表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/25

第12話 ドラゴンライダー

1人の少女が懸命に大地を走っていた。


 豪華なドレスを着た10歳ほどの少女だ。


 ドレスが破け、体のアチコチに傷がある。


(逃げなくちゃ)


 少女は全身から汗を流し、呼吸を乱して逃げる。


(私が逃げなくちゃ魔族も人類も大変な事になるのじゃ)


 少女は涙を流しながら走る。

 ふと少女は後ろを振り返る。

 追っ手は、ドラゴンライダーだ。

 少女をいたぶるのを楽しんでいる為、簡単には殺そうとせず、逃げる少女を空から高笑いして見ている。


 少女は悔しさに歯軋りした。


 だが、自分は弱い。自分では勝てない。


(誰か。助けて)


 少女は祈った。


 誰かが救ってくれる事を。


 そして、救いは来た。


 轟音と絶叫が響いた。


「え?」 


 少女が振り返る。


 そして、茫然として立ち止まった。 


 黒髪黒瞳の人間の青年が大剣を持ち、ドラゴンライダーたちを屠り去っていく。


 追っ手のドラゴンライダーたちは魔族軍の最精鋭である。

 その一騎当千のドラゴンライダーたちを人間の青年が、紙でも千切るように容易く屠っていく。


「嘘……」


 あまりの光景に少女は茫然とした。


 やがて、自分が自然と神に祈るように手を合わせているのに気付いた。 

 

  






俺は着替え終わると即座に転移魔法で転移した。


 高度1000メートル程の高さで飛翔魔法で飛空して、地上を見下ろす。


 10歳ほどの少女が懸命に大地を走り、逃げている。


 そして、それを追う魔族たち。


 全員、黒いドラゴンに騎乗している。

 ドラゴンライダーだ。


 数は10体。

 人型の魔族で、豪華な衣装をまとっている。


 魔族は人間とそっくりの外見をしているが、頭に角があるのですぐに判別できる。

 あれだけ好戦的な所を見ると、確実に強硬派の魔族だろう。


「衣装の豪華さから見ると、魔族の中でも上位の貴族ですね」


 ベルダンディが眼鏡をクイッとさせた。


 魔族は貴族階級社会で、強いヤツほど爵位が上になるシステムになっている。


 そして、魔族の貴族は衣装の豪華さで自らの爵位を誇示する。その為、服装で階級の判別が付けやすい。


「ご主人様、どうするかにゃ? 私が倒す?」


 ルーナが言う。


 ルーナは水の大精霊だ。彼女なら一瞬で倒せるだろう。


 まあ、竜神のベルダンディや吸血姫のミスラでも余裕で倒せるだろうけど。


「いや、俺が倒す。夕食前に運動をして空腹になっておきたい」


俺は大剣を宝物庫アイテム・ボックスから取り出した。

 宝物庫アイテム・ボックスは亜空間に無限に物体を収納できる魔法だ。


 この大剣は俺が暇潰しに造った剣だが、数十の付与魔法をかけてある魔剣なので、ドラゴン程度なら造作なく斬れる。


 俺は飛翔魔法で急降下した。

 俺の存在に気付いていないマヌケな魔族を、ドラゴンごと斬り殺す。


「ギャアアア!」


 魔族が一刀両断されて断末魔の悲鳴をあげる。


「敵襲!」


 魔族が俺に気付いて、叫ぶ。 

 だが、遅い。


 俺は弾丸のように飛翔して二人目の魔族に突撃し、横薙ぎの斬撃で二人目の魔族を仕留める。

 騎乗していたドラゴンも頭部を突き刺して殺害する。


「き、貴様何者だ!」


 魔族が警戒して、臨戦態勢を取った。


「円陣だ。円陣を組め!」


 魔族が俺を包囲する。

 中々、連携が取れている。動作も機敏だ。こいつら全員手練れだな。


 だが、相手が悪かったな。 


 前世では魔神ですら殺した俺だ。

 魔族ごときでは相手にならん。


「『天雷』」


 俺は雷撃属性の超位魔法を放った。

 『天雷』は、自然災害レベルの威力を持つ超位魔法だ。


 魔法陣が俺の前方に出現し、青い稲津が魔族めがけて宙空を走り抜ける。


「ギャアアア!」

「ウアアアア!」


 魔族たちは恐怖の悲鳴を上げた。


 『天雷』が容赦なく魔族達を飲み込む。


 やがて、黒焦げになった魔族とドラゴンの死骸が地面に落ちていった。「終わりだな」


 俺は地上に降りた。


 そして、少女に歩み寄る。


 少女は俺を見て、驚きの顔を浮かべていた。


「大丈夫か?」


 俺が問うと、少女はコクリと頷いた。

 そして、少女は、


「貴方は何者なのじゃ?」


 とえらく古風な言葉遣いで聞いてきた。


「一応、この王国の第三王子だ。無能なので父王に左遷されたけどな」 俺がそう答えると、少女は目をパチクリさせた。 


最後まで、読んで頂きありがとうございました。

ブクマ登録ならびに、評価、よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ