じゃすとふぃっと
年収一千万はある男と結婚して大きな家で派手に遊んで暮らすんだ。とずっと思っていた。でもパッとしない企業の同期入社の冴えない男が真っ赤になって酒の力も借りてホテルなんかに誘ってくるものだから、酒の力に借りられた私はついて行ってしまう。
正直そんなによくはなかった。顔もべつに好みじゃない。それなのにこれまでに寝たどんな男の腕の中よりもぐっすりとよく眠れてしまって、妙に気分よく目が覚めた私は男の顔を見下ろす。すこし寒い。
私は考える。
たぶん私はこの男と結婚して子供を作る。
もう一度体を横たえて男の腕を枕にする。ジャストフィット。じんわりと伝わってくる体温があたたかくて眠気がこみあげてきたから、私は毛布を引き上げてもう一度目を閉じた。