第65話 懲りないアイツ
ぶっちゃけ、全部エルドラ任せだったんだけどさ……。
初めにドローンを千機出したあと、まずは手紙の差出人の足取りを監視カメラから割り出した。
ドローン千機の並列処理で、差出人はあっさり見つかる。
――大庭家の使用人だ。
そこからドローンが光学迷彩で家に忍び込み、使えそうなものを捜索。
偶然、裏金の流れが書かれた帳簿を見つけたんで回収。
その書かれた内容を頼りに、今回拘わった奴らすべての家にドローンを向かわせ、また帳簿を見つける。
で、俺が攻撃されない証拠がしっかり固まったら、一斉に関係者宅を爆破だ。
「そ、そこまでしなくても……」
いやいや。
今後、第二第三の大庭が出ないとも限らんだろ。
俺に手を出すとどうなるかって、きちんと見せしめにしたほうがいい。
俺もそうだが、メンバーのためにもなる。
……だろ?
「う、ま、まあ……そうか、な?」
足場固めが終わったら攻撃しようと思って時間稼ぎしてたら、大斗が変に盛り上がって死にそうな勢いだったなあ。
あれ、マジで焦ったんだぞ?
「う、ぐ、すまん……」
んで、一斉に爆破して反撃開始だ。
「か、関係者は全員殺したのか?」
いやいや、全員無事だぞ。
ドローン使って強制的に建物の外に追い出した。
で、爆破したあとでワカラセタイムだ。
せっかくEXランクになったし、西園寺とかハンター協会とか、俺が使えるカードは全部使った結果、大庭が廃嫡になったって感じだな。
「へえ……ん、そういえばEXって何のことだ?」
「あー、実は今日、クラン昇格試験があったろ? そこで――」
かくかくしかじか。
大斗にざっくり、EXに至った流れを説明する。
「すげぇ。それ偽物じゃなくて、本物だったのかよ……」
「偽物なんて持つ意味ねぇだろ。俺もビックリしたが、まあ貰えるもんは貰っとくか、的な?」
「そういう次元の資格じゃないじゃんッ! あっ、これからハヤテ様って言ったほうがいいか?」
「やめてくれ……」
大斗に様付されるとか、背中が痒くなる。
貴種の奴らは様付けて欲しいみたいだったが、こんなのの何がいいんだ?
さっぱりわからん。
「ほら、さっさとクランハウス戻るぞ」
「ん、なんで寮じゃなくてクランハウスなんだよ」
「今メンバーが、クラン昇格と俺のEX昇格を祝ってパーティを開いてる」
「そ、そうか」
ぴた、と大斗の足が止まった。
「どうした?」
「おれなんかが、行って、いいのかな……」
「お前もメンバーだ。悪いわけないだろ」
「でも――」
「ドクペならたんまり用意されてるぞ」
「ほらハヤテ急ぐぞ!」
「おいっ」
急に元気に走り出した大斗を追う。
こりゃ空元気だな。
無理もない。
俺は大斗を助け出して終了だが、こいつは違う。
彼女になった子に、実は好きでもないのに付き合った振りをされてたんだもんな。
俺だったら三日三晩寝込みそうだわ。
「大斗。そういえばお前をひっかけた女子って誰なんだ?」
「忘れた」
「は?」
「そんな女、忘れたって言ったんだよ」
大斗が無理してんなーって笑顔を浮かべた。
でもそこには、覚悟が乗っている。
「世界中に女子は何人居るか知ってるか? 四十億だぞ四十億! 振られた女子たった一人に引きずられるより、四十億に目を向けた方が夢が広がるじゃん!」
「……お前らしいな」
特に女性の世界人口を知ってるあたりが……。
それに、いくら自分を騙した奴でも、女子には甘いところとかな。
調べればすぐにわかるんだが……さて、どうしたもんかな。
空元気を振りまく大斗の背中を見ていると、該当女子についてはどうでもいっかって思えてくる。
俺は当事者じゃない。
大斗がいいなら、放っておいていいだろう。
クランハウスについたところで、みんなに事の成り行きを再度説明することになった。
結果、クラン昇格と俺のEX昇格記念パーティが、〝三浦大斗失恋残念会~大丈夫! いつかは彼女が出来るさ~〟に早変わり。
大斗を慰めてんのか煽ってんのかわからない会が、夜遅くまで続いたのだった。
「ちくしょう! 今度こそ、今度こそ彼女を作ってやるぅぅぅう!!」
……ちっとも懲りてねぇなこいつ。




