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滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


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第28話 EXハンター

「詳細を説明しろ」

「はっ。討伐されたのはウツロビト。他の生物に化ける特殊能力持ちとのこと。深淵に出現する際、格下の悪魔に擬態していたため、本来の深度よりも数段低く誤認してしまったようです」

「悪魔の詳細はいい。白河、それに斉藤はどうなった?」

「白河さん、斉藤さんは生存しております。【払暁の光剣】は……」

「なんだ、【払暁の光剣】はどうした?」

「ポーター以外は、壊滅した模様です」

「なにッ!? じゃあ、ウツロビトは……」

「現在聞き取り調査中ですが、その、白河さんが一人で倒したようです」

「……」


 その報告に、輝元は再び絶句する他なかった。




          ○




 くっそ面倒なことになった。


 エマのオヤジに半ば強制的に深淵に送られ、ポーターの仕事をやらされたあげく深淵が深化。

【払暁の光剣】が全員死んだっぽいから、俺が代わりにウツロビトを討伐した。


 ここまではいい。まだ我慢出来る。


 だがこの結果に納得いかなかった【払暁の光剣】がごねたせいで、俺は麻布ヒルズで拘束され続けてる。


「君は何故、我々【払暁の光剣】の狩りに参加していたんだ?」

「だから、それはもう話したろ」


 これで何度目だよ……。

 もう喋り疲れたわ。


 元々はCチームが使ってた白いテントで、かれこれ二時間くらい拘束中。

 これ、監禁罪とかにならんかな?


「何度聞かれても、話すことは変わらないぞ」

「こちらとしては、はいそうですかと終わらせるわけにはいかないんだよ」


 聞き取り調査という名目で俺を尋問してるのは、【払暁の光剣】Bチームのリーダー工藤だ。

 深淵が深化したのを察知してすぐに駆けつけたが、中に入れず足止めを食らってたらしい。


「自分たちが何も出来なかったからって、俺を責めるのはお門違いじゃないか?」

「別に責めてはいない。聞き取りをしているだけだよ」

「じゃあもう解放しろよ。全部喋っただろ」

「悪いが、こちらはまだ納得してないのでダメだ」


 これだよ。

 納得するまで終わらないって、自白を強要する警察官かよ。


「今回の狩りはイレギュラーだ。だから俺が狩ったウツロビトの素材は全部譲渡するって言ったよな? これだけ譲歩して、何がまだ納得出来ないんだよ?」

「ポーターと一条くん以外のハンター、Cチームが全滅した件だよ。一条くんから聞いたが、君は大規模な破壊魔法を使ったね。それに、Cチームを巻き込んでいないという証拠はないじゃないか」

「Cチームのリーダー平賀はウツロビトに既に取り込まれてた」

「別の人からもそう聞いているから間違いないだう。でも、他は生死がわからないよね?」

「ウツロビトが直接、全員殺したと明言したぞ」

「悪魔の言葉を信じるわけにはいかないね」

「俺のドローンも、生体反応がないと判断した」

「測定結果が正しい保証がない」

「はあ……」


 ずっと、この調子だ。本当に頭が痛くなってきた。


『マスター、こいつ、消していいですか?』


 うん、やめてね?

 俺も消したいとは思うが、消したらマジでヤバイ。


 こいつがここまで頑ななのは、本当に俺を疑ってるからじゃない。

 疑ってるなら、こんな緩い監禁じゃなくてもっと屈強な男に囲まれてる。


 そして、素材の譲渡を拒んでる以上、慰謝料(かね)が目当てなわけでもない。


 たぶん――いや間違いなくメンツの問題だろう。

 そら【払暁の光剣】Cチーム壊滅した上、俺がソロで悪魔を討伐したら、ハイクランのメンツ丸潰れだよな。


 改めて言おう。

 くっそ面倒くさい!


「ボクはこう考えるんだ。Cチームがウツロビトを討伐。ただし、ギリギリの戦いを強いられ、大けがを負っていた。そこで君は後ろからCチームのメンバーを殺害。ウツロビトの素材略奪と、ソロ討伐の栄誉をかっ攫おうとした、と」

「はあ……妄想癖が強ぅございますなあ」

「さて、妄想かな? こうでもしなきゃ、ハンターランクFの君ごときが深度Ⅴの悪魔に一人で勝てるはずないじゃないか」


 あー、そういえばFランクのままだったな。

 ゲームだと自然に上がってたから、気にもしてなかったわ。

 今度ランクの上げ方を安達に聞いてみるか。


「ボクからすれば、君の言葉のほうが妄想だよ」

「へえ。妄想かどうか試してみるか?」


 ホルスターに仕舞ったレギオンに手を伸ばす。


「やっと本性を現したね」


 工藤も、長剣の柄を握りしめた。

 緊張の糸が、今にも切れる。

 その時、テントに二人の男が現われた。


「白河、遅くなって悪かった」


 一人は、エマのオヤジ。

 もう一人は――、


「二人ともそこまでだ」


 とてつもない威圧感のある男。

 がっちりとした体に、鋭い目つき。一切隙の無い立ち居振る舞い。

 そして、どこかの誰かに似ている顔つき。


 間違いない。こいつは一条の父親――【払暁の光剣】のマスターだ。


「別の者から話は聞いた。工藤、これ以上この少年への尋問は無用だ」

「し、しかしCチームが壊滅したことで、我々のメンツが――」

「工藤、聞こえなかったのか?」

「――ッ!」


 凄まじい圧だ。

 たったひと睨みで工藤が硬直した。


 俺も直接睨まれてないのに、鳥肌がすごい。

 これが、EXランクのハンターか……。


 生で見ると、『この人に付いていきたい』って思うハンターがいるのも頷けるわ。

 ただ強さを感じるだけじゃない、人としての厚みというか、オーラがある。


「これ以上、俺の顔に泥を塗るな」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



TIPS

・一条亘

 現代のハンター界を背負って立つ第一人者。

 日本で唯一のEXハンターであり、ハイクラン【払暁の光剣】のマスターでもある。


 すべてのハンターの憧れであり、誰しもが認める人格者でもある。

 ただ厳格すぎるため、息子の肇はやや息苦しさを感じている模様。

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