ー8話 読まなくても大丈夫なやつ
元旦です、あけおめです。
文字数(空白・改行含まない):1792字
「おはようございます!!!」
「おはよう、セルシア」
陽の光がまっすぐ差し込むとてもいい天気、それに負けず劣らずセルシアの気分も晴れやかである。
昨日の夜の一件の翌日、セルシアの気分は分かりやすく高くなっていた。
「今日は朝から元気ですね、どうかしたんですか?」
「師匠から全て聞きました、呪いを解くことが出来たということ。そのときはいろいろあって大変でした……」
「昨日森の魔力がザワザワしていたのはそれが原因だったんですね……」
「今の私は無敵です!!なんだって打ち勝つことができる気がします!なんたって御二方の呪いが解けたという素晴らしい話を聞いたんですから!」
「そんなに喜んでもらうとこっちもさらに嬉しくなってしまうわね……」
たくましく強い存在と言われる竜らしかぬ、嬉しそうにバタバタと尾の動きを見せる神竜、それを思わず見つめてセルシアもニコニコと笑顔を作り、すぐそばの切り株へと腰掛ける。
「その子の名前、決まってるんですか?」
呪いが解けたと聞いたことから、セルシアはお構いなく聞いた。
「いいえ、近頃は疲れることがたくさんあって今朝心が落ち着いたところで、まだ候補もないの」
「そうなんですね」
「良かったら、セルシアちゃんが決めてくれないかしら? 」
「えっ…?!」
セルシアは分かりやすく目を見開き絶句する。
名前、、、その生き物が一生と共にする1番初めに送られる大事なプレゼント。
そして相手は神竜、竜である。様々な種族が生きている中でも圧倒的に短命で脆いな人間とは違い、何百年、何千年という寿命とタフさを誇り生きる者……
セルシアはそんな長寿の種族である竜の命名権を得た。
そんな時、、
「あら、セルシア。どうしてそんなに唸っているの?」
「あ、師匠……実はこの神竜の子の命名権を得てですね…… 」
普段来ないであろう時間帯に偶然?通りかかったこの森に住む魔女は、木こりに座り唸るセルシアに声をかけた。
そしてセルシアから返ってきた言葉に、魔女は苦笑いをひとつ零し、神竜に言葉を告げる。
「名前、お母様からもらった方がいいのでは無いですか?」
「……やっぱりそうですかね……」
セルシアの唸りがのりうつったかの如く、今度は神竜が黙り込みなにか考え出した。
「そうだ!直感に出てきたものを命名候補にいれてみませんか!」
突然、セルシアが座っていた切り株から立ち上がって神竜へと提案をしてきた。
「直感……その子に対して1番に出てきた想いね」
セルシアの案が気に入ったのか魔女も乗り気のようで、補足じみたものをつけたした。
「直感ですか…直感………」
その場にいる全員が黙り込み、どこからが聞こえる鳥のさえずりだけが耳に入ってくる。
「……」
「……」
神竜が直感の案を出すことかできるように、邪魔なんかできない魔女とセルシアの2人は静かに神竜を見守る。
30秒……
40秒…………
そして1分経過にさしかかろうとした時、ふと神竜の口が開く。
「『シーリア』……」
「シーリア、ですか」
「真っ先に思いつきました」
「シーリア……とってもいい名前!!」
神竜は嘘をつくことなく真に告げた。
耳に入った名前に、魔女もセルシアも肯定的な感情になる。
「直感と言いつつもし理由があったとしたら聞いてもいいかしら?」
「ええ、あります。私の好きな植物に『シルア』というものがあるんですよ」
「それならあなたのすぐ横に生えてますね……」
セルシアは神竜の横に移動してその『シルア』と呼ばれる植物を撫でる。
神竜に負けず劣らず綺麗に咲き乱れ、その白い花びらからは美しさと純粋さを感じさせ、不思議と煌びやかに見えてくる。
「『シルア』という名前の植物に込められた意味は『不完全こそ完全』というとても不思議な意味なんですが、その込められた不思議な意味と……」
「意味と……?」
「セルシアちゃんの名前につられて『シーリア』という名前が真っ先に浮かび上がりました」
「わっ、私の名前…… 」
セルシアは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。
魔女はその姿をくすくすと小さく笑い、神竜に口を開く。
「とっても素敵な名前ではないですか?」
「シーリアという名にぴったりな竜に育つと嬉しいです」
神竜はすぐ脇のシルアを見つめながら嬉しくそう呟いた。
「きっと、あなたの思い描く強く可憐な神竜に育つと思います」
神竜のやさしい呟きに、森の支配者である魔女は優しく卵を見つめ、その言葉を返しとした。
CELAR
『不完全こそ完全』
1つ前の[ー7話]の最後の方を見てみると……
年、明けました。