ、ネクロを一瞬だけ固定してくれ」

『はい、マスター。《三位一体トリニティ》』


 ドローン同士が結合して、見えない盾を生み出した。

 四方八方を塞がれたネクロが、盾に拳を叩きつける。

 もってあと五秒ってところか。


 まあ、十分だな。


「さて、そろそろ終いにしよう」

「や、やめ――」

「《グラビティ・ブラスト》」


 瞬間。明滅。

 歪む、景色。

 黒い重力の塊が、ネクロを飲み込んだ。


 前回使った時よりもかなり威力が強い。

 かなり離れてるはずだが、俺の体がグイグイ引っ張られてる。


『ファァァァッ!! 死ぬ、死ぬのであるぅぅぅ!!』


 シャドウが庭にあった大きな岩に頑張ってしがみついている。


「エルドラ。体を支えてやってくれ」

『このまま処分していいのでは?』


 鬼だな……。


「今回は助けてもらったからな。温情をかけてやってくれ」

『……承知しました』


 不承不承、エルドラがシャドウに縄を放つ。


『た、助かったのであるぅ。……ところで、何故我が輩、ぐるぐる巻きにされているのであるか?』

『嫌なら離しますが?』

『わわ、我が輩、縄が大好き! 縛られて幸せなのである!!』


 捨てられまいと必死すぎて、台詞がド変態になってる……。


 脇でどうでもいい光景が繰り広げられている間に、《グラビティ・ブラスト》が終焉。

 重力の霞が消えて、十数メートルほど低くなった大地が露わになる。


 おっ、まだギリ生きてるのか。

 すげぇな、魔王種の生命力……。


 仰向けに倒れたネクロに近づき、レギオンを構える。


「さて、言い残すことはあるか?」

「本当に、人間? 実は、魔王とか?」

「人間だ」

「……はぁ。人間に、負けた。ショック」


 なんか、ゲームに負けたみたいな反応だな。


「殺されないと思ってんのか?」

「殺す? ウチはもう、死んでる。二度は死なない」


 なるほど。自分が死ぬわけがないと思ってるから、ネクロにとって、戦いはゲームにしか感じないんだな。


 ある意味、当たってる。

 魔王は一度倒すと封印されるが、死ぬわけじゃない。

 こちらに出現したのはあくまで分体って扱いで、本体じゃないから完全に滅ぼせないんだよな。


 実際、ゲームじゃ同じ魔王が何度も出現したことあるし。

 この世界だと、どうだろう?

 さすがに、すぐ復活しないで欲しい。

 モグラ叩きみたいで面倒だ。


「それじゃ、これで終わりだ」

「ん、また」


 ネクロの瞼が閉ざされた。

 それを見て、引き金を引く。


 一点集中 《焦炎爆散フレアブラスター》。

 ネクロの体を、灰すら残さず焼き尽くす。


 再生する気配は、ない。

 これで魔王討伐終了だ。


「……ふぅ」


 残心を解いて、レギオンをホルスターに仕舞う。


「面倒な戦いだったな……」


 特に、結界の中の人間を待避させるのが面倒だった。

 次はもっといい状態で戦闘を開始したいが……難しそうだな。


「さてさて、魔王素材は何かな……」


 ゲームで魔王素材を入手すると、開発出来る武器種がランクアップした。

 きっと現実でもいい変化があるはずだ。


 素材を確認しようと手を伸ばした時だった。

 素材の中から、小さくて黒い光がふわりと浮かび上がった。


「なんだこれ?」

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シャドウの時の再現?
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