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“ある日、俺の日常がガラッと変わる!” 今まで見えていた世界は何処へ行った?

作者: 七瀬







“ある日、俺の日常がガラッと変わった!” 





今までで、“当たり前に出来ていた事ができなくなった。”

俺は家族と旅行に行った帰り道、居眠り運転をしていたトラックに

正面衝突で、俺以外の家族は軽傷ですんだのだが、俺だけ“両腕を失う。”

俺が目を覚ました時には、ベットの上で家族が覗き込むように俺が目を覚ます

のを待っていた。




『良かった! 目を覚ましたのね、侑汰!』

『・・・ココは?』

『“病院よ。”』

『侑汰以外は皆、軽傷ですんだのよ。』

『“俺以外は無事だったの! じゃあ、良かった。”』

『侑汰、』

『兄貴、』

『どうしたんだよ、脩太? そんな悲しそうな顔して!』

『・・・あ、兄貴の両腕、』

『えぇ!? 俺の両腕?』

『鏡を持ってきてあげるから、自分でちゃんと見なさい!』

『母さん?』

『・・・・・・』





俺は絶望した、俺の両腕がない!

でも何故か? 違和感も感じない。

まだ俺の腕には今まで通り腕がついているように感じていたからだ。

でも? 鏡には俺の“両腕は映っていない!”




『・・・お、俺の両腕はどこにいったんだよ!』

『侑汰、貴方! 助手席に座ってて運悪く貴方の両腕が割れた窓ガラスに

切り刻まれて、切断するしかなかったのよ。』

『でも、他の皆は軽傷だったんだよな? なんで俺だけ!』

『・・・ご、ごめんね、』

『母さんに謝ってほしい訳じゃないよ!』

『・・・あ、兄貴、』

『ごめん、少し一人だけの時間をくれないか。』

『そうね、分かったわ。』

『兄貴の好きなようにさせあげよう、母さん。』

『・・・ううん。』








・・・それからは、俺はリハビリに励んだ。

でも? 両腕がない事で今まで簡単に出来ていた事ができなくなった。

箸も持てない、字も書けない、バランスもとれなくなった。

両腕がない事で、できない事が日に日に増えていく。

出来ない苛立ちを、俺は母親や家族によく当たるようになった。

特に“母親”は毎日、俺に会いに病院に来るから自然と八つ当たりする

回数が増えていく。

それでも母親は、俺の為にと毎日病院に来る事を決してやめなかった。




『なんで俺なんだよ! なんで俺だけ両腕がないんだ! なんで俺だけ、』

『・・・ごめんね、侑汰、』

『そもそもなんで旅行なんか行こなんて言うんだよ! 母さんがあんな事

言わなかったら、俺の両腕は今でも、、、。』

『“全部、母さんのせいよ! 責めるら母さんを責めなさい!”』

『・・・も、もういい! 帰って!』

『でも?』

『いいから帰れ!』

『・・・・・・』







ひとりになると? 八つ当たりしている自分に腹が立ち涙が出てきた。

母さんは一切関係ない事を俺が一番知っているというのに、八つ当たりして

みっともないのは俺だ!

でも? “この苛立ちを何処へ向ければいいのか分からない!”

何不自由しなかった日常が一変して、俺は戸惑ってばかりで......。

一気にできない事が山角になった。

【普通】の事ができない。

ただただ出来なくて苛立って、できる喜びを感じない。

一瞬で出来ていた事が、“一つの事に何時間もかかる事もある。”

自問自答、【なんでできないんだ、今まで出来ていたじゃないか!】

夜も眠れなくなった。

明日もどうせできやしないと俺は絶望し眠れない夜が続く。

頑張る事に疲れた。

俺はもう楽になりたかった。





・・・そんな時病院で、“一人の女性ひとに出会う。”

彼女は車いすで、両腕、両足がない女性ひとだった!

そんな彼女が、笑顔で俺を元気づけてくれようとしていた。



『あなたね! “新入りの男の子って?”』

『えぇ!?』

『まだあなたはいいじゃない! 両腕だけで私は両足もないけど

絶対に生きる事をやめないわ!』

『・・・ど、どうしてそんなに頑張れるんですか?』

『これはね! “神様からのプレゼントなのよ! 苦しい事や辛い事は

生きる証! だからもっと強く生きなさいって神様が言ってくれている

のよ。”』

『・・・前向きなんですね。』

『後ろ向きでどうするのよ、両腕が生えてくるの?』

『・・・い、いや、』

『だったら、強く生きなさいよ! あなたなら絶対にできるわ!』

『・・・で、でも、』

『少しづつでいいのよ、“できる事を一つ一つ増やしていけばいい!”』

『ありがとうございます、少し元気が出ました。』

『今度は! あなたがまた誰かにこういう風に言う時が来るのよ。』

『・・・そ、そうなのかな、』

『絶対そう! 頑張ってね。』

『・・・あぁ、はい。』







俺は、彼女と会って目が覚めた気がした!

“両腕がない事を考えても仕方がない! ないモノはないのだから!”

出来ない事を考えるより、できる事を一つ一つ増やしていこう。

きっとこれからの自分の為になる!

“俺はもう健常者ではない! でも障害者でもない!”

日常生活の事は、少しづつではあるが一人で出来るようになってきた。

誰の助けもなく一人で出来るんだ!

俺が今できる事を、これからも俺は増やしていく。

それと今の俺しかできない事を、今できない俺のような人達に教えていく。

俺は強く生きていくと決めた!



最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いお話でした 実際こうなった時に女性の様な気持ちで生きれたら良いですね♪
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