表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅亡国家のラグナテア ~リアルがゲームに入れ替ったけどデータ引き継ぎで現代無双~  作者: 萩鵜アキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/79

第27話 白河颯の裏側で

「お父様、そろそろ理由を教え欲しいのだが?」

「ふむ……」


 西園寺輝元は、執務室で娘のエマに詰め寄られていた。

 原因は娘の同級生ハンター、白河颯を【払暁の光剣】の深淵攻略への帯同を決めたことだ。


 白河はあろうことか、エマをダンジョンに連れ込んだ。

 ダンジョンには危険な魔物がたくさん住み着いている。

 もし力なき者が安易に踏み込もうものなら、二度と地上を拝むことが出来なくなる。


 そのような危険な場所に――たとえエマから頼み込んだこととはいえ――大切な娘を連れ込むとは言語道断だ。

 おまけに立ち上げたクランに加入させるなど、決して認められる行動ではない。


 たった16才でクランを立ち上げたという実績は、輝元も認めている。

 だが、あくまで立ち上げただけだ。

 そこから発展させて、大きくなる保証はどこにもない。


 反面、白河に将来性を感じないといえば嘘になる。


 そこで、実力以外の部分を確かめるため、輝元は【払暁の光剣】の狩りに同行させることにした。


【払暁の光剣】は数十年続く歴史あるハイクランだ。

 多くのクランがここのシステムを参考にするほど、狩りから事務、ミス防止策に至るまでマニュアル化されている。


 そんなクランの狩りに同行すれば、自分とハイクランの違いが否応でも見えてくる。

 これを自らの成長に繋げるか、あるいは糧に出来ずに突っぱねるか、はたまたなにも感じないか。

 それによって、輝元は彼の評価――クランマスターとしての将来性を見定めるつもりだった。


 もし光るなにかがあれば、一時でも娘を任せて良いかもしれない。

 そう思う程度には、輝元は白河に興味を抱いている。


「エマチ、今回の狩りの同行については――」

「旦那様、失礼しますッ!」

「……入れ」


 娘への話を邪魔され、輝元は眉根を寄せた。

 一瞬、入室を拒否しようかと思った。

 だが、扉の向こうから聞こえた声があまりに切迫していたため、入室を許可する他なかった。


「失礼します!」


 礼儀もそこそこに、執事の一人が足早に近づいてくる。

 その表情から、並々ならぬことがあっただろうとわかる。


「一体何があった?」

「麻布ヒルズの深淵が、深化しました!」

「何だとッ!?」

「――ッ!!」


 予想もしていなかった報告に、輝元は思わず立ち上がる。


 深化とは、出現した深淵の深度(危険度)が突然で上昇する現象だ。

 まさか娘の学友を送り出した先の深淵が、深化するとは予想だにしていなかった。


「たしか、以前は深度Ⅱだったはずだな。どれほど深化したんだ?」

「外側からの計測では、その……深度Ⅴとのことです」

「…………」

「そんな……」


 輝元は、絶句するしかなかった。

 娘が真っ青な顔をして、口に手を当てた。


 深度Ⅴ。

 C級ハンターがチームで挑むレベルの、凶悪な深淵だ。


 深淵が深化する現象は、決して珍しくはない。

 毎年数度は深化しているが、自らが娘の友人を送り込んだ深淵が偶々深化するなど、あまりにタイミングが悪すぎる。


「……白河くんには、斉藤が付いている。あれは、元B級ハンターだ。それに【払暁の光剣】もいる。おそらく大丈夫だろう」

「そ……そう、ですわね」

「万一勝てないとしても、逃げ出すくらいは可能だろう」

「旦那様、それが……」

「なんだ?」

「外からの突入が封じられたようです」

「どういうことだ?」

「次元層に異変を感じたクランメンバーが、本部に報告して、即時討伐チームを結成したようですが、深淵に突入出来なかったと……」


 悪い出来事というのは、一つ起れば次々と、悪い出来事を呼び寄せるらしい。

 頭がクラクラしてきた。


 白河は学内ダンジョンで出現した、深度Ⅲの深淵を単独クリアしたほどの戦闘力を持つ。

 また、ダンジョンのデイリーランキングでも一位を獲得するほど、継戦能力も高い。


 だが、深度Ⅴはダメだ。

 ここから先の悪魔は、桁違いに強くなると言われている。


 事実、ハンターとして一線級と呼ばれはじめるCランクのパーティですら、度々攻略に失敗する。

 深度Ⅴとは、それほどの恐ろしい深淵なのだ。


「深淵攻略に参加した【払暁の光剣】のチームは、誰が担当だったかわかるか?」

「いえ。Cチームだ、としか」

「D級ハンターのパーティ……」


【払暁の光剣】が常備しているチームはランクの高い順番で、マスターが率いるEXチーム、Sチーム、Aチームときて、一番ランクの低いのがCチームとなる。


 Cチームにはランクが上リたてのハンターしかおらず、一線級(C級ハンター以上)が一人もいない。

 輝元は机に肘を突き、手のひらに力なく頭をのせる。


 ああ、これはダメだ。

 どう考えても、誰も助からない。


 このままでは深淵内で殺戮が行われ、生存者ゼロ。

 明日になれば、この深淵と次元が融合し、麻布ヒルズが壊滅する。


(……最悪だ)


 絶望したその時、開け放たれた扉からまた新たな執事が現われた。


「失礼いたします! 深淵の続報をお持ちいたしました」

「……入れ」

「はいッ! 先ほど深化した深淵ですが、無事悪魔が討伐されました!」

「なんだとッ!?」

「……ほっ」

「お、お嬢様!」


 張り詰めた気が緩んだせいか、エマの膝がかくんと折れた。

 傍に居た執事が慌てて支え、ソファに座らせる。


「詳細を説明しろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
カクヨム版の先にいけるのかな?
毎回話が半端な所で終わって短い
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ