ー1話 森の魔女
基本的には冒険させるつもりでいます。
基本的には日常感を醸し出したいです。
基本的には後先考えずに書いています。
文字数(空白・改行含まない):1131字
「師匠、質問です」
誰も寄り付かないような森の奥、妖精の住んでいそうな幻想的な空間にあるツリーハウスの前で、一人の少女が聞いた。
「えぇ」
「自分にとって、大切な人や物を守るためにはなにをすればいいんでしょう」
少女はいつか読んだことのある本の題材としてあった質問をした。
「それは言い出せばたくさんあります。そのうちの一つとして私がいつも頭に入れているのは。「その者の望むことはなにか」それだけよ」
その質問に答えたのは少女に師匠と呼ばれた1人の魔女、まだ10歳にもみたない少女の目線に合わせるためしゃがみこんで少女の目を見て話した。
「望むこと……」
言われた少女は口で言いつつも心の中でもその言葉を繰り返し、ひとつ疑問に思ったことを魔女に聞く。
「その人の望むことって、聞かないと分からないものなんですよね?」
「そうね」
「それじゃあその事を知らないうちに相手にとって嫌なことを口にしてしまったらどうしましょう」
その少女は師匠相手に質問攻めの如く口を開く、しかしその魔女は呆れることなく、その質問一つ一つ丁寧に答えていく。
「その人の眼を見ましょう」
「眼……ですか。でもどう見たらいいのか……」
少女は師匠の目を見る、魔女は少女の目を見る。
「今の私の瞳、どう見えるかしら?」
いきなり言われ、少女は困惑する。師匠は片眼に前髪がかかっており、近くで見ても片方の眼しか確認することが出来ない。
なので確認できる方の眼をよく見て、素直に答えた。
「晴れたお空のような青色です」
「嬉しいわ。でも、それ以外に何か見えるものはない?」
魔女は少女の顔に少しだけ近ずく、少女は一瞬後ろに下がろうとしたが堪えてまじまじと見つめる。
「ごめんなさい……わからないです」
「そう、なら明日から新しい授業をします!」
魔女はなんとなくの気持ちで少女の頭に手を乗せる。
「?」
少女はいきなり手を置かれた意味が分からずにいた、師匠は笑顔でいる、師匠に撫でられていて嫌な気はしなかった。
そして少女は今、自分の眼を気にしていた。
先程師匠から言われたこと、その者が望むことはなにか。眼を見れば分かる。
自分はこのことを魔女に望んでいたのだろうか。
まだよく理解はしていないまま、少女の目は師匠の眼を捉えている。
「あなたにとってこれは望まぬことではない、そうかしら?」
「!!」
少女は告げられた言葉を脳内で繰り返した。
望むこと、そうでなければ望まぬことをしない、という選択肢もあるのだろうか。
目の前の相手は自分が師匠と読んでいる存在、森の奥に住んでいるとっても強い魔女様、瞳とか関係なく、もしかしたら本当は思っていることを簡単に読むことが出来るかもしれない。
しかし少女は知っている。
師匠…魔女は人の考えを覗くということが大っ嫌いである。
「さ、早く戻って夕ご飯にしましょう」
そう言うと魔女はさっと立ち上がり、日差しに照らされるツリーハウスの中へと入っていった。
少女は何も言うことなく、魔女についていく。
目前にあるのは少女が幼い頃から住んでいるツリーハウスへだ。